仕事前の憂鬱(ゆううつ)を和らげる6つの方法

仕事に行く前に憂鬱になる

朝、目覚めたとき、

「仕事に行きたくないな」
「今日も1日イヤだな」

と憂鬱になる事はありませんか。

実際に仕事に大きなストレスを感じているのであれば、このように「行きたくない」「憂鬱だ」と感じるのは異常な反応ではありません。しかし「別に仕事に大きな不満があるわけではない」「具体的に何がイヤなのか自分でも分からない」にも関わらず、このように仕事前に憂鬱になってしまう方は少なくありません。

「仕事が大好きで仕方ない」という方はあまりいないでしょうから、仕事前に多少の憂鬱さを感じるのは何もおかしい事ではありません。しかし本人が苦痛に感じるほどの憂鬱さが毎日続いているのであれば、これは精神衛生上あまり良い事ではないでしょう。

特にこれといった理由もないのに、仕事前に憂鬱になってしまうのはなぜでしょうか。またこれを和らげるような方法は何かあるのでしょうか。

ここでは朝、仕事前に憂鬱になってしまうという現象に対して、その原因と対処法を紹介させていただきます。

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1.仕事前に憂鬱になってしまうのはなぜ?

なぜ、仕事前は憂鬱になりやすいのでしょうか。

なお、ここでお話する「仕事前の憂鬱」は、実際に仕事内容や仕事の人間関係が辛いといった場合は除きます。仕事に大きなストレスが実際にあるのであれば、それを憂鬱に感じるのは当然の反応だからです。

そしてこのような場合、原因は明らかですし対処法も明らかです。対処法はその原因を解決するしかありません。例えば、業務量が多いのであれば職場と相談して業務量を減らしたり、人間関係に問題があるのであれば上司と相談して修復をはかる事などが解決法になるでしょう。

そうではなく、ここで取り上げたいのは、

「特に仕事が苦痛というわけでもないのに、なぜか朝に憂鬱になってしまう」
「仕事場に行ってしまえば憂鬱さはいつの間にか消えているんだけど、それまでが憂鬱」

といったケースです。

実際にこのような憂鬱さを抱える方は少なくないようで、時々相談を頂く事があります。

具体的に何がストレスなのかを考えてみても大きな原因は思い当たらない。でも仕事前にはやはり憂鬱になってしまう。結局は仕事に行けばいつの間にか憂鬱さは消えていくので、何とか毎日やり過ごしているけど、毎朝の憂鬱さにはしんどさを感じている。このままずっとこの憂鬱さと付き合っていかないといけないのか。

このように悩みを相談される事があります。

このように、明確なストレス因子もないのに、仕事前に憂鬱さが出てきてしまうのは何故でしょうか。

基本的に憂鬱さが生じている時というのは、こころが何らかのストレスを感じている時になります。

つまり、仕事に大きなストレスを自身では感じていなくても、何らかのストレスが生じているから憂鬱さが出ているのだと考えるべきです。

具体的にどのようなストレスが生じているのでしょうか。その原因は人によって様々ですが、頻度が多いと感じる原因を紹介させていただきます。

Ⅰ.自己暗示

特に仕事に大きなストレスはないはずなのに、仕事前に憂鬱になってしまう。

このような悩みを抱えている方のお話を聞くと、仕事に対するマイナスイメージを自分で自分に植え付けるといった自己暗示をかけてしまっている事があります。

例えば、仕事に大きな不満はないのだけど、つい口癖のように、

「仕事行きたくないなぁ・・・」
「これから仕事かぁ。だるいな・・・」
「仕事するの面倒だなぁ・・・」

といった言葉を発していませんか。

このような言葉を日常的に発していると、本当は仕事はそこまで大きなストレスではないのに、次第に「仕事=ストレス」と脳が認識してしまうようになります。

その結果、具体的なストレスはないのに、「これから仕事」という状況になるとストレス反応が生じてしまい、憂鬱になってしまうのです。

このようなケースでは、自分でストレスを作ってしまっていると言ってもいいでしょう。

仕事に対して「仕事が楽しくて仕方ない!」と無理矢理考えようとする必要はありませんが、必要以上に仕事に対してネガティブな発言や考えばかりしてしまうと、無駄なストレスが生まれてしまう事は覚えておいた方が良いでしょう。

Ⅱ.寝不足

睡眠の量が不足していると、起床した時にスッキリ目覚める事が出来ません。

気持ちの良い目覚めでないことと、「もっと寝ていたいのに起きないといけない」というストレスから、朝に憂鬱さがひどくなる事があります。

また元々低血圧である方は、起床時はもっとも血圧が低いため、身体のだるさやめまいなどの症状が出やすく、これも憂鬱さに拍車をかけます。

睡眠というのは心の安定に非常に重要です。誰でも寝不足な状態が続くとイライラしたり落ち込んだりと気分が不安定になります。

慢性的に睡眠量が足りていない場合、朝の憂鬱が強く認められる事があります。

Ⅲ.体内リズムの崩れ

・不規則な生活をしている
・昼夜逆転がち
・日勤と夜勤が不定期にあって眠る時間帯が頻繁に変わる

このように生活が不規則だと、体内リズムが崩れてしまいます。

体内リズムというのは私たちの身体が持っているリズムの事です。体内リズムは、日中は活動し、夜に休むという行動に合わせて、ホルモンや自律神経のはたらきを調整しています。

このリズムが崩れると、日中になってもだるくて活動しにくくなったり、夜になってもゆっくり休めなくなってしまうようになります。

また体内リズムの崩れは身体にとってストレスとなるため、精神状態に悪影響をきたす事も近年指摘されています。

うつ病が発症する一因として、体内リズムの乱れも関係しているという指摘があります。実際にうつ病の方は高い確率で不眠や過眠といった睡眠障害を併発することが知られています。

具体的には体内リズムの崩れによって覚醒に関係しているコルチゾールの上昇や、入眠に関係しているメラトニンの減少が生じ、これらがうつ病発症の原因にもなるのではないかと考えられています。

また抗うつ剤には体内時計を調整して体内リズムを修正する作用があることや、断眠療法という体内リズムを調整する治療法がうつ病に効果があることも、うつ病が体内リズムの異常であることを支持する根拠になっています。

うつ病までに至らない憂鬱でも、このように生体リズムの崩れが生じ始めている可能性はあります。

2.仕事前の憂鬱を和らげる6つの方法

明確な原因もないのに仕事前に憂鬱になってしまうという方に見受けられる原因についてみてきました。

ではこの憂鬱さを和らげるために有効な方法はあるのでしょうか。ここでは仕事前の憂鬱さを和らげるために有効な対処法をいくつか紹介します。

Ⅰ.憂鬱を受け入れる

朝、仕事前に憂鬱になると、一日がイヤな気持ちから始まってしまいます。

このような時、「頑張らなきゃ!」「そんな弱気な事を考えちゃダメだ!」と自分を奮い立たせる事で乗り切ろうとする方もいらっしゃいます。

しかし、実はこのような方法で乗り切ろうとする事はあまりお勧めできません。

本当は憂鬱なのに、「憂鬱なはずがない。頑張れ!」と無理矢理自分を奮い立たせる事は、自分の気持ちをウソで塗り固めているだけです。短期間であれば自分を騙して頑張る事も出来るかもしれませんが、このような自分を騙すような方法は長続きしません。

本心と表面的に塗り固めたウソの気持ちのズレはストレスとなり、長期的にみれば憂鬱さはより悪化してしまうでしょう。

それよりも、「仕事はすごく楽しいものではないんだし、ある程度憂鬱になってしまうのは仕方ないよね」と憂鬱が出てしまっている事を受け入れた方が気持ちは楽になります。

憂鬱さに限らず、精神的な症状はそれを無理矢理消すのではなく、「受け入れる」事が有効である事が多々あります。

例えば「森田療法」という不安に対する治療法でも、不安は意識すればするほどかえって不安は強くなるため、不安を克服するために第一歩は不安を事を受け入れる事だと考えます。

基本的にはこれと同じで、憂鬱である自分を認め、許してあげる事が、憂鬱さが和げるための第一歩なのです。

Ⅲ.憂鬱になる言葉を使わない

仕事に対して憂鬱さを感じてしまう一因として、日頃から仕事に対してネガティブな発言をしていると、自己暗示にかかってしまうというお話をしました。

このような自己暗示から逃れるには、日々仕事に対して必要以上に憂鬱になる言葉を使わない事です。

もちろん、仕事が大変な時に「仕事が大変だ・・・」といったり、仕事が辛い時に「最近、仕事が辛いんだよね」と誰かに相談する事は問題ありません。

問題は、何となく口癖のように「仕事がだるい」「仕事がめんどい」「仕事を辞めたい」と言ってしまっている事です。そのような節があるのであれば、そのような口癖は意識して発さないようにした方が良いでしょう。

必要以上に仕事に対してネガティブな発言をしていると、その時は多少気持ちが楽になるかもしれませんが、「仕事=ストレス」という認識を無意識のうちに強めてしまいます。その結果、長期的にみれば仕事に対するマイナスイメージを強め、自分を苦しめる事になってしまうのです。

Ⅲ.目標を作る

私たちは、何かを頑張る際、何か目標がないと頑張り続ける事は出来ません。

自分で会社を興していたり、自分で提案したプロジェクトをやっているのであれば、明確に目標があるかもしれませんが、仕事というのはそのようなものばかりではありません。

自分ではあまり意味があると思えない事でもやらなくてはいけなかったり、何のためにやっているのかよく分かっていない業務でも、仕事であればしなくてはいけない事もあります。

このような状況だと、自分の中で目標が立てにくいため、やる気が持てずに仕事に対して憂鬱さを感じやすいものです。

このような場合は、自分なりの目標を作る事が大切です。

毎日の仕事に対して、何か目標がないような方は、目標を立てるようにしてみましょう。直接仕事上の目標だけでなく、「この仕事が終わったら旅行に行こう」などといったものでも構いません。自分が作ったゴールが見えるだけでも、憂鬱さを感じにくくなるものです。

Ⅳ.前日に早く寝る

朝、すっきりと目覚める事が出来ると、気持ち良く一日のスタートを切る事が出来ます。先ほどもお話ししたように睡眠時間が不十分だと、目覚めも悪く、朝に憂鬱を感じやすくなります。

また寝不足が長期間に渡れば、精神的に不安定な状態が多くなるため、慢性的に憂鬱になってしまいます。

長時間眠る必要はありませんが、少なくとも「疲れがちゃんと取れている」と感じる程度には睡眠時間を取るべきです。

最適な睡眠時間は人によって異なるため、具体的に「〇時間以上寝ましょう」というものはありません。しかし、だいたい成人の方の適正な睡眠時間は6~8時間程度であるため、まずはこのくらいの睡眠時間を目安にすると良いでしょう。

Ⅴ.朝日を浴びる・夜に強い光を浴びない

私たちの体内時計は、約24時間で1単位のリズムを形成している事が知られています。これは太陽が昇って落ちる周期と同じです。

私たちの身体は、太陽の周期に合わせて最適に活動できるようにプログラミングされているのです。

この体内時計のリズムが整っていると精神的にも安定し、憂鬱さを感じにくくなりますので、体内時計のリズムを整えるような生活を意識する事は大切です。

体内時計は「光」によってリズムが調整されています。太陽などから発される「光」の刺激を体内時計が感知し、それに合わせて体内のバランスを適切に保っているのです。

体内時計を整えるために意識すべき大切なポイントは次の2つです。

  • 朝に光を浴びる
  • 夜に強い光を浴びない

朝に光を浴び、夜には強い光を浴びないと、体内時計は安定します。反対に朝に光を浴びなかったり、夜に強い光を浴びてしまうと、体内時計が崩れやすくなります。

体内時計の崩れは、睡眠の質を悪化させるだけでなく、精神状態も不安定にし、憂鬱さを引き起こしやすくなります。

夜は太陽は出ていませんので、強い光というのはLED光のような白色光が該当します。

朝は一度は外に出て、日の光を浴びるようにしましょう。また夜はLEDなどの明るい光は避け、白熱灯(オレンジ色の光)でなるべく過ごすようにしましょう。

Ⅵ.身体を動かす、食事を取る

朝に軽い運動をして身体を目覚めさせる事は、朝の憂鬱さを改善させるために有効です。

激しい運動をする必要はありません。簡単なストレッチや散歩、軽いジョギングなどで十分です。

運動は脳を活性化させ、脳の血流を増やし、BDNF(脳由来神経栄養因子)が増加させる事が分かっています。

うつ病患者さんの脳では、BDNFが減少しているという報告もあり、BDNFの増加は精神状態を安定させる効果がある事が指摘されています。

また、朝の憂鬱さが低血圧から来ている場合は、運動によって身体を目覚めさせる事で血圧が上がりますので、これも憂鬱さを和らげる作用が期待できます。

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3.生活に支障をきたす憂鬱は病気の可能性も

朝の憂鬱があまりに強い場合は、病気の可能性も疑う必要があります。

うつ病では、気分が晴れない状態が続く「抑うつ気分」を認めます。そしてこの抑うつ気分は朝に特に悪く、夕方になるに連れて改善していく事が知られています。

うつ病の初期症状として、「朝刊シンドローム」という言葉があります。これは普段、仕事前に新聞の朝刊を読んでいた人が、朝の憂鬱な気分から朝刊が読めなくなってしまうという現象を表した言葉です。

このような朝の憂鬱さは、うつ病の初期症状である可能性もあるのです。

ではどのような時に病気の可能性を疑えばよいでしょうか。

憂鬱さは正常な人にも認められる反応ですので、憂鬱さが出ただけで病気だと考える必要はありませんが、1つの目安として、

  • 朝の憂鬱さが3カ月以上続く
  • 朝の憂鬱さによって生活に支障が出ている(仕事を遅刻してしまうなど)
  • 朝の憂鬱さにとても苦痛を感じている

といった状態なのであれば、一度精神科・心療内科を受診し、疾患の可能性はないのかを判断してもらう必要があるでしょう。

憂鬱さが正常範囲内のものではなく、うつ病などの疾患から来ている場合は、いたずらに放置するのではなく出来る限り早い段階で適切な治療を受ける必要があります。

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