人の役に立つと、自分のこころも安定する

こころの健康を保つためには「自尊心」がとても大切です。

自尊心というのは、「自分を認めてあげる気持ち」「自分を大切だと思える気持ち」のことです。

人は誰でも自尊心を持っており、これがなくては生きてはいけません。「俺はすごい!」「自分はすごく価値のある人間なんだ!」と高すぎる自尊心を持っているのも困りものですが、「自分なんて価値がない」「自分なんていなくてもいい存在だ」と自尊心が低すぎる方はもっと問題です。

自尊心が低いと、自分に対して価値を感じられません。そのため自分の身体やこころを傷付けてしまいやすく、精神的にも不健康になりやすい傾向があります。

精神科で患者さんのお話を聞いていると、患者さんの中には自尊心が低い方が少なくありません。病気の症状で自尊心が一時的に低下しているだけの事もあるのですが、中には元々の自尊心が低いがために、ことあるごとに自分のこころを傷付けてしまっている方もいます。

そのような場合は、お薬で治療を行うだけでは不十分です。「自尊心を高める」ような工夫をして生活をしていかないと、いつまでも自分を大切だと思えません。自分を大切だと思えなければ、自分の可能性を信じられなくなり、ちょっとしたことで人生をあきらめてしまいます。

自尊心を高める方法は1つではありませんが、今日はその中でもすぐに実践できる方法を紹介します。

それは「人の役に立ってみる」ということです。

「自分なんて価値がない」「自分はダメだ」と感じてしまいやすい方はぜひ実践してみてください。

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1.誰かの役に立つと自尊心が高まる

人がもっとも充実感を得られるのは「自分が必要とされている時」「人の役に立てた時」だと言われています。

かのマザーテレサも、このような言葉を残しています。

「この世の最大の不幸は貧しさでも病気でもありません。自分が誰からも必要とされていないと感じることなのです」

気持ちが滅入っているときは、他人なんかに構っている余裕などないかもしれません。しかし、そんな時こそ人の役に立つことをしてみるべきです。

自分の事で精一杯だと、どんどん自分のためだけの生活になってしまいます。これはどうしても他者から必要とされる機会が減ってきます。すると、どんどん自分に価値を見出しにくくなり、どんどん自尊心が低くなってしまうのです。

反対に、気持ちに余裕がない時でも、ちょっと誰かの役に立つことをしてみると、「自分が必要とされているのだ」「自分には価値があるんだ」と感じる機会が増え、自尊心が少しずつ育っていきます。

「人のために何かをしても、その人が得をするだけで自分の時間を無駄にするだけじゃないか」

こう考えてしまう方がいます。確かに表面的に見ればそうかもしれません。しかし、先ほどお話した通り「人の役に立つ」という行為は、あなたの自尊心を確実に育ててくれるのです。

自尊心が高まると、自分を否定された時や落ち込むような出来事にあった時でも、こころを大きく傷付けることがなくなり、うつ病などにもなりにくくなります。

これはお金では決して買うことのできない、あなたの大きな財産になるのです。

2.自尊心が低いことに自分で気づいていない事も多い

精神科医をしていると、うつ病のような精神疾患の発症と、自尊心の低さというのは大きく関係していると感じずにはいられません。

実際、精神的に健康な方というのは自尊心をしっかりと持っている方が多いですし、反対に精神疾患にかかりやすい方というのは自尊心が低いことが多いのです。

しかし「自分の自尊心は高い」「自分の自尊心は低い」と普段考える機会というのは少ないでしょう。また自尊心というのは、自分の努力だけでなく周囲の影響が大きく関わってくるため、自分の自尊心が低いという事に気付いていない方が多くいらっしゃいます。

正常な自尊心が形成されるには、子供の時の経験が大きく影響してきます。

親から十分な愛情を受けて育った方は、「自分は大切にされているんだ」「自分には価値があるんだ」と感じられるようになります。また学校などでも友人と良い関係を築けると「自分は必要とされているんだ」と感じられるようになります。

反対に自尊心が低くなりがちな方の傾向としては、

・親から十分な愛情を受けることができなかった
・ひどいいじめを受けた

といった方が多いようです。

小さいころ、親からの愛情を十分に受けることができなければ、「自分は必要とされていないんだ」「自分は愛されていないんだ」という意識を持つため、自分を高く評価することが難しくなります。

また、子どもの頃にひどいいじめにあってしまうと、「自分は価値がないからいじめられるのだ」と考えてしまうため、これも自尊心を下げてしまう原因となります。

あなたは自分のことを大切に思えるでしょうか。自分には一定の価値があると考えることができるでしょうか。

もしそう思えないのであれば、あなたの自尊心は低いのかもしれません。

自尊心が低くて、それで精神的につらい思いをしているのであれば、「人の役に立ってみる」という事を意識して生活してみることをおすすめします。

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3.人の役に立てば、小さなことでも良い

「あなたは自尊心が低くなっているかもしれません」
「自尊心を回復させるために人の役に立つようなことをしてみましょう」

このようなアドバイスをすると、「でも、自分は人の役に立つ能力なんてないから・・・」と二の足を踏んでしまうしまう人もいます。

これは大きな間違いであり、そもそも「人の役に立つ事」のほとんどは、専門的な技術などいらないのです。もちろん中には高度な技術や知識を要する人助けもありますが、日常生活における「人助け」でこれは例外だと言ってもいいでしょう。

困っている人がいたら、誰だってその人の役に立ちたいと思うでしょう。そのとき、「自分に何かできることはないだろうか」と考え、「自分が出来ること」をすればいいのです。

困っている人がいたら、何か力になれる事がないかを自分なりに考えてみてください。そして何かあなたができることがあるのであれば、してあげてみてください。もし現実的にしてあげられることがないのであれば。話を聞いてあげるだけでもいいのです。つらい思いを吐き出せるだけでも、その人は「おかげで少し楽になった」と思ってくれるでしょう。

道に迷っていそうな人がいたら、道を教えてあげるだけでもいいし、重い荷物を持っている人を手伝ってあげるだけでもいいのです。バスや電車でお年寄りに席を譲ってあげるのも立派な人助けですし、いつも家事をしてくれている母や妻のお手伝いを少し手伝うのも立派な人助けです。

何も特別な技術などいりませんよね。

日常を見渡してみると、「人の役に立つ」チャンスはたくさんあります。普段、忙しい毎日を過ごしている中で、それに気付きにくくなっているだけなのです。

それでも、

「探してみたけど、なかなか人の役に立つ機会が見つからないです・・・」

という方は、地域のボランティアを探してみることがおすすめです。

実際に、自尊心の低くなっている患者さんにボランティアを勧めてみることがあります。ボランティアを始めた方は、

「自分でも人の役に立てるって思ったら、すごくうれしくなった」
「『ありがとう』って言われて、感激した」

と嬉しそうに診察でお話してくれます。間違いなく、彼らの中で自尊心が育っているでしょう。

4.誰かの役に立つと、他者を幸せにし、自分のこころも豊かになる

誰かの役に立つと、相手は喜びます。

困っている人に、何かを教えてあげたり、手伝ってあげたり、話を聞いてあげたりすれば、

「ありがとう」
「助かったよ」

と言ってくれるでしょう。大袈裟な言い方かもしれませんが、あなたはその人を救ったのです。

また同時に自分自身のこころも救っているのです。誰かの役に立てたことで、

「自分でも人の役に立てるんだ」
「自分も人を助けられるんだ」

と感じれば、あなたの自尊心も確実に育っています。

ビジネス的な見方をすれば、「人助けなんて一銭にもならない」と言う人もいるでしょうし、これは事実かもしれません。

しかしお金や肩書きの代わりに「自尊心」というとても大きなものをあなたは得ることができているのです。

自尊心は、こころを健康にして幸せな人生を送るために必須のものです。

どんなに小さいことでも構いません。自分の自尊心を育てるために、小さな人助けをしてみませんか?

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