眠れない時の対処法。ぐっすり眠る方法教えます

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厚生労働省の報告によると、国民の6人に1人が不眠を自覚しており、20人に1人が睡眠薬を内服しているそうです。

眠れないために苦しんでいる方はとても多いのです。

眠れないために睡眠薬を使う事は決して悪いことではありませんが、何か工夫をする事で薬に頼らず眠れるようになるのであればそれに越したことはありません。

眠れない時にはどんなことを気をつければいいのでしょうか?

ここでは眠れない時に使える、ぐっすり眠るための方法を紹介します。

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1.まずは大原則を見直してみる

意外と知られてないのですが、厚生労働科学研究班が出している、診療ガイドラインというものがあります。その中に睡眠衛生指導という項目があり、質のいい睡眠を取るために必要な生活習慣が書かれています。

びっくりするような秘訣でなく、基本的な事が書いてあるだけですが、内容は非常に重要なものばかりです。まずはこれを読み、自分の睡眠生活を見直してみることをお勧めします。

<睡眠衛生のための指導内容>

指導項目 指導内容
定期的な運動 なるべく定期的に運動しましょう。適度な有酸素運動をすれば寝つきやすくなり、睡眠が深くなるでしょう。
寝室環境 快適な就床環境のもとでは、夜中の目が覚めは減るでしょう。音対策のためにじゅうたんを敷く、ドアをきっちり閉める、遮光カーテンを用いるなどの対策も助けとなります。寝室を快適な温度に保ちましょう。暑すぎたり寒すぎたりすれば、睡眠の妨げとなります。
規則正しい生活 規則正しい生活をして、空腹のまま寝ないようにしましょう。空腹で寝ると睡眠は妨げられます。睡眠前に軽食(特に炭水化物)をとると睡眠の助けになることがあります。脂っこいものや胃もたれする食べ物を就寝前に摂るのは避けましょう。
就寝前の水分 就寝前に水分を取りすぎないようにしましょう。夜中のトイレ回数が減ります。脳梗塞や狭心症など血液循環に問題のある方は主治医の指示に従ってください。
就寝前のカフェイン 就寝の4時間前からはカフェインの入ったものは摂らないようにしましょう。カフェインの入った飲料や食べ物(例:日本茶、コーヒー、紅茶、コーラ、チョコレートなど)をとると、寝つきにくくなったり、夜中に目が覚めやすくなったり、睡眠が浅くなったりします。
就寝前のお酒 眠るための飲酒は逆効果です。アルコールを飲むと一時的に寝つきが良くなりますが、徐々に効果は弱まり、夜中に目が覚めやすくなります。深い眠りも減ってしまいます。
就寝前の喫煙 夜は喫煙を避けましょう。ニコチンには精神刺激作用があります。
寝床での考え事 昼間の悩みを寝床に持っていかないようにしましょう。自分の問題に取り組んだり、翌日の行動について計画したりするのは、翌日にしましょう。心配した状態では、寝つくのが難しくなるし、寝ても浅い眠りになってしまいます。

(抜粋:厚生労働科学研究班・日本睡眠学会ワーキンググループ作成:睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療ガイドライン,2013)

どうでしょう。

読んでみると、出来ていないところが結構あるのではないでしょうか。これを読んで改善すべき点があれば、まずはそこを治してみましょう。

例えば、眠る前に飲酒をしていたとすれば、眠りの質が悪いのは当然です。他のどんなことに気を付けたとしても、お酒をやめない限りは眠れるようにならないでしょう。

2.まずは昼寝をしない事から

眠れない日が続くと睡眠不足を感じるようになります。日中もボーッとするようになり、昼寝をしてしまう時間も増えるでしょう。

しかし昼寝をしてしまうと、夜に目が冴えて眠れなくなるという悪循環を引き起こします。昼間の眠気につい引き込まれてしまう気持ちは分かりますが、夜にぐっすり寝たいのであれば昼寝は極力控えましょう。

外出をするとか、友人と遊びにいくとか、なるべく寝ないような用事を入れるといいです。つらいかもしれませんが、眠りのリズムが作られるまでの辛抱です。

どうしても眠くて耐えられない時は、横にならず、イスに座って10-15分程度、目をつぶる程度にして下さい。

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3.眠りにとらわれすぎていないか?

眠れない日々が続くと、その苦痛から次第に眠りに捉われていくようになります。気が付けば、頭の中は眠れない事でいっぱいになっていないでしょうか。

「今日は眠れるだろうか?」
「このまま眠れない日々が続いたらどうなってしまうのだろう・・・」
「もう布団に入って30分も経つのにまだ眠れない・・・」

このように「眠れない」ことに気持ちが支配されてしまうと、余計に眠れなくなります。眠れないことに対する不安で頭がいっぱいになり、その不安のせいで余計に眠れないのです。

不眠だけが原因で死んだ人はいません。

このことを意識しておくことは、とても大切です。

もちろん、眠れないことはつらいことだし「死なないからいいじゃないか」と切り捨てるつもりはありません。しかし、「眠れなくても死ぬことはないんだ、大丈夫!」という安心感を持つことが大事なのです。

不安は不眠を更に悪化させます。では、不安の反対は何かというと「安心」です。安心感を持てば、それだけで不眠を改善できる可能性が出てくるのです。

これがとても大事なのです。

私が患者さんの診察をしていて、とても強く感じることです。眠れなくて辛い患者さんはどんどん不眠に捉われていき、自分の中で不安をどんどん大きくしています。気持ちは痛いほど分かるのですが、これが悪循環を作ってしまっているのです。

「眠れない。どうしようどうしよう・・・」と不眠の不安に捉われているうちは熟睡できるようにはなりません。

「今は眠りがちょっと悪いけど、必ず良くなる!」
「眠れないけど、今日も何とか生きてるじゃないか」

このように考えるようにしてください。

実際、不眠で心療内科を訪れる患者さんの2-3割くらいは不眠の不安に捉われすぎています。この場合、いくら睡眠薬を増やしても眠りの質が改善せず、治療が難渋する可能性が高いのです。

4.適度に身体に疲労を与える

当たり前の話ですが、疲れると人は眠くなります。疲労状態にある時は、睡眠を取ることで体力を回復させたいため、身体が自然と眠くなる方向へ持っていこうとするのです。

そのため、日中に適度に身体を動かし、適度な疲労を与えることが質のいい睡眠を取るために効果的です。

「適度」というのが大切で、ものすごく激しい運動をしてしまうと、興奮状態がなかなか取れないし、筋肉痛などの不快な症状も出てきて眠れなくなります。

30-60分程度の「少し息が上がる」程度の有酸素運動がいいでしょう。

ジョギング、サイクリング、スイミング、ダンスなどがおすすめです。

5.睡眠に良い入浴法をする

質のいい眠りを取るために入浴はとても効果的です。

睡眠の質を改善する入浴は、

・ややぬるめの温度(40℃前後)で
・20-30分、時間をかけてゆっくりと

を意識してください。

入浴して身体が温まると、いい具合に筋肉がほぐれます。40℃のややぬるめの温度にするとリラックス効果のある副交感神経が活性化し、
身体は眠る準備に入りやすくなります(反対に42℃以上の高温にしてしまうと、交感神経が活性化しますので注意です)。

入浴後は、室内で過ごし、適度に入浴の熱を冷ましましょう。この体温の下がりで人は自然な眠気を感じ、ある程度体温が下がると、とてもいい睡眠が取れます。

(入浴と睡眠については「入浴にはリラックス効果、睡眠改善効果がある」で詳しく説明しています)

入浴後は、30分以上あけてからベッドに入ることが効果的です。体温が下がる前にベッドに入ってしまうと、体温が下がりきっていないため眠りに入れないのと布団で熱がこもってしまうため、寝苦しくなってしまいます。

6.睡眠3時間前から、副交感神経を優位にする

眠る3時間くらい前から、少しずつ睡眠へ導くような環境にしていきましょう。自然な深い眠りを得るためには、交感神経(興奮の神経)を落ち着かせ、副交感神経(リラックスの神経)を活性化させる必要があります。

具体的には、

Ⅰ.少しずつ部屋を暗くしていく

眩しい蛍光灯は消して、間接照明など光度の低い照明にしていきましょう。暗くなると、メラトニンというホルモンが松果体から分泌されます。メラトニンは眠りを導く作用があります。

最近は段階的に明るさを調整できる照明も販売されていますので、そういったものを使ってみるのもいいでしょう。

Ⅱ.食事・カフェイン・アルコールは取らない

食事は寝る前に摂取してはいけません。食べれば腸管などの内臓が活発に動き出します。満腹になると眠気はくるかもしれませんが、それは消化にエネルギーが使われるため、相対的に脳への血流が落ちるため眠く感じているだけです。

腸管が一生懸命動いている時に眠ろうとしても、質のいい睡眠は取れません。

また、コーヒー、紅茶などのカフェイン含有物にも注意してください。覚醒作用のあるカフェインを飲んでしまえば眠れなくなるのは当たり前です。

アルコールも摂取してはいけません。眠れないとアルコールで寝付こうとする方がいらっしゃいますが、絶対ダメです。確かにお酒を飲むと眠くなり寝付きやすくはなります。

しかしアルコールは深部睡眠を障害するため、睡眠の質の浅くなってしまうのです。更にアルコールには利尿作用があるため、夜間のトイレ覚醒が多くなります。これも睡眠を中断させるため、睡眠の質を悪化させてしまいます。

アルコールに頼るくらいなら、睡眠薬を使ったほうが何倍も安全です。

Ⅲ.テレビ、音楽、ゲームをしない

寝る前のテレビやゲームはお勧めできません。明るい画面を見ると、それだけで交感神経が優位になり、覚醒してしまいます。

更に、面白いテレビを見て大笑いしたり、ゲームをして興奮したりすれば当然、眠る状態ではなくなります。

リラックス状態と逆行するような行為はしないように気をつけましょう。興奮すると、交感神経が優位になってしまい、眠る状態ではなくなります。

音楽も基本的にはお勧めしません。「ヒーリングミュージック」と言われるようなアルファ波を促すものはまだ良いと思いますが、音楽は基本的には聴覚を刺激して交感神経を活性化させるため眠りを障害することの方が多いでしょう。

Ⅳ.ストレッチをする

眠る30-60分くらい前に、ストレッチをして軽く身体をほぐしましょう。硬くなっている筋肉が緩めば、眠りに入りやすくなります。

あくまでも、身体を軽く伸ばす程度で十分です。汗をかくまでやってしまうと交感神経が活性化してしまいます。

7.睡眠環境を整える

寝室の環境は問題ないでしょうか?

極端な例で言えば、目の前が大通りで夜中でもトラックがバンバン走っているような部屋では熟眠は出来ないし、ビルのネオンやコンビニの明かりが差し込んでくるような部屋でも熟眠は出来ません。

まずは静かな環境であることが大切です。どうしても自分の努力だけで静かな環境が得られないのであれば、部屋を変えたり耳栓を使ったりと工夫してみましょう。

光が差し込むような部屋であれば、遮光カーテンをしっかりとつけましょう。

室温はどうでしょう。適温になっていますか。あつすぎても寒すぎてもいけません。普段自分が心地よいと思っている程度の温度(24℃前後)に保ちましょう。

乾燥に弱い方は、湿度も意識しましょう。洗濯物を干したり、加湿器の力を借りたりすれば部屋を適度な湿度に保つことができます。

部屋が乾燥しすぎていると、喉が渇いておきてしまう事もあるし、身体がかゆくなって起きてしまう事もあります。

8.考え事をしない

ベッドは眠るための場所です。考え事をする場所ではありません。ベッドに入ったら、考え事はやめましょう。

頭に悩みが浮かんできたとしても、「これは今、考えるべきことではない」とそこで思考を止めて下さい。悩めば悩むほど、頭は冴えだします。眠れる状態がどんどん遠くなっていきます。

もし、その悩みをどうしても今考えなくてはならないのであれば、眠るのは諦めて、起き上がって、しっかりと考えてください。そして考え終わってから寝て下さい。

でも、今考えるべきことでないのなら、考える事はやめて眠る事に専念してください。中途半端に両方やろうとしてはいけません。

9.完璧を求めすぎない

「3.眠りに捉われすぎていないか」とも関連しますが、自分の理想通りに眠れないからといって焦ってはいけません。

「自分は○○時間寝ないとダメなんだ」
「朝まだボーッとしている、これじゃダメだ」

と完璧を求めていませんか?

毎日を支障なく暮らせる程度に眠れればいいわけで、完璧に理想的な睡眠を毎日取る必要ありません。

人にとって必要な睡眠時間というのは個人差が大きく、4-10時間と言われています。テレビで「8時間が一番いいんですよ!」と言っていたからといって、誰もが必ず8時間寝ないといけないわけではありません。

周りが8時間睡眠だったとしても、あなたの適正睡眠時間は5時間かもしれません。たとえ5時間しか眠れてなかったとしても、それで多少の眠気が残っていたとしても、毎日を大きな支障なく過ごせればそれで十分なのです。

眠れない事が原因で、明らかに仕事や勉強、家事の効率が落ちている。それによって様々な支障が出ている、のであれば、その睡眠は改善する必要があるかもしれません。

しかし、眠りがちょっと不十分な感じはするけど、毎日普通に仕事できてるし、特に大きな問題は生じていない、であればそれでいいのです。

理想の睡眠に捉われすぎず、もっとシンプルに「困ってなければそれで十分」と考えましょう。実際それで身体に何の害もありません。

10.それでもダメなら私たちに相談して下さい

ぐっすり眠るための方法を紹介してきました。

それでも眠れない場合は、一度相談してください。何か別の原因があるのかもしれないし、うつ病などの病気で不眠が出現しているのかもしれません。

私たちプロフェッショナルに相談いただければ、一人で悩むよりも有益な方法を示すこともできると思います。

上記の方法を試したけど改善がない。そして、眠れなくて日常や社会的に大きな支障が出てしまっている。

こういう方はぜひ精神科・心療内科にいらっしゃってください。私たちがお手伝いをします。

まとめ

・日本人の6人に1人が不眠を感じており、不眠で悩んでいる人は多い
・まずは「睡眠衛生指導」ガイドラインを参照し、基本的なことができているかを確認しよう
・昼寝をやめて、昼夜逆転の悪循環を断ち切ろう
・眠れない事に捉われすぎず「不眠で死んだ人はいない!」と開き直ろう
・適度な運動で身体に疲労を与えよう
・睡眠によい入浴法で入浴しよう
・副交感神経を優位にするための工夫をしよう
・睡眠環境を整えよう
・ベッドに入ってから考え事をするのはやめよう
・完璧な睡眠を求めないようにしよう。毎日が支障なく送れるくらい眠れれば十分と考えよう

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