サインバルタの離脱症状とその解決法

サインバルタ離脱症状イメージ

サインバルタをはじめとした、抗うつ剤は減量の際に「離脱症状」が生じることがあります。これは抗うつ剤独特の現象で、薬の血中濃度の急な低下に、からだが対応できずに生じる反応です。

患者さんの間では「シャンビリ」とも呼ばれています。これは耳鳴りが「シャンシャン」鳴り、手足が「ビリビリ」痺れることから付けられた俗称です。

医師の指示に従って慎重に減薬すれば、離脱症状を 起こす頻度はそれほど多くはありません。しかしこれは個人差があり、中には指示通りの減薬法でも離脱症状が出てしまうこともあります。

ここでは、離脱症状が生じる理由や、その対処法について考えてみましょう。

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1.サインバルタの離脱症状が生じるワケ

サインバルタをはじめとした抗うつ剤の離脱症状は、抗うつ剤の量が急に減ったことに対して、体が対応しきれずに自律神経のバランスが崩れ、その結果として生じます。

ある程度の期間、抗うつ剤を内服していると、私たちの体は「毎日抗うつ剤は入ってくるもの」と認識し、それに基づいてからだの様々な機能を調整するようになります。

それが、ある日突然入ってこない、あるいは入ってくる量が予想外に少ない、となると体はパニック状態になります。当然入ってくると思っていたものが入ってこないわけだから、体の機能の調整も不具合が生じます。

結果として、様々な自律神経症状が体に現れてしまいます。代表的な症状には、耳鳴り、めまい、しびれ、頭痛などがあり、これが離脱症状の正体です。

私たちの体は急激な変化に弱いのです。変化をさせたい場合は、急激にではなく、徐々に変えていかないといけません。

2.離脱症状の他抗うつ剤との比較

離脱症状は、SSRI、SNRIに多くみられ、三環系抗うつ剤でも見られます。

出現する頻度は薬剤によって差がありますが、軽度なものも含めると、約20%程度の頻度で生じると言われています。

離脱症状は、抗うつ剤の中でも「効果の強いお薬」「キレのいいお薬」に多くみられます。効果の強いお薬の方が、減った時の体内への影響が大きいためです。

また、半減期(薬の持続時間をはかる一つの指標)が短いほど、離脱症状が起きやすいと言われています。半減期が長いと、お薬が長く体に残るということなので、血中濃度は一定しやすいですが、反対に半減期が短いと、お薬がすぐに抜けてしまうということなので、血中濃度は一定しにくいのです。

お薬の血中濃度が一定しにくいと、バランスも保ちにくくなるため、離脱症状が起きやすくなるのでしょう。

ここで各抗うつ剤の半減期を見てみましょう。

抗うつ剤半減期(時間)抗うつ剤半減期(時間)
(Nassa)リフレックス/レメロン32時間(SSRI)パキシル14時間
(四環系)ルジオミール46時間(SSRI)ルボックス/デプロメール8.9時間
(四環系)テトラミド18時間(SSRI)ジェイゾロフト22-24時間
デジレル6-7時間(SSRI)レクサプロ24.6ー27.7時間
(三環系)トフラニール9-20時間(SNRI)トレドミン8.2時間
(三環系)トリプタノール31±13時間(SNRI)サインバルタ10.6時間
(三環系)アナフラニール21時間スルピリド8時間
(三環系)ノリトレン26.7±8.5時間
(三環系)アモキサン8時間

上記の「効果が強い」「半減期の短い」の二つを満たしているSSRI/SNRIが離脱症状が多いと言えます。具体的にいうと、パキシルで一番多いです。

パキシル以外のSSRIは離脱症状に関して「なくはない」程度でしょうか。まったくないわけではありませんが、それほど多い印象はありません。

三環系抗うつ剤は、離脱症状は生じえますが、その頻度はSSRI、SNRIと比べると少ないと考えられています。

マイルドな効果を示すデジレルや四環系、ドグマチール、トレドミンなどは半減期は短いですが、あまり離脱症状で困ることはありません。

また、リフレックス/レメロンは、効果は強いですが、離脱症状はほとんど経験しません。

さて、肝心のサインバルタはというと、パキシルよりは少ないですが、その他のSSRIよりは若干多いという印象を私はもっています。効果が強めなことと半減期が短いことが関係しているのでしょう。

サインバルタの離脱症状は、抗うつ剤の中では「非常に多いわけではないが、まぁまぁの頻度で認められる」といったところでしょうか。

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3.離脱症状の対処法

臨床で離脱症状を経験するのは、次の2つのパターンがほとんどです。

・自己判断でサインバルタを中止してみた。
・医師との相談の元、減薬をした。

まず、前者が圧倒的に多いです。ほとんどの方にとって、抗うつ剤は「飲みたくないもの」なのです。

だから、少し調子が良くなると、「もう飲むのをやめちゃおうかな」と考え、自己判断で中断してしまうのです。

中止した翌日くらいから、徐々に離脱症状が出現してきて、慌てて精神科・心療内科に駆け込む、ということが多いです。

この場合、原因は明らかですから、お薬を再開すれば数日で改善します。

早く抗うつ剤を辞めたい気持ちはとても良く分かりますが、自己判断で中断しないようにしましょう。

次に後者の場合は、どうすればいいでしょうか?

「大分調子がいいからお薬を少し減らしてみましょう」
「副作用が強く出すぎているので少しお薬を減らしましょう」

このように医師と相談した上で、お薬を減薬した場合でも離脱症状が生じることもあります。この場合に考えうる解決策を考えてみます。

Ⅰ.減薬を延期する

急いで減薬する理由がない場合は、もう少し様子をみてから、数か月後に減薬するとうまくいくことがあります。

離脱症状は、疾患が治りきってない時に無理して減薬すると起きやすい印象があります。病気が治りきってないということは、まだまだ自分の体だけでセロトニンを出す力が不十分だということ。この時にお薬を減らしてしまうと、反動が出やすくなり離脱症状も起きやすくなるのです。

数か月待ち、もっと病気が良くなって、自分が体がセロトニンを出す力が出てきてから減薬すれば、抗うつ剤が減っても持ちこたえられる可能性が上がります。

Ⅱ.減薬ペースを落とす

離脱症状対策の基本はこれです。

人の体は急激な変化に弱いという特徴があります。なので、可能な限りゆるやかに減らしていけば、反動は起きにくくなります。

早く減らしたい気持ちはとても良く分かりますが、少しずつ確実に減らしてみましょう。その方が、結果的に早く薬を辞められることも多いのです。

例えば、サインバルタ60mgを内服していて、40mgに減薬して離脱症状が出た場合は、50mgを間に挟んでみるのです。

脱カプセル(カプセルを取ってカプセル内に入ってる粉だけを内服する)をしてくれる薬局があれば、脱カプセルをすることで、55mgにするなど、より細かい調整も可能となります。

期間も大事で、一般的には2週間に一度のペースで減らしていくのがいいとされてますが、そのペースで離脱症状が出てしまう時は、1か月に一回のペースで減らすなどしてみましょう。

問題となるのがサインバルタ20mgからの減薬です。サインバルタはカプセルは剤型として20mgカプセルと30mgカプセルの2種類しかありません。またカプセルの特性上、半分に割ることができないのです。

となると、20mgから0mgにした際に離脱症状が出てしまった際はどうすればいいのか、という問題が生じます。

私が今まで取った方法で成功したものに、

・脱カプセルして、10mgや15mg相当量にしてもらい、漸減していく
・サインバルタ20mgを2日に1回投与する、などの投与間隔をあけていく
・別のお薬(ジェイゾロフトやトレドミンなど)に切り替え、そこからまた減薬していく

などの方法があります。ぜひ、参考にしてみて下さい。

Ⅲ.他剤に切り替えてみる

離脱症状の比較的出にくいお薬に切り替えてみることも手です。

離脱症状の出にくさだけでいうと、リフレックス/レメロン、ドグマチール、ジェイゾロフト、トレドミンなどが候補に挙がります。

ただし、離脱症状以外のメリットデメリットがそれぞれのお薬にありますので、主治医を相談しながら変えるお薬は決めましょう。

4.離脱症状と再発を混同しないこと!

抗うつ剤をやめたり減らしたりして、離脱症状が出現すると、

「薬を辞めて症状が出るということは、まだ病気が治ってないんだ」
「一生薬に頼っていかないといけないんだ・・・」

と「病気が再発してしまった」と誤解する方が非常に多くいます。

しかし、離脱症状と病気の症状は全くの別物で、ここは切り離して考えないといけません。離脱症状は「抗うつ剤の血中濃度が急に下がったことで体がびっくりして」起こった症状なだけで、別に病気が再発したわけではありません。

体をびっくりさせなければ起きない症状なのですから。ここを誤解して、絶望的になってしまう方は非常に多いです。

離脱症状が出たからと言って、病気が治っていないわけではない。離脱症状は、病気の治りとは全く無関係に出現する「副作用」なんだと、正しく理解しましょう。

まとめ

・離脱症状は、抗うつ剤の量が急に変わったことで、体がびっくりして生じる

・離脱症状は「効果の強い抗うつ剤」「半減期の短い抗うつ剤」に多く、
サインバルタもやや多く認められる。

・離脱症状が生じた場合、自己判断での断薬が原因なら、内服を再開することで改善する。

・減薬の過程で離脱症状が出現した際は、減薬を延期したり、減薬ペースを緩めたり、
他剤に切り替えるなどの方法を取ることで対処できる

・離脱症状は副作用であり、病気が再発・悪化して出現しているわけではない。

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