統合失調症治療薬「ゼプリオン」、発売から半年で21名死亡

ゼプリオンイメージ

2013年11月にヤンセンファーマ社より発売された統合失調症の治療薬「ゼプリオン」に対し、2014年4月にブルーレターが発表されました。

ブルーレターとは安全性速報のことであり、お薬に対して大きな問題が生じた際に厚生労働省が発表するものです。

今回のブルーレターは「ゼプリオン発売後半年で、使用者21名が死亡している」というものです。

ゼプリオンの今回のブルーレター、現時点で分かっているお話と約1か月経過した現場での状況をお話します。

ゼプリオンというのは注射剤で、中身は「インヴェガ」という抗精神病薬と全く同じです。ゼプリオンの画期的なところは、一回注射をすれば1か月間効果が持続するところです。

月に1回注射をすれば毎日毎日お薬を飲む必要がないし、飲み忘れの心配もありません。

統合失調症の患者さんは「お薬を飲むことを勝手にやめてしまう」ことによる再発が非常に多いため、ゼプリオンのような持効性注射剤による治療は非常に期待されています。

このように大きな期待の元で発売されたゼプリオンですが、発売から半年経って
使用経過を調査したところ、なんと21名もの患者さんが死亡している事が判明したのです。

死因は一定せず、肺塞栓や心筋梗塞、低体温、窒息など様々です。

発売会社であるヤンセンファーマは現時点では

「ゼプリオンと死亡との因果関係は明らかに分かっていない。
死因や死亡のリスク因子は特定されていない。」

としています。

また、現時点ではまだ調査中であるようで、ヤンセン社に聞いてみても、

「現時点ではブルーレターに書いてある事が私たちが把握している全てです」

という回答でした。

厚生労働省も、今回の件に関してはブルーレターで注意を促したのみで、
「ゼプリオンと死亡の因果関係は不明である」としており、
ゼプリオンの使用に制限をかけたり使用を禁止したりという対処はとっておりません。

ただ、複数の死亡例が出ている、という事実に基づきゼプリオンの適正使用の注意喚起を
促しています。

現場では、このブルーレターが発表されてから、現時点(2014/5/29現在)では
ゼプリオンはめっきり使われなくなっています。

これは当たり前の話で、「半年で21名が死亡した」と新聞でも報道されたお薬を使いたいという
患者さんがいるはずがありません。

しかし、この件に関して「ゼプリオンが危険なお薬である」と判断するのは早計でしょう。

実際、ゼプリオンと同じ成分であるインヴェガは2011年に発売されていますが、発売以降
特に死亡が多いという報告はありません。

もしゼプリオンの成分に死亡の原因があるのなら、インヴェガでも同様の事が起こるはずなのに、です。

また、海外ではすでに多くの国でゼプリオンが使用されていますが、死亡例が多いという
発表がされたのは日本で初めてです。
他の国でのゼプリオンの使用では特に死亡が多く出ているという問題はないのです。

かといって、この死亡例の多さが「たまたま」と考えるのも同じく早計でしょう。
死亡というのは最も起こしてはいけない副作用であり、決して軽く片付けてはいけません。

これから可能な限り詳しく原因を究明する事は、発売会社の使命といっていいでしょう。

私の個人的な意見としては、
ゼプリオンが危険なお薬だという事は考えずらいが、死亡例が多く出ているのは事実なので、
今はあまり使用せずに様子をみるのがよいと考えています。

ゼプリオンを使ってみたい方は、主治医への相談が第一になりますが、
今は無理に導入するのではなく、これから原因究明が進むまで使用を延期した方が
安全でしょう。

また、現在ゼプリオンをすでに使っている方についても、まずは主治医に相談すべきですが、
心配であれば経口のインヴェガに切り替えたり、2週間に1回のタイプの「リスパダールコンスタ」
というタイプの持効性注射剤に切り替えたりするのが手になると思われます。

飲み薬のインヴェガでは問題がなく、海外の使用でも問題がない。
でも現実は死亡例が出てしまっている。

謎も多い状態ですが、不要に慌てることなく主治医の指示にしっかりと従い対応していきましょう。
今後の原因究明が待たれるところですね。

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