アナフラニールの半減期【医師が教える抗うつ剤のすべて】

アナフラニールの半減期

全てのおくすりは「半減期」いうものがあり、添付文書などに記載されています。

半減期は「薬の作用時間」と大きく関係しており、くすりが効く時間を知る目安として使われます。

簡単に言うと

「半減期の短いお薬はすぐに効果が消えてしまう」
「半減期の長いお薬は長く効果が続く」

ということです。

ここでは、アナフラニールの半減期の紹介、その半減期から分かるアナフラニールの特徴をお話します。

また、「半減期」の具体的に意味するところについても少し詳しくみていきましょう。

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1.アナフラニールの半減期

アナフラニールの半減期は約21時間と言われています。

参考までにですが、主な抗うつ剤の半減期の一覧を紹介します。

抗うつ剤半減期(時間)抗うつ剤半減期(時間)
(Nassa)リフレックス/レメロン32時間(SSRI)パキシル14時間
(四環系)ルジオミール46時間(SSRI)ルボックス/デプロメール8.9時間
(四環系)テトラミド18時間(SSRI)ジェイゾロフト22-24時間
デジレル6-7時間(SSRI)レクサプロ24.6ー27.7時間
(三環系)トフラニール9-20時間(SNRI)トレドミン8.2時間
(三環系)トリプタノール31±13時間(SNRI)サインバルタ10.6時間
(三環系)アナフラニール21時間スルピリド8時間
(三環系)ノリトレン26.7±8.5時間
(三環系)アモキサン8時間

アナフラニールの半減期が「約21時間」ということは、
おおよそですが、次のようなアナフラニールの特徴が予測できます。

  • 1回内服すると21時間くらい効果が続く
  • だいたい21時間に1回の間隔で内服するのが良い
  • 内服を続ければ、105ー126時間後くらいで血中濃度が安定する
  • 内服後、21時間経ってもお薬が再投与されないと離脱症状がおきやすい

1回内服すると21時間くらい効果が続く

アナフラニールは半減期が約21時間、
つまり血中濃度が半分になるまで約21時間ほどかかるおくすりです。

個人差がありますが、血中濃度が半分くらいまで落ちると薬効は
だいぶ落ちてくるため、約21時間で効果がかなり少なくなると言えます。

アナフラニールは血中濃度が最高値に達するまでに1.5時間~4時間かかると言われていますので、
飲んで、血中濃度が最高値に達して、その後血中濃度が半分になるまでと考えると、合計で約1日です。

おくすりの効きは個人差も大きいため、あくまで目安ですが、
ざっくりと言えば、「約1日前後、効果が続くおくすり」だと言えます。

反対に考えれば、アナフラニールを内服して副作用が出た場合、
1日はその副作用は続いてしまうということです。
副作用の改善には1日待たないといけません。

約21時間に1回の間隔で内服するのが良い

約21時間で効果が切れてしまうのであれば、約21時間置きに内服すれば
血中濃度が安定しそうです。

現実的にはそこまで厳密にできる人はほとんどいないでしょうから、
1日1回あるいは2回投与が理想的と言えるでしょう。

添付文書でも、1日1~3回投与となっています。

内服を続ければ、105ー126時間後くらいで血中濃度が安定する

おくすりが定常状態(≒血中濃度が安定してしっかり効果が出る状態)になるには、
半減期の5~6倍の時間かかると言われています。

そのため、単純計算で、21時間×5=105時間、21時間×6=126時間ですから、
アナフラニールを飲み始めてから、定常状態に達するまでには理論的には
4-5日ほどかかるということが分かります。

ちなみに添付文書には、定常状態に達するまでには「1~2週間」と書かれています。

 

内服後、21時間経ってもお薬が再投与されないと離脱症状がおきやすい

アナフラニールを飲んでから、1日前後経過して、しびれやめまい、耳鳴りなどの症状が
現れた場合は、離脱症状である可能性が高いということです。
(翌日に再投与された場合は除きます)

ただしアナフラニールは半減期が長いお薬なので、離脱症状の頻度はそこまで多くありません。

このように半減期から、様々な情報を得ることができるのです。

2.半減期とは?

半減期というのは「お薬の血中濃度が半分になるまでに要する時間」のことです。

薬の本には、全ての薬の半減期が記載されており、私たち医師も薬を処方する際は、
「半減期がどれくらいのお薬なのか」ということを必ず意識します。

半減期が分かれば、そのおくすりの様々な特徴が見えてくるからです。

具体的に言うと、

  • 何時間くらい効果が続くお薬なのか
  • 服薬間隔がどれくらいがベストなお薬なのか
  • 何日くらい飲み続ければ、血中濃度が安定するのか
  • 離脱症状が起きやすいお薬なのか

といったお薬の情報がある程度見えてきます。

例を一つ出します。
このような薬物動態を示すお薬があるとします。

半減期イメージ

お薬を内服すると、このグラフのようにまず血中濃度がグンと上がり、
それから徐々に落ちていきます。

このお薬は、投与10時間後の血中濃度は「10」ですが、
投与20時間後には血中濃度は半分の「5」に下がっています。

血中濃度が半分になるのに要する時間は「10時間」ですので、
このお薬の半減期は「10時間」ということになります。

そして半減期が10時間のお薬だということは、
このお薬に関して次のように言う事ができます。

  • 10時間くらい効果が続くお薬である
  • 10時間に1回の間隔で内服するのが良い
  • 内服を続ければ、50ー60時間後くらいに血中濃度が安定する
  • 内服後、10時間経ってもお薬が再投与されないと離脱症状がおきやすい

詳しく説明していきます。

10時間くらい効果が続くお薬である

半減期が10時間ということは、内服して10時間くらい経つと効果がなくなるということ。
半減期は、薬効が消失する時間とある程度一致します。

ただし半減期はあくまでも目安で、個人差はありますので気を付けてください。
お薬を分解する力が強い人もいれば弱い人もいます。
人によって誤差があります。

特に肝臓が悪い方は、お薬を分解する力が弱まっているため、
一般的に半減期よりも長く時間お薬が身体に残ってしまいます。

10時間に1回の間隔で内服するのが良い

薬の効果が消失しないようにするには、約10時間の間隔で内服を続けるのが
よい事が分かります。

正確に10時間間隔で、というのは難しいでしょうから
1日2回朝夕食後とかが現実的な内服間隔になるでしょう。

この間隔で内服を続ければ、理想的な効果が得られやすいということです。

内服を続ければ、50ー60時間後くらいに血中濃度が安定する

血中濃度が一定になるようペースで5-6回の反復投与を続けると、血中濃度は安定すると言われています。
この血中濃度が安定した状態を「定常状態」と呼びます。

半減期10時間のこの薬を5-6回飲み続けると定常状態に達しますから、
このお薬の服薬を始めた場合、50-60時間後に定常状態に達することが分かります。

飲み始めて2-3日経つと十分な効果が出る薬だということが分かります。

内服後、10時間経ってもお薬が再投与されないと離脱症状がおきやすい

お薬の血中濃度が最大値の半分以下になると離脱症状が出やすくなると言われています。

このお薬でいうと、10時間後に再度お薬を投与して血中濃度を再上昇させないと、
離脱症状が出やすいということです

半減期が来る頃にお薬を再投与することが理想です。

このように半減期が分かるだけで、そのお薬の特徴がたくさん見えてくるのです。
半減期を意識しておくすりを選び、服薬方法を選ぶということはとても大切なことなのです。

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