どのような生活をしている人がうつ病になりやすいのか?うつ病発症と社会的傾向について

うつ病の社会的発症リスク

うつ病の患者さんは多く、世界的な問題となっています。

うつ病患者さんを少なくするため、うつ病になりやすい「傾向」に関しても様々な調査が行われています。

その中で、「うつ病の方はこのような社会的側面を持つ人が多い」という報告をまとめてみました。

社会的側面とは、

・独身か既婚か
・居住地は都会か地方か
・低収入か高収入か
・日勤の仕事か夜勤の仕事か

などの社会的な要因のことです。

もちろん、これは「傾向」と言うだけで、実際に「このような社会的傾向を持つ人は絶対にうつ病になる」というものではありません。社会的側面は様々な影響を受けるため、それだけで安易に判断できるものではありませんが、一つの傾向として参考にしていただければ幸いです。

たとえば、「独身の方がうつ病になりやすい」という結果があったとして、これは本当に独身という状況がうつ病を引き起こしているのか、それともうつ病によって結婚できない状態となっているのかは分かりませんよね。

ここでお話するのは、絶対的なものではなくあくまでも「そういった傾向があるかもしれない」程度の認識でご覧下さい。

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1.独身と既婚では?

うつ病は、結婚している人に比べて、独身・離婚者でより多いようです。

更には、親密な対人関係を持たない人や、結婚はしているけども別居している人にみられることも多いと言われています。

これはある程度納得できる方も多いのではないでしょうか。

多少面倒な事があっても、やはり「人と関わる事」や「家庭を持つこと」は精神安定のためには大切なのですね。

最近は、結婚率の低下が問題となっています。経済的な理由もありますが、その他にも「結婚するメリットが分からない」「一人でも困らない」という理由で結婚を希望しない若者もいるようです。

しかし精神医学的に見れば、結婚していた方が独身であるよりは精神的安定が得られるのでしょう。もちろん、万人がそうだとは言えませんが、統計的にはそのように言うことができます。

2.学歴、収入は?

社会的地位・経済的地位とうつ病発症の関連はないようです。

お金持ちの方がうつ病になりにくいんじゃないか?
高学歴の方がうつ病になりやすいのではないか?

などといったイメージもありますが、実は明らかな関連は指摘されていません。

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3.居住地:都会と地方では?

うつ病は、都会よりも田舎で多くみられるようです。

イメージとしては、田舎の方がのんびりしていてうつ病になりにくそうですが、逆なんですね。

4.人種・宗教では?

人種や宗教によって、うつ病のなりやすさに大きな差はないと考えられています。

なんだか陽気なイメージのある国の方がうつ病発症率は少ない印象がありますが、そうではないんですね。

ただし、発展途上国などでは正確な統計が取れていないという可能性もあります。

5.日勤労働者と夜勤・交代勤務労働者では?

日中に仕事をしている日勤労働者と、夜に労働をしている夜勤労働者・あるいは日勤と夜勤を交互に勤務している交代勤務労働者では、後者の方がうつ病発症リスクが高いと考えられます。

診察では様々な職業の方を診察しますが、夜勤労働者・交代勤務労働者や、毎日深夜まで残業をしている方というのは、やはりうつ病になりやすいと考えられます。

これは、睡眠不足が原因になっていると思われます。実際に、夜勤労働者・交代勤務労働者の中でも「不眠を伴う場合」は、うつ病との関連が高まることが報告されています。睡眠時間の低下や睡眠の質の低下は、うつ病の発症リスクになります。

また、夜勤の方は太陽の光を浴びれないことも問題です。太陽光を浴びることで、私たちは体内時計を調節しています。それが出来ない状態が続けば、睡眠・覚醒リズムが崩れてしまい、それが睡眠障害を引き起こしてうつ病発症のリスクになることは十分あり得ます。

逆に考えれば、夜勤労働者・交代勤務労働者でも、日光を浴びる工夫をしたり、規則正しい睡眠を維持できていれば、うつ病発症率は日勤労働者と変わらないのでしょう。

5.これらの傾向の注意点

うつ病と、社会的傾向についての関連をまとめると、

・既婚者より独身者がうつ病になりやすい
・都会在住より地方在住の方がうつ病になりやすい

ようです。また、

・収入や学歴などはうつ病発症とは関係ない
・人種によってもうつ病発症に差はない

と考えられています。

しかし、最初でも書いたようにこれはあくまでも一つの目安に過ぎません。

既婚者でうつ病になった人だってたくさんいらっしゃいますし、都会に住んでいてうつ病にかかっている患者さんは数多くいます。

なので、あくまでも参考程度に見るのが良いでしょう。

私が診察をしている印象では、一番最初の「独身者・離婚者の方がうつ病にかかりやすい」という傾向は割と顕著である印象があります。独身者というより、「プライベートや対人関係が乏しい方」と言った方がよいでしょう。

独身者であっても、若い方で友人に恵まれていたり、交際相手と仲良くしている方は、既婚者と発症率がそれほど差がない気がします。しかし年齢が経つと、周りは結婚していく方が多いですから、徐々に対人関係が少なくなってしまうようで、そういったことからうつ病になってしまったのでは、と感じる方は少なくありません。

結婚が全ての解決法になるわけではありませんが、対人関係というのは精神衛生上はとても大事なことなのでしょう。

また、「夜勤労働者・交代勤務労働者の方がうつ病にかかりやすい」という傾向も診察の印象では割と顕著です。やはり睡眠とうつ病は大きく関わっているのでしょう。

ただし、れらの労働者の方々も、自分なりの生活リズムを上手に作れるようになると、 うつ病の発症率はそこまで上昇しない印象があります。

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