眠れない時の原因と対処法。夜にぐっすり寝るための10つの方法

「眠れない」という悩みを持っている方は非常に多くいらっしゃいます。

厚生労働省によると国民の6人に1人が不眠を自覚しており、20人に1人が睡眠薬を内服していると報告されています。私たち精神科医が行っている毎日の診察の中でも、「眠れない」という悩みは、もっとも多い訴えの1つです。

眠れない時のてっとり早い解決策は睡眠薬を飲むことかもしれません。もちろん不眠に対して睡眠薬を服用する事は一概に悪いこととは言えませんが、その前に見直して欲しい事がいくつかあります。

睡眠薬を使わずに日常の生活の工夫で眠れるようになるのであれば、それに越したことはないからです。

眠れない事で悩んでいる方は、どのような事を意識すれば夜に眠れるようになるのでしょうか。

ここでは眠れない時の原因、そして夜にぐっすり眠るために有用な方法について紹介します。

1.まずは生活習慣の見直しから

ぐっすり眠りたいのに全然眠れないのは、とても辛いものです。

眠れない日々が続けば明日が来るのが憂鬱になっていき、将来に対しても前向きに考えられなくなります。実際、不眠症の方はそうでない方に比べてうつ病を発症しやすい事も報告されています。

この辛い状態から一刻も早く抜け出したいという気持ちから、眠れないと、ついすぐに効果が得られるような方法を選択してしまいがちです。

これは具体的には、

  • お酒を飲んで眠る
  • 睡眠薬をもらって眠る

といった方法です。これらは大きな工夫や手間のいらない方法ですので、すぐに結果が欲しい時に選択されやすい傾向にあります。

しかし眠れないのをお酒で解決しようとするのは避けた方が良いでしょう。確かにアルコールは催眠作用(眠気を催す作用)があるため寝付きは良くします。しかし睡眠深度は浅くなるため、睡眠の質を低下させ、結果として眠っても疲れが十分に取れないという状況になります。

またアルコールは3~6時間もすれば体内で分解されていきます。アルコールが分解されると、血中濃度の低下によって「離脱症状」が生じ、これによって夜中に中途覚醒をしやすくなります。

お酒を飲むと寝付きはいいけどすぐに起きてしまうし、目覚めた後も今一つすっきりしていない、と感じる方は多いと思いますが、これはこのような理由からなのです。

更にアルコールには耐性(段々と効きにくくなっていく事)があるため、飲酒を続けていくと次第にもっと多い量を飲まないと眠れなくなっていきます。量が増えれば今度は肝臓を痛めてしまう他、アルコール依存症にかかるリスクも高まります。

このようにアルコールで眠ろうとする方法は益がほとんどなく、反対に害はかなり大きく、控えめにみても良い方法とは言えないのです。

では睡眠薬はどうでしょうか。

眠れない時に睡眠薬を使うのは間違いではありませんが、睡眠薬は「生活の工夫や改善」を行った後で検討される治療法であり、それをしないでいきなり手を出すものではありません。

生活習慣に問題があるのに睡眠薬で強制的に眠らせてしまうと、短期的にはいいのですが、長期的には副作用などの問題で苦しむ事になる可能性もあります。

眠れないからと安易にお酒や睡眠薬に逃げてしまうのではなく、まずは生活習慣に問題がないかを見直し、そして睡眠を改善させる生活習慣の導入を検討してみましょう。

では睡眠を改善させるには、どのように生活習慣を改善させていけばいいのでしょうか。

ここでは厚生労働科学研究班が発刊しているガイドラインの「睡眠衛生指導」という項目を紹介します。質のいい睡眠を取るために必要な生活習慣が分かりやすくまとめられており、眠れなくて悩んでいる方の参考になります。

その方法は何も特別なものではありません。当たり前のような事も多いのですが、ではその当たり前の事がみなさんしっかり出来ているかというと、意外と出来ていない方も多いのです。

一つずつ自分はここに書いてある事がしっかりと出来ているのかを見直していき、睡眠に良い生活習慣を作っていきましょう。

<睡眠衛生のための指導内容>

指導項目 指導内容
定期的な運動 なるべく定期的に運動しましょう。適度な有酸素運動をすれば寝つきやすくなり、睡眠が深くなるでしょう。
寝室環境 快適な就床環境のもとでは、夜中の目が覚めは減るでしょう。音対策のためにじゅうたんを敷く、ドアをきっちり閉める、遮光カーテンを用いるなどの対策も助けとなります。寝室を快適な温度に保ちましょう。暑すぎたり寒すぎたりすれば、睡眠の妨げとなります。
規則正しい生活 規則正しい生活をして、空腹のまま寝ないようにしましょう。空腹で寝ると睡眠は妨げられます。睡眠前に軽食(特に炭水化物)をとると睡眠の助けになることがあります。脂っこいものや胃もたれする食べ物を就寝前に摂るのは避けましょう。
就寝前の水分 就寝前に水分を取りすぎないようにしましょう。夜中のトイレ回数が減ります。脳梗塞や狭心症など血液循環に問題のある方は主治医の指示に従ってください。
就寝前のカフェイン 就寝の4時間前からはカフェインの入ったものは摂らないようにしましょう。カフェインの入った飲料や食べ物(例:日本茶、コーヒー、紅茶、コーラ、チョコレートなど)をとると、寝つきにくくなったり、夜中に目が覚めやすくなったり、睡眠が浅くなったりします。
就寝前のお酒 眠るための飲酒は逆効果です。アルコールを飲むと一時的に寝つきが良くなりますが、徐々に効果は弱まり、夜中に目が覚めやすくなります。深い眠りも減ってしまいます。
就寝前の喫煙 夜は喫煙を避けましょう。ニコチンには精神刺激作用があります。
寝床での考え事 昼間の悩みを寝床に持っていかないようにしましょう。自分の問題に取り組んだり、翌日の行動について計画したりするのは、翌日にしましょう。心配した状態では、寝つくのが難しくなるし、寝ても浅い眠りになってしまいます。

(厚生労働科学研究班・日本睡眠学会ワーキンググループ作成:睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療ガイドライン、2013より抜粋)

いかがでしょうか。

自分の生活習慣を見直してみると、出来ていないところも結構あるのではないでしょうか。これを読んで改善すべき点があれば、まずはそこを治してみる事から始めて下さい。

患者さんとお話をしていると、

  • 寝る前に喫煙や飲酒をしている
  • 寝る前にスマホをいじってる
  • 日中にほとんど身体を動かしていない

などといった生活習慣の問題が多く見受けられます。

眠る前にスマホを長時間いじっていたら、光の刺激によって脳は覚醒します。特に「ブルーライト」と呼ばれる短波長は脳を覚醒させる力が強く、この光を浴びながら寝ようとしてもなかなか眠れないのは当然の事です。

この場合、眠れないからといって「お酒を飲んで寝よう」「睡眠薬を飲んで寝よう」といった対策を取るのは違いますよね。まずは寝床でスマホをいじる事を辞める事です。

2.昼寝をしない

眠れない日が続くと、日中は睡眠不足から眠気を感じるようになります。そのため、つい昼寝をしてしまう方も多いようです。

しかし昼寝は夜の不眠を更に悪化させます。昼にしっかりと眠ってしまえば、夜になっても眠気は来ません。すると夜に眠れなくなり、また次の日の昼に寝てしまうという悪循環に陥ります。

昼間の眠気につい引き込まれてしまう気持ちは分かりますが、夜にぐっすり寝たいのであれば昼寝は極力控えましょう。

どうしても昼寝をしてしまうという方は、生活リズムが整うまでは日中に無理矢理でも予定を入れてしまう事です。

外出をするとか、友人と遊びにいくとか、なるべく寝ないような用事を入れてしまいましょう。数日はしんどいかもしれませんが、眠りのリズムが作られるまでの辛抱です。

どうしても眠くて耐えられない時は、短時間の仮眠程度にとどめて下さい。横にはならず、イスなどに座った体勢で10~15分程度目をつぶる程度であれば、夜の睡眠に大きな支障はきたしません。

3.眠る事にとらわれすぎない

眠れない日々が続くと、眠れない事への苦痛から次第に「眠り」ばかりを考えるようになってしまいます。眠りにとらわれすぎてしまうのです。

「今日は眠れるだろうか?」
「明日は遅刻できない日なのにこのまま眠れなかったらどうしよう」
「もう布団に入って30分も経つのにまだ眠れない・・・。早く寝なきゃ」

このように「眠れない」ことに対する気持ちで頭がいっぱいになってしまう、常に「眠れるだろうか」という事を考えてしまうようになってしまいます。

眠りに過度にとらわれてしまい、眠れない事に対する不安を常に感じるようになってしまうと、その不安から余計に眠れなくなっていきます。

不安は交感神経(興奮・緊張の神経)を活性化させてしまい、脳の覚醒度を上げてしまいます。

「眠れるだろうか・・・。眠れなかったらどうしよう・・・」と不安を感じながら眠りにつくのと、「今日もぐっすり眠れるはず」「眠れなくても大丈夫」と不安を感じずに眠りにつくのでは当然、後者の方が眠りやすくなります。

眠れないのは、とても辛いものです。そのため眠れない日が続くと、つい「眠れるだろうか」という不安にとらわれてしまう気持ちは十分理解できます。

しかしここで、眠れない事にとらわれすぎない気持ちを持つ事がとても大切なのです。

少し乱暴な考え方に聞こえるかもしれませんが、「眠れなくても死ぬわけじゃないし、大丈夫」くらいに考えてもいいと思います。実際に不眠だけが原因で亡くなってしまった方はいませんし、眠れない事でそこまで重篤な状態になる可能性は低いのです。

このことを意識しておくことは、とても大切です。

もちろんこれは「死なないから眠れなくてもいいじゃないか」と不眠を軽視するという事ではありません。「眠れなくても死ぬことはないんだから大丈夫なんだ」という安心感を持って眠りに入る事が大切だという事です。

先ほどもお話したように不安は不眠を更に悪化させます。では不安を打ち消してくれるものは何かというと、不安の反対である「安心」なのです。安心感を持って眠りに入れば、それだけで眠りやすい状態を作る事が出来るのです。

不眠症の患者さんの診察をしていると、眠れない事にとらわれてしまっている方は少なくありません。この場合、睡眠薬を増やすという対処法だけでは不眠はあまり改善しません。それよりも、この眠れない事へのとらわれから抜け出す事の方が大切なのです。

「眠れない。どうしよう・・・」という不安にとらわれているうちは不眠は改善しません。

「今は眠りがちょっと悪いけど、必ず良くなる!」
「眠れないけど、今日も何とか生きてるじゃないか」

このような考え方も持ってみてください。

4.適度に身体を疲れさせる

私たちの身体は疲労を感じれば眠くなります。

身体が疲労状態になった時は、睡眠によって体力を回復させたいため、私たちの身体は自然と眠くなる方向へ導かれていくのです。

そのため、適度に身体を動かして身体を疲れさせる事は質のいい睡眠を得るために有効です。

質の良い睡眠を取るためには、運動量が「適度」である事が重要です。

明らかにオーバーワークな激しい運動をしてしまうと、眠る時になっても興奮状態が続いてしまいますし、また筋肉痛などの不快な症状も出現するため、睡眠の質は悪化してしまいます。

目安としては、30~60分くらいの「少し息が上がる」程度の運動にしておきましょう。

ジョギング、サイクリング、スイミング、ダンスなどの有酸素運動がおすすめです。

5.入浴をする

質のいい眠りを得るためには、実は入浴も大切です。

入浴する事で身体が温まりリラックス状態になります。更に湯上り後に徐々に体温が低下していく事で眠気が生じ、自然な眠りに入りやすくなります。

睡眠に良い入浴法としては、

  • ややぬるめの温度(40℃前後)
  • 20~30分ほどの時間

の入浴が良いと考えられています。

温度は熱すぎても冷たすぎてもいけません。「熱い!」「冷たい!」と身体が不快に感じると緊張の神経である交感神経が活性化してしまいます。リラックスの神経である副交感神経を活性化させるためには、心身が「気持ちいい」と感じられる温度が大切です。

具体的には38~42℃前後が良いと言われています。この温度だと熱すぎたり冷たすぎたりする事もありませんし、身体も温まり、いい具合に筋肉もほぐれます。

湯上り後は室内で過ごし、入浴で温まった身体を少しずつ冷ましていきましょう。入浴後は体温を少しずつ下げていく事がとても重要で、この体温の下がりで私たちは自然な眠気を感じ、眠たくなってきます。

お風呂から上がっても、30分くらいは寝床に入らない方が良いでしょう。体温が下がる前に寝床に入って布団をかぶってしまうと、体温が下がらなくなってしまい、眠気を感じにくくなります。布団によって熱がこもって反対に体温が上がってしまえば、寝苦しさによって不眠が悪化してしまう事もあるでしょう。

入浴と睡眠の関係については「入浴で得られる効果と睡眠への作用」という記事でも詳しくお話ししています。

6.3時間前から、眠る準備をしよう

眠る3時間くらい前から、少しずつ睡眠に向けた準備をしていきましょう。

自然な質の高い眠りを得るためには、交感神経(興奮の神経)を落ち着かせ、副交感神経(リラックスの神経)を活性化させる必要があります。

次のような方法が交感神経を鎮めて副交感神経を活性化させるために効果的です。

Ⅰ.少しずつ部屋を暗くしていく

眩しい蛍光灯は消して、間接照明など光度の低い照明にしていきましょう。

暗くなるとメラトニンというホルモンが脳の松果体から分泌されます。メラトニンは眠りを導く作用があるため、このメラトニンを上手に分泌させれば良い眠りに入りやすくなります。

ちなみに白色の明るい光はメラトニンの分泌を抑えてしまう事が分かっています。反対に暖色(オレンジっぽい色)の光は強くなければメラトニンの分泌をそこまで抑えません。

そのため、夜は基本的にはLEDなどの白い光ではなく、電球などによるオレンジの暖色が良いでしょう。

最近は段階的に明るさを調整できる照明も販売されていますので、そういったものを利用するのも良い方法です。

Ⅱ.食事・カフェイン・アルコールは取らない

食事は寝る前に摂取してはいけません。食べれば腸管などの内臓が活発に動き出します。満腹になると眠気はくるかもしれませんが、それは消化にエネルギーが使われるため、相対的に脳への血流が落ちるため眠く感じているだけです。

腸管が一生懸命動いている時に眠ろうとしても、質のいい睡眠が取れるはずがありません。

またコーヒーや紅茶などのカフェイン含有物にも注意してください。カフェインは覚醒作用がありますから、摂取すれば眠りには当然悪影響をきたします。

アルコールも摂取してはいけません。眠れないとアルコールで寝てしまおうとする方がいらっしゃいますが、これは良い方法とは言えません。

確かにアルコールには催眠作用があるため、飲むと眠くなり寝付きやすくはなります。しかしアルコールは睡眠の質を障害する事が知られています。更にアルコールには利尿作用があるため、夜間のトイレ覚醒が多くなります。これも睡眠を中断させるため、睡眠の質を悪化させてしまいます。

アルコールで眠ろうとするくらいなら、まだ睡眠薬を使ったほうが何倍も効率的で安全です。

Ⅲ.テレビ、音楽、ゲームをしない

寝る前のテレビやゲームはお勧めできません。明るい画面を見ると、それだけで交感神経が活性化し、脳は覚醒してしまいます。

更に面白いテレビを見て大笑いしたり、ゲームをして興奮したりすれば当然、眠る状態ではなくなってしまうでしょう。

リラックス状態と逆行するような行為はしないように気をつけましょう。興奮すると、交感神経が優位になってしまい、眠る状態ではなくなります。

音楽も基本的にはお勧めしません。「ヒーリングミュージック」と言われるようなアルファ波を促すものはまだ良いと思いますが、音楽は基本的には聴覚を刺激して交感神経を活性化させるため眠りを障害することの方が多いのです。

ヒーリングミュージックも聴くのは寝床に入る前までにし、寝床に入ったら消すようにしましょう。

Ⅳ.ストレッチをする

眠る30~60分くらい前に、ストレッチをして軽く身体をほぐしてみましょう。硬くなっている筋肉が緩めば、リラックス状態になり眠りに入りやすくなります。

寝る前のストレッチは、身体を軽く伸ばす程度で十分です。汗をかくまで強くやってしまうと交感神経が活性化してしまいますので逆効果になってしまいます。

7.睡眠環境を整える

良い眠りを取るためには、寝室の環境も重要です。

みなさんの寝室の環境に問題はないでしょうか。

極端な例で言えば、目の前が大通りで夜中でもトラックがバンバン走っているような部屋では熟眠は出来ないし、ビルのネオンやコンビニの明かりが差し込んでくるような部屋でも熟眠は出来ません。

まずは静かな環境であることが大切です。どうしても自分の努力だけで静かな環境が得られないのであれば、部屋を変えたり耳栓を使ったりと工夫してみましょう。光が差し込むような部屋であれば、遮光カーテンをしっかりとつけましょう。

室内の温度も重要です。部屋の温度は適温になっているでしょうか。暑すぎても寒すぎてもいけません。普段自分が心地よいと思っている程度の温度に保ちましょう。

乾燥に弱い方は湿度も意識しましょう。洗濯物を干したり、加湿器の力を借りたりすれば部屋を適度な湿度に保つことができます。

部屋が乾燥しすぎていると、喉が渇いて起きてしまう事もあるし、乾燥によって身体がかゆくなって起きてしまう事もあります。

8.考え事をしない

ベッドは眠るための場所です。考え事をする場所ではありません。ベッドに入ったら考え事はやめるというルールを作りましょう。

横になった時に頭に悩みが浮かんできたとしても、「これは今、考えるべきことではない」とそこで思考を止めて下さい。悩めば悩むほど、頭は冴えだします。そうなれば眠れる状態がどんどん遠くなっていきます。

もしその悩みをどうしても今考えなくてはならないのであれば、眠るのは諦めて下さい。寝床から離れて、しっかりと考えてください。そして考え終わってから眠るようにしましょうい。

しかしそれは今考えるべきことでないのなら、考える事はやめて眠る事に専念してください。中途半端に両方やろうとしてはいけません。

9.完璧を求めすぎない

「3.眠る事にとらわれすぎない」とも関連しますが、自分の理想通りに眠れないからといって焦ってはいけません。多少自分の理想からはずれていても、日中活動するだけの体力の回復が得られているのであれば、「十分な睡眠が得られた」と考えるようにしましょう。

「自分は○○時間寝ないとダメなんだ」
「朝まだボーッとしている、まだ睡眠の質が十分ではない」

と完璧を求めすぎていないでしょうか。

毎日を支障なく暮らせる程度に眠れればいいわけで、完璧に理想的な睡眠を毎日取る必要ありません。

人にとって必要な睡眠時間というのは個人差が大きく、4~10時間と言われています。

メディアなどでは化学的な裏付けもなく「8時間睡眠が一番いい」などといったあやまった情報を流している事がありますが、最適な睡眠時間は人それぞれで異なります。

あなたの周囲の人が8時間睡眠が適正な人であったとしても、あなたの適正睡眠時間は5時間かもしれません。たとえ5時間しか眠れてなかったとしても、それで多少の眠気が残っていたとしても、毎日を大きな支障なく過ごせればそれで十分なのです。

眠れない事が原因で、明らかに仕事や勉強、家事の効率が落ちていたり、それによって様々な支障が出ているのであれば、その睡眠は改善する必要があるかもしれません。

しかし眠りがちょっと不十分な感じはするけど、毎日普通に仕事できてるし、特に大きな問題は生じていないという事であれば、睡眠をそれ以上無理に改善させる必要はありません。

理想の睡眠にとらわれすぎず、もっとシンプルに「生活が回るくらいに眠れていれば十分」と考えるようにしましょう。

特に高齢の方は若い時の自分のイメージから「もっとたくさん寝ないとダメだ」と理想の睡眠にとらわれている事があります。しかし必要な睡眠時間というのは年を取るにつれて少なくなっていきます。

若い時に7時間睡眠が必要であった方も、年を取れば5時間で十分になるというのはよくある話です。この時、いつまでも「自分は7時間睡眠なのだ」という事にとらわれていると、いつまでたってもあなたの不眠症は改善しない事になってしまいます。

10.それでもダメなら私たちに相談して下さい

ここまで、眠れない時にぐっすり眠るための方法を紹介してきました。

それでも眠れない場合は、どうしたらいいでしょうか。

その場合は、精神科・心療内科などを受診し、専門家に一度相談してください。専門家でないと判断できないような原因があるのかもしれないし、うつ病などの病気で不眠が出現しているのかもしれません。

専門家である精神科医に相談いただければ、一人で悩むよりも有益な方法が得られます。

ここまでの方法を試したけど眠れない状態は変わらない。そして、眠れない事で日常生活や社会生活に大きな支障が出てしまっている。

こうような場合は一度精神科・心療内科を受診される事をお勧めします。

まとめ

・日本人の6人に1人が不眠を感じており、不眠で悩んでいる人は多い
・睡眠に悪い生活習慣をしていないか、睡眠に良い生活習慣を導入できないかを確認しよう
・昼寝をやめて、昼夜逆転の悪循環を断ち切ろう
・眠れない事にとらわれすぎず「大丈夫」と安心の気持ちを持とう
・適度な運動で身体を疲れさせ様
・入浴をして睡眠の質を上げよう
・寝る3時間前になったら、寝るための準備をしよう
・寝室の環境を眠りに良いように整えよう
・ベッドに入ってから考え事をするのはやめよう
・完璧な睡眠を求めないようにしよう。毎日が支障なく送れるくらい眠れれば十分と考えよう