「うつ病は必ず治ると信じています」徐々に快方に向かっているB様の体験談

この記事では、サイト来訪者様から頂いたこころの疾患の治療体験談を紹介しています。

闘病中は辛い時期がたくさんあります。「もう治らないのではないか」と諦めかけてしまう事もあるかもしれません。

そんな時は同じく辛い時期を乗り越えた方々のお話を聞いてみてください。実際に病気を克服した本人だから言える言葉は、治療中の方に大きな勇気を与えてくれます。

今回は、海外でうつ病を発症し、まだ完治はしていないものの徐々に改善してきているB様の治療体験談を紹介します。海外と日本の治療法の違いにも触れています。

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Ⅰ.発症・病院受診までの経過

私は長年うつ病と戦ってきました。

発症は私がまだニューヨークに住んでいた頃、ちょっとしたきっかけで自己喪失して、自分で自分がコントロールできないような感じがして、とても怖い思いをしました。 その時にニューヨークで精神科を受診することになり、そこでうつ病と診断されました。

うつ病は胃潰瘍のように1日でできてしまうようなものではなく、長年たまっているストレスなどが原因でちょっとしたことがきっかけでグラスに注いだ水が表面張力で頑張っていたのが、最後の1滴で溢れてこぼれ出すような感じになり、その状態を改善するにはそれなりに時間がかかるということを知りました。

Ⅱ.行われた治療

精神的にうつになり、日本に帰国することになりました。それまでニューヨークの日本人のカウンセラーのカウンセリングを受けていました。帰国したら日本の心療内科を受診することになり、日本とアメリカのうつ病の取り扱いかたに違いを感じました。

最終的には、心療内科では不十分だということで、大学病院の精神科を受診するように紹介状を書いてもらいました。大学病院では最初にしっかりとしたカウンセリングが行われ、それから受診するスケジュールを決めました。

私は不眠が重く、眠れないという悩みがありました。投薬は抗うつ剤として、パキシルセロクエルなどを試してみましたが、パキシルはあまり効果を感じませんでした。セロクエルは副作用で血糖値が上がったので、使用を中止しました。そして、一番長く服用していた抗うつ剤はサインバルタというお薬です。夜はしっかりと眠れるように複数のお薬が処方されました。リフレックスロヒプノールベンザリンヒルナミンを飲んでいました。最初はものすごく眠くなりましたが、自然と体に合うようになって、そのお薬で夜は問題なく眠ることができるようになりました。

セロクエル(一般名:クエチアピン)は抗うつ剤ではなく抗精神病薬に属するお薬ですが、抗うつ作用・抗不安作用の報告もあり、抗うつ剤に併用することでうつ病治療に用いられることがあります(増強療法)。血糖値を上げてしまう副作用があり、そのためセロクエルは糖尿病の方には禁忌となっています。

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Ⅲ.治療に対する個人的な感想

夜眠れることはとても大切なことで、体が疲れないと心も疲れないような感じがしました。 うつ病を克服するには長い時間がかかりますが、適切なお薬とカウンセリングを受けていれば必ず治る病気だと思います。 私のうつ病は完治してはいませんが、今は不眠症だけが残っていて、のんびりと過ごすことに専念しています。

一時期の死にたいという感情がわかなくなって、精神的に安定しているのがわかります。

Ⅳ.現在闘病中の方へメッセージ

時間はかかりますが、諦めず、自分を責めることをやめて夜、ゆっくりと眠ることが大切だと思います。 抗うつ剤もいろいろと種類がありますから、自分に合うお薬と出会うまで変えてみるのも一つの方法だと思います。

うつ病は必ず治ると信じています。

<せせらぎメンタルクリニックより>

うつ病は実体のない「ストレス」などが原因となる事が多く、徐々にこころを傷付けていくため、自分自身ではなかなかその異変に気付けない事があります。血圧や血糖値といった数字で判定できるものであったり、肺炎や胃腸炎といった原因菌の検出が出来るものではないため、「これは病気だ」という確信を持ち国いのです。

長い時間、ストレスと闘った結果生じたものであれば、それを治すには当然、ある程度の時間がかかります。

こころの疾患の場合はこれをちゃんと理解しておくことは大事で、病気と向き合って地道に少しずつ治していく事が結局は一番の近道になります。治療を焦ると高い確率で病気は悪化します。なぜならば焦りという感情自体が精神を不安定にするものだからです。

「治療にはある程度の時間を要する」という事実を受け入れること、これは患者さんに持ってほしい心構えとして非常に重要なものです。

B様は自分に合うお薬を見つけるのに少し時間がかかってしまいましたが抗うつ剤にはいくつか種類があるので、自分に合うお薬に最初から出会えない事もあります。

抗うつ剤はどれも「モノアミンを増やす」という作用機序になりますが、その増やし方は多少異なっており、そのため人によってお薬に合う合わないがあります。

モノアミンとは、気分に影響を与える神経伝達物質で、代表的なものには

・セロトニン:主に落ち込みや不安に関係する
・ノルアドレナリン:主に気力・意欲に関係する
・ドーパミン:主に楽しみ・快楽に関係する

がある。

代表的な抗うつ剤を挙げると、

【SSRI】

<作用>
セロトニンの再取り込みを抑制する事で、主にセロトニンを増やす作用に優れる。

<薬物名(かっこ内は一般名・ジェネリック名)>

パキシルパロキセチン
ジェイゾロフトセルトラリン
ルボックスデプロメール(フルボキサミン)
レクサプロ(エスシタロプラム)

【SNRI】

<作用>
セロトニン・ノルアドレナリンの再吸収を抑制する事で、主にセロトニン・ノルアドレナリンを増やす作用に優れる。

<薬物名>
トレドミン(ミルナシプラン)
サインバルタ(デュロキセチン)
イフェクサー(ベンラファキシン)

【NaSSA】

<作用>
セロトニン・ノルアドレナリンの分泌を促進する事で、主にセロトニン・ノルアドレナリンを増やす作用に優れる。

<薬物名>
リフレックスレメロン(ミルタザピン)

などがあります。これ以外にも抗うつ剤はありますが、最初に用いられるのは主にこのあたりのお薬になります。

不思議なもので、同じ作用機序を持つお薬であっても、あるお薬は全く効果がなかったけども、別のお薬に変えたら効果を認めたという事も時に経験します。例えば同じSSRIだけど、ジェイゾロフトはダメでレクサプロは効いた、など。

これは同じ作用機序を持つお薬でも全く同じ作用なわけではなく、モノアミンを増やす比率や強さにそれぞれ違いがあるからだと考えられますが、現時点ではどの抗うつ剤がその人に効果があるのか、というのは確固としたエビデンスはなく、使ってみないと分からないところがあります。

抗うつ剤の選び方については、

抗うつ剤の強さ・副作用の比較。精神科医の抗うつ剤の選び方
性別で異なる抗うつ剤の効き

にも書いていますのでご覧下さい。

お薬には副作用もあるため自分に合うお薬を見つけるまでに時間がかかってしまう事もありますが、主治医と相談しながら諦めずに探してください。

またB様が治療が長引きながらもどんどん悪化せずに済んだ事には「眠る事の大切さ」を重視し出来ていたことも大きいのではないでしょうか。うつ病でも不安障害でも統合失調症でも、精神状態が不安定になると睡眠障害はほぼ必発で生じます。

そして睡眠障害(主に不眠)は、精神状態を更に不安定にさせます。健康な方でも徹夜をすれば翌日にイライラしがちになったり気持ちが暗くなったりと不安定になりますが、精神疾患の方の場合は元々不安定な精神状態が更に悪化してしまうため、これは出来る限り避けなくてはいけません。

不眠に対する治療としては、生活習慣の改善や認知行動療法といった非薬物療法も大切ですが、これらは効果を感じるまでにある程度時間がかかるというデメリットもあります。効果が現れるまで待てるような軽症であればいいのですが、そうではない場合、不眠に対して即効性を得られる治療法である薬物療法に頼る事は決して悪い方法ではありません。

もちろん漫然と睡眠薬を使い続けることは出来限り避けたいところですが、少なくとも急性期に一時的に利用するのはメリットも大きいため、主治医が提案するのであればぜひ前向きに検討して下さい。

最後に日本とアメリカではうつ病の治療の現状ですが、これは違いがあるようです。

日本では現状、薬物療法が中心となってしまっています。その理由は、カウンセリングなどの精神療法はお金と時間がかかるためです。現状の日本の診療報酬制度では精神科医がじっくり時間をかけてカウンセリングをやろうとすると経営が成り立たないような制度になっており、そのためカウンセリングは保険診療外(自費)でやっていただくか、大学病院のような国立の病院でやって頂くしかないのです。

日本の精神科医も精神療法の重要性は重々理解してはいるのですが、一般的なクリニックを受診する場合は、このような理由からどうしてもお薬が中心の治療になってしまいがちです。

アメリカの医療制度については私も詳しく知っているわけではありませんが、知人の話を聞くところによると、薬物治療と精神療法のどちらも重視して行われるようです。アメリカは日本ほど医療制度が整っていないため、こちらも高額の料金がかかるようですが、それでも日本よりは精神療法に対する比重は大きい印象があります。

薬物療法は割と早めに効果が出ますが、あくまでもお薬で治しているだけであり、お薬を中止すると再発のリスクがあります。精神療法は効果が出てくるまでには時間がかかりますが、自分自身の考え方や物事のとらえ方といった根本を修正できるため、治療終了後も再発予防効果に優れます。

薬物療法と精神療法はどちらも一長一短あるため、本来であれば両方の治療をバランス良く取り入れていくことが理想です。

<あなたの治療体験談を教えてくれませんか?>

こころの疾患は私たち医療者が中心となって治療をしています。しかし私たち「医療者」以外にも、こころの病気で苦しんでいる方に大きな力を与えられる人がいます。

それは同じくこころの病気を患い、乗り越えてきた経験のある方です。

「苦しかった時は、このような事をして乗り切った」
「こんな苦しかったけど、いつか治ると信じてたから今がある」

実際にこころの病気と闘ってきた元・患者さんの言葉は、他の誰の言葉よりも説得力があり、他の誰の言葉よりも今苦しんでいる患者さんに勇気と希望を与えてくれます。

私はこのサイトを通してメンタルヘルス情報を配信していますが、医療者目線の情報だけでは不十分であることを強く感じています。実際にこころの病気を克服してきた元・患者さんの経験は、私がメンタルヘルス情報を配信する事以上に、患者さんの励みになるでしょう。

こころの病気を克服した方、あるいは克服中であるが最初よりは大分良くなったという方、このサイトを通じてあなたの治療体験談を教えて頂けませんか。

それはいま、苦しんでいる多くの方の大きな希望の光になるはずです。

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タイトル(闘病生活を端的に表したタイトルがあればお願いします)

本文(次の項目に沿って記載頂ければ幸いです)
Ⅰ.簡単なプロフィール(年齢や性別、職種など)
Ⅱ.発症・病院受診までの簡単な経経過
Ⅲ.行われた治療(お薬、カウンセリング、認知行動療法など)
Ⅳ.治療に対する個人的な感想
Ⅴ.治療に当たり自分で気を付けたこと
Ⅵ.現在闘病中の方へメッセージ


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