統合失調症の症状にはどのようなものがあるのか

統合失調症の症状というと、幻覚や妄想といった派手な症状を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。

もちろんこれらの症状は統合失調症の症状の1つであり、診断や治療に当たって重要な症状には違いありません。しかし、実は統合失調症の症状はそれだけではありません。幻覚・妄想以外にも統合失調症では様々な症状を来たすことがあります。

病気の症状について詳しく知る事は、その病気を正しく理解することにもつながります。

ここでは、統合失調症で出現する主要な症状について紹介します。

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1.急性期に多い派手な「陽性症状」

統合失調症の代表的な症状として、「陽性症状」があります。

陽性症状というのは、「本来はないものがあるように感じる」症状の総称で、「本来聞こえるはずのない声が聞こえる」といった幻聴や、「本来あるはずのない事をあると思う」といった妄想などが該当します。

統合失調症の典型的な経過は、

1.前駆期:「何となくおかしい」といった感じはあるが、明らかな症状に乏しい時期
2.急性期:幻覚・妄想などの激しい症状が出現する時期
3.消耗期:急性期の反動として、自閉・意欲低下・無気力・感情平板化などが出現する時期
4.回復期:ゆるやかに回復していく時期

といった4つのステージに分けられます。

陽性症状はあらゆるステージに認められる症状ではありますが、特に激しい幻覚・妄想は「2.急性期」に特に目立ちます。

また統合失調症で比較的よく認められる陽性症状には、

の2つがあります。

幻覚は「本来はあるはずのない知覚を感じること」ですが、幻視や幻聴、幻臭などが含まれます。幻覚の中でも統合失調症で最も生じやすいのは幻聴であり、これは聴覚に対する幻覚で「本来は聞こえないものが聞こえる」という幻覚になります。

幻聴にもいくつかのタイプがありますが、統合失調症では、

  • 対話性の幻聴(幻聴同士が話し合っていたり、幻聴と自分が対話する形式)
  • 注釈性幻聴(自分の行動を実況解説するような幻聴)
  • 命令性幻聴(自分に命令してくるような幻聴)

といった幻聴が生じやすいのが特徴です。

また、統合失調症の陽性症状には妄想があります。妄想は「本来はあるはずのないことをあると思う」というものですが、妄想の中でも

  • 被害妄想(自分が他者から被害を受けているという妄想)

が統合失調症ではもっとも多く認められます。

また、

  • 誇大妄想(自分を過剰に高く評価する)

という妄想も時に認めることがあります。

陽性症状は統合失調症に特徴的な症状であるため、これが出現すると統合失調症だと気付かれやすく、診断においてとても重要な症状になります。派手な症状ではありますが、陽性症状はお薬の反応が良好で、多くの場合でお薬の服薬によって陽性症状を落ち着かせることが可能です。

なお、統合失調症の陽性症状については、「統合失調症の陽性症状とはどのような症状なのか」で詳しく紹介しています。

2.慢性期に認める「陰性症状」

統合失調症において決して見逃してはいけない重要な症状に「陰性症状」があります。

陰性症状というのは、「本来はある能力がなくなってしまう」症状の総称で、活動性が低下しこもりがちになってしまう「無為自閉」や、感情表出が乏しくなる「感情鈍麻」、意欲消失などがが挙げられます。

陰性症状は、急性期にはあまり目立たないのですが、消耗期・回復期において徐々に明らかになってくる症状です。派手さがないため、見逃されがちなのですが、この陰性症状をしっかりと治療できるかどうかは、回復期に順調に回復していくかどうかを大きく左右します。長い目で見ると、派手な陽性症状が出現する時期よりも、地味な陰性症状が出現している時期の方がずっと長いのです。

統合失調症以外の疾患でも陰性症状に似たような症状を来たすため、陰性症状だけで統合失調症と診断できないこともあります。しかし陰性症状は統合失調症の本質ともいうべき重要な症状であり、決して見逃してはいけません。

陰性症状は、他の疾患で認められる「抑うつ気分」や「興味の低下」「喜びの低下」「意欲の低下」などと区別が難しいことがあります。

鑑別のポイントは、うつ病などでは感情が「低下」するのに対し、統合失調症では「消失」する傾向があることが挙げられます。例えば、うつ病では気持ちが低下することで落ち込みますが、統合失調症では感情の波がなくなってしまい感情が平板化します。また、うつ病では意欲が「低下」しますが、統合失調症では意欲が「消失」してしまいます。

陰性症状はお薬の効きがあまり良くありません。そのためお薬だけで治療しようとするのは難しく、環境調整や作業療法などの様々な治療法を併用して改善させていく必要があります。

なお、統合失調症の陰性症状については、「統合失調症の陰性症状とはどのような症状なのか」で詳しく紹介しています。

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3.患者さんの生活に支障を来たす「認知機能障害」

認知機能障害は、その名の通り「認知(自分の外の物事を認識すること)」に関係する能力に障害を来たすことです。具体的には、情報処理能力、注意力・記憶力・集中力・理解力や計画能力・問題解決能力などの高次能力(知的能力)に障害を認めます。

認知機能障害も「本来ある能力がなくなってしまう」という症状になるため、広く考えれば陰性症状の一部になります。

統合失調症の認知機能障害は、「全体的視野」を認知することが苦手だという特徴があります。1つずつを認知することはできるのですが、全体的な認知が困難となるために日常生活に大きな支障を来たします。

日常生活をしている中で、私たちは無意識のうちに様々な物事を認知し、それを総合的に判断して行動するという事を行っています。

例えば、夕食の買い物に行くときでも、

「今月は家計が厳しいから高価な食材は控えよう」
「昨日のメニューは〇〇だったから、かぶらないようにしよう」
「今日はお肉が安いから、お肉を使ったメニューにしよう」
「冷蔵庫には××が余っていたから、これを使えるメニューにしよう」

と様々な事を考えて、総合的に判断して買うものを決めます。

しかし認知機能障害が出現すると、これら1つ1つを認知することは出来ても、全てをまとめて総合的に判断することができなくなってしまうのです。

認知機能障害は陰性症状とよく似ていて、お薬だけでの治療では改善しません。そのため、お薬以外の治療も並行して行っていく事が大切です。

統合失調症の認知機能障害については、「統合失調症で認められる認知機能障害とはどのような症状なのか」で詳しく紹介しています。

4.その他の症状

統合失調症に代表的な症状には、「陽性症状」「陰性症状」「認知機能障害」があります。

それ以外にも統合失調症はたくさんありますが、代表的なものをいくつか紹介します。

Ⅰ.自我障害

自我障害とは、自我が障害を受け、「自分と外界の境界があいまいになってくる」症状の事です。

自我障害を来たすと、

「自分が他人に操作されている」という、させられ体験(作為体験)
「自分の考えが周囲に伝わっている」という、考想伝播
「自分の考えが抜き取られている」という、考想奪取
「周囲の考えが自分の中に入ってくる」という、考想吸入

などが生じます。

Ⅱ.両価性

両価性というのは、相反する感情が同時に出現する症状です。

ある人に対して、「好き」「嫌い」という両方の感情を持ったりします。

Ⅲ.緊張病症状

統合失調症の「緊張型」というタイプで主に認められる症状です。

近年、緊張型の報告は少なくなってきており、これらの症状を認める頻度も少なくなっています。

緊張病症状とは、

・興奮や過動といった「緊張病性興奮」
・無動や拒絶、蝋屈、反響言語といった「緊張病性昏迷」

蝋屈:蝋人形のように固まる。ある姿勢を受動的に取らせると、その姿勢をずっと続ける
反響言語:相手が発した言葉を繰り返し続けること

などがあります。

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