うつ病で休職中の過ごし方。7つのポイント

うつ病をわずらってしまったとき、状況によっては「休職が必要」と判断されることもあります。

休職は、うつ病における有効な治療法のひとつですが、その効果は、休職中の過ごし方によって大きく変わります。

せっかく休職をして、うつ病治療に取り組むのですから、休職する目的や意味をしっかりと理解し、治療効果を最大限に得られる休職にしたいものです。

ここでは、うつ病で休職する時に気を付けるべき過ごし方のポイントを紹介したいと思います。

1.休職することを受け入れる

うつ病にかかってしまう方は、自分に厳しい方や一生懸命な方が多いため、
休職するとなると

「みんな仕事をしてるのに自分だけ休んでしまっている・・・」
「職場のみんなに迷惑をかけてしまう・・・」
「こんなの甘えているだけだ。自分はなんてダメなんだ・・・」

と自分を責める方向に考えてしまう事が多いようです。

これは良くありません。
実は、このように考えてしまうだけでうつ病の治りを悪くしてしまうのです。

休職は何のためにするのでしょうか。

それは「こころを休めるため」です。

 

うつ病の治療には「こころの休養」がとても有効なのです。
仕事が「こころの休養」を妨げる大きな原因のひとつになっていると判断された場合、
私たちは休職させることを考えます。

それなのに、休職中に
「職場のみんなに迷惑をかけている・・・」「自分ってダメだ・・・」
なんて考えていたらどうでしょうか。

全く、こころが休まってませんよね。

これではうつ病の治りが悪くなってしまうのは明らかです。
せっかく休職をしているのに、とてももったいないことです。

休職しても、なかなか治りが悪い方は、このような自責的な考え方を
休職中にしていることが多いようです。

休職は、あなたが「休みたいんで休ませてください!」と希望したから与えられたのではありません。
私たち、こころの専門家が必要だと判断したから指示されたものなのです。

内科の先生に
「あなたは肺炎を起こしてるから、2週間仕事を休んで治療に専念しなさい」と言われたら、休まないといけません。

整形外科の先生に
「あなたは骨折しているから、1か月は力仕事をしてはいけません」と言われたら、一か月は力仕事はできません。

当たり前の事です。

それはあなたがダメだからそうなったのではなく、たまたま病気にかかってしまい、
専門家が「休むべき」と判断したからそうなっているのです。

うつ病だって全く同じです。

「休職するなんてダメな人間だ・・・」

とか考えるのではなく、

「今は休むことが、自分がすべき一番の仕事なんだ」

と考えてください。

休職中は仕事の事はなるべく考えないようにしましょう。

確かにあなたが休んだ分の仕事は誰かがやらないといけないわけですから、
職場の人には多少迷惑をかけてしまうかもしれません。

でも、「病気」で休むことになってしまったのですから、仕方ないのです。

「あいつ、何肺炎なんかで休んでるんだよ。むかつくな」
「あいつ、骨折したくらいで力仕事しないなんておかしいんじゃない?」

こんな事を言う人はいないと思います。
こんな非常識な発言をすれば、みんなから軽蔑されるでしょう。

うつ病だって、肺炎や骨折と同じ病気なのです。
専門家が休む必要があると判断したのであれば、休むべきなのです。

2.規則正しい生活。これは鉄則!

休職になると、仕事で忙しかった毎日が時間がたくさんある毎日に一変します。
あまりの環境の変化に、何をしていいのか分からなくなる人もいるでしょう。

休職中の生活の注意点で、一番してはいけないのが、昼夜逆転など生活リズムの崩れです。

どんなに気持ちが辛くても、やる気が出なくても、生活リズムだけは崩さないようにしましょう。
朝起きて、夜は寝る。当たり前のことですが、これは非常に大切なことです。

不眠症患者さんや夜勤労働者など、生活リズムが不規則な方は
うつ病になる危険性が高いという報告もあります。

生活リズムが不安定であることは、それだけでうつ病の治りを遅くしてしまうのです。

 

また、生活のリズムを朝方に保っておかないと、復職した時に適応できなくなってしまいます。

3.三食規則正しく食べよう

たとえお腹が減っていなかったとしても朝昼晩と三食をしっかり取りましょう。
少量でもいいです。食べられるだけでいいので食べましょう。

規則正しい食事を取ることは、前述の規則正しい生活をするためのリズム作りにもなります。

また、栄養状態が悪いとうつ病の治りは悪くなりますから、
栄養状態を良い状態に保つという意味もあります。

外食でもいいですが、できれば家族と一緒に食べたり、
簡単なものでいいので自炊したりしてみましょう。

時間はあると思いますので、ゆっくりと自炊してみれば、
いいリハビリにもなります。

4.1日1回は外へ出よう

うつ病になるとやる気などエネルギーが落ちるため、活動するのがおっくうになります。

無理して動き回る必要はありませんが、1日1回は外に出て日の光を浴びましょう。
人ごみは疲れますので、人の少ない時間帯、人の少ない静かな場所で構いません。
ちょっとした買い物でもいいし、近くの公園を散歩するのでもいいでしょう。

時間は短くても構いません。
体力的にしんどければ、15-30分程度でも充分です。

全く身体を動かさないで一日中家の中にこもっていると、どんどん動くことがおっくうになります。
すると更にこもりがちになり、悪循環になってしまいます。

おすすめは朝の公園の散歩です。
平日ならそこまで人も多くありませんし、朝は静かですから、ゆったりした気持ちで身体を動かせます。

それ以外でも、自分に生活スタイルに合わせた外出で構いませんので、
一日一回、日の出ている時間に外に出るようにしてください。

5.昼寝はなるべくしない、横にならない

やることがないと眠くなってきます。
また、抗うつ剤や抗不安薬は眠気が生じやすいこともあり、
休職中に昼寝をしてしまう方は多いようです。

しかし昼寝をしすぎれば夜眠れなくなってしまい、生活リズムの乱れにつながります。

夜は、人は本能的に不安になりやすいため、夜に眠れないと、
ついネガティブなことを色々考えてしまい、落ち込みや不安が悪化してしまうことも珍しくありません。

このようなことにならないためにも、極力昼寝はしないでください。

眠い時は、少し身体を動かしましょう。
なるべく昼に眠らないで、夜に眠るようにしてください。

どうしても眠くて我慢できない時は、イスに座ったまま30分くらい目を閉じる。
これくらいにとどめて下さい。

横になってはいけません。
ベットやソファに横になってしまうと熟睡してしまう可能性が高くなります。

6.無理して活動をする必要はない

休職中で、一日中特に何もせずに過ごしていると、
「こんな生活でいいんだろうか?」
と焦りを感じてしまうことがあります。

しかし、無理して活動する必要は全くありません。
何もしなくてもいいのです。ゆっくりしてください。

上に書いたような基本的なことを守った上であれば、あとはゆっくり休みましょう。

中には、

「することないし、せめて復職後にみんなに迷惑かけないように仕事の下準備をしよう」

と家で作業や勉強をする方がいますがオススメできません。

一旦、仕事から離す必要があるから休職になっているのに、
家で仕事を思い出すような事をしてしまったら悪影響が出る可能性は高いでしょう。

休職中は休むことが仕事なわけですから、何もしなくていいのです。

もちろん、自然と何かをやりたい気持ちになってきたのであればやって構いません。
でも、気分が乗らないことを無理してやる必要はないのです。

休職中は、「こころを休めること」が仕事です。
休むこと、これがあなたが一番しなければいけないことなのです。

友人に遊びに誘われたとしても、
それがこころを休めることにつながらない場合は、断って構いません。

断りずらければ「主治医に今週は出かけるのはやめとけって言われているんだ」
と言ってもいいでしょう。

個人差や重症度によって一概には言えませんが、
休職後1〜2週間は何もせず、休むことに専念した方がいいでしょう。

7.負荷を徐々に上げていこう

休職後、最初の1~2週間は「ひたすら休むこと」に専念してもらいます。

生活リズムだけは崩さないように気を付けて、一日一回は外に出るようにして、
あとは特別にしなくてはいけないことはありません。

ゆっくりゆっくり休んでください。

ある程度休養をとって、精神状態が改善してくると

「何かしたいな」

という気持ちに自然となってきます。

毎日何もしないことが逆に退屈に感じられ、動きたくなってくるのです。

これは、うつ病が回復してきている良い兆候です。
このように感じられるようになったら活動量を上げていきましょう。

ただし活動量を上げる時は注意が必要です。
うつ病になると、自分が思っている以上に体力が落ちています。

健常だったときの感覚で活動してしまうと、身体がついてきません。
活動した翌日から数日間、疲労感で寝込んでしまう、という事がよく起こります。

こうなると生活リズムも崩れるし、うつがぶり返しやすくなってしまいます。
うつ病から回復してきて活動量を上げる時は、

「体力は自分が思っている以上に落ちている」

という意識を持って活動するようにしてください。

どのくらい体力が落ちているかは個人差もあるので一概に言えませんが、
健常時の1/3くらいまで落ちている、と思って行動するように、と私は勧めています。

普段3時間くらい外に出ていられる方であれば、1時間で止めておきましょう。

様子をみながら活動してみて、翌日に疲れが残らないようであれば、徐々に負荷を上げていって構いません。