DV・暴力に至る原因とその解決法

DV・暴力

暴力はどんな原因があったとしても許される行為ではありません。

親が子供に暴力を振るったり、夫が妻に暴力を振るったり、息子が年老いた親に暴力を振るったりと、暴力は「体力的な弱者」に対して行われる傾向があります。

自分より力が強い相手から暴力を受けた場合、自分ひとりで何とかしようとしてはいけません。例え親しい人であっても暴力は罪であり周囲に助けを求めるべきものなのです。

DV相談センターなど、専門の機関を必ず頼ってください。また二次的に精神的にも不安定になってしまっているのであれば、私たちにも相談してください。

今日は、暴力に至る原因と、その解決策について考えていきます。

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1.どのような原因で暴力をふるうのか

暴力を振るう側(加害者)はなぜ暴力を振るうのでしょうか。その原因によって取るべき対策は異なってくるため、原因を知ることは意味があります。

その理由は様々ではありますが、比較的多い理由を挙げてみます。

Ⅰ.アルコールなどの物質依存

薬物や嗜好品などの物質を摂取することで、攻撃的になってしまうケースです。

最も多いのが、アルコールです。「アル中の親にいつも暴力を振るわれていた」「夫は酒が入るとすぐに暴れる」などというように、アルコールを摂取することで自制心が効かなくなり、粗暴になってしまう方がいます。

アルコールの他にも麻薬・覚せい剤などを使用しているケースもあります。

Ⅱ.ストレス発散

仕事や人間関係で生まれたストレスをうまく発散できずに溜め込んでいるケースです。

ストレスがうまく発散されなかった場合、「暴力」という形でストレス発散が行われてしまう事があります。

Ⅲ.良識の欠如

残念ながら一般的な良識が欠如しており、暴力を振るい相手を傷つけることに対して「してはいけないこと」「悪いこと」だと考えていない人もいます。

反社会性人格障害・サイコパスなど一部のパーソナリティ障害では、良識が欠如していることがあり、暴力に至りやすい傾向があることが指摘されています。

幼少期に虐待や家庭内暴力の既往がある場合は、自分自身も暴力をふるうようになることが多いと報告されています。アダルトチルドレンなど機能不全家庭で育ち、十分な親から愛情を受けれなかった方は、感情を上手に表現できないために暴力的となることもあるのです。

また、このような明らかな素因がなかったとしても、元々の性格や考え方として暴力を振るうことをそこまで問題だと捉えていない人もいます。

Ⅳ.精神疾患

精神疾患によって暴力が出現していることがあります。

例えば、統合失調症などでは、幻聴に影響されて攻撃的になることがありますし、躁病でも興奮状態・易怒的となり、暴力に発展することもあります。認知症で不穏・興奮状態となり暴力へ至ることもあります。

自閉症スペクトラム障害(発達障害、アスペルガー症候群など)で、他者とのコミュニケーションがうまく取れず、その葛藤から暴力的になるケースもあります。

2.本人に治そうとする意志はあるのかが重要

原因とともに大切なものが、自分が暴力を振るったことに対してどのように認識しているのかです。

カッとなって暴力を振るったけど、それに対して罪悪感を持ち反省しているのか、それともあまり悪いことをしたとは思っていないのか。

中には暴力を振ったことを「自分は正しいことをしている」「これは必要なものなのだ」と考えていることもあります。

振った暴力に対して、どのように認識しているのかは、暴力を解決するための重要なポイントとなります。

加害者自身、暴力をやめたいと思っているんだけど、ついまた振るってしまうという事が実際は多いものです。このように「罪の意識がある」場合は、積極的な治療を導入できる可能性が高くなります。

「あまり悪いと思っていない」「暴力を振るいたくなるような行動を取る相手が悪いんだ」というケースでは、残念ながら法的な対処しかないこともあります。このようなケースでは、例え医療機関を受診したとしても治療に協力的でないため、お薬を処方しても飲んでいただけないし、カウンセリングや精神療法も導入できないことがほとんどだからです。

どんな理由であっても暴力は罪です。許されるものではありません。

本人に反省があるのであれば、協力して治していくことが第一の方法ですが、反省が乏しい場合は、本人のためだと割り切って法的な手段に踏み切ることも現実的には必要になります。

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3.原因によって解決法は異なる

DV、暴力の解決法は、本人に更生の意思があるのかどうかで大きく変わってきます。

Ⅰ.更生の意思がある場合

罪の意識があり、「自分でも暴力を治したいと思っている」という場合は、原因に応じた治療法を受けてもらいます。

精神疾患に伴うものであれば、精神科を受診し適切な治療を受ければ攻撃性は落ち着くでしょう。

虐待や機能不全家庭での生育などの既往がある場合は、カウンセリングを受けたり自助グループに参加することで、少しずつ感情を取り戻していく作業を行う必要があります。

アルコールや覚せい剤などで暴力をふるうのであれば、原因物質の摂取を止めるしかありません。依存性が形成されているケースでは、自分だけで止めようと頑張ってもついまた摂取してしまうことが多いため、家族の協力や薬物治療、入院治療なども時に必要になります。

ストレスが原因であれば、「環境を変えてストレスを軽減させる」「ストレスを受け流す能力を身に付ける」こと工夫していきましょう。

環境調整としては具体的には転職・配置転換・引っ越しなどが挙げられます。仕事のストレスがあまりにひどくて、今の仕事を続けている限り家庭内でのイライラを抑えられる自信がない、という場合は退職・転職は検討しないといけません。

現実的にすぐには仕事を変えるのは難しいということも多いでしょうが、今の生活を続けるということは自分のみならず周囲にも大きな苦痛を与えていることを自覚しなくてはいけません。

ストレスに対する対処法を身につけるというのは、自分でストレス解消法を探してみてもいいでしょうし、精神科医やカウンセラーなどの診察・カウンセリングを受けながら、ストレスとの付き合い方を学んでいくという方法もあります。

Ⅱ.更生の意志が乏しい場合

罪の意識がない場合は、強制的な治療を受ける必要もあります。

例えば、統合失調症の幻聴から暴力を振るう場合を考えてみましょう。病気の症状とは言え、本人は「悪の組織に狙われているのだから暴力で対抗するのは正当だ」といい、罪の意識はほとんどありません。

この場合、精神疾患による他害行為がある場合は、精神保健指定医の判断のもと、本人の同意がなくても強制的に入院となることがあります。

また、夫から妻への暴力などでは配偶者暴力防止法にのっとり、物理的に距離を取ることもできます。DV相談センターや警察などに相談することで、お子さんとともに一時保護してもらったり、裁判所から保護命令を出してもらい、被害者へ接近することの禁止・電話の禁止などの対応を取ってもらうこともできます。

更生の意志がない場合でも、まずは説得して暴力をやめてもらうようにすることは大切です。しかし、説得の効果が薄い場合、漫然と説得を続けるのは危険です。

説得自体が加害者の機嫌を損ねて暴力が始まる原因となってしまうこともありますし、暴力はいたずらに様子見を続けていると、どんどんとひどくなっていくことが多いからです。

暴力を振るわれても、相手に情も感じてしまい、なかなか周囲に相談できないという人は少なくありません。その気持ちはもちろん理解できるものですが、暴力は罪であり、改善ない場合は法的手段も考えることが自分の身を守るためのみならず本人のためでもある、という考えを持ってください。

4.暴力を慢性化させないために大事なこと

どんな理由があっても「暴力は犯罪なんだ」という認識を持たないといけません。DVなどの暴力を受けていながら、誰にも相談せずに一人で耐えている方は非常に多いと言われています。「わたしが我慢すれば済む」という意識を持っている被害者の方は結構多いのですが、この考え方は危険です。

DV(Domestic Violence)、家庭内暴力という言葉が広く知られるようになり、暴力相談の窓口も増えてきたため、以前よりは暴力に対しての解決がしやすい社会になってきました。それでも表面化していない暴力はまだまだ多いと感じます。

「わたしが我慢すれば済む」という対処法は、いつかは破綻します。暴力は、なんらかの対処を講じない限り、次第にエスカレートしていくということを知っておかなければいけません。暴力を受けている被害者も、いくらでも我慢できるわけはありません。いつかは限界がきます。

どんな理由があったとしても、暴力を振るうことは許されることではありません。しっかりとした対策を講じることが、自分のためだけではなく相手のためでもあるのだという認識を必ず持ってください。

・次、暴力を振るったら一緒に病院に受診しに行く
・次、暴力を振るったら一緒にDV相談窓口に行く

このような約束をして、それでも暴力を振るわれたら、この約束は必ず実行してください。「次からは絶対振るわないから今回は勘弁して」このように言われても、約束を曲げてはいけません。

昔、統合失調症で暴力的になった患者さんを診察したことがあります。その両親は裕福な方であり、なんと10年以上の間、受診をさせず家に閉じ込めておくことで何とか様子をみていたというのです。

もし最初から適切な治療をしていれば、両親の負担も少なくて済んだはずですし、患者さん本人も閉じ込められずに有意義な人生を送っていたでしょう。

この例では、暴力を誰にも相談せずに我慢し続けていた結果、加害者も被害者もお互い不幸な結果となってしまったのです。

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