質の良い睡眠をとるための4つのポイント

質の高い睡眠

質の良い睡眠は、私たちの身体とこころの疲れを取ってくれます。これによって翌日からまた元気に活動できるようになります。

しかし不十分で質の悪い睡眠が続くと疲れが十分に取れず、、徐々に疲労感や暗い気持ち・不安感が高まってしまいます。

睡眠は毎日行われるものですので、あまり「質を高める」ということを意識していない方も多いと思います。しかし睡眠の質を良くすることは、心身の健康のためにとても有用です。

ちょっとした工夫で睡眠の質を上げる事ができ、それによって日中の作業のパフォーマンスが上がったり、精神状態が安定するとしたら、これは素晴らしい事ではないでしょうか。

健康食品やお薬などに頼る前に、まずは睡眠の質を高める工夫をしてみましょう。

では質の高い睡眠をとるためにはどのようなポイントがあるのでしょうか。

今日は質の高い睡眠をとるための方法について考えてみましょう。

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1.質の高い睡眠とは

まずはこの記事で目指していく「質の良い睡眠」「質の高い睡眠」というのはどういった睡眠なのかを明確にしてみましょう。

そのためには、私たちは睡眠を取ることで何を得ようとしているのかを考えてみなければいけません。そもそも私たちはなぜ睡眠を取らないといけないのでしょうか。

睡眠には様々な目的があると考えられており、その全てはまだ解明されていません。しかし睡眠の主な目的というのは「心身の疲労を取ること」だと考えられています。

疲れれば私たちは「眠りたい」と感じます。そして眠りによって疲れが十分に取れればまた元気に活動する事ができます。

つまり、身体とこころの疲れを十分に取る事が出来る睡眠が「質の高い睡眠」だという事です。

夜はぐっすりと眠り、朝に気持ちよく目覚める事ができる。日中に身体が軽やかで気持ちも晴れやかに過ごせる。

これを実現する睡眠が質の高い睡眠だと言えるでしょう。

2.質の高い睡眠を構成する3要素

では質の高い睡眠を得るためには、どのような睡眠を取ることを心がければ良いでしょうか。

それを知るために睡眠を3つの要素、

  • 睡眠時間
  • 睡眠の深さ
  • 目覚め

に分けて考えてみましょう。

Ⅰ.十分な睡眠時間

質の高い睡眠を得る基本は、十分な睡眠時間を確保することになります。その瞬間がどんなに質の高い睡眠が取れていたとしても、それが1日2時間だったり3時間だったりの短時間であれば、これは全体的な睡眠として考えればやはり不十分な質の低い睡眠だと言わざるを得ません。

適切な睡眠の長さというのは個人差があるため一概に言えるものではありませんが、おおよそ5~8時間前後におさまります

稀に「1日4時間睡眠で大丈夫」「1日10時間は眠らないと疲れが取れない」という人もいますが、数としてはごく少数です。

ほとんどの人は1日5~8時間程度が適正な睡眠時間になります。

また必要な睡眠時間は、年齢が低いほど多く年齢が高くなるにつれて少なくなっていく点にも注意しましょう。

10代の若者であれば、7~8時間は眠った方が良いケースが多く、反対に80代の高齢者であれば、4~5時間の睡眠時間でも十分な事が多いのです。

よく高齢者の方が「私は昔から8時間眠らないとダメだった。だから今もそれくらい眠りたい」と昔を基準にして「もっと眠りたい」と訴える事がありますが、これは必ずしも正しくありません。年齢を重ねれば必要な睡眠時間は短くなるためです。

ではあなたにとっての十分な睡眠時間はどのようにして見つけていけば良いでしょうか。

実は何時間眠るのがその人にとって最適かは、その人にしか分かりません。日々の睡眠時間と心身の疲労の取れ具合を確認して、自分にとって最適な睡眠時間を見つけていきましょう。

Ⅱ.睡眠の深さ

次に大切なのが睡眠の深さです。

十分な睡眠時間を取っているのに、疲れが十分に取れていないという方は、浅い睡眠が多くなっている事があります。浅い睡眠だけでなく深い睡眠もしっかりと取れないと十分に疲れは取れず、これは質の高い睡眠とは言えません。

私たちの睡眠は、

  • 浅い睡眠(REM睡眠、軽睡眠)
  • 深い睡眠(深睡眠)

を交互に繰り返しています。この両者が適切な割合で出現するのが質の高い睡眠です。

反対に「浅い睡眠の割合が多くなっている」場合、これは質の低い睡眠になります。

REM睡眠や軽睡眠・深睡眠に関してのより詳しい説明は「眠りが浅いと感じる時に考えたい原因と対策」をご覧ください。

Ⅲ.目覚め

最後に目覚めです。

いくら十分な睡眠時間が取れて、睡眠の深さも十分だったとしても、目覚めが悪いとそれだけで「しっかりと眠れなかった」と感じてしまうものです。

また目覚めが悪いとそのまま気分の悪さを引きずり、日中に精神的に不安定になりやすい傾向があります。

目覚めが悪くても身体的には大きな問題は生じません。身体は十分に休めたわけですので、身体は大丈夫なのです。

しかし精神的に不安定になりやすくなります。

反対に気持ちよく目覚める事ができれば、それだけで良い睡眠が取れたと感じ、気持ちも前向きになりやすいのです。

特にうつ病などのこころの病気の治療中の方は、「良い目覚めが得られる工夫」も大切なポイントになります。

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3.質の高い睡眠を得るための4つのポイント

質の高い睡眠を得るためには、

  • 睡眠時間
  • 睡眠の質
  • 目覚め

が大切だとお話しました。

この3つの要素を意識しながら、睡眠を改善させることで、質の良い睡眠を得る事ができるようになります。

このうち、「最適な睡眠時間」は各人で個人差があるため、自分自身で最適な睡眠時間を探さないといけません。

みなさんだいたいの感覚として、「睡眠時間が〇時間以下だと体調が悪い」「睡眠時間が〇以上以上だと翌日かえってだるくなる」といったものがあると思います。最適な睡眠時間というのはこの間に治まる時間の事になります。

一方で睡眠の質と目覚めに関しては、ある程度共通する方法によって改善させることが可能です。そのため、ここでは睡眠の質を改善させ、目覚めを良くする工夫について紹介します。

Ⅰ.就寝前に副交感神経を活性化させる

自律神経のバランスを整えるためには、規則正しい生活が大切です。

私たちの身体には、心身の様々なバランスを自動的に調整してくれる神経があり、これは「自律神経」と呼ばれています。

怖いものを見ると心拍数が上がり呼吸が速くなります。反対に気持ちが穏やかな時は心拍数が下がり呼吸はゆっくりになります。これは自分で意識しなくても勝手にそうなっているものですが、これは自律神経が自動で調整してくれている結果なのです。

自律神経は、緊張の神経である「交感神経」とリラックスの神経である「副交感神経」があります。

(自律神経について詳しくは「自律神経とは?自律神経失調症を理解するために知っておきたい事」をご覧ください)

健常な人では日中は交感神経が活性化していて「活動モード」になっています。反対に夜間になると副交感神経が活性化して「休息モード」となっています。そして明け方になるにつれて徐々に交感神経がまた活性化してきて、また身体は活動モードになります。

この健常な交感神経⇔副交感神経のバランスが崩れると、眠りが浅くなり、日中の活動にも支障が出るようになります。

夜に交感神経が活性化してしまうと、脳が興奮してしまうため眠りに入りにくくなり、また入ったとしても浅い睡眠しか得られなくなります。

また朝になっても副交感神経が活性化したままだと、目覚めが悪かったり、朝になってもだるいままになってしまいます。

このような状態を防ぐためには、

  • 日中になるべく交感神経を活性化させる
  • 夕方から夜になるべく副交感神経を活性化させる

という2つの工夫を意識した生活が重要です。

日中に交感神経を活性化させるためには、刺激のある環境に身を置く事です。私たちは何らかの刺激を感じると緊張し、交感神経が興奮するからです。

仕事や勉強、運動などに集中して取り組んでいる時は交感神経が活性化します。適度なストレスがかかる環境に身を置く事も交感神経を活性化させるのには意味があります。

また夕方から寝る前に副交感神経を活性化させるような活動をするようにしましょう。

例えば、

  • リラックスできるアロマを炊く
  • 適温のお風呂に入る
  • リラックスできる音楽を聴く
  • 軽くストレッチをする

といった行動は副交感神経を活性化させてくれるでしょう。

【参照記事】
アロマで不眠を治す!睡眠の改善に効果的なアロマの使い方
・睡眠と入浴の関係。良い眠りに効果的な入浴の6つのポイント
睡眠に効果的な音楽はあるのか。安眠CDの真実と誤解

Ⅱ.メラトニンを出す

メラトニンは脳の松果体という部位から分泌される物質で、同じく脳にある「メラトニン受容体」に作用することで脳を自然と眠りに導く物質です。

このメラトニンを適切な時間帯に十分量出す事ができれば、質の高い睡眠に入る事ができます。

ではメラトニンはどのようにすれば分泌されるのでしょうか。

まずメラトニンは暗い場所にいないと分泌されません。という事は、夕方から夜になってきたら、あまり明るい場所にいない方がいいという事です。

これは全く光を浴びてはいけないという事ではありません。メラトニンの分泌を抑えてしまうような光を浴びないようにすればいいのです。

メラトニンの分泌を抑えてしまうのは短波長光(青色光など)になります。反対に長波長光(赤色光など)はメラトニンをほとんど抑制しません。

夕方になったらLEDやパソコンから発される白色光・青色光(ブルーライト)にはあまり触れないことです。夕方以降は白熱灯などの赤色光・橙色光を中心にしましょう。

またメラトニンは、日中に適度な運動をする事で夜に分泌されやすくなる事が分かっています。日中の適切な活動は自律神経を整えるだけでなく、夜のメラトニンの分泌のためにも重要なのです。

メラトニンについて詳しくは、「メラトニンを増やして良い睡眠を得るために大切なポイント」をご覧下さい。

Ⅲ.刺激物を避ける

刺激物というのは、脳や身体を刺激して興奮させてしまう物質です。

脳は刺激されれば覚醒しますので、睡眠の質が下がります。そのためこのような刺激物は睡眠前には極力避ける必要があります。

睡眠に入る2~3時間前からはこのような刺激物は避けるようにしましょう。

では脳を刺激してしまうものにはどのようなものがあるでしょうか。

  • ニコチン
  • カフェイン

などの物質の他

  • 騒音
  • 異臭
  • 強い光(ブルーライト)
  • 寒暖の刺激

などもあります。

部屋に光が入ってくるようであれば、それが刺激となり眠りは浅くなるでしょう。この場合は光が入りにくい部屋を寝室に変えたり、遮光カーテンを使うなどといった工夫が必要です。

また部屋の温度も適温に調整しましょう。部屋の温度だけでなく、季節に合わせて寝具(毛布、布団など)も適温になるものを選びましょう。

また、

  • 悩み事

も脳を刺激する原因になり、睡眠においては「刺激物」になりえます。

悩み事が全くない人はいませんが、悩み事はベッドまで持ち込まない方が賢明です。ベッドの中で考え込んでしまえば、脳が覚醒し眠れなくなります。眠れずに寝不足となれば精神状態は不安定になりやすく、余計に悩み事は深刻化する傾向にあります。

【参考記事】
快適な睡眠を得るために意識すべき5つの寝室環境
ブルーライトってなに?精神にも影響するの?

Ⅳ.眠くなってから寝る・必要以上に寝ない

質の高い睡眠を得るためには、質の低い睡眠になってしまうような眠りに入らない事が大切です。

質の低い睡眠を避ける方法として、

  • 睡眠制限法
  • 刺激制御法

の2つが有効です。

睡眠制限法とはあえて寝床にいる時間を制限することで、「寝床は眠るところなんだ」という意識づけを行う方法です。

なかなか眠れなかったり眠りが浅い方は、「少しでも長く横になっていよう」と考え、長時間寝床にいる傾向があります。

しかしこれはかえって生活リズムを崩してしまい、より眠りを浅くさせています。また眠れないまま寝床にいる時間が長いと、「寝床は眠れない場所」と脳が認識してしまうようになります。

これを防ぐため、あえて寝床にいる時間を制限することで生活リズムをただし、「寝床は眠るところ」という意識づけを行うのが睡眠制限法です。

刺激制御法とは、「寝室は眠る場所」だという事を脳に認識させる治療法です。

眠れない状態が長く続いていると、脳が「寝室は眠れない場所」と条件づけてしまっていることがあります。この状態だと、寝室に入ったら脳が「ここにいると眠れないんだ」と勝手に意識してしまいます。

この場合、「寝室は眠る場所なんだよ」と脳に再度教えてあげる必要があります。

・眠る時にだけ寝室を使う
・寝室で睡眠以外の行動はしない(寝室で本を読んだりしない)
・眠れなければ寝床から離れる

などを行うことで、「寝室は眠る場所なんだ」「寝床に行けば眠れるんだ」と認識させる方法が刺激制御法になります。

これらは不眠症に対する認知行動療法(iCBT)でも使われている技法です。

iCBTについて詳しくは「薬を使わずに不眠症を改善する!不眠に効く4つの非薬物治療」をご覧下さい。

4.睡眠の質を下げる要注意習慣

眠りの質が低いと悩んでいる方のお話を聞いていると、睡眠の質を悪化させるような生活習慣を無意識に行っていることが少なくありません。

次のような行為は睡眠の質を避けるものですので、極力行わないようにしましょう。

Ⅰ.アルコール

眠れないからアルコールを飲むという方は少なくありません。

確かにアルコールを飲むと眠気を感じますので、「これを飲めば眠れる」と考えるのは理解できます。

しかしアルコールは眠気を感じやすくする物質ですが、眠りの質は悪化させる物質である事をご存知でしょうか。

アルコールは寝付きに入らせる作用が多少あるだけで、睡眠の質はむしろ低下させ、浅い睡眠を生じさせる物質なのです。

実際にアルコールには、入眠作用(眠りに入らせる作用)は認めるものの、レム睡眠や軽睡眠といった浅い眠りを増やし、深睡眠はむしろ悪化させることが報告されています。

更に睡眠中にアルコールの作用が切れることで離脱症状が生じ、これが中途覚醒(夜中に目覚めてしまう)の原因になります。

飲み会の席などで適度なアルコールを飲むことは決して悪いことではありませんが、眠るためにアルコールを飲むことはあやまった行為になります。

Ⅱ.就寝前の喫煙やカフェイン

就寝前にタバコを吸う方は少なくありません。

ニコチンを摂取することで気持ちが落ち着くという人もいます。

確かにニコチンには鎮静作用があります。しかしこれは「眠くする作用」ではありません。またニコチンには同時に覚醒作用もあります。

仕事の合間にタバコを吸う事で集中力が上がったという経験をされた方もいらっしゃると思いますが、このようにニコチンは脳を活性化させる作用もあるのです。

という事は眠る前に摂取してしまうと、睡眠に悪影響を来たします。

また眠る前のカフェインもあまり良くありません。カフェインにも覚醒作用があるからです。コーヒーにカフェインが含まれていることは多くの方が知っていますが、実はカフェインは紅茶や緑茶、コーラなどといった飲料にも含まれています。

就寝前はこのような飲み物はあまり摂取しないようにした方が良いでしょう。

Ⅲ.睡眠薬も要注意

眠れなければ睡眠薬を飲めばいい。

このように安易に考える方もいますが、睡眠薬はアルコールと多少似たところがあります。

つまり、確かに寝付きやすくはするけども、必ずしも睡眠の質を上げているわけではないという事です。

もちろんアルコールよりは害は少ないですが、睡眠薬もレム睡眠や軽睡眠は増やすことがありますが、深睡眠は必ずしも増やしません。

ただ睡眠時間を増やすだけであれば睡眠薬は有効ですが、睡眠の質を高めるという目的である場合、睡眠薬は必ずしも正解ではありません。

Ⅳ.就寝前の交感神経の活性化

睡眠前につい交感神経を活性化させてしまう行動をしていないでしょうか。

皆さんのお話を聞いていて多いのが、「寝床でのスマホ」です。若い方の多くはこれをしていますが、これから寝ようという時にブルーライトを浴びてしまうとメラトニンの分泌が抑制され、眠気を感じにくくなります。

またスマホを操作してインターネット記事を読むといった交感神経を活性化させる活動を行えば当然眠りに入りにくくなり、入れたとしても睡眠の質は浅くなります。

また良くある誤解として、「静かな音楽を流して眠ると眠りの質が高まる」と考えている方も少なくないようです。これは誤解で、基本的に眠っている間に聞いている音楽は、睡眠の質を低下させます。

睡眠に入る前に、副交感神経を活性化させる手段として落ち着いた音楽を聴く事は有効ですが、睡眠中の音楽は睡眠の質を低下させますので注意が必要です。

睡眠中に耳から入ってくる音楽は雑音であり、これは脳を刺激させることで覚醒レベルを上げてしまいます。

また夏で暑いからといってエアコンをガンガンに効かせ、毛布もかけずに寝れば、これも睡眠の質の低下につながります(それだけでなく風邪などの身体疾患の原因にもなります)。

睡眠の質を低下させる悪い習慣というのは、みなさん無意識の中でついついやってしまっているものです。

改めて意識することで睡眠の質は簡単に改善させることができます。

みなさんも自分の睡眠を今一度見直し、睡眠の質を高める工夫をしてみましょう。

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