適応障害で休職が必要な理由と休職中にすべき4つのこと

適応障害と休職

適応障害は、ある環境(ストレス因)に適応する事が出来ず、それによって様々な症状が出現してしまう疾患です。

適応障害は「ある環境」がストレスとなっているため、その環境から一旦離れた方が治療上好ましい場合があります。この目的で「休職」が指示されることがあります。

休職は適応障害において重要な治療の1つです。しかし他の疾患における休職と異なり、「ただ休職しただけ」では根本の解決にはなりません。ただ休職しただけであれば、復職後に高い確率で再発してしまうでしょう。

適応障害における休職は、ただ休職するだけではなく休職中に適切な過ごし方や治療を行なっていくことが大切です。

今日は適応障害で休職が必要な理由と、休職中にすべきことをお話させて頂きます。

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1.適応障害で休職が必要な理由

適応障害と診断されると、医師から休職を指示されることがあります。

適応障害は「環境」に適応できないことで症状が出現しているため、その環境にいれば症状は悪化します。その環境が職場なのであれば、休職は症状を改善させるために有効な方法になります。

適応障害では、休職をすると比較的速やかに症状は改善していきます。個人差もありますが、早い方だと数日、遅くても数週間程度で改善を実感する事が出来るでしょう。

しかしこの方法は、「一時的にストレスから逃げているだけじゃないか」と感じられる方もいるかもしれません。

確かに治療が休職「だけ」なのであればその通りかもしれません。しかし休職は適応障害の治療に入るために必要なものであり、治療の一環に位置づけられるものなのです。

適応できない環境に身を置いている状態では、心身に強い苦痛が生じています。この状態だと精神的にも不安定になっているため、正常な行動・判断が出来なくなっています。このような状態ではいくら適応力を上げるための工夫をしても意味がありません。

そのため、一旦ストレス因から離れて、まずは心身の健康を取り戻すことが非常に重要なのです。

正常な判断・行動が出来ない精神状態下で取返しのつかない判断・行動をしてしまい、その結果その人や周囲の方の将来に大きな不利益が生じることはあってはならないことです。それを避けるため、休職という方法には大きな意味があります。

しかし休職が有効である一方で、休職をする「だけ」では根本の解決にはなっていないのもまた事実です。そのため、適応障害においては休職する「だけ」ではなく、休職した上で更にすべきことがあるのです。

2.適応障害は休職するだけでは不十分

適応障害は、「環境に適応できないこと」が発症の原因です。

そのため適応できなかった環境から離れれば、症状は改善していきます。ストレスが除去されるわけですから当然ですよね。

通常、休職をすると数日、遅くても1〜2週間もすれば症状の改善を実感できます。

しかし、適応障害ではただ休職するだけでは不十分です。

これはよく考えれば当たり前で、いくら休職で調子が良くなっても、そもそもの問題である「環境に適応できないこと」に対して何も対処しなければ、復職後に再発してしまうことは明らかです。

休職には、一旦ストレス因から離れる事で心身の健康を取り戻す、という役割があります。正常な判断・行動が出来る状態に戻すことで、ここからやっと「適応できない事にどう向き合うのか」を考えていく準備が出来るのです。

健康を取り戻した後は、「環境に適応できない事」に対しての対処を必ず行なわなければいけません。でないとせっかくの休職が、ただ「一時的に症状を落ち着かせただけ」で終わってしまいます。

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3.適応障害の休職中にすべき4つのこと

では適応障害で休職となったら、どのような過ごし方をすれば良いのでしょうか。

過ごし方の細かい点は個々人で異なりますので、主治医の指示に従って頂きたいのですが、ここでは一般的な適応障害における休職中の過ごし方について紹介します。

Ⅰ.最初の数週間はしっかりと休む

休職をする一番の目的は、心身の健康を取り戻すことです。

心身が不安定な状態で「環境に適応できない事に対してどう対処していけばいいか」を考えようとしても無理があります。

精神的に疲弊した状態では、正常な判断が出来なくなっています。特に絶望感や焦燥感が強い場合では、あやまった判断から取り返しのつかない判断・行動に至ってしまう可能性もあります。

「この環境に適応できないなら、今すぐ辞めるしかない」
「こんな環境にも適応できない自分は死ぬ以外にない」

これらは冷静に考えれば明らかに誤った判断ですが、精神的に不安定な状態だとこのような判断をしてしまう事があるのです。これは患者さん自身やその周囲の方に大きな不利益をもたらします。

このような事態を起こさないよう、まずは適応できない環境から離れて、冷静さを取り戻すことはとても大切な事になります。

まずは十分な判断能力が回復するまでしっかりと休んで下さい。

適応障害では、ストレス因から離れると症状は比較的速やかに改善していきます。しかしそうは言っても休職した翌日にすぐに元気になるわけではありません。

個人差もありますが、早くても1〜2週間程度はかかるでしょう。まずは1~2週間程度、しっかりと休んで下さい。

ちなみに「休む」といっても一日中寝込んでいるという過ごし方はよくありません。休職の原因は身体の不調ではなく、こころの不調なわけですから、身体を過剰に休める必要はないのです。

こころが落ち着くような過ごし方をする事が精神科的にいう「休む」事になります(参照:精神科・心療内科における「休む(休養)」の本当の意味)。

規則正しい生活を送りましょう。朝はしっかり起きて、日中に長時間の昼寝はしないようにしましょう。1日1回は外出をして、日の光を浴び、身体を適度に動かしましょう。

3食規則正しく食べ、過度な喫煙や飲酒は控えましょう。

自分が「落ち着く」と感じられるような行動をしましょう(例えば、ゆっくりとお風呂に入ったり、好きな音楽を聞いたり)。

このような過ごし方が、「休む事」になります。

Ⅱ.心身が安定してきたら、環境に対してのアプローチしていく

適応障害では休職によって心身の調子が安定してきたとしても、それだけで「では復職しましょうか」とはなりません。ただ心身を休めただけで復職すれば、また適応障害が再発してしまうだけだからです。

ある程度心身が回復してきたら、次にすべきことは根本の原因である「環境に適応できないこと」に対して、どうアプローチしていくかを考えていく必要があります。

これは1人で行わず、必ず主治医と相談しながら行いましょう。た職場の環境が原因なのであれば、職場のメンタルヘルス担当者や産業医とも連携しながら行うことが理想的です。

ある環境に適応できないとき、それに対処するアプローチ法というのは2つしかありません。

  • 自分が環境に合わせる(その環境への適応力を高めるように訓練する)
  • 環境を自分に合わせる(配置転換や転職など、環境を変える)

このどちらか(あるいは両方)になります。

前者が理想的な方法ですが、現実的にはやむを得ず後者の方法が取られる事もあります。

Ⅲ.環境(ストレス因)に対する適応力を高める工夫

適応障害の治療でまず考えたい方法は、その環境に適応するための「適応力」を身に付けていくことになります。

適応力を高める方法はいくつかありますが、精神科では主に精神療法にて、ものごとのとらえ方をより柔軟にできるように訓練したり、対人関係をより良好に行うための考え方などを学んだりしていきます。

具体的には、「認知行動療法」や「森田療法」の考え方が適応力を上げるために役立つこともあります。

また周囲のサポート体制を整えるという事も適応力を高めるためには有効です。定期的に産業医と面談できるような体制を作ったり、早い段階で家族や親友に相談できるようにしたりすれば、これは間接的に適応力の向上につながります。

環境に適応できるようになるという治療法は一見理想的な解決法ですが、治療にある程度の時間がかかることと、周囲や職場が十分に理解してくれることが絶対条件になります。

しかし現状では「適応力をつけるまで待てない」と職場から言われてしまうこともあります。会社も利益を上げないと存続できないため、悪意あっての発言ではないのですが、職場の十分な理解と協力を得られないと、適応力を上げるのは難しい面があります。

Ⅳ.環境(ストレス因)から離れる工夫

ある環境における価値観や常識が自分のそれとあまりに異なり、「訓練してもとてもじゃないけど適応できそうもない」という場合は、その環境から離れるという解決法が選択されることもあります。

職場の理解を得られれば、異なる部署への異動や配置転換などをして頂くこともあります。

また本当に止むを得ない場合は、その職場を退職するという解決法を取ることもあります。しかし退職は人生における大きな決断となるため、十分に心身が回復した状態でよく考え、周囲にも十分に相談した上で決めるようにしてください。

心身の調子が不安定な時に決めてしまったり、勢いで決めてしまうことは絶対にしてはいけません。

環境を変えるという選択肢は安易に取るべきでない事は確かですが、「どうしても向かない環境」というのもあります。適応障害を発症してしまった環境が残念ながらそのような環境であった場合は、無理矢理適応させようと努力するよりも、環境を変えるという選択肢も場合によっては必要になります。

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