コミュニケーションはラテン語の「 communicatio」に由来しており、その意味は「分かち合うこと」と言われています。
コミュニケーションを全く取らずに生きている人はいません。私たちは、生きていく中で、 多くの人とコニュニケーションを取っています。しかし、そのコミュニケーションの中で、あなたは本当に「分かち合うこと」ができているでしょうか?
コミュニケーションにはいくつかのスタイルがあります。「上手にコミュニケーションがとれない」 という方は、場にそぐわないコミュニケーションスタイルを意図せずとってしまっている事が多いように感じます。
コミュニケーションのスタイルが適切に使い分けられるようになると、どんな時でもトラブルなく、気持ちを分かち合うことができるようになります。
これから紹介するコミュニケーションスタイルをぜひ習得してみてください。
目次
<4つのコミュニケーションスタイル>
コミュニケーションのスタイルは大きく次の4つに分けられます。
・管理型スタイル
・分析型スタイル
・感情型スタイル
・支持型スタイル
この4つのスタイルを 「時」と「場合」、そして「相手」などによって
的確に使い分ける事ができるようになると、 相手と良好な関係を築けるようになります。
ではまずは、4つそれぞれのスタイルを 詳しく見てみましょう。
<厳しく指摘・支配する管理型スタイル>
「○○しなさい」 「きみは○○すべきだ」
このように自分の価値観や考えを通そうとするスタイルです。
上司が部下に命令する時、 親や先生が子供を教育する時などに使われます。
相手に対して威圧的・権威的になってしまうため、
反感を買いやすいスタイルであるといえますが、
・明らかに甘えている社員をただす時
・明らかに倫理的にはずれた行動を教育する時
など、威厳を持って教育・指導する必要がある時は
管理型スタイルで接した方が効果的な場面もあります。
<客観的に事実を分析する分析型スタイル>
「今までの統計から考えると、○○が望ましいと考えます」
「法律的に照らし合わせると、あなたに非があるでしょう」
このように客観的な事実から冷静に判断するスタイルです。
物事を多角的に観察したり、偏見を持たずに評価できるため、
仕事においては重宝することが多いスタイルです。
ただ、人は理論や正論だけで生きているわけではありません。
たとえば「彼女にフラれてしまってつらすぎる・・・」 という相談をした時、
「君は時間にルーズだったし、約束を守らない事も多かった。交際が終了して当然でしょう」
と冷静に分析された回答が返ってきたらどうでしょうか?
もう、ホントいたたまれない気持ちになりますよね・・・。
分析型は、時として 「ひとの気持ちの分からない冷たいヤツ」
という批判を受ける事もあります。
<感情で動き、盛り上げ上手な感情型>
「わぁ、それはすごい!」
「それは楽しそうだね!」
「○○は好き!××は嫌い!」
喜怒哀楽といった感情を前面に出すのが感情型です。
楽しい事、ワクワクする事に関心があり、 場を盛り上げる事が得意です。
天真爛漫、無邪気というイメージが合うと思います。
その明るさで周囲を明るく元気にします。
しかし、感情をそのまま答えてしまうため、
「それイヤなんですけど」
「えー、ウザい!!」
とマイナスの感情が出た時にトラブルになる事があります。
<安心感、癒しを与えてくれる支持型>
「それは本当につらかったでしょう・・・」
「あなたのしたいようにしていいですよ」
相手を気遣い、サポートするのが支持型です。
つらかったり、嬉しかったりする相手の気持ちに焦点を当てるため、
温かさや安心感、癒しなどを与えることができます。
反面、相手に合わせすぎてしまうため、相手を癒す変わりに
自分が疲れてしまいやすいところがあります。
また、甘やかしすぎて過干渉・過保護になりやすいといったリスクもあります。
<自分の基本スタイルはどれに当てはまるかを意識する>
4つのコミュニケーションスタイルをみてきました。
・管理型スタイル
・分析型スタイル
・感情型スタイル
・支持型スタイル
普段のあなたのスタイルはどれに当てはまるでしょうか?
まずは素の自分のスタイル傾向を把握しましょう。
これは、
どのスタイルの人が良くて、 どのスタイルの人が悪い、
という事ではありません。
素の自分が「このスタイルが多い」という事が分かれば、
どんな時に失敗しやすいかが見えてきます。
たとえば分析型の人は、上述の例のように
「ひとの気持ちに焦点を当てないといけない場面」
での失敗が多いでしょう。
感情型の人は、自分にとってイヤな事があった時に、
それを率直に周囲に言ってしまい、 相手を傷付けてしまう事があるのではないでしょうか?
自分の基本スタイルを意識することができると コミュニケーションを失敗しやすい場面が想定しやすくなります。
あらかじめ失敗しやすい状況が分かれば、 事前に対策を考えておくことができるようになります。
<今はどのスタイルが適切か、と常に考えてみる>
コミュニケーションの失敗を避けるには
「今はどんなスタイルで接する事が適切なのか」
と常に考える事です。
例を1つだしてみましょう。
あなたにはAさんという友人がいます。
Aさんの職場は上司が厳しく、それによってだんだんとAさんは仕事がつらくなってきました。
最近は出勤時になると頭痛が止まらず、無断欠勤してしまう日もあります。
会社の同僚や家族に相談しましたが、
「大変なのは皆一緒なんだよ。甘えちゃダメ!」
と理解は得られませんでした。
何とか気持ちも前向きにしようと頑張るものの、
一向によくならず、一番こころを許せる友人のあなたに相談にきました。
こんなケースを想像してみて下さい。
ここでまず求められるのは、何型の対応でしょうか?
・「俺だって仕事でつらい事は山ほどあるよ!」
「気合いを入れて何とか乗り切れ!」
と管理型的に自分の意見を一方的に伝える
・「無断欠勤は会社規約に違反しています。今後は慎んで下さい」
と冷静に違反している事実を指摘する
・「えー、それってヤバくない??」
「元気だしなよ!」
と感情的に対応する
・「それは本当につらいよね・・・」
「おれ、あんま力になれないけどさ、相談にはいつでも乗れるからなんでも話してよ」
と支持的に接する
答えは、どれでしょうか?
こういう状況ではまずは相手のつらい気持ちを とことん聞いてあげることが大切です。
なので支持型スタイルで対応するのがベストでしょう。
反対に、一番まずい対応が管理型、次にまずいのが感情型の対応でしょう。
この状況下ではコミュニケーションが破綻する可能性が高いスタイルです。
一通り、支持的に接したあとは、
「今のAさんは今までと明らかに違います。
一度病院で診てもらった方がいいのではないでしょうか?」
「それは職場の産業医と面談すべきでしょう」
と冷静に分析型の対応をしてもいいかもしれません。
その後、病院を受診し、少しずつAさんが元気になってきたら、
その時は支持型だけでなく、感情型の接し方を入れ始めてもいいでしょう。
このように、
「今は何型のスタイルが一番いいのか」
「今は何型のスタイルが一番ダメなのか」
というのを意識しながらコミュニケーションをとるようにすると、
大きく失敗することは少なくなります。
<まとめ>
・コミュニケーションには4つのスタイルがあり、それを時と場合に応じて使い分けることが重要
・今はどのスタイルが一番適切か、どのスタイルがダメなのか、というのを常に意識して会話しよう