自律神経とは?自律神経失調症を理解するために知っておきたい事

自律神経とは

強いストレスを受け続けていたり不規則な生活習慣が続いたりすると、自律神経のバランスの乱れが生じます。

自律神経は身体のいたる部位に分布しているため、そのバランスが崩れると全身に様々な症状が出現してしまいます。

自律神経の異常はレントゲンや血液検査では検出できないため、自律神経のバランスの乱れはそれが自律神経の異常によって生じているのだと気付かない事があります。そのため他の身体疾患を疑い、ドクターショッピングを繰り返す方も少なくありません。

ストレス環境に置かれている方や生活習慣が不規則になりがちな方は自律神経という神経のはたらきについて知っておくことが望まれます。

自律神経のはたらきを理解していないと、自律神経のバランスが崩れて生じた症状に対してあやまった認識をしてしまうからです。しかし自律神経について正しく知っていれば、「これは自律神経のバランスが崩れているから起こっているのだ」と理解する事が出来、適切な治療・対策を行うことが可能になります。

今日は自律神経という神経はどのようなものなのか、という事についてみていきましょう。

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1.自律神経とは?

自律神経とは一体どのような神経のことでしょうか。

私たちの身体には膨大な数の神経があります。神経はいくつかの種類に分ける事ができます。

神経を大きく分けると、

  • 中枢神経
  • 末梢神経

の2つに分かれます。

中枢神経は脳や脊髄にある神経の事で、文字通り神経の中枢になります。脳や脊髄には膨大な数の神経細胞が密集しており、様々な情報がここに集まり、その情報をもとに適切な指示を発信します。

末梢神経は中枢神経に様々な知覚情報を送ったり、反対に中枢神経から送られてきた信号を末梢(全身の各臓器や筋肉、血管など)に伝えたりするはたらきがあります。

末梢神経は更に2つに分ける事が出来ます。

それは、

  • 体性神経(動物神経)
  • 自律神経(植物神経)

です。

体性神経は私たちが自分でコントロールできる神経です。体性神経には運動神経と知覚神経(感覚神経)があります。運動神経は、自分の意志通りに筋肉を動かすための神経で、感覚神経は感じた刺激(痛みや触感、寒冷など)を中枢に送る神経です。

一方で自律神経というのは自分でコントロールできない神経です。自律神経は主に全身の臓器や血管に分布しています。私たちは自分の身体の筋肉は動かす事は出来ますが、臓器や血管は動かすことができませんよね。臓器や血管は自律神経が自動的にはたらきを調整してくれているのです。

例えばごはんを食べたら何も意識しなくても適切に食事が身体に吸収されるのは胃腸に分布する自律神経が自動的に胃酸を分泌したり、腸管の蠕動運動を促してくれるからです。激しい運動をした時に何も意識しなくても呼吸や心拍数が速くなるのも、呼吸器・循環器系に分布する自律神経が自動的に呼吸回数や心臓の拍動数を調整してくれているのです。

自律神経は、

  • 緊張の神経である「交感神経」
  • リラックスの神経である「副交感神経」

の2つがあり、全身の臓器に分布しています。

この2つのバランスによって各臓器は状況に応じた最適なはたらきを発揮する事ができるのです。

2.交感神経と副交感神経の役割

私たちの身体には様々な種類の神経があります。前項ではその中で自律神経がどういった位置づけなのかを見てきました。

自律神経には「交感神経」と「副交感神経」の2種類があります。これらは互いに正反対の作用を持ち、ちょうど綱引きをしているような感じになっています。状況に応じて交感神経と副交感神経が絶妙なバランスを保つことにより、私たちの身体は様々な状況に最適に対応できるようになっているのです。

では具体的に交感神経と副交感神経の役割を見てみましょう。各臓器で交感神経・副交感神経がそれぞれ活性化するとどのようになるのかを紹介します。

【臓器】 【交感神経が活性化】 【副交感神経が活性化】
瞳孔 拡大する 収縮する
血圧 上昇する 下降する
呼吸 早くなる ゆっくりになる
唾液胃腸 分泌が抑制される 分泌が亢進する
胃腸 動きが抑制される排尿を抑制し尿を貯める 動きが亢進する排尿する
膀胱 排尿が抑制される 排尿を促す
血糖値 上昇する活性化する 下降する
覚醒・精神活動 覚醒度が上がり神経が研ぎ澄まされる 覚醒度が下がり、ゆったりとする

このように交感神経と副交感神経は同じ臓器に対して、正反対の作用をもたらします。

交感神経が活性化する状況は、緊張している状況を考えるとよく分かります。例えば敵と戦っている時を考えてみましょう。

緊張している状況だと、瞳孔は拡大し、敵を万が一にも見失わないようにします。激しい運動にも耐えられるよう、呼吸数は多くなり、多くの酸素を取り込もうとします。身体活動のエネルギー源となる血糖値を上昇させ、血圧を上げる事で全身に酸素を送るはたらきを持つ血液を全身の隅々まで届くようにします。

闘っている時はごはんなど食べている場合ではありませんし、排尿・排便などしている場合でもありません。そのため唾液の分泌は減り、胃腸や膀胱の動きは抑制され、闘いに集中できるようにします。

頭がボーッとしていれば、敵にやられてしまうかもしれません。そのため脳の覚醒レベルも上がり、最大限に脳が活動できるようにします。

これが交感神経が活性化している状態です。現代では「敵と闘う」といった環境は滅多にありませんが、緊張するような状況ではこれと同じような反応が生じます。例えば、責任ある仕事をしている時、大勢の人前で発表している時などです。

反対に副交感神経が活性化する状況は、リラックスしている状況を考えると良く分かります。落ち着ける場所でゆったりとくつろいでいる時を考えてみてください。

身体を休めるために瞳孔は収縮し、呼吸や脈拍もゆっくりになります。全身への酸素や血糖はほどほど届けば十分ですので血圧や血糖値も正常値に下がります。

リラックス時は栄養補給をするのに絶好のタイミングですので、唾液の分泌は増え、胃腸の動きも活性化されます。膀胱も排尿を促す方向にはたらきます。

身体だけでなく脳を休養させるために、脳の覚醒レベルも下がり眠気を感じる事もあります。

これが副交感神経が活性化している状態です。

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3.自律神経のバランスが乱れるとどうなるのか

自律神経には交感神経と副交感神経の2つがありますが、これはどちらの神経が良い悪いといったものではありません。

交感神経がずっと活性化している状態、つまりずっと緊張しっぱなしであれば心身は疲弊してしまいます。反対に副交感神経ばかりがずっと活性化したら集中して何かに取り組む事が出来なくなってしまいます。

交感神経と副交感神経はどちらも生きていく中で必要なものであり、この2つは「状況に応じてバランスよく活性化される事」が重要なのです。

日中の仕事・勉強などをしている時というのは集中力が必要ですから交感神経が優位に活性化しています。反対に夜にゆっくりしたり睡眠を取ったりする時というのは心身の疲労を取る必要がありますので副交感神経が優位に活性化しています。

自律神経は自動的にこのような状態を作り出す事によって、日中は作業に集中し、夜はゆっくり休んで疲労回復をするという好循環が生まれているのです。

しかしこの交感神経と副交感神経のバランスが崩れてしまう事があります。これを「自律神経失調症」と呼びます。

自律神経のバランスが崩れる原因はいくつかありますが、

  • ストレス
  • 生活習慣の乱れ

の2つが代表的な原因として挙げられます(「自律神経を乱して自律神経失調症を引き起こす2つの原因」参照)。

ストレスを受けると、身体はストレスに打ち勝とうと交感神経が活性化しはじめます。ストレスが一過性のものであればいいのですが、ストレスを受け続けてしまうと交感神経が活性化しっぱなしになってしまいます。

こうなってしまうと本来であれば副交感神経が活性化しなければいけない時にも交感神経が活性化し続けるため、

  • 夜になっても眠れない
  • 心身が休まらず常に疲れを感じる
  • 血圧や血糖値が上がり高血圧や糖尿病になってしまう
  • 胃腸の動きが悪くなり吐き気や便秘が生じる
  • リラックスすべき時にも動悸などを感じる

といった様々な問題が出てきます。

また交感神経は主に日中の活動する時間帯に活性化し、副交感神経は主に夜間の休んでいる時間帯に活性化しています。これが体内時計にのっとった自然な交感神経と副交感神経のリズムなのですが、昼夜逆転がちな生活を送っていたり、毎日寝る時間がバラバラであったりすると、交感神経と副交感神経のスイッチのオンオフが次第に乱れ始めます。

生活リズムが不規則だと、自律神経も混乱してしまい、「今はどちらの神経を活性化させればいいのか」が分からなくなってしまうのです。すると夜になっても交感神経が活性化してしまったり、反対に日中なのに副交感神経が活性化してしまったりというおかしな状態になってしまいます。

このような自律神経失調状態が長く続けば、二次的にうつ病や不安障害といった精神疾患を発症してしまう事もあります。

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