うつ病を自己チェックできる検査QIDS-Jの3つの特徴

落ち込み、やる気のなさが続いている。眠れない、疲れが取れない・・・。こういった症状が長く続くと、「もしかして私ってうつ病なのかな??」と心配になってしまうかもしれません。

でも、うつ病になってないか心配だからといっても、気軽に精神科を受診できる人は少ないでしょう。

そのような時、役に立つのが自己評価式のうつ病検査です。これらの検査は診断の補助的なものであり、それのみで診断を行えるものではありませんが、症状や重症度を客観的に診る事ができる有用なツールです。

うつ病で用いられる心理検査はいくつかありますが、今日は世界的に用いられているQIDS-Jという検査について紹介します。

QIDS-J検査を行うにはこちらから

1.QIDS-J検査の特徴

QIDS-J以外にも、うつ病検査はいくつもあります。代表的なものを挙げると、

・CES-D
・PHQ-9
・HAM-D
・MADRS

などがあります。

たくさんの検査がありますが、これらはどれも長年使われている実績ある検査ですので、どれを使っても問題ありません。ただ、どれも内容は多少異なっており、それぞれの検査には特徴があります。

QIDS-Jはというと、その特徴は主に3つあります。

Ⅰ.自分一人で検査ができる

うつ病検査は、医師などの検査者が行うものと、患者さんが自分自身で行うものがあります。検査者がいないと行えないものは、病院でしかやることができませんが、自分自身で行う検査は、病院以外の場所でもやることは可能です。

QIDS-Jは自分一人で行える検査です。わざわざ病院にいかなくても、オンライン上でも簡単にうつ病のチェックを行うことができるのは大きな特徴です。

うつ病の疑いが無いかどうか心配だけど、精神科を受診するのは抵抗がある・・・。

そんな方がまずやってみる検査として良いものです。

Ⅱ.DSM-Ⅴのうつ病診断基準に沿って作られている

病気には「診断基準」というものがあり、診断をするには「診断基準を満たしているかどうか」が非常に重要になってきます。精神疾患は症状の個人差が大きいため、必ずしも診断基準通りにいかないこともあるのですが、それでも近年の精神科界でも診断基準の役割は大きくなっています。

うつ病によく用いられる診断基準には、世界保健機構WHOが発刊しているICD-10と、アメリカ精神医学会が発刊しているDSM-Ⅴの2つがあります。

QIDS-Jは、このうちDSM-Ⅴの診断基準に沿って作られています。

つまり、QIDS-Jで「うつ病の疑いあり」という結果になった場合、DSM-Ⅴのうつ病の診断基準を高確率で満たすということになります。うつ病の診断をするという意味でも精度の高い検査だと言えます。

Ⅲ.質問数が16個と少なく、無理なく行える

QIDS-Jの質問数は全部で16個です。質問のそれぞれは4択になっており、今の自分に一番当てはまる回答を選択します。所要時間としては10分未満で済みます。

うつ病で意欲が出ない、頭が働きにくい方でも何とか出来る量なのも大きな特徴です。

2.QIDS-Jの内容紹介

QIDS-Jは全部で16個の質問からなり、4つの選択肢の中から一番自分の状態に当てはまるものを選びます。それぞれの質問の回答によって0~3点がつけられます。

ただし質問1~4は睡眠に関するもので、これらの4つの回答のうち最も高い点数一つだけを採用します。質問6~9の食欲に関するもの、質問15,16の精神運動状態に関するものも同様で、これらの回答のうち、最も高い点数を一つ採用します。

合計点は最高で27点で、得点が高いほどうつ病の程度が重いと推測されます。

質問内容を紹介します。

Ⅰ.寝つき

0.問題ない(または、寝付くのに30分以上かかったことは一度もない)
1.寝つくのに30分以上かかったこともあるが、1週間の半分以下である
2.寝つくのに30分以上かかったことが、週の半分以上ある
3.寝つくのに60分以上かかったことが、1週間の半分以上ある

Ⅱ.夜間の睡眠

0.問題ない(夜間に目が覚めたことはない)
1.落ち着かない、浅い眠りで、何回か短く目が覚めたことがある
2.毎晩少なくとも1回は目が覚めるが、難なくまた眠ることができる
3.毎晩1回以上目が覚め、そのまま20分以上眠れないことが、1週間の半分以上ある

Ⅲ.早く目が覚めすぎる

0.問題ない(または、ほとんどの場合、目が覚めるのは、起きなくてはいけない時間の、せいぜい30分前である)
1.週の半分以上、起きなくてはならない時間より30分以上早く目が覚める
2.ほとんどいつも、起きなくてはならない時間より1時間早く目が覚めてしまうが、最終的にはまた眠ることができる。
3.起きなくてはならない時間よりも1時間以上早く起きてしまい、もう一度眠ることができない

Ⅳ.眠りすぎる

0.問題ない(夜間、眠りすぎることはなく、日中に昼寝をすることもない)
1.24時間のうち、眠っている時間は、昼寝を含めて10時間ほどである
2.24時間のうち、眠っている時間は、昼寝を含めて12時間ほどである
3.24時間のうち、昼寝を含めて12時間以上眠っている

Ⅴ.悲しい気持ち

0.悲しいとは思わない
1.悲しいと思うことは、半分以下の時間である
2.悲しいと思うことが半分以上の時間ある
3.ほとんどすべての時間、悲しいと感じている

Ⅵ.食欲低下

0.普段の食欲とかわらない、または、食欲が増えた
1.普段よりいくぶん食べる回数が少ないか、量が少ない
2.普段よりかなり食べる量が少なく、食べるよう努めないといけない
3.24時間ほとんどものを食べず、食べるのは極めて強く食べようと努めたり、誰かに食べるよう説得されたときだけである

Ⅶ.食欲増進

0.普段の食欲とかわらない、または、食欲が減った
1.普段より頻回に食べないといけないように感じる
2.普段とくらべて、常に食べる回数が多かったり、量が多かったりする
3.食事の時も、食事と食事の間も、食べ過ぎる衝動にかられている

Ⅷ.体重減少(最近2週間で)

0.体重は変わっていない、または、体重は増えた
1.少し体重が減った気がする
2.1kg以上痩せた
3.2kg以上痩せた

Ⅸ.体重増加(最近2週間で)

0.体重は変わっていない、または、体重は減った
1.少し体重が増えた気がする
2.1kg以上太った
3.2kg以上太った

Ⅹ.集中力・決断力

0.集中力や決断力は普段とかわりない
1.ときどき決断しづらくなっているように感じたり、注意散漫になるように感じる
2.ほとんどの時間、注意を集中したり、決断を下すのに苦労する
3.ものを読むことも十分にできなかったり、小さなことですら決断できないほど集中力が落ちている

Ⅺ.自分についての見方

0.自分のことを、他の人と同じくらい価値があって、援助に値する人間だと思う
1.普段よりも自分を責めがちである
2.自分が他の人に迷惑をかけているとかなり信じている
3.自分の大小の欠陥について、ほとんど常に考えている

Ⅻ.死や自殺についての考え

0.死や自殺について考えることはない
1.人生が空っぽに感じ、生きている価値があるかどうか疑問に思う
2.自殺や死について、1週間に数回、数分間にわたって考えることがある
3.自殺や死について1日に何回か細部にわたって考える、または、具体的な自殺の計画を立てたり、実際に死のうとしたりしたことがあった

ⅩⅢ.一般的な興味

0.他人のことやいろいろな活動についての興味は普段と変わらない
1.人々や活動について、普段より興味が薄れていると感じる
2.以前好んでいた活動のうち、1つか2つのことにしか興味がなくなっていると感じる
3.以前好んでいた活動に、ほとんどまったく興味がなくなっている

ⅩⅣ.エネルギーのレベル

0.普段のエネルギーのレベルと変わりない
1.普段よりも疲れやすい
2.普段の日常の活動(例えば、買い物、宿題、料理、出勤など)をやり始めたり、やりとげるのに、大きな努力が必要である
3.ただエネルギーがないという理由だけで、日常の活動のほとんどが実行できない

ⅩⅤ.動きが遅くなった気がする

0.普段どおりの速さで考えたり、話したり、動いたりしている
1.頭の働きが遅くなっていたり、声が単調で平坦に感じる
2.ほとんどの質問に答えるのに何秒かかかり、考えが遅くなっているのがわかる
3.最大の努力をしないと、質問に答えられないことがしばしばである

ⅩⅥ.落ち着かない

0.落ち着かない気持ちはない
1.しばしばそわそわしていて、手をもんだり、座り直したりせずにはいられない
2.動き回りたい衝動があって、かなり落ち着かない
3.ときどき、座っていられなくて歩き回らずにはいられないことがある

【結果】

0~5点 正常
6~10点 軽度うつ病の疑い
11~15点 中等度うつ病の疑い
16~20点 重度うつ病の疑い
21~27点 きわめて重度うつ病の疑い

3.QIDS-Jをやってみよう

せせらぎメンタルクリニックでもオンライン上でQIDS-Jを用意しています。

QIDS-J検査を行うにはこちらから