落ち込みやすい性格を変える8つのヒント

精神的なストレスを感じるような出来事に遭遇した時、深く落ち込んでしまう人もいれば全く落ち込まない人もいます。

この違いはどこからくるのでしょうか。

「どんな事があっても全然落ち込まない」というのもそれはそれで問題ですが、「些細な事でもすぐに落ち込みやすい」というのも、精神衛生上あまり良い事とは言えません。

必要な事は学び、必要なところは反省し、その上で必要以上に落ち込まない。これが理想ですが、このような性格に近づくためには、どのようなことを意識すれば良いのでしょうか。

ここでは「落ち込みやすい性格を変えたい」と考えている方に向けて、落ち込みやすい性格を変えるヒントをいくつか紹介させて頂きます。

1.物事の「とらえ方」をコントロールしよう

精神的にストレスとなりうる出来事に遭遇した時、深く落ち込んでしまう人とそうでない人がいます。

この違いは何でしょうか。

様々な要因があると思いますが一番は、「その出来事に対するとらえ方の違い」ではないでしょうか。

ストレスとなりうる出来事を「自分がどう受け止めたか」「自分はどのようにとらえたのか」によって、そのことを許せたり、耐えられたり、受け流したり出来るかが変わってきます。

ある出来事があった時、その出来事自体には良いも悪いもありません。それを「不快だ」「ストレスだ」「辛い」と色付けしているのは、他ならぬ自分自身なのです。

ある出来事に対して「これはストレスだ」とあなたが判断すれば、それは不快なストレスになります。不快なストレスはあなたのこころを傷づけ、落ち込ませます。

反対に「これは別に苦痛ではない」とあなたが判断する事が出来れば、客観的にみてどんなに辛く思えるような出来事でも、不快なストレスにはなりません。

落ち込みやすい人は、遭遇した出来事の多くを「不快な事だ」「辛い事だ」ととらえてしまう傾向があるのです。

もちろん、誰が遭遇してもストレスであるような出来事もありますが、とらえ方を変えてみる事でストレスでなくなるような出来事だってあるわけです。そのような時になるべくストレスとならない受け取り方が出来るようになる、という事は落ち込みにくい性格を変えるためにとても大切な考え方になります。

「物事のとらえ方を変える」というと、自分にウソをついているようで、最初は抵抗がある方もいるかもしれません。

しかしとらえ方を工夫するだけで、自分のこころの健康が守れるなら、それはとても素敵な事です。

次の項からは「とらえ方を変える」ため、具体的に意識すべきことを紹介していきます。

2.自分の長所・短所を公平に評価しよう

落ち込みやすい性格の方は、自分に厳しい方です。

何事に対しても自分を責める方向に考えやすく、その結果自分の短所ばかりが目につくようになります。

例えば仕事で失敗をしてしまい、上司から怒られた時を考えてみましょう。

落ち込みやすい性格の方は、

「こんな失敗してしまって、自分はなんてダメな人間なんだ・・・」
「会社に迷惑ばかりかけて、自分はどうしようもない人間だ・・・」

と考えてしまいます。自分を責めて落ち込んでしまうのです。

でも、ここでちょっとだけとらえ方を変えてみて欲しいのです。

確かに失敗をして上司に迷惑をかけてしまったのは事実だし、今後は繰り返さないように反省しないといけません。同じことを繰り返さないためにも、ある程度落ち込む事は無意味ではないでしょう。

しかしただ「自分はダメだ」という自分を責めるだけの評価だと、ただ上司に迷惑をかけて自分が落ち込んでしまっただけで、何の益もありません。

このような時は、失敗という短所だけに目を向けて終わるのではなく、何か自分の長所が無かったのかも考えてみてください。

もしかしたら仕事の失敗はあったけど、ここ最近は夜遅くまで一生懸命その仕事を頑張っていたかもしれません。であれば失敗はあったにせよ、その努力の過程は評価してあげるべきです。

「この仕事のために勉強もして、新たな知識が身についた」という事もあるかもしれません。であれば、失敗はしたけど、次の成功につながる失敗なのかもしれませんよね。失敗を反省すると同時に、新たな知識を得た自分は評価してあげないといけません。

また「上司に叱られた」という出来事に対しても、「上司にきっと自分は無能だと思われたに違いない」といったとらえ方をする方が多いのですが、もしかしたら上司はあなたに期待しているからこそ、あえて強く叱ったのかもしれません。

そう考えると、「こんな失敗をするなんて自分はダメだ・・・」で終わるのは不公平でおかしいことです。「上司は期待してくれているからこそ、あえて時間を取って自分を注意してくれたのかもしれない」と考えてみれば、落ち込みは多少あるものの、「次は同じ失敗はしないぞ」という前向きな気持ちも沸いてくると思います。

何か落ち込む出来事があった場合は、自分の短所や悪い面だけに目を向けるのではなく、自分の長所や良い面にも同じように目を向けてあげてください。それが本当に公平な評価法ではないでしょうか。

上記の例であれば、

「仕事の失敗をしてしまった事は、今後繰り返さないように気を付けないといけない」

と反省した上で、

「しかし頑張って仕事をした事は、我ながら評価してもいいと思う」
「勉強して新しい知識を得た事も成長だし、次につながるはずだ」

と自分を評価する気持ちも持つようにしましょう。

反省すべきところは反省した上で、評価すべきところはしっかりと褒めてあげないといけません。自分のことを公平に評価してください。

人が一番成長するのは実は失敗した時なんだそうです。それは失敗によって、学びや気付きがあったからこそ、次につながっていくからでしょう。

失敗をいくらでもしていいというわけではありませんが、失敗の中でも自分を評価する姿勢を持つ事で、次の成功につながっていくのです。

3.考え込む時間を決める

落ち込みやすい性格の方は、「考えすぎる」傾向にあります。

起きてもない事・起きるかどうかも分からない事を延々と考え込んでしまうのです。更に困ったことにこのような「考え過ぎ」は悪い方向になってしまった場合を考えてしまう事が多く、それによって自分で不安を作って落ち込んでいってしまうのです。

時間があると、ついこのような考え事を延々としてしまい、その結果小さな事でも落ち込みやすくなってしまいます

もちろん、考える事は悪い事ではありません。

しかし考えても考えても答えが出ない事や、いくら考えても何も変わらないことも現実にはたくさんあります。そのような事を延々と考え続けるのは得るものが少ないばかりか、不安をどんどんと増幅させ、落ち込みやすくさせてしまっているだけだという事に気付かないといけません。

「明日のプレゼン、みんなから反対されたらどうしよう・・・」
「友人があんな行動を取ったのは、自分が不快にさせてしまったからではないだろうか・・・」

落ち込みやすい性格の方は、このように「答えが分からない事」を延々と考えてしまう傾向があります。

自分でも「考えたからと言って何かが解決するわけではない」という事は分かっていても、不安で不安で仕方なく、考えを止める事が出来なくなってしまうのです。

このような状況から脱するためには、考えることに制限時間を設けるようにしましょう。

「15分考えて結論がでなけれは、それ以上は考えない」

といった制限時間を自分で決め、制限時間内で精一杯考えて、それで答えが出ない時はそれ以上は考えるのはおしまいにしましょう。

過度に考えすぎても、ただ不安が高まっていくだけで得るものは何もない事を意識しましょう。その時間を他の事をする時間に当てた方が有意義だし、不要な落ち込みも減らせます。

4.他人と自分を比べない

落ち込みやすい性格の方は、周囲の評価をとても気にする傾向があります。そのため、他者と自分を比べるという行為を無意識に行いがちです。

他人というのは良く見えるものです。一方で自分はというと、悪い部分ばかりが目につくものです。そのため他人と自分を比較すると、自分の方が劣っているという評価になりがちです。

でもこの他人と自分を比較する事って、本当に公平で意味がある事なのでしょうか。

他人と自分を比較している場合、大抵の場合でその比較法は公平ではありません。公平ではない比較法を用いているわけですので、当然その比較に大した意義もありません。

私たちは自分の事はすべて知っています。自分の事はすべて見えているわけですから、自分の良い面も悪い面も全て把握できます。

一方で私たちは他人に関しては、その一部しか知りません。その一部の情報というのは、その人が見せてくれたり教えてくれた情報になります。そしてそのような自ら開示してくれる情報というのは、大抵が長所であったり優れているところです。

これはよく考えれば当たり前で、人は皆、周りから良く思われたいという気持ちを持っています。そのため、他人に評価されるような状況では、自分の短所は極力表に出さず、長所だけを見てもらおうとします。

その長所だけをみて、「あの人はあんなに優れているのに、私ときたら・・・」と評価してしまうのはとても危険です。

例えば、「隣の家はお金持ちでいつも高いものを身に着けて、高級車に乗ってる。それに比べうちときたら・・・」と他人と自分を比べた時、ちょっと考えてほしいのです。

「隣の家はお金をたくさん持っていて、いいものもたくさん持っている」というのは確かに長所かもしれません。しかしもしかしたらあなたが知らないだけで、短所もたくさんあるかもしれません。

人は自分の長所は隠さないけども、自分の短所は隠すからです。

実は隣の家は家族仲がとても悪いかもしれません。お金遣いが荒くて、借金もたくさん抱えているかもしれません。

でも、そういう情報はあまり他人には見せないものです。

このように他人と自分を比較しようとすると、「他人の長所」と「自分の長所と短所」を比較する事になりがちです。これは明らかに不公平な比較であり、自分に不利な比較法です。

よくテレビでは有名人のきらびやかな生活が特集されてます。

「こんな豪邸に住んでます!」
「こんな高級外車に乗ってます!」
「休日はこんなセレブな過ごし方です!」

しかしこれはその人の一面だけを切り取ったに過ぎません。

実は、その人は借金まみれかもしれませんし、悪い事をして得たお金で、いつか逮捕されるかもしれません。いつか人気が落ちたらどうしよう、という大きな不安に襲われているかもしれません。

他者の長所はすぐに分かります。しかし短所は自ら開示する事は少ないため、なかなか分からないものです。

そう考えると、他人と自分を公平に比較するという事は極めて難しい事であり、実際に行われるのは不公平な比較法になる可能性が高いという事です。となれば、他人と自分を比較する事にほとんど意味のないのではないでしょうか。

5.小さな事でも感謝する

自分が求めていたものが得られなかった時、人は落ち込みます。

失敗して落ち込むのは成功を得る事を期待していたからです。裏切られて落ち込むのは、裏切られない事を期待していたからです。

つまり何かを得ようという期待が強すぎると、落ち込みやすくなってしまうという事です。反対に、期待が強くなければ、落ち込みすぎることも少なくなります。

落ち込みやすい性格の方は、高い水準を求めようとしがちです。本来であればもっと低い水準であっても別に何も支障がないはずなのに、高い水準を求めて、そこに届いていないと落ち込んでしまうのです。

例えば赤ちゃんを授かった時、ほとんどの親は生まれてきてくれた事に感謝し、「この子が健康に育ってくれればそれで十分」と多くを望みません。

しかし、生まれた時は高い水準なんて求めていなかったのに、気がつけば、

「なんでうちの子はこんな成績しかとれないんだろう」
「なんで隣の子みたいにいい子でいられないんだろう」

と高い水準を求めるようになり、それが得られない事で落ち込んでいるのです。最初の「健康に育ってくれる」という水準だけでは満足できなくなっているわけです。

もちろん大切な我が子だからこそ、いい成績を取ってもらいたいという気持ちは十分理解できるもので、それを否定するわけではありません。

ただ、そこで、

「まぁでも、大きな病気なくここまで成長してくれた事には感謝しなきゃ!」

とも考えてもらいたいのです。このように小さな事に感謝できるようになると、日常に満足を感じやすくなり、落ち込む事も少なくなります。

よく見渡してみれば、普通に過ごしている毎日の中にも感謝すべきことは無数にあります。

今日まで生きてこれたこと。
今日も一日を平穏に送れたこと。
今日もおいしいご飯を食べれたこと。
今日も家族が元気で過ごしていること。

これは一見当たり前の事に見えるかもしれませんが、そんな事はありません。

ある日突然亡くなってしまう方だっています。不運にも事件に巻き込まれてしまう方だっているし、不慮の事故で突然に家族を失ってしまった方だって世の中にはいるのです。

そんな不幸もなく今日まで過ごせたのであれば、それは感謝すべきことです。このように日常の中で感謝すべき事は無限にあるのです。

今の環境に感謝できるようになると落ち込みを減らすことができます。

6.気持ちを休める方法を複数作っておこう

落ち込んでしまった時に、気分を落ち着かせたりリフレッシュさせられるような方法をいくつか持っておく事は、落ち込みを長引かせないために大切です。

この方法は「気持ち良いと感じられるもの」「楽しいと思えるもの」が良いでしょう。

例えば、

  • カラオケで大声で歌う
  • ジムに行ったり運動したりして体を動かす
  • 友人と食事に出かける

などがあります。気持ちを休める方法は人それぞれであり、自分が「気持ちが落ち着くな」「こころが元気になれるな」と感じるものであれば何でも構いません。

最初に「とらえ方を変える」事の大切さをお話しましたが、どんなにとらえ方を変えたとしても、ストレスを受けることは必ずあります。それはもう仕方ありません。この世の中で生きている以上、ストレスをゼロにする事はできません。

でも、ストレスを自分のこころの中にずっと溜め込んでおくのは良くありません。

ストレスは溜め込まず、定期的に発散しなくてはいけません。でないとストレスはいつかどんどん蓄積していき、最後には爆発してしまいます。

そうならないためにも、定期的にガス抜きをする習慣を持ちましょう。1つだけでなく、いくつかの方法を持っておくと、どんな時にもストレスを過度に溜め込まずに済むようになります。

7.前向きな言葉・姿勢・笑顔を意識しよう

落ち込んでいる時こそ、言葉や姿勢、表情など、外面だけでも前向きにしてみましょう。

実はこころと身体というものは、深くつながっています。

身体が疲れればこころも弱りやすくなります。反対にこころが痛めつけられれば身体もだるくなります。

こころがなかなか前向きにならず落ち込んでしまう時は、まずは身体だけでも元気にふるまってみるようにしましょう。

多少無理矢理であっても、

  • 笑顔を絶やさないようにする
  • 大きな声でハキハキと話す
  • 背筋をピンと伸ばす
  • 前向きな言葉を意識して使うようにする

このような事を意識して生活してみましょう。

このような前向きな行動を続けていると、こころも身体に引っ張られて少しずつ元気が出てきます。

8.ほめ日記をつけよう

一日が終わったら日記をつけてみましょう。ただの日記ではありません。「ほめ日記」です。

その日の自分の行動を振り返って「何か褒めてあげられるところはないかな」と探してみましょう。そして褒められるところを見つけたら、日記に書いて自分で自分を褒めてあげましょう。

「妻が疲れていたから家事を手伝った」
「友人の悩みの相談に乗ってあげた」
「道に迷っている人に道を教えてあげた」

このように、何でも構いません。

落ち込みやすい人は自分の長所を見つけることがとても下手です。自分の短所はたくさん見つけるのに長所はなかなか見つけてくれません。

だから、ほめ日記をつける事で、自分の長所を見つけ、日頃から意識する習慣をつけるのです。

ほめ日記を付ける事によって2つの良い作用が期待できます。

1つ目は、自分の長所を意識しやすくなるという事です。

ほめ日記を習慣にすると、毎日「今日は何か褒められることをしたかな?」と意識して生活するようになります。すると自分のいいところを見る機会が増え、自己評価が高まりやすくなります。

2つ目は、「自分で自分をほめてあげられるような事をしよう」という意識がはたらき出すということです。

ほめ日記が習慣になると、書くことが何もない日に違和感を感じるようになります。日記のネタを作るため、ほめられることをやれるチャンスがあると積極的にやるようになるのです。

結果、自分を褒める頻度も増えるし、他の人から感謝されたり褒められる頻度も増え、これも自己評価が高まる一因になります。

自己評価高まると、自分を責めたり自分を不当に低く評価する事が少なくなるため、落ち込みにくくなります。

9.人は不完全だと自覚しよう

完璧主義の方はうつ病になりやすいと言われています。

完璧主義の方は完璧に出来ないと落ち込み、自分を責めます。しかしそもそも人は完璧ではない生物ですから、いついかなる時も完璧に、というのは不可能です。

つまり完璧主義の方は落ち込まざるを得ない環境を自分で作っているという事です。

完璧主義の方が落ち込みやすいということは、自分は不完全だと理解している人は落ち込みにくいということになります。

人間は不完全な存在です。どんなに賢い人でも失敗する事はあります。人生で一度もミスをしたことがないという人はいないでしょう。

ちなみに医療現場においても、医療者は「ミスをするかもしれない」、という前提で医療行為を行っていきます。

優秀な医者だってミスをする事はあり得ます。そのため、ミスをしても大丈夫なような体制にあらかじめしておくのです。重要な事や絶対に間違えてはいけない事は「ダブルチェック」と言って、複数の医療者で何度も確認しています。

ミスを起こしそうになったらヒヤリハット事例として委員会に報告し、同様のミスを起こさないように徹底します。医療現場においても「医療者はミスしてはいけない!」ではなく「一人だと絶対ミスをするから、みんなで協力してミスを減らそう」とミスをする事を前提で動いているのです。

これは医療現場以外でも全く同様です。

自分のミスをゼロにすることが大切なのではありません。工夫や協力によって、ミスをゼロに近づけることが大切なのです。一個人が不完全なのは当たり前、という認識を持ちましょう。一人で完璧を目指すこと自体が、あり得ないことなのです。

<まとめ>

落ち込まないためには

・ストレスを感じた事象に対する捉え方を変えよう
・マイナス面だけでなく、プラス面もみよう
・考え込む時間を制限しよう
・他人と自分を比較することをやめよう
・当たり前のこと、些細なことにも感謝しよう
・ストレス発散できる手段をいくつか持とう
・表情や言葉など、外面から明るく振舞おう
・ほめ日記をつけよう
・ひとは不完全なのが当たり前だと自覚しよう