アナフラニールの点滴【医師が教える抗うつ剤のすべて】

アナフラニール点滴

アナフラニールは三環系と呼ばれる抗うつ剤に属します。1973年発売の古いおくすりです。

アナフラニールには、「点滴製剤がある」という大きな特徴があります。点滴できる抗うつ剤は、実はアナフラニール以外に無く、これは時に重宝します。

ここではアナフラニールの点滴製剤について、効果やどんな場合に使うのかなどをお話します。

スポンサーリンク

1.アナフラニール点滴の効果

三環系抗うつ剤のアナフラニールには、錠剤と点滴製剤があります。
どちらも成分は同じで、口から入るか血管から入るかが違うだけです。

成分は同じなのですが、効きには違いがあります。

飲み薬の場合、おくすりは口から入り胃から腸管に運ばれ、
腸管から吸収されて血液に入り、脳に運ばれます。

これらの過程で成分は徐々にロスしていきます。

腸管で100%吸収されるわけではなく、一部は便と一緒に体外に出てしまいますし、
血液に入る前にも「これは異物だ、排除しよう」という身体の防御システムによって、
いくらか排除されてしまいます。

その点、いきなり血液に入る点滴製剤は、成分のロスが少なく、一般的に飲み薬よりも強く効きます。
また、口→腸管→血液 という段階を踏まないため、即効性があります。

理論上の話だけではなく、実際に私達が使用している印象としても、
点滴は飲み薬よりも効きがよいと感じます。

ただし、効果が良いということは、それだけ副作用にも注意しなければならないということです。

一般的に注射や点滴など直接血管に入るものは、
飲み薬よりも急激に血中濃度を上げるため、副作用が出やすいと考えられます。

もともと三環系抗うつ剤は、副作用が多いのですから特に注意しなければいけません。
口渇や便秘などの抗コリン作用、ふらつき・めまいなどのα1受容体遮断作用、
眠気などの抗ヒスタミン作用などが起こりやすい副作用です。

また、一番気を付けるべきなのが「QT延長」という心電図変化と、
それにより誘発される重篤な不整脈です。

アナフラニール点滴を使う場合は、心電図検査を定期的にすることは必須でしょう。

2.アナフラニール点滴はどんな時に使う?

飲み薬で済むのであれば、基本的には使わない方がいいものだと言えます。

点滴は、飲み薬よりも副作用が出やすいし、
血管に針を刺すという「身体を傷つける行為」でもあります。

アナフラニールの飲み薬で済むのであれば、極力そちらを使いましょう。

となると、アナフラニール点滴を使う機会というのは、

  • 飲み薬を飲めない、あるいは飲まない時
  • 飲み薬では効果不十分である時

に限られるということが分かります。

飲み薬が飲めないんだけど、抗うつ剤が必要だと判断される場合はアナフラニール点滴を使うことがあります。

ほとんどは入院患者さんになりますが、状態からみて抗うつ剤などの薬物治療が必要なんだけど、
本人が飲み薬を飲んでくれない場合。

例えば、うつがひどすぎて全く反応してくれず、口も開けてくれないとか、
被害妄想的になっていて、拒薬して飲み薬を飲んでくれないときとかですね。

口以外からくすりを入れるとなると、筋肉注射か静脈注射(点滴)になります。
抗うつ剤で、飲み薬以外の薬物療法の選択肢となると、
点滴できるアナフラニール以外にありません。

また、難治性のうつ病の方に使われることもあります。

先にお話した通り、直接血液に入るアナフラニールの点滴は、強い抗うつ効果を発揮します。
そのため、他の飲み薬の抗うつ剤で効果不十分であった患者さんに試す価値はあるおくすりなのです。

実際、一通りの抗うつ剤の飲み薬を試したけど、どれも十分に効かず、
「あとはECT(電気痙攣療法)をするしかないかな・・・」と判断される患者さんに
アナフラニール点滴を使ってみたところ、効果を認めたこともありました。

ただ、点滴は毎日しないといけませんので、長期的に続けることは困難です。
365日毎日病院に来てもらうことになっちゃいますからね。

あくまでも点滴製剤は一時的に使うもので、長期に渡って使用するものではありません。

スポンサーリンク
こちらの記事も是非ご覧下さい