赤面症の治し方|赤面を克服する3つの治療法

主に対人の緊張によって顔が赤くなりやすく、それによって当人が困っている場合、この状態は「赤面症」と呼ばれ治療の対象となります。

赤面症は「ただ顔が赤くなりやすいだけ」と軽く考えられることがありますが、これは大きな誤解です。赤面症を放置してしまうと、増悪していき、赤面の恐怖から自宅から出れなくなってしまったり、人と接することが出来なくなってしまうこともあります。

しかし赤面症は、適切に治療を行えば改善させることが十分に可能です。

赤面症を改善・克服するために大切な考え方や具体的な治療方法について紹介します。

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1.治療すべき赤面とは?

緊張で顔が赤くなることを「赤面」と呼びますが、この赤面は生理的な反応です。異常な反応では全くありません。そのため、赤面のすべてに治療が必要なわけではありません。

では改善・克服すべき赤面(=赤面症)とはどういったものなのでしょうか。

それは次のような症状を満たす場合であると考えられます。

・主に対人の緊張して顔が赤くなりやすい
・それによって「他者から悪く思われているのでは」と不安・恐怖が強くなってしまっている
・人を避けたり外出が減ったりと、生活に支障が出ている

顔が赤くなりやすい、というだけで治療すべきではありません。顔が赤くなりやすくても、それに対して当人が大きく困っていないのであれば、それはただの体質として放置しておいて良いものです。

顔が赤くなりやすいことに加えて、顔が赤くなることで「人からバカにされるのではないか」「変な人だと思われるのではないか」という不安や恐怖が生じていること、そしてそれによって本人が困っていたり、日常生活に支障が出ている場合、これは治療をした方が良いでしょう。

これらを満たす場合は、赤面を改善させることが、その人の人生や将来を守ることにつながるからです。

2.赤面症治療で大切な考え方

赤面症の治療を行う場合、自分の赤面がどういった原因で生じているのかをしっかりと分析することが大切です。なぜならば、生じている理由によって対処法が異なってくるからです。

赤面症には、大きく分けると2つの問題点があります。「赤面症(赤面恐怖症)はどのような原因で生じるのか」で詳しくお話していますが、それは、

・顔が赤くなること
・それによって他者に悪く思われているのではないかと考えてしまうこと

でした。

このうち、どちらの比重が大きいのかによって治し方・克服法というのは少し変わってきます。

ほとんどの方は後者の方が大きな問題となっていることが多いです。顔が赤くなりやすいことも確かにあるのだけれども、一番の問題はそこではなくて「赤面したらバカにされるのではないか」「変な奴だと思われてしまうのではないか」という不安・恐怖にとらわれてしまっているのです。

あなたはどうでしょうか。

問題は、顔が赤くなりやすいという体質の問題が一番なのか。それとも顔が赤くなることで「他者から悪く思われてしまう」というとらわれが一番の問題なのか。

自身が過去で困った赤面の体験を思い出してみて、分析してみましょう。

ちなみに、体質が主な問題の場合、これは顔面を紅潮させる自律神経が過敏なのが問題となりますので、交感神経遮断術という手術を行うこともあります。

体質もあるけどもとらえ方の問題が大きい場合は、後述の精神療法や行動療法が治療の中心になります。

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3.治療の中心となるのは精神療法

治療の中心になるのは、精神療法と呼ばれるものです。

精神療法とは、会話の中で患者さんの精神面にアプローチして精神症状の改善をはかる治療法です。難しい説明になってしまいましたが、「カウンセリングで治す」ようなものが精神療法だとざっくりとは理解して良いかと思います。

治療者に話を聞いてもらって気持ちが楽になったのであれば、これも精神療法になります。これは「誰かに私の気持ちを分かってもらいたい」「誰かに話を聞いてもらいたい」という患者さんの心理的側面にアプローチした精神療法です。

治療者と話していく中で「考え方を変える」ことを学び、それを実践することで楽になれたのであればそれも精神療法です。これは、その人の考え方のクセという心理的側面にアプローチし、修正をはかるという精神療法になります。

赤面症に有効な精神療法はいくつかあります。具体的な治療法には個人差があるため、主治医先生とよく相談していただきたいのですが、一般的によく行われる治療法についてかんたんに紹介します。

また、これらの精神療法はそれぞれ完全に独立したものではなく、多少オーバーラップしているところもあります。そのため、ひとつの精神療法に限定して行うのではなく、いくつかの精神療法を組み合わせて行われることも多々あります。

Ⅰ.暴露療法

暴露療法は、行動療法という精神療法に属します。

行動療法とは、精神症状悪化の原因となっている行動を分析・把握して、適切な行動に修正していく治療法です。この中の暴露療法とは、あえて苦手な状況に「自分を晒す」と行動を取ることによって徐々に苦手な状況に慣れていくことを目指すという治療になります。

例えば赤面症の方で多い問題は、赤面しないように「人を避ける」ことがあります。

これを敢えて人前に出る状況を意識的に作ることで、徐々に人前に慣れていこうというものです。

暴露療法というとなんだか難しく聞こえますが、要するに「苦手なものに少しずつチャレンジして慣れていこう」ということです。

しかし暴露療法はやり方を間違えると症状をかえって増悪させてしまう危険があるため、独断で行うことは危険です。必ず熟練した治療者(医師やカウンセラー)と相談しながら行ってください。

苦手なことに敢えてチャレンジするわけですから当然、ある程度の苦痛を伴います。いきなり高難度のものにチャレンジして大失敗しまうと、かえって心的外傷を負ってしまったり、「自分はやっぱりダメなんだ」と自信を無くしてしまうことにつながります。

暴露療法は、苦手な状況に自分を晒し、その状況を「乗り越える」ことで自信を付けていく治療法です。そのため、ギリギリ乗り越えられる程度の難易度のものでないといけないのです。その人にとってどのくらいの負荷が、ギリギリ乗り越えられるものなのかを判断するのはかんたんには言えないため、専門家とよく相談した方が良いでしょう。

原則は、負荷の低いものからチャレンジし、成功していくにつれて少しずつ負荷を上げていくという方法を取ります。

例えば、

1.まずは1人の前に1分立ってみる
2.自信がついてきたら今度は同じ状況で日常会話してみる
3.自信がついてきたら今度は3分間で試してみる
4.自信がついてきたら今度は5分間で試してみる
5.自信がついてきたら今度は2人の前で同じことをしてみる

このように少しずつ難易度を上げていきます。

Ⅱ.認知行動療法

私たちは、現実を客観的に認識しているわけではありません。普段は気づきませんが、それぞれ独自の受け取り方をしています。

例えば同じスポーツ番組を見ても、「楽しい!」と感じる方もいれば、「何が面白いのか分からない」と感じる方もいます。それぞれ、自分の「考え方」というフィルターを通してものごとを見ているのです。

人はそれぞれ考え方に独自のクセがあります。また、疲弊した精神状態の時は、人はネガティブな方向に考えてしまいやすい傾向があります。この場合、患者さんのものごとのとらえ方(=認知)の歪みが大きい場合、それを修正してあげることで気分の安定が得られます。

赤面症の方では、「赤面することは悪いことだ」という認知の歪みが生じていることがあります。

この場合、

・赤面が悪いことを裏付ける確かな根拠はあるのか?
・赤面することで本当に大きな問題が起こるのか?

などと治療者と確認していき、自分の認知の歪みに気付いたらそれを修正していきます。

Ⅲ.森田療法

森田療法というのは、日本の精神科医である森田正馬氏が1910年代に考案した精神療法です。

森田療法では、様々な身体反応(赤面・ふるえ・動悸など)や不快な感情反応(不安・緊張・恐怖など)は、自然な反応であり、なんら異常なものではないと考えます。生理的に起こるものですから、これらの反応は「変えることの出来ないこと」として、治療の対象としません。

問題は、身体反応や不快な感情反応ではなく、「その反応にとらわれてしまうこと」であり、ここが治療の対象となります。

赤面というのは緊張時に生じる生理的な反応で、「起こって当然の反応」なのです。それに対して「赤面を起こさないようにしなくては」というのは無理な話でしょう。赤面を消そうとしても消せない。むしろ、消そうとすればするほど赤面を意識することになり、どんどんと赤面にとらわれてしまう。これが赤面症の方に認められる悪循環です。

この悪循環の根本は、赤面を「あってはならないもの」としている点であり、「これは自然な反応である」と受け入れることが森田療法の基礎になります。「赤面が起こるのは正常な反応である」と受け入れることで、「赤面しないようにしなくては」と考えないようになり、悪循環が絶たれます。

また森田氏は、人前で「恥ずかしい」と緊張を感じてしまうのは、「人から良く思われたい」という欲望、そして「悪く思われはしないか」という恐怖があるからだと考えました。そして赤面症の方は、「赤面はあってはならない」というとらわれから、対人に対する恐怖が強くなってしまっています。

とらわれから逃れることで、「よりよく生きたい」という欲望を取り戻すことも治療において大切だと考えられています。

まとめると、

・生理反応を抑えようとしてもそれは無理なのだから受け入れよう
・緊張するのは「より良く生きたい」気持ちがあるのだから、それを自分を苦しめるために使うのではなく、自分を生かすために使おう

ということです。

例えば、人と話していて緊張してしまい「赤面してしまっているのでは」「恥ずかしい」と感じている状況であれば、それは「人前では赤面してはいけない」という思考にとらわれていることに気付いていきます。人と話していて緊張するのは普通のことなのに「赤面はだめだ」という考えには矛盾があることを理解していき、あるがままの自分を受け入れられるようにしていきます。

また、人と話していても「赤面しているのではないか」と不安や恐怖ばかりに気持ちが行ってしまうのであれば、会話で大切なのは「自分が赤面しているか」ではなく、「相手の話を聞くことができたか」であることを再確認し、どうせ緊張するならば、赤面のことを考えるのではなく、本来の会話の目的を達成することを考えようとしていきます。

しっかりと話を聞くことが出来れば相手は満足し、それは自分がより良く生きることにつながります。赤面へのとらわれによって、会話の本来の目的を見失っている場合、それを取り戻していくのです。

森田療法は、神経質、心配性、完璧主義などの神経質的な性格傾向を持つ方に、特に有効であると考えられています。

森田療法は、外来では患者さんは日記を書いていただき、それを治療者と確認していきながら進められていきます。

4.補助的にお薬を使うことも有効

赤面症を治療できる特効薬はありません。

しかし、赤面してしまう背景が不安や緊張・恐怖といった感情にあるのであれば、これらの感情を和らげてあげるお薬は治療に役立つ可能性があります。

これらのお薬を漫然と使い続けても赤面症はなかなか改善しません。お薬で不安を和らげる事で、上記の精神療法の進みがよりスムーズになる、と考えてください。」

Ⅰ.抗不安薬

不安を和らげる作用を持つお薬です。飲んでから即効性もあるため、いざという時に頓服的に使うこともでき、使い勝手の良いお薬です。

例えば、上記の暴露療法を行う時、最初は抗不安薬を服薬して不安を和らげてから暴露していき、慣れていくとともに服薬する抗不安薬の量を減らしていく、という方法も有効でしょう。

また、急な不安・恐怖が襲ってきたとき用として、常に手元に備えておけば「何かあってもお薬があるから大丈夫」というお守り代わりにもなります。

漫然と長期・大量に服薬を続けると耐性・依存性が出現する可能性がありますので、服薬は主治医とよく相談しながら行ってください。

Ⅱ.抗うつ剤

抗うつ剤の中でも、SSRIのようなセロトニンを増やす作用に優れるお薬は抗不安効果があります。

抗不安薬と違って即効性はなく、1~2週間くらい飲み続けると少しずつ効果が出てくるお薬であるため、頓服としては使用できません。

ただし耐性・依存性などはないと考えられていますので、抗不安薬の服薬が長期に渡りそうであれば、抗うつ剤へ切り替えることも有効です。

Ⅲ.漢方薬

一部の漢方薬は、不安を改善する作用を持ちますので、赤面症の治療薬としても有効です。

証や症状によって、合う漢方薬は異なりますが、抗不安作用を持つものとしては、

半夏厚朴湯
・柴朴湯
・柴胡加竜骨牡蛎湯
・甘麦大棗湯
・桂枝加竜骨牡蠣湯
・加味帰脾湯
・柴胡桂枝乾姜湯
・加味逍遙散

などが挙げられます。

5.体質の影響が大きいようであれば手術も考慮

赤面症の方の症状としては、

・顔が赤くなりやすいこと
・それによって他者に悪く思われているというとらわれがあること

があります。

ほとんどの赤面症の方では、後者が本質的な問題ですが、中には体質的に顔が赤くなりやすいことが主な問題で、後者の問題はほとんど認めないケースもあります。

この場合は、精神的な理由というよりは体質的な理由ですので、手術を行うことで改善させることが可能です。胸部交感神経遮断手術という手術で、胸部にある交感神経を焼く手術になります。

ただし、精神面が原因で赤面が生じている場合は手術だけでは改善が不十分になってしまうことがありますので、手術の適応かどうかは医師としっかりと相談してください。

6.赤面症の改善度を上げるためのその他の工夫

その他、赤面症の改善をスムーズにするための工夫を紹介します。

これらもお薬と同じく補助的なものになります。この工夫をしながら精神療法を併用して行っていくことが大切です。

Ⅰ.サングラス・帽子・マスクを使う

外出時などで、どうしても赤面が気になってしまう場合は、サングラスや帽子などの顔を隠せる道具を使うと、少し安心感が得られます。ただし、漫然とこの工夫に逃げるのではなく、慣れてきたら少しずつ顔を出していくことも大切です。

こればかりに頼ってしまうと、サングラス・帽子なしでは外出できなくなってしまい、生活の質がどんどんと狭まってしまいます。この工夫をしながらも精神療法を行って、根本の改善を並行して行うことを忘れないようにしましょう。

Ⅱ.メイクで隠す

主に女性限定の方法になりますが、メイクによって赤面を隠すという工夫をされている方もいらっしゃいます。メイクをすると赤面が目立たなくなる分だけ安心できるといいます。

しかしこれも上記の工夫と同じで、あくまでも一時的な工夫に過ぎません。緊急時はこういった方法で症状が悪化しないようにすることは有効ですが、漫然とこの工夫に逃げてしまうと、生活の質がどんどんと狭まってしまいます。

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