抗うつ剤の副作用のシャンビリって何?シャンビリの原因と対処法

シャンビリ

抗うつ剤を減薬・断薬した時に、離脱症状が生じることがあります。離脱症状とは、お薬の急な減薬に対して身体がびっくりして生じる反動のようなものです。

抗うつ剤の中でもSSRIと呼ばれるお薬は離脱症状が生じる頻度がやや高く、SSRIに生じる離脱症状を「SSRI中断症候群」と呼ぶこともあります。

抗うつ剤で生じる離脱症状は、別名「シャンビリ」とも呼ばれています。

このシャンビリ、なぜ起こるのでしょうか。またどのような症状があってどのような対処法があるのでしょうか。

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1.シャンビリとは何か?

シャンビリというのは、抗うつ剤(特にSSRI)の減薬・断薬時に認められる離脱症状の俗称です。

なぜシャンビリと呼ぶかというと、耳鳴りがシャンシャン鳴り、手足がビリビリしびれるという症状が由来になっているようです。シャンビリは医学的な専門用語ではなく、患者さんの間で用いられている俗語のようなものですが、SSRIの離脱症状の特徴をとてもよく表している言葉です。

抗うつ剤の離脱症状は、「シャンビリ」という名前の通り

・耳鳴り
・しびれ

を認めることが多いのですが、その他にも

・めまい
・発汗
・吐き気
・目がチカチカする感覚
・音や光に対して過敏になる
・震え
・ソワソワ感

など多岐に渡る症状が出現します。

抗うつ剤を減薬・中断して半日~数日以内に上記のような症状が出現した場合、シャンビリ(離脱症状)を疑う必要があります。

ちなみにアメリカ精神医学会(APA)は発刊している精神疾患の診断基準であるDSM-5には、「抗うつ薬中断症候群」という項目があり、これは抗うつ剤の離脱症状と同じ意味になります。

【抗うつ薬中断症候群】

抗うつ薬中断症候群は、投与を少なくとも1か月以上継続されていた抗うつ薬を突然の中止(または著しい減量)した後に発現する一連の症状である。一般に症状は2~4日以内に現れ、典型的には特定の感覚、身体そして認知情動の兆候を認める。頻繁に報告される感覚、身体症状としては、光の点滅、”電気ショック”感覚、嘔気、音や光に対しての反応性亢進である。非特異的不安および恐怖の感情も報告されるかもしれない。

ちなみに抗うつ剤の離脱症状は、正確には「離脱症状」ではなく、この診断基準のように「中断症候群」と呼ばれています。

この理由は、本来は「離脱症状」という用語は依存性物質(睡眠薬や抗不安薬、アルコールなど)の減量・中止で生じる症状を指しているからです。抗うつ剤は依存性物質ではないため、正確に言えば離脱症状には当てはまりません。

しかし離脱症状も中断症候群も、お薬を減量・中止した反動で生じる症状という意味では同じであるため、現場では明確には区別されず、どちらも離脱症状と呼ばれています。

2.シャンビリはなぜ生じるのか?

シャンビリ(離脱症状)は、抗うつ剤の血中濃度が急に下がったことに身体が対応しきれずに生じると考えられています。

抗うつ剤の中でもセロトニンに対して選択性の高いSSRIで多いことから、セロトニンが関係していると考えられていますが、その詳細な機序はいまだ不明なところもあります。

ある程度の期間、抗うつ剤を内服していると、私たちの体は 「毎日抗うつ剤は入ってくるもの」と認識し、それに基づいて身体の様々な機能を調整するようになります。それが、ある日突然入ってこない、あるいは入ってくる量が予想外に少ない、となると身体はパニック状態になります。

当然入ってくると思っていたものが入ってこないわけだから、身体の機能の調整も不具合が生じます。結果として、様々な症状が現れてしまうのです。これが離脱症状の正体です。

私たちの身体は急激な変化に弱いのです。変化をさせたい場合は、急激にではなく、徐々に変えていかないといけません。

シャンビリの起こしやすさは、

・個々人の体の代謝能力
・抗うつ剤の半減期(半減期が長いほど起こしにくい)
・抗うつ剤の強さ(強いほど起こしやすい)

などが関係すると言われています。

抗うつ剤の中ではSSRIに多く、SNRIでも認められます。SSRIの中でも特にパロキセチン(商品名パキシル)で起こりやすいことが知られています。しかしパロキセチンに限らず、あらゆる種類の抗うつ剤でシャンビリは生じる可能性があります。

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3.シャンビリが生じたときの3つの対処法

シャンビリ(離脱症状)が生じるのは、抗うつ剤の減薬や断薬を行った時です。

私たち医師は、抗うつ剤は離脱症状が起こり得ることを念頭に置きながら減薬を行いますが、慎重に減薬しても離脱症状は生じることがあります。専門家である医師が慎重に減らしても離脱症状は起こってしまうのですから、患者さんが独断で抗うつ剤の無理な減薬・断薬と行ってしまうと、高い確率で離脱症状が生じてしまいます。

実際にシャンビリは、患者さんが独断で抗うつ剤をやめてしまって生じるケースがもっとも多く見られます。

ほとんどの患者さんにとって、抗うつ剤は「できれば飲みたくないもの」です。そのため、調子が良くなってきたと感じると「もう飲みやめてもいいだろう」と自分の判断で服薬を中断してしまう方がいらっしゃいます。中止した翌日くらいから、離脱症状が出現してきて驚き、慌てて病院に駆け込みます。

特に高用量の抗うつ剤を服薬していて、いきなり中止してしまった場合などは高い確率で離脱症状は出現してしまいます。

この場合、原因は明らかですので対処法も明白です。抗うつ剤を再開するしかありません。抗うつ剤を元に戻せば、離脱症状は数日で改善します。

早く抗うつ剤を辞めたい気持ちはとても良く分かりますが、自己判断の減薬・断薬は行わないようにしましょう。必ず主治医と相談の上で減薬中止は行ってください。

しかし、シャンビリは医師の指示のもとで減薬・断薬を行っていても生じてしまうこともあります。この場合はどのような対処法があるでしょうか。私たちがよく取る対処法を紹介します。これらの対処法も独断では行わず、必ず主治医と相談の上で行ってください。

Ⅰ.減薬を延期する

急いで減薬しなくてもいい状況であれば、減薬を延期することもあります。抗うつ剤を一旦元の量に戻して、数か月後に減薬を再挑戦してみるとうまくいくことがあります。

離脱症状は、疾患が治りきってない時に無理して減薬すると起きやすい傾向があります。病気が治りきってないということは、まだまだ抗うつ剤の力を借りないと体調を保てないということです。この時期に無理に抗うつ剤を減らしてしまうと、反動も出やすくなりシャンビリも起きやすくなるのです。

より病気が改善して、自力で良好な体調を維持する力が戻るまで待ちましょう。それから減薬をすれば、シャンビリは起きにくくなります。

Ⅱ.減薬ペースを落とす

シャンビリの対処法の基本は「できるだけゆっくりと、少しずつ減らしていくこと」です。

血中濃度が急激に変動すると、それだけ反動も大きくなりシャンビリが生じやすくなってしまいます。そのため、可能な限り少量ずつ減らしていくことが、シャンビリを起こさないために大切になってきます。

一日でも早く抗うつ剤をやめたい気持ちはとても良く分かります。しかし、焦らず少しずつ確実に減らしていきましょう。その方が、結果的には早くお薬をやめられるのです。

また、期間も大切です。

一般的には2週間に1度のペースで減らしていくのがいいとされてますが、そのペースでシャンビリが出てしまうのであれば更にゆっくりと時間をかけましょう。

Ⅲ.他剤に切り替えてみる

抗うつ剤はどれもシャンビリを起こす可能性がありますが、起こしやすさにそれぞれ違いがあります。

例えば、先ほども説明したようにパロキセチン(商品名パキシル)は、シャンビリが比較的起きやすい抗うつ剤です。そのため、まずシャンビリが起きにくい抗うつ剤、例えばパロキセチンCR(商品名パキシルCR)などに変薬し、その後に減薬していくと、スムーズに減薬できることがあります。

ただし、抗うつ剤にはそれぞれシャンビリ(離脱症状)以外のメリット・デメリットがあります。そのため、シャンビリだけにとらわれるのではなく、それぞれの抗うつ剤の特徴を考えながら主治医をよく相談して変薬は行うようにしましょう。

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