早朝覚醒の治療・克服法と用いられるお薬【医師が教える睡眠障害のすべて】

早朝覚醒の治療法

早朝覚醒は、本来目覚めたい時間よりも早い時間に目覚めてしまい、その後に再び眠りにつく事が出来ないというタイプの不眠になります。

早朝覚醒はただ早く目覚めるだけではありません。早朝に起きてしまう事により必要な睡眠時間が確保できなくなってしまい、生活に大きな支障や不利益をもたらすようになります。

早朝覚醒が生じる様々な原因については、「早朝覚醒が生じる原因にはどのようなものがあるのか」でお話ししましたが、早朝覚醒は原因をしっかりと見極め、原因に応じた治療法を行う事が非常に大切です。

今日は、早朝覚醒の治療法や有効なお薬などを紹介していきます。

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1.原因によって異なる早朝覚醒の治療法

早朝覚醒の治療法は、早朝覚醒が生じている原因によって全く異なってきます。

そのため早朝覚醒は、まずは原因をしっかりと見極め、その上で適切な治療を考えていく事が大切です。

原因を明確にせずに「睡眠薬を飲めばいいだろう」などと安易な治療をしてしまうと、かえって不眠が悪化してしまう可能性もあります。

代表的な早朝覚醒の原因については、「早朝覚醒が生じる原因にはどのようなものがあるのか」で詳しくお話していますが、

  • 臥床時間が長すぎる
  • 環境に原因がある
  • 精神的ストレス
  • アルコール

などの原因がありました。

中には自分では原因がよく分からないという方もいらっしゃるかもしれません。自分自身では原因が分からない場合は、精神科・心療内科で診察を受け、専門家に原因を判断してもらうようにしましょう。

早朝覚醒の原因が分かった上で、それぞれの原因に対してどのように治療していけばいいのかを次の項で紹介させて頂きます。

2.臥床時間が長くて早朝覚醒を来している場合

早朝覚醒をきたす原因としてもっとも多いのが、必要以上に長く眠ろうとしてしまい、かえって睡眠の質が低下して早朝覚醒してしまうというものです。

例えば、6時間が適正睡眠時間である人が「今日は早く寝よう」と2時間早くベッドに入れば、いつもより2時間早く覚醒してしまうのは当然の事でしょう。

ただ2時間早く起きただけであれば、生活時間を全体的に2時間前倒しにすれば良いのかもしれません。しかし仕事時間など日中の生活時間は変わらないのであれば、生活リズムのバランスが崩れる事になります。あるいはいつもの睡眠ー覚醒リズムと異なる起床時間になってしまう事でバランスが崩れてしまう事もあります。

これにより生活に支障を来すようになれば、これは早朝覚醒として扱う必要が出てきます。

このような現象が生じてしまう背景として、「睡眠時間は長ければ長いほど、疲れが取れる」という睡眠に対する誤解をしている方が多いことが挙げられます。

睡眠は心身の疲労を取るためのものですから、疲れを取るためには一定時間の睡眠量が必要なのは事実です。しかし自分にとって適正以上の睡眠時間を取ってしまうと、生活リズムがが崩れるため、自律神経のバランスが乱れ、かえって体調は悪くなってしまうのです。

睡眠時間は多すぎても少なすぎてもいけません。自分にとって適正な睡眠時間を知り、その範囲内での睡眠を心がけることが大切です。

みなさんは自分にとって適正な睡眠時間を知っているでしょうか。自分自身の事ですが、これをしっかりと把握している方は意外と少ないように見受けられます。

自分にとって適正な睡眠時間というのは検査などでは分かりません。自分の経験や記憶から導き出すしかありません。

「自分は何時間眠った時にもっとも体調が良いか」
「スッキリと目覚めるのは何時間くらい眠った時が多いのか」

を、自分自身の睡眠を振り返って確認してみましょう。

その前後1~2時間以内があなたに適正な睡眠時間であり、それ以上・それ以下の睡眠時間はかえって心身を不調にしてしまう事を知っておくべきです。

また注意点として、私たちの適正睡眠時間は年を重ねるにつれて短くなっていく事も知っておかなければいけません。

例えば若い時は8時間が適正時間であった人でも、年を重ねて高齢になれば適正睡眠時間は6時間、5時間と短くなっていくのが普通です。

これは正常な生理現象ですので仕方ありません。高齢の方は、若い時の適正睡眠時間を元に今の睡眠時間を判断しないように気を付けて下さい。

ちなみに自分にとって適正以上の睡眠時間を取ろうとしていて早朝覚醒が生じている場合、睡眠薬は使用すべきではありません。

このようなケースで睡眠薬を使ってしまうと、「本来は不要な睡眠時間を、お薬の力で無理矢理通る」という事になります。強制的に鎮静をかければこれは可能ですが、本来不要な睡眠を人工的に作っているだけであり、だるさや倦怠感をかえって強めてしまいます。

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3.環境によって早朝覚醒を来している場合

「明け方に騒音で起きてしまう」
「朝日が部屋に差し込んできて起きてしまう」
「早朝に寒くて目覚めてしまう」

このように、環境が原因で早朝覚醒が生じる事もあります。

環境が原因で生じている早朝覚醒は、自分自身で「環境が原因かもしれない」と疑わないと気付かない事も少なくありません。そのため早朝覚醒が生じている時は、「環境が原因という可能性はないのか」という視点を持ってみる事が大切です。

環境が原因である場合の対処法は明確で、環境調整になります。

騒音が原因であれば、寝室を騒音源から遠い部屋に変えたり遮音効果のあるカーテンに変えてみるといった対策などが考えられるでしょう。

朝日が早朝に入ってきてしまう場合も遮光カーテンを使ったり、ベッドの位置を窓から遠ざけるなどの環境調整を考えます。

室温が原因で起きてしまう場合は、エアコンや布団などで睡眠時に快適に感じられるよう工夫をします。

環境が原因であっても、やむを得ない事情により環境調整が出来ない事もあるでしょう。そういった場合は、睡眠薬を用いる事もあります。睡眠薬を用いる場合は、早朝にまで効果が持続している睡眠薬である必要がありますので、中~長時間型の睡眠薬が候補になります。

超短時間型や短時間型の睡眠薬では、早朝まで効果が持たないため、あまり効果がありません。

4.精神的ストレスによって早朝覚醒を来している場合

精神的に大きなストレスを受けていると、自律神経のバランスが崩れてしまいます。

自律神経は、

  • 興奮・緊張の神経である「交感神経」
  • リラックスの神経である「副交感神経」

の2つからなります。

通常は、日中には主に交感神経が活性化して精力的に活動し、夜間は副交感神経が活性化する事でゆっくり心身を休め、交感神経と副交感神経が絶妙なバランスを保ち、私達は健康に生活する事ができます。

しかしストレスを受けている状態だと、常に心身が緊張してしまうため、夜間になっても交感神経が活性化しっぱなしになってしまいます。

本来夜は副交感神経が活性化する事で心身がリラックスして深い眠りに入れます。夜間に交感神経が活性化してしまっていると、深い眠りに入る事が出来なくなり、本来よりも早い時間に目覚めてしまいやすくなるのです。

精神的ストレスが長く続くと、うつ病や不安障害を発症してしまう事もあります。うつ病や不安障害では不眠を高率で合併する事が知られていますが、これはこのような理由なのです。

精神的ストレスによって早朝覚醒を来している場合、まず検討すべきは「ストレスの除去」になります。完全に除去できないとしても、少しでもストレスを減らす事が出来ないか、ストレスを遠ざける事が出来ないかを考えてみましょう。

ストレスが減らせない場合は、別の方法でたまったストレスを解消するという方法もあります。

ストレスを解消する方法は「一人でも簡単にできる!ストレス解消方法10選」などでも紹介していますが、ストレス解消法は人によって合うもの合わないものがありますので、自分に合った方法を探す事が大切です。

うつ病や不安障害などの疾患レベルに至ってしまっている場合は、抗うつ剤抗不安薬を用いた薬物療法や、精神療法(認知行動療法森田療法など)を用いてストレスを溜め込まない考え方を学んでいくといった治療法が取られる事もあります。

5.アルコールによって早朝覚醒を来している場合

早朝覚醒の原因として意外と多いのがアルコールです。

アルコールは脳を鎮静させることにより寝つきを良くする作用があるため、「眠れない時はアルコールで眠れる」と考えて眠れない時に摂取する方もいます。しかし実はアルコールは、寝つきは改善させますが、眠りの質は悪化させます。

またアルコールが体内から分解され時に離脱症状が生じるため、この離脱症状によって心身が不快を感じ、これによって目覚めてしまう事もあります。

アルコールを習慣的に摂取している方は、アルコールが早朝覚醒の原因になっている可能性があるのです。

アルコールが原因で早朝覚醒を来している方は、アルコールを中止するしかありません。アルコールを中止すると、短期的には寝付きが悪くなるため「かえって眠れなくなった」と感じますが、長期的には間違いなく睡眠の質を改善させてくれます。

ちなみにアルコールが原因で早朝覚醒を来している場合は睡眠薬は使用してはいけません。

睡眠薬とアルコールは相性が悪い事が知られています。具体的には、お互いがお互いの濃度を不安定にしてしまう事で、お互いの効きを不安定にしてしまう可能性があります。

これによって日中のだるさや倦怠感などがかえって悪化する可能性が高まりますし、睡眠薬依存、アルコール依存にもなりやすくなってしまいます。

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