ジェイゾロフトは「ジェイゾロフト錠」として25mg錠と50mg錠の2種類が販売されています。
ジェネリックはまだありませんので、この2種類しかありません。
ここでは、ジェイゾロフト錠それぞれの薬価について、また、他抗うつ剤との薬価の比較について紹介していきたいと思います。
1.ジェイゾロフト錠25mg,50mgの薬価
ジェイゾロフト錠の薬価は次のようになっています。
ジェイゾロフト錠25mg 106.00円
ジェイゾロフト錠50mg 184.70円
ジェイゾロフトの最大投与量は100mgですが、100mg服用する場合は
25mgを4錠よりも50mgを2錠内服する方が安いことが分かります。
ジェイゾロフト100mgを内服している方がかかる費用は、
1日に369.4円、1か月では11,082円という計算になります。
実際は、多くの方は3割負担ですので、
1日で111円、1か月で3325円になります。
決して安くはない値段ですね。
ジェイゾロフトにジェネリックがあれば、出費がもうちょっと少なく済みますが、2006年発売のお薬のためもう少し待たないといけません。
ジェネリック(後発品)の薬価の多くは先発品の7割程度になります。
2.他抗うつ剤との薬価の比較
次に、他の抗うつ剤との薬価の比較をしてみましょう。
抗うつ剤(最大量) | 薬価 | |||
---|---|---|---|---|
パキシル(40-50mg) | (5mg) 60.50円 | (10mg) 105.60円 | (20mg) 184.70円 | |
パキシルCR(50mg) | (12.5mg) 105.60円 | (25mg) 184.70円 | ||
ジェイゾロフト(100mg) | (25mg) 106.00円 | (50mg) 184.70円 | ||
レクサプロ(20mg) | (10mg) 212.00円 | |||
ルボックス(150-300mg) | (25mg) 37.80円 | (50mg) 65.40円 | (75mg) 90.60円 | |
サインバルタ(60mg) | (20mg) 168.70円 | (30mg) 228.80円 | ||
トレドミン(100mg) | (12.5mg) 21.00円 | (15mg) 24.40円 | (25mg) 35.70円 | (50mg) 60.50円 |
リフレックス(45mg) | (15mg) 171.20円 | |||
トフラニール(200-300mg) | (10mg) 9.60円 | (25mg) 10.00円 | ||
テトラミド(60mg) | (10mg) 16.40円 | (30mg) 46.00円 | ||
デジレル(200mg) | (25mg) 18.90円 | (50mg) 33.30円 |
SSRIはどれも横並びで、最大量を使うと1日400円弱かかります。
その中でもレクサプロは新薬のためか若干高いですね。
SNRIのサインバルタも最大量60mgであれば450円超で高いお薬になります。
トレドミンは比較的安いですが、効果も弱いためというのがあるのでしょう。
Nassaのリフレックスもなかなかいい値段します。
最大量45mg投与となると1日502.5円です。
安さで考えると、三環系や四環系は圧倒的に安価なことが分かります。
副作用が多いと言われる三環系ですが、未だに処方される頻度が少なくないのは、
抗うつ効果が強いことと、実はこの「薬価の安さ」に理由があります。
SSRIなどと比べると5-10倍ほども薬価が違うわけですから、
「多少副作用は目をつぶるから、安いやつでお願いします」
と希望される方はいらっしゃるのです。
新規抗うつ剤を2剤以上使っている患者さんだと、
一日1,000円近くかかってしまいますね。
3割負担だとしても約350円/日、約10,000円/月です。
新規抗うつ剤ももう少し薬価が下がるといいんですけどね。
3.薬の金額を下げるためには
薬価にとらわれず、主治医に提案されたお薬を指示通りに飲むことが一番だと思います。
しかし、どうしても「金銭的に苦しい」ときは、
次のような方法で薬価を下げることが可能ですので
参考にしてみてください。
1.自立支援医療制度(精神通院医療)を利用する
自立支援医療制度は、精神的な疾患で苦しい思いをしている患者さんのために、
医療費の自己負担額を軽減する制度です。
この制度が適応されると、入院外の医療行為(診察やデイケア、訪問看護やお薬の代金など)が
「1割負担」に減額されます。
また、支払が過大にならないように所得に応じて毎月の上限額が設定され、
その上限額以上の金額は払わないでよくなります。
この制度を受けれるかどうかは主治医の判断になりますが、
「通院をしばらく続ける病状にあると医師が判断する方」が該当します。
また、現在は症状はほとんど落ち着いているけど、
医師が「もう少しお薬を続けた方がいい」と判断された患者さんも
適応になります。
適応になる代表的な疾患としては、
- 統合失調症
- 気分障害(うつ病、躁うつ病)
- 不安障害
- 精神遅滞
- アルコールや薬物の中毒、依存症
の方などが適応になります。
ただし、この制度はあくまでも「精神疾患」に対してですので、
「精神科受診の時に、ついでに風邪薬や花粉症の薬をもらった」
など、精神科医療と関係のない医療行為は適応になりまりません。
この場合は、風邪薬や花粉症のお薬だけ、通常と同じ3割負担になります。
2.ジェネリックがあるSSRIに変えてみる
現在、SSRIでジェネリックが発売されているのは、
- ルボックス/デプロメール
- パキシル
の2つのみです。
ジェイゾロフトと全く同じように作用してくれるとは限りませんが、
これらのジェネリックを使えば、薬価という面では安くなります。
ただ、ジェイゾロフトや「副作用が少ないお薬」というのがウリなので、
パキシルやルボックスに変えると、副作用に今度は頭を悩ませることになる
可能性はあります。
3.三環系など安価なお薬に変えてみる
三環系抗うつ剤に変えることで薬価は劇的に安くなります。
しかし、副作用が強くなりうることは覚悟しておかなければいけません。
三環系とSSRIは作用機序が異なる部分もあるため、
どうしても薬価を安くしたい、というのであれば候補に挙がる方法ですが、
「治療」という意味ではあまりお勧めはできません。