レクサプロ錠10mgの薬価 【医師が教えるレクサプロの全て】

レクサプロは「レクサプロ錠」として2011年より持田製薬・田辺三菱製薬から共同発売されています

剤型は錠剤のみで10mg錠のみがあります。ジェネリックはまだありません。

ここでは、レクサプロ錠の薬価、他抗うつ剤との薬価の比較などを紹介します。

1.レクサプロ錠10mgの薬価

レクサプロ錠の薬価は、以下の通りです。

レクサプロ錠10mg 212.0円

レクサプロは10mgから開始し、最大投与量は20mgです。

ということは、最大量を服用すると1日424.0円、月に12,720円かかります。
3割負担だと1日で127.2.円、1か月で3816円になります。

安くはない値段です。

SSRIやSNRI、Nassaと言った新しいタイプの抗うつ剤は、
三環系や四環系抗うつ剤などの古い抗うつ剤と比べると薬価は高めに設定されています。
(おおよそですが、3-5倍ほども値段が違います)

その中でも、新薬に該当するレクサプロ、サインバルタ、リフレックスなどは、
更に一段高くなっています。

レクサプロにジェネリック(後発品)があればいいのですが、まだありません。
2011年発売のため、ジェネリックの発売許可が下りるのは2021年とまだ先の話です。

ジェネリックの薬価は、先発品の6-7割程度になることが多いようです。

 

2.他抗うつ剤との薬価の比較

次に、他の抗うつ剤との薬価の比較をしてみましょう。

抗うつ剤(最大量)薬価   
パキシル(40-50mg)(5mg) 60.50円(10mg) 105.60円(20mg) 184.70円
パキシルCR(50mg)(12.5mg) 105.60円(25mg) 184.70円
ジェイゾロフト(100mg)(25mg) 106.00円(50mg) 184.70円
レクサプロ(20mg)(10mg) 212.00円
ルボックス(150-300mg)(25mg) 37.80円(50mg) 65.40円(75mg) 90.60円
サインバルタ(60mg)(20mg) 168.70円(30mg) 228.80円
トレドミン(100mg)(12.5mg) 21.00円(15mg) 24.40円(25mg) 35.70円(50mg) 60.50円
リフレックス(45mg)(15mg) 171.20円
トフラニール(200-300mg)(10mg) 9.60円(25mg) 10.00円
テトラミド(60mg)(10mg) 16.40円(30mg) 46.00円
デジレル(200mg)(25mg) 18.90円(50mg) 33.30円

SSRIはどれも横並びで、最大量を使うと1日400円弱かかります。
中でもレクサプロ、SSRIの中でも頭一つ高い値段です。

SNRIのサインバルタも最大量60mgであれば450円超で高いお薬になります。
トレドミンは比較的安いですが、効果が弱いためでしょう。

リフレックスもいい値段です。
最大量45mgで1日502.5円と最大量で比較すると、抗うつ剤の中で一番高いようです。

安さで考えると、三環系や四環系は圧倒的に安価なことが分かります。
副作用が多いと言われる三環系ですが、未だに処方される頻度が少なくないのは、
抗うつ効果が強いことと、実はこの「薬価の安さ」に理由があります。

表にある例でいうと、トフラニールは25mgでわずか10円です。
トフラニールは添付文書上は300mgまでは使えますが、抗うつ剤の選択肢が増えた現在において
300mgまで使うケースは極々稀であり、使っても150mg程度までのことがほとんどです。

150mgで考えると1日60円です。レクサプロの400円超と比べると6-7倍の違いがあります。

このように古い抗うつ剤はSSRIなどと比べると5-10倍ほども薬価が違うのです。

金銭的に苦しい方で、「多少副作用は目をつぶるから、安いやつでお願いします」
と希望される方は現実少なくありません。

新規抗うつ剤を2剤以上使っている患者さんだと、
一日1,000円近くかかってしまいます。

3割負担だとしても約350円/日、約10,000円/月です。

新規抗うつ剤ももう少し薬価が下がるといいんですけどね。

3.薬の金額を下げるためには

病気の治療をする際は、薬価にとらわれずに
主治医に提案されたお薬を指示通りに飲むことが理想です。

しかし、どうしても「金銭的に苦しい」ときは、
次のような方法で薬価を下げることが可能ですので 参考にしてみてください。

1.自立支援医療制度(精神通院医療)を利用する

自立支援医療制度は、精神的な疾患で苦しい思いをしている患者さんのために、
医療費の自己負担額を軽減する制度です。

この制度が適応されると、入院外の医療行為(診察やデイケア、訪問看護やお薬の代金など)が
「1割負担」に減額されます。

また、支払が過大にならないように所得に応じて毎月の上限額が設定され、
その上限額以上の金額の支払いを免除されます。

この制度を受けれるかは主治医の判断になります。
「通院をしばらく続ける病状にあると医師が判断する方」が該当します。

また、症状はほとんど落ち着いているけど、医師が
「もう少しお薬を続けた方がいい」と判断された患者さんも 適応になります。

適応になる代表的な疾患としては、

  • 統合失調症
  • 気分障害(うつ病、躁うつ病)
  • 不安障害
  • 精神遅滞
  • アルコールや薬物の中毒、依存症

の方などが適応になります。

ただし、この制度はあくまでも「精神疾患」に対してですので、

「精神科受診の時に、ついでに風邪薬や花粉症の薬をもらった」

など、精神科医療と関係のない医療行為は適応になりまりません。
この場合は、風邪薬や花粉症のお薬だけ、通常と同じ3割負担になります。

2.ジェネリックがある抗うつ剤に変えてみる

ジェネリックが発売されている抗うつ剤もあります。

  • ルボックス/デプロメール
  • パキシル
  • トレドミン

などです。

抗うつ剤はそれぞれ作用機序が微妙に異なるため、
全く同じように作用してくれることは期待できませんが、
ジェネリックを使えば、薬価という面では安くなります。

3.三環系など安価なお薬に変えてみる

三環系抗うつ剤に変えることで薬価は劇的に安くなります。
しかし、副作用が強くなりうることは覚悟しておかなければいけません。

三環系への切り替えは「どうしても薬価を安くしたい」というのであれば
候補に挙がる方法ですが 「治療」という意味ではあまりお勧めはできません。

三環系は副作用が多いのです。