パキシルの特徴と強さ【精神科医監修】

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3.パキシルの適応疾患

パキシルはどのような疾患に用いられるのでしょうか。

パキシルは主に、

  • うつ
  • 不安

に効果を有し、これらを改善させる目的で投与されます。

パキシルの添付文書を見ると、適応疾患として次のような記載があります。

【効果又は効能】

うつ病・うつ状態、パニック障害、強迫性障害、社会不安障害、外傷後ストレス障害

パキシルをはじめとしたSSRIは、神経間隙のセロトニンを増やす事で落ち込みや不安を改善する作用があります。

そのため、うつ病だけでなく、適応障害や自律神経失調症などの別の原因で「うつ状態」となっている方にも適応があります。

ただし双極性障害(躁うつ病)のうつ状態への使用はあまり推奨されていません。強い効果が得られるパキシルは、逆に気分を持ち上げすぎて躁状態にしてしまうリスクがあるためです。

またパキシルは「抗不安作用」にも定評があり、パニック障害や社交不安障害といった不安障害にも効果が期待できます。同じく不安が根本的な原因の1つである「強迫性障害」に対しても有効です。

強迫性障害は難治性である事が多く、効果の強い抗うつ剤が使われる事が少なくありませんので、パキシルは強迫性障害にもよく用いられる抗うつ剤になります。

パキシルの抗不安作用はSSRIの中では一番高いと評価される事も多く、実際に私もそのように感じます。また不安、恐怖が生じている外傷後ストレス障害に使われることもあります。

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4.パキシルの強さ

パキシルというお薬の強さはどのくらいなのでしょうか。

精神科のお薬は「こころ」という目に見えない部位に作用するため、その強さを数値化する事は難しい面があります。

そのためあくまでも主観的な見解を含んでしまいますが、パキシルはSSRIの中でも「うつや不安を改善させる力」の強いお薬だと言えます。

「効果も強いけども、副作用も強い」という位置づけで扱われることが多いお薬で、うつ・不安どちらにもしっかりとした効果を示し、中でも不安に対しての作用は特に定評があります。

しかし効果が強いという事は、副作用が出やすいということでもあります。そのため、パキシルの適応は主治医の診察の元、慎重に判断しなくていけません。

抗うつ剤はざっくりと分けると、

  • 効果は強いけど副作用も多い「三環系抗うつ剤」
  • 効果はそこそこで副作用の少ない「新規抗うつ剤」

の2種類があります。

三環系抗うつ剤は1950年代から使われている古い抗うつ剤で、抗うつ作用は強いものの、副作用も多く、また中には命に関わるような重篤な副作用が生じるリスクもあります。

新規抗うつ剤は1990年ごろから使われている比較的新しい抗うつ剤で、「SSRI」「SNRI」「NaSSA」などがあります。それぞれ細かい特徴はありますが全体的に言えば三環系と比べて安全性が非常に改善されているのが特徴です。一方で効果は三環系にはかなわないもののまずまずの強さを有しています。

パキシルは新規抗うつ剤に属しますが、新規抗うつ剤の中では三環系に近い位置づけの抗うつ剤になります。新規抗うつ剤の中では効果がしっかりしており頼れる一方で、副作用にも注意が必要なお薬なのです。

5.年齢や性別から見たパキシルの使用

パキシルは年齢や性別によって効果に違いがあるのでしょうか。

パキシルは主に成人に使用されます。

特にうつ病においては、海外で行われた臨床試験にて、18歳未満の未成年には効果が認められなかった事が報告されています。ここから、18歳未満の未成年へは安易に使用せず、その適応は慎重に判断するように通達されています。

臨床試験においては、SSRIの中で唯一レクサプロだけは12歳~17歳への投与で有効性を示すデータが報告されています。そのため、12~17歳の未成年にどうしてもSSRIを使用せざると得ないケースでは、レクサプロが用いられる事が多いです。

パキシルを未成年に絶対に使ってはいけないわけではありません。上記はあくまでも日本ではなく海外での結果ですので、そのまま日本人に当てはまるわけではありませんし、統計的にみると効果がなかっただけであって、一人一人でみると効果を認める症例もある可能性はあります。

実際、臨床現場ではやむを得ず未成年にSSRIを使わざるを得ないこともありますが、パキシルが効果を示す例は少なからずあります。

しかし、未成年へは安易に処方しない方がいいのは事実です。パキシルの18歳未満への投与は「どうしても、本当にやむを得ない場合」に限るべきです。また使用する際も、まずは効果が穏やかである他のSSRIから開始すべきでしょう。

パキシルの性別による効果の差は報告されていません。ただしパキシルは体重増加の副作用が比較的多いため、重増加を気にする女性に用いる際は最初に副作用のリスクをしっかりと説明するか、別のSSRIから検討した方が良いかもしれません。

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