燃え尽き症候群を克服するための治療法・対処法

燃え尽き症候群 治療 克服

何かを精力的に一生懸命頑張っていた人が、ある日「燃え尽きる」ようにやる気がなくなり、動けなくなってしまう。このような状態を「燃え尽き症候群(バーンアウトシンドローム)」と呼びます。

燃え尽き症候群は精神疾患として明確に定義されているものではなく、治療法なども確立されたものはありません。

しかし燃え尽き症候群に該当するような方は少なくないため、その治療法を間違えないように気を付けなければいけません。燃え尽き症候群の症状を表面的にだけ把握し、うつ病として薬物療法だけを行ってしまうようなケースもありますが、これでは治療が上手くいくはずもありません。

燃え尽き症候群は、燃え尽きてしまった経過が一番重要であり、そこにアプローチをしない事には根本の解決ははかれないからです。

今日は燃え尽き症候群の克服法・治療法などについて紹介します。

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1.燃え尽き症候群のジレンマを理解する

燃え尽き症候群の治療をする前に、燃え尽き症候群の「ジレンマ(矛盾)」を理解しておく必要があります。

これを理解していなないと燃え尽き症候群に対する治療を適切に導入することが出来ません。

燃え尽き症候群は何かに対して燃えすぎてしまったために、精神エネルギーが枯渇してしまう(燃え尽きてしまう)状態になります。明らかなオーバーワークを続けて燃え尽きてしまう事もあるし、無理矢理自分を燃えされていたために燃え尽きてしまうこともあります。

いずれも何かを一生懸命・精力的に頑張り続けてしまったために、燃え尽き症候群が発症してしまったのです。

ここで「燃え尽き症候群を起こさないためにはどうすればいいか」を考えてみると、そもそも「燃えなければいい」ことが分かります。そもそも最初から一生懸命頑張ることをしていなければ燃え尽きることなどあり得ません。

燃え尽き症候群は、特に「人を援助するような仕事」で生じやすい事が知られています。具体的には、

  • 看護師、介護士、ケアマネージャー
  • 教師
  • 人事職

などの仕事をされている方が該当します。

このような方々が燃え尽きないためのもっとも確実な方法があります。それは、患者さんや生徒さん、相談相手などに対して、

「事務的に接する。淡々と接する」
「深く入り込まない」

ことを意識すれば良いのです。間違いなく燃え尽きません。だってそもそも燃えていないのですから。

でも、みなさんここで感じるはずです。

「それってどうなの?」
「確かに燃え尽きないけど、それは人をサポートするプロとは言えないのではないか?」

と。

その通りであり、これが燃え尽き症候群のジレンマなのです。

このように燃え尽きないように仕事をすれば、確かに燃え尽き症候群にはなりません。しかし事務的に接してくるような人や、明らかに他人事だという態度で接してくる人にサポートされたい人なんているでしょうか。そもそも、それぞれ目標や期待を抱いて人を援助する仕事に就いたのに、そんな事務的な対応に終始して本当に自分の仕事に胸を張れるできるのでしょうか。

燃え尽き症候群には大きなジレンマがあります。

それは、

「患者さんのために一生懸命頑張りたい!」
「患者さんの役に立ちたい!」

という、「人を援助する仕事」にとって非常に重要な気持ち自体が、燃え尽き症候群発症のリスクになっているという事です。

つまり、ただ「燃え尽き症候群を治す」という事だけに焦点を当ててしまうと、その仕事のプロとして欠かす事の出来ない大切な要素を消し去ってしまう事になるのです。

燃え尽き症候群の治療・克服において一番大切なのは「ほどほど」「無理のないライン」というのを自分の中で見つけることになります。

そして、それによって燃え尽きそうになった時に、自分にブレーキをかけれるようになることです。

極端に、「これをすればいい」「これをしなければいい」とクリアカットに出来るものではなく、「これは〇〇まではするけども、それを超えたらそれ以上は無理をしない」と、自分が燃え尽きないための線引きを上手に行うことが重要です。

2.お薬による治療はあくまでも補助的なもの

病気の治療というと、「お薬で治す」というイメージがあります。

こころの病気でも例えば、うつ病や不安障害などの疾患はお薬を使う事で治療する事が可能です。

しかし燃え尽き症候群に関して言えば、お薬で治るものではありません。正確に言えば、お薬で一時的に回復を早めることは可能かもしれませんが、お薬だけに頼れば、必ずまた再発してしまうことにになります。

燃え尽き症候群は疾患・障害という扱いではなく、燃え尽きるだけの原因があってその結果燃え尽きてしまっているという、いわば正常の反応として考えられています。

大切なのは「燃え尽きないためにはどうすればいいのか」を考えていくことで、これはお薬で解決できる問題ではありません。

そのため、燃え尽き症候群には原則としてはお薬は用いません。

燃え尽きの程度が強く、二次的にうつ状態や強い不安状態などに至っている場合は、補助的に抗うつ剤や抗不安薬、睡眠薬を使用することはあります。しかしそれはあくまでも補助的なものであり、一番は燃え尽きに対するアプローチである事を忘れてはいけません。

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3.燃え尽き症候群を治療・克服するための心構え

燃え尽き症候群は、お薬などで治るものではないため、「燃える(=精力的に何かを頑張る)」ことに対して、今後どのようにやっていけばいいかという、心構えをまず知ることが大切になります。

大切な心構えを2つ紹介します。

Ⅰ.更に頑張ろうとすれば悪循環におちいる

燃え尽き症候群になるような方は、頑張り屋さんが非常に多いです。

そのため、燃え尽きてしまった時・燃え尽きかけている時にまず考えるのが「どうしたらもっと頑張れるだろうか??」というものになります。

しかし燃え尽き症候群から抜け出したいのであれば、このような考え方を変える必要があります。なぜならば、これは燃え尽き症候群をどんどんと悪化させる考え方だからです。

「睡眠時間を減らしたら頑張れるのではないか」
「仕事後で疲れていても、ポジティブシンキングのセミナーにいこう」

このように心身がオーバーワークで壊れかけているのに、努力によって克服しようとしてしまうのです。これは更に心身に負担をかけるような行為になります。また、「自分は無理をしている」と薄々気付いているものの、それを認めたくないという気持ちから来ることもあります。

何故なら、燃えている対象というのは、自分にとってとても大切なものだからです。仕事に燃えているのであれば、仕事というのは自分の人生にとって大きなウエイトを占めているものです。それに対して、今自分が「無理をしている」「限界が近づいている」という事は、なかなか認めたくないものです。

だからそれに気付かないように、より頑張ることで自分を欺こうとしてしまうのです。

しかしこの方法は燃え尽き症候群の根本の問題に向き合っていないため、短期的には幾分楽になることもありますが、長期的に見れば更に燃え尽きは悪化してしまいます。

燃え尽き症候群の方は、精神エネルギーが枯渇してゼロになっています。ここで更にエネルギーを消耗するような行動をすれば悪化するのは明らかです。まずはこれ以上努力をするという悪循環を断ち切り、一旦は心身を休養させなければいけません。

Ⅱ.燃え尽きるのは「もう限界だよ」というサインだと気付こう

なぜ燃え尽きるのかと言えば、かんたんに言えば心身が悲鳴を上げているからです。

明らかに身体に無理をさせている過重労働が続けば、身体は「もう限界だよ」と悲鳴を上げます。明らかに自分にとってやりがいや生き甲斐を感じられない仕事が続けば、心は「もう限界だよ」と悲鳴を上げます。

この時、「心身をどうやってだまして頑張らせていこうか」と考えるのではなく、心身が悲鳴をあげないようにはどうすればいいのかを考えなくては燃え尽きの改善は得られません。

燃え尽き症候群の症状が出てきて、頑張らなければいけないことがどうしても頑張れなくなってしまった時は、

「どうやったら頑張れるだろう」と考えるのではなく

「どうやったら心身に無理をさせないように出来るだろうか」と考えることが大切です。

4.燃え尽き症候群の治療法・克服法

燃え尽き症候群に対する治療を紹介します。

まず、燃え尽きてしまっている時は、「ひたすら休むこと」に尽きます。燃え尽き症候群では心のエネルギーが枯渇しているわけですから、まずはそれを回復させなくてはいけません。

燃え尽きに至っている場合は、「心の休養」が必要です。こころを休める方法については、「精神科・心療内科における「休む(休養)」の本当の意味・」で詳しく紹介していますのでご覧ください。

しかし、こころを十分に休めても燃え尽き症候群の治療はそこで終わりではありません。

燃え尽き症候群は、病気・障害ではありません。燃え尽きるような行動をしてしまって、その結果燃え尽きてしまったというものです。そのため、燃え尽きるような行動をしてしまう原因に対して対策をしないと、これからもまた燃え尽きてしまうリスクが高いままになります。

「これから燃え尽きを起こさないようにするには、どのように考えればいいのか」

これを自分で見つけることが燃え尽き症候群の治療・克服においてもっとも重要で、これが達成できてはじめて燃え尽き症候群の治療が出来たと言えるのです。

では、具体的にどのように考えていくのかを見ていきましょう。

Ⅰ.それは本当にあなた一人がやらなければいけない事なのか

燃え尽きる前段階の方の話を聞くと、認知(ものごとのとらえ方)が歪み始めていることに気付きます。

客観的に見れば、人の何倍も仕事をしているのに、「皆はもっと頑張っている。だから自分ももっと頑張らないと」と感じていたりします。周囲が「頑張りすぎだよ」と諭しているのに、「自分はまだ全然やれていない」と本気で思っています。

精神的な余裕がなくなってしまうことで、物事の認知が極端になってしまっているのです。

このような時こそ、周りの意見を良く聞き、客観的に自分を見るようにしないといけません。

自分の限界を超えている時は、頼み事を断ってもいいのです。「ごめん、今はちょっと無理」と言ってください。頼み事は引き受けることが一番ですが、あなたが自分を壊してまですることではありません。

すべての事を自分自身がする必要などないのです。

「この仕事は本当に自分しか出来ないことなのか」
「今、自分にこの仕事を引き受けるだけの余裕があるのか」

という事をしっかりと確認するようにしていきましょう。

Ⅱ.無理を続けて燃え尽きるのは当たり前。あなたが弱いわけではない

私たち人間は、指示された事を何でも出来る機械ではありません。感情を持った人間です。

私たちは、無限に働き続けることが出来る機械ではありません。疲れたら休まないと死んでしまいます。生き物は皆そうです。

燃え尽きてしまって、これ以上頑張れなくなった時、ほとんどの人は自分を責めます。

「自分はなんて無責任なんだ」
「自分はなんて弱いんだ」

と。

そしてそれによって更に自信をなくし、症状は悪化していきます。

しかし、あなたが弱いから燃え尽きたのではありません。

ここを誤解しない事は大切です。

よく考えてみてください。本当に心が弱いのであれば、そもそも燃え続けることなど出来なかったはずです。辛い事があっても、歯を食いしばって燃え続けてきたことは、心が弱いというよりも、むしろ心は強かったと言ってもいいのではないでしょうか。

でも、そもそも無理な燃え方をしていれば、燃え尽きることは当然なのです。それはあなただから燃え尽きたわけではないのです。

無理な燃え方だったのに、それなのにここまで燃えてもられたことはむしろすごいことだと思わないといけません。

無理してここまで頑張ってきた自分を認めてあげて下さい。

あなたは自然なあなたのままでいいのです。無理をしたあなたになる必要はないのです。

Ⅲ.自分の思いを必ず誰かに話そう

燃え尽きるまでにはたくさんのつらい事があったはずです。でもそれを誰かに話すことが出来ず、自分の中で抱え込んでいたのではないでしょうか。

つらい出来事があった時、それをまずは誰かに話す事は非常に重要です。

弱みを見せたくない、泣き言はいいたくないと、話すことを拒否する立派なあなたが顔を出すかもしれません。

でも話さなくてはいけないのです。これも大切な治療だと思ってください。

Ⅳ.期待をしすぎない

本当に残念なことなのですが、この世の中は努力が必ず報われる世界ではありません。

一生懸命やったのに結果が出ないこともあります。それどころか一生懸命やったのに裏目に出てしまうことだってあるのです。

私たちが何かを頑張る時、そこには何らかの「期待」「目標」があります。

一生懸命仕事に打ち込むのは「会社が大きくなる貢献をしたい」「業績を上げて昇進したい」などの目標があります。一生懸命介護を続けるのは、「少しでも楽になって欲しい」「少しでも苦しい思いを減らしてあげたい」という期待があるわけです。

何の期待・目標もなしに頑張り続けることが出来る人など稀です。

しかしその期待・目標とあまりにかけ離れた現実に直面した時、燃え尽きが起こってしまうのです。

これを解決するのためには、努力が報われる世の中になるのが一番です。しかしその解決策は現実的ではありません。

そのため、自分側の「期待」「目標」をある程度柔軟に考えるようにする、という方法が現実的には必要になります。

仕事が全てだという人は、仕事で評価されなくなってしまえば燃え尽きるリスクは高いと言えます。それを回避するためには、より努力を続けるのではなく、「仕事も大切だけど、それだけが人生ではない」といった考え方を持たなくてはいけません。

どんなに優秀な人であっても、今後も仕事で評価され続ける、という保証はどこにもありません。いつか評価されない日は来るかもしれないのです。しかし、「仕事以外にも価値観を持つようにする」という努力は自分の考え次第で変えることができます。

Ⅴ.燃え尽きやすい要因を修正できないだろうか

燃え尽き症候群になりやすい方には、元々の性格に

  • 過度に頑張りすぎる
  • 自分を犠牲にしてでも他者に尽くす

といった傾向があります。

こういったものが燃え尽きの原因として考えられる場合は、このような考え方を修正できないか考えてみることも大切です。

性格の全てを変える必要などありません。ただ、性格の中で燃え尽きに至りやすい部分を取り出し、そこだけを燃え尽きないように修正できないかを考えてみるのです。

性格というのは自然に出来上がっていくわけではなく、子供の頃の様々なイベントを通じて出来上がっていきます。

例えば、子供の頃に「男は文句をいわず、黙って耐えなさい!」と強く教育されていたとしたら、どんなに辛いことがあっても周囲に相談せずに耐えるような性格になるでしょう。この性格の全てが悪いわけではありませんが、心が限界に達して悲鳴を上げているのに、それでも耐え続けているのであれば、それは明らかにやりすぎでしょう。

このような場合は

「親は小さな不満をいちいち口に出すなと言いたかっただけで、本当につらいことも言うなという意味で言ったわけではないのではないか」

と考え方を修正できれば、今後の燃え尽きのリスクは低くなります。

Ⅵ.誰のための人生なのか?

自分のための人生であることを再確認しましょう。

誰かの世話をするための人生ではありません。職場に尽くすための人生ではありません。

もちろん誰かの世話をすることも大切だし、仕事を一生懸命頑張る事も大切です。しかしそれが主ではないのです。あなたが自分の人生を犠牲にしてすることではありません。

生きていく上では周囲の評価ももちろん大切です。でも一番は「自分がどうしたいか」なのです。それが逆転してはいけません。

主はあなたであり、あなたが決めることなのです。

Ⅶ.限界のサインを見逃さず、しっかりと受け取ろう

当たり前ですが、1人が頑張れることには限界があります。

こんな誰でも分かっていることなのに、一生懸命になりすぎると自分はもっともっと頑張れるはずだと錯覚するようになります。

限界に達すると、私たちの身体は必ず何らかのサインを出します。

・いつもよりイライラする
・熟眠感がない
・疲れが取れない
・食欲がわかない
・趣味が楽しめない
・集中できない

このようなサインをしっかりとキャッチし、「限界が近いのかもしれない」「活動量を減らそう」と対処しなければいけません。

このようなサインが出ているのに無理をして、更に頑張り続けていれば、燃え尽きてしまうのも当然です。

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