サインバルタの眠気が出た時の6つの対処法

サインバルタ眠気イメージ

サインバルタをはじめ、抗うつ剤には副作用に「眠気」があります。

これは抗うつ剤が、ヒスタミン受容体という部位を遮断するために起こる副作用で(抗ヒスタミン作用)、アレルギーや花粉症のお薬で眠くなるのと似た機序です。

実は、サインバルタの抗ヒスタミン作用は弱く、眠気は抗うつ剤の中では起こりにくいと言えます。しかし抗うつ剤の効きは個人差が大きいため、現実として、眠気がひどい方は確かにいます。

ここでは、サインバルタの副作用である眠気について詳しく掘り下げ、その対処法についても考えていきたいと思います。

スポンサーリンク

1.サインバルタで眠気が生じるワケ

サインバルタをはじめとする抗うつ剤は、脳内のモノアミンと呼ばれる物質を増やすことで、抗うつ効果を発揮します。

モノアミンとは、セロトニン、ノルアドレナリン、ドパミンなどの総称で、理論的には、セロトニンは落ち込みや不安を、ノルアドレナリンは意欲や活気を、ドパミンは楽しみや快楽を改善させると言われています。

抗うつ剤が脳の作用して欲しい場所だけにピンポイントで作用してくれれば、上記の症状だけを改善させてくれるのですが、残念ながらお薬は血液に乗って、全身にくまなく回ってしまい、作用して欲しくないところにも作用してしまいます。

それが「副作用」と呼ばれるもので、眠気は抗うつ剤でしばしばみられる副作用です。

眠気が生じる主な原因は、抗うつ剤が、「ヒスタミン受容体」と呼ばれる受容体を遮断してしまうためです。

花粉症やアレルギー疾患で内科で頻用されるお薬に「抗ヒスタミン薬」と呼ばれるものがあります。商品名で言うと、アレグラ、アレロック、タリオン、アレジオン、ザイザルなどです。抗ヒスタミン薬も飲むと眠くなりますが、抗うつ剤と同じくヒスタミン受容体が遮断されるためです。

更に抗うつ剤の場合、この抗ヒスタミン作用以外にもα1受容体遮断作用、5HT2遮断作用というのがあり、これも眠気を招く原因となります。

αとはアドレナリンのことで、アドレナリン1受容体が遮断されると血圧が低下し、ふらついたり、ボーッとしたりします(α1受容体遮断薬は降圧剤として使われています。エブランチル、カルデナリンなど)。

5HTとはセロトニンのことで、セロトニン受容体のうち、5HT2という受容体を遮断すると神経興奮が抑制されます。これは気持ちが落ち着くという良い作用にもなりますが、興奮が抑制されれば、リラックスして眠くもなります。

これが、サインバルタに限らずほとんどの抗うつ剤に共通する眠気が生じる理由です。

2.他の抗うつ剤との比較

サインバルタで生じる眠気は、昔の抗うつ剤と比べるとだいぶ軽減されています。しかし、抗うつ剤の効きは個人差が非常に大きいため、人によっては眠気が出てしまいます。

抗うつ剤の中で、眠気が強力なのものは「鎮静系抗うつ剤」と呼ばれています。リフレックス/レメロンといったNassa(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬)、テトラミドといった四環系抗うつ剤、デジレルなどがあります。

これらは眠気が強く、逆に睡眠剤として利用されるほどです。不眠を伴ううつ病の方には良い適応になりますが、眠気の頻度は総じてサインバルタよりも多いでしょう。

三環系抗うつ剤はどうでしょうか?トフラニール、トリプタノール、ノリトレン、アナフラニール、アモキサンなどです。

三環系は昔の抗うつ剤で、SSRIやSNRIと比べると作りも荒いため、副作用は全体的に多く、 眠気に関してもサインバルタよりも多いと考えられます。

では、パキシル、ジェイゾロフト、レクサプロ、ルボックス/デプロメールといったSSRIと比べるとどうでしょうか?

実はSSRIと比べても、SNRIであるサインバルタの方が眠気の頻度は少なめです。SSRIはセロトニンを選択的に増やすため、脳をリラックスさせ眠気を生じさせますが、サインバルタはセロトニンだけでなくノルアドレナリンにも作用します。

ノルアドレナリンは意欲や活気を上げる「覚醒系」の物質であるため、眠気は起こしにくいのです。

ただし、SSRIの中でもジェイゾロフトなどは眠気も含めた副作用が比較的少ないため、切り替えることで眠気が軽減できた症例も少なくありません。

ドグマチールというお薬も眠気の頻度は少ないため、眠気を軽減することだけで言えば、切り替えれば改善の可能性はあるでしょう。ドグマチールには抗ヒスタミン作用やα1受容体遮断作用がほとんどないのです。

最後に、あくまでも目安ですが、眠気の強さを薬剤別に比較したものを表にまとめてみましたので参考にしてみて下さい(個人差がありますので、この通りにならないこともあります)。

抗うつ剤眠気抗うつ剤眠気
(Nassa)リフレックス/レメロン(+++)(SSRI)パキシル(+)
(四環系)ルジオミール(++)(SSRI)ルボックス/デプロメール(+)
(四環系)テトラミド(++)(SSRI)ジェイゾロフト(±)
デジレル(++)(SSRI)レクサプロ(±)
(三環系)トフラニール(+)(SNRI)トレドミン(±)
(三環系)トリプタノール(++)(SNRI)サインバルタ(±)
(三環系)アナフラニール(+)スルピリド(±)
(三環系)ノリトレン(+)
(三環系)アモキサン(+)

スポンサーリンク

3.サインバルタの眠気の対処法

サインバルタが眠気を起こす頻度は少ないことをお話ししました。しかし、それでも実際に眠気が出てしまったらどうすればいいでしょうか。対処法について考えてみます。

Ⅰ.慣れるまで待ってみる

まだ飲み始めて日が浅い場合は、少し様子をみてみましょう。抗うつ剤の副作用は「慣れてくる」ことが少なくありません。

1~2週間様子を見たら副作用が大分軽くなってきた、ということは眠気に限らず臨床でよく経験することです。人間の体は順応する力を持っているのです。

Ⅱ.睡眠を見直す

そもそもの睡眠に問題がないかを見直すことも忘れてはいけません。

そもそも不規則な睡眠リズムだったり、十分な睡眠時間をとってないのであれば、その眠気は副作用ではなく、薬を飲み始めたことで睡眠の問題が表面化したに過ぎません。

睡眠環境や睡眠時間に問題がないかを見直し、問題があれば安易に薬のせいと決めつけずに問題を解決することを試みてみましょう。

Ⅲ.併用薬に問題はないか?

併用薬によっては、サインバルタの副作用を強くしてしまうことがあります。

例えば薬ではありませんが、アルコールも飲んでいたとしたら、サインバルタの血中濃度が不安定になり、眠気が強く出る可能性は十分にあります。その場合は、断酒しない限りは眠気の改善は図れません。

他にもサインバルタの副作用を増強してしまう可能性のあるものとして、クラビット(抗生物質)、プロノン、タンボコール(抗不整脈薬)、トリプタン系(片頭痛薬)、
トラムセット(鎮痛薬)、ワーファリン(抗凝固薬)などがあります。

Ⅳ.肝機能・腎機能に問題はないか?

肝機能や腎機能が悪い方は、お薬の代謝・排泄の機能が落ちているため、通常量を投与してしまうと、多すぎる場合があります。この場合、副作用も通常より強く出現してしまいます。

血液検査や健康診断で肝機能障害、腎機能障害を指摘されている場合、必ず主治医に伝えないといけません。

Ⅴ.服用時間を変えてみる

飲む時間を変えてみる、という方法があります。サインバルタは添付文書通りだと朝食後の服用になりますが、眠気がくるのであれば、眠前に飲むようにするのも手です。

そうすれば、眠気が出ても眠る時間なので、問題なくなります。

ただし、サインバルタは睡眠を浅くする可能性があります。SSRIやSNRIは深部睡眠(深い眠り)を障害すると言われています。寝苦しい、悪夢を見るなど出現する場合は、この方法はやめた方がいいかもしれません

Ⅵ.減薬・変薬をする

数週間しても眠気が軽減しない場合は、今後も改善がない可能性があります。眠気が生活に支障を来たしているのであれば、減薬や変薬も考える必要があります。

病気に対する効果が出ているのであれば、薬を変えてしまうのはもったいなくも感じます。そういう場合は、サインバルタの量を少し減らしてみてもいいかもしれません。

量を少し減らしてみて、うつ病の悪化も認めず、眠気も軽くなるようであれば成功です。その量で維持していきましょう。

病気に対する効果がまったく出ておらず、副作用だけが出てしまうのであれば、別の抗うつ剤に切り替えるのも手です。

どのお薬に切り替えるかは、主治医とよく相談して決めるべきですが、「眠気が少ないもの」でいうと、ドグマチールやジェイゾロフト、レクサプロ、トレドミンあたりが候補に挙がるでしょう。

ただし、どの抗うつ剤も一長一短ありますので、眠気の副作用だけに捉われず、主治医とよく相談してから決めてください。

スポンサーリンク
こちらの記事も是非ご覧下さい