サインバルタの「吐き気」の副作用とその対処法

サインバルタ吐き気イメージ

サインバルタを服用すると、しばしば吐き気・気持ち悪さといった副作用に悩まされることがあります。これはサインバルタに限らず、SSRI/SNRIに多い副作用で、特に飲み始めに強く出ます。

なぜ、サインバルタで吐き気が生じるのでしょうか。また、吐き気の副作用が出てしまった時は改善策はあるのでしょうか?

このコラムでは、サインバルタと吐き気について説明していきたいと思います。

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1.サインバルタの吐き気が生じる理由

サインバルタの吐き気の多くは、内服初期つまり「飲み始め」に起こります。

飲んで数時間経つと気持ち悪くなってくるため、「このお薬は本当に大丈夫なんだろうか?」と不安になってしまう方も多いと思います。

しかし、吐き気が起きたということは、薬が効いてきているということでもあります。

サインバルタをはじめ、多くの抗うつ剤は「脳の神経のセロトニンを増やす」ことを目的に投与されます。

しかし実際は脳だけでなく、お薬は全身に回り、様々な部位のセロトニン受容体に結合してしまいます。

実は、セロトニン受容体のうち、脳に存在するのは10%程未満で、残り90%以上は脳以外に存在しています。脳以外で一番多いのは胃や腸などの消化管です。

この、消化管に存在する5HT3受容体(5HTとはセロトニンのことです)をサインバルタが刺激することにより、吐き気や胃部不快感が生じるのです。

2.他抗うつ剤との吐き気の比較

吐き気は、SSRI/SNRIのほとんどに見られます。頻度としては30-40%くらいで、サインバルタもそのくらいです。

しかし反面、三環系や四環系、Nassaなどの他の抗うつ剤ではあまり見られず、SSRI/SNRIに特徴的な副作用と言えます。

他抗うつ剤との比較は、おおよそ下記表のような印象があります。

抗うつ剤吐き気の頻度抗うつ剤吐き気の頻度
(Nassa)リフレックス/レメロン(ー)(SSRI)パキシル(++)
(四環系)ルジオミール(-)(SSRI)ルボックス/デプロメール(+++)
(四環系)テトラミド(-)(SSRI)ジェイゾロフト(++)
デジレル(-)(SSRI)レクサプロ(++)
(三環系)トフラニール(±)(SNRI)トレドミン(+)
(三環系)トリプタノール(±)(SNRI)サインバルタ(++)
(三環系)アナフラニール(+)スルピリド(-)
(三環系)ノリトレン(±)
(三環系)アモキサン(±)

SSRI/SNRIに多く、その中でもデプロメール/ルボックスは多く、トレドミンはやや少ない感じです。

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3.サインバルタの吐き気の改善策

サインバルタを処方され、恐る恐る飲んでみたら、強い吐き気に襲われた。

こうなると「この薬は危ない薬なんじゃないか」と不安になってしまうかもしれません。しかし、安心してください。この吐き気はほとんどの場合、適切に対応することで消失します。

それでは、具体的な対応策をみてみましょう。

Ⅰ.様子をみる

まず、90%以上のほとんどの患者さんで、この「吐き気」の副作用は自然と改善します。セロトニンを増やすお薬が体に急に入ってくるため、最初は体も対応できずに強く副作用が出てしまいますが、1-2週間もすれば薬は体になじんできます。

最初の1~2週間が一番つらいので、何とかここを乗り切りましょう。吐き気が出ているということは、体のセロトニンが増えているという証拠なんだ、と前向きに考えてみてください。

自然と改善することが分かっているので、軽い吐き気であれば、様子を見てみることも手です。

Ⅱ.胃薬を併用する

現状、一番取られている方法がこれになります。

胃腸炎や胃潰瘍の時に内科で処方される胃薬は、サインバルタの副作用の吐き気にも効果があります。

よく使われる胃薬としては、

ガスモチン・・・消化管運動改善薬。胃腸の蠕動運動を促進する5HT4受容体を刺激するお薬です

ソロン・・・胃粘膜保護・防御因子増強薬。胃のプロスタグランジンを増加させることで胃粘膜を保護します。

ナウゼリン・・・制吐薬。ドパミン受容体を遮断することで吐き気を抑えます。

ガスター・・・H(ヒスタミン)2受容体阻害薬。胃壁のヒスタミン受容体を阻害することで、胃酸の過分泌を抑えます。

などがあります。

吐き気が生じる頻度は30-40%と少なくありません。そのため、吐き気が出てから投与するのではなく、最初から予防的に抗うつ剤と胃薬をセットで出すことも多いです。

胃腸がもともと弱い。吐き気が心配という方は、主治医と相談し、胃薬もあらかじめもらっておきましょう。

Ⅲ.抗うつ剤の種類を変える

上記の方法でも改善が得られず、吐き気が持続している場合は、薬を変えることも方法です。

吐き気が少ないものというと、リフレックス/レメロンやドグマチールが候補になるでしょう。ただし、リフレックス/レメロンは吐き気は起きませんが、体重増加や眠気など別の副作用があり得ますので、主治医とよく相談して決めましょう。

ドグマチールは抗うつ剤ですが、もともとは胃薬として開発され、途中で抗うつ効果が発見されたというお薬です。

元々が胃薬ですから、胃腸の副作用が起きる可能性はほとんどなく、かえって胃腸に良いくらいですので、これも候補に挙がります。

まとめ

・サインバルタの吐き気は、胃腸に存在する5HT(セロトニン)3受容体が刺激されることによって生じる

・吐き気はSSRI/SNRIの30-40%程度に認められる副作用である。

・ほとんどは1-2週間で改善するため、様子をみるのも手である。

・胃薬は副作用の吐き気予防に効果があるため、併用してもよい。

・どうしても吐き気の改善が得られない場合は、別の抗うつ剤に変更する。

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