リストカットに至る心理とリスカをやめるために有用な対処法

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5.リストカットを止めるには

リストカットが習慣化されている場合、リストカットに「依存」している事が少なくありません。そのため、止めるためにはそれなりの努力が必要になります。

リストカットを止めるのはかんたんな事ではありませんが、それでもできる限り早くリストカットから脱却すべきです。

最後にリストカットを止めるための方法を紹介します。

Ⅰ.一番は我慢すること

「自傷したい」という気持ちは長くは続きません。そのピークは5~10分ほどで治まります。

そのピークを何とか乗り越えれば、自傷したい気持ちは次第に軽くなっていきます。そして一回リストカットを「止めれた」という経験を得られれば、それが自信となって次はもっと止めやすくなります。

「何とか耐えること」は一番重要な治療法です。

リストカットを何とか耐えるための方法は、「これが良い」という確立された方法などはないため、自分に合った方法を見つける必要があります。

一例として多くの患者さんを診てきた中では、「手首を反対の手でギュッと握って、なんとか耐える」という方法が簡単ながらも比較的有効だと感じています。衝動がひどい時には頓服などを処方してもらい、それを服薬した上で耐えても良いでしょう。

この方法は、患者さんからも「これでいつも耐えています」「これで一回成功すると、『次もこの方法を使えば大丈夫』という自信にもなる」とまずまず良い感想をいただけています。

もちろんこれ以外の方法でも、自分がリストカット衝動を何とか抑えられる方法であれば何でも構いません。

Ⅱ.周囲に公言する

もしあなたのリストカットを知っている人がいるのでしたら、その人に「今日からリストカットを止める!」と公言してください。

自分ひとりで頑張るよりも、誰かと一緒に頑張った方が成功する可能性は高いです。精神科を受診している場合、主治医の先生に公言するのも有効な方法です。

公言することは、「自分で約束したんだし、我慢しよう」という気持ちがはたらき、これが自傷衝動のブレーキとなってくれます。

Ⅲ.他者との付き合い方に注意

リストカットはストレス解消の目的で行われる事が多いのですが、ストレス源のほとんどは「対人関係」です。そのため、対人関係における認識を自分がストレスを感じないように修正することはリストカットを防止する有効な方法になります。

大切なのは「他者に期待しすぎない」という考え方です。

人間関係でストレスを受けるのは、自分が期待していた事に他者が応えてくれなかった事が原因です。期待が大きかったからこそ、それが叶わなかった時に「あの人は自分勝手だ」「自分はあの人にとってどうでもいい存在なのだ」とストレスが生まれてしまうのです。

他者にも他者の人生があり、あなたの全てを受け入れることは出来ないという事を理解しましょう。そして、自分の期待に反したからといって自分が大切にされていないという事にはならないという事も理解しましょう。

他者を頼ってはいけないわけではありません。他者に過剰に期待しすぎてはいけない、という事です。

Ⅳ.他のストレス解消手段を持つ

リストカットをしてしまう方の多くは、ストレスを自分の中に溜め込んでしまう人だと感じます。

グチを言うなり、思いっきり遊ぶなりして発散すればいいのに「そんな事をしたら人に迷惑をかけてしまう」と考えてしまうのです。でも、リストカットなら人に迷惑をかけないから、という理由で自傷します。

リストカットは一見自分だけで完結しているようなストレス解消法に見えますが、実際はそんな事はないのは先に述べた通りです。

リストカット以外にストレスを解消する方法はないのかを考えてみましょう。必ずあるはずです。

ストレス解消法は人によって異なるため、「これをすれば絶対にストレス解消になるよ」というものはありませんが、当サイトでも「一人でも簡単にできる!ストレス解消方法10選」などの記事でストレス解消法を紹介していますので、参考にしてみて下さい。

Ⅴ.一人で治療しようとしない

リストカットを止めるためには、周囲の援助が必須です。これは依存症の治療と同じで、一人だとついまた手を出してしまうからです。

できれば家族などの同居者が協力してくれることが理想です。

リストカットをしていると、それを発見した家族は「下手に刺激しない方がいいのではないか」と思われるかもしれませんが、本人に治療の意欲がある場合は、リストカットについてはむしろしっかりと話し合った方がよいでしょう。

「リストカットをされると、私たち家族は悲しいしつらい」とはっきり伝えることは、リストカットが自分の問題だけでないと本人が気付くきっかけを与えてくれますし、また「一人で孤独に治療しているのではない」という安心感も与えてくれます。

リストカットの衝動が抑えられない時は、それを周囲に伝えるのも手です。家族など周囲の方は、出来る限りリストカットをしないようにつらい気持ちを聞いてあげましょう。話す事でストレスが吐き出されていくと、自傷したい気持ちも少なくなっていきます。

リストカットの背景に「もっと家族からの愛情が欲しい」という気持ちがある事は珍しい事ではありません。家族が気を遣ってリストカットに口を出さないのは、「どうでもいいと思われているんだ」と誤解させてしまい逆効果になります。

家族が「安心」を提供してくれることは、リストカット予防に非常に効果的です。

Ⅵ.それでもリストカットをしてしまったら

いざリストカットを止めようと決心しても、いきなりキレイに止められる事は稀です。つい我慢できずにまたやってしまった、という事もあります。

この時「やっぱり私は止められないんだ・・・」と考えたり、自分を責めたりしてはいけません。

もちろんあなたの身体の事を考えればすぐにやめてもらいたいものですが、今までしてきた習慣なのですから、いきなり止められないのは普通のことです。

リストカットを繰り返してしまった時、大切なのはその後の反省です。「私はダメだ」で終わってしまっては何の進展にもなりません。

どうしてしてしまったのか。同じ状況が次来た時、どうすれば我慢できるかを考えましょう。自分ひとりではうまく答えが出せない時は周囲や主治医の先生と一緒に相談してみてもよいでしょう。

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6.精神科・心療内科がリストカットに対して出来ること

どうしてもリストカットが止められない場合、私たち精神科・心療内科も役に立てる事があります。リストカットを止めるために一番大切なのは自分の意志ですが、私たちもお手伝いする事でリストカットを止める成功率を高めることが可能です。

リストカットが止められない、という場合は、私たち医療者に相談してください。

私たちがお手伝いできる事を紹介します。

Ⅰ.話を聞く

ストレスに感じたことについて話す事はとても大切です。

自傷は、行き場のないストレスのはけ口として行われるパターンが少なくありません。であれば、そのストレスを「話す」ことで吐き出す事ができれば、ストレスは低下していき、リストカットもしなくなります。

もちろん身近にグチなどを話せる人がいればその人に話してもよいのですが、こういった事は誰にでも話せることではありません。

私たち精神科医もなるべくお話を聞きたいと思ってはいますが、患者さんをたくさん持っている忙しい先生は、十分な時間がどうしても取れないこともあります。その場合はカウンセラー(臨床心理士)を利用するのも一つの方法になります。

Ⅱ.お薬を使う

リストカットの特効薬というのはありません。

しかし先ほどもお話したように、自傷したい気持ちというのは何時間も何日も続くことはありません。その大きな波さえ何とか乗り越える事が出来れば、リストカットの頻度を減らすことが可能になります。

自傷したい気持ちが高まってきたことを感じたら、即効性のある抗不安薬などを飲むのは一つの方法です。もちろんその適応は主治医と慎重に判断すべきですが、上手く使えば、イライラやストレスを抑えることで自傷の頻度を減らすことができます。

また衝動性や攻撃性の減少を目的としてある精神科のお薬を投与することが、リストカットなどの自傷行為の減少に効果があったという報告もあります。症例によっては主治医の判断のもと、このようなお薬が使われることもあります。

Ⅲ.背景に疾患が隠れていないかの判断

リストカットをする場合、ストレス解消法のひとつとしてのリストカットというケースが多いのですが、中には精神疾患が隠れている場合もあります。

統合失調症の幻聴から命令されて切っているという方もいましたし、うつ病の自責感からリストカットで自分に罰を与えるという方もいました。背景に精神遅滞があり、知能の低さからストレスをうまく処理できないという原因の方もいました。

精神疾患によるリストカットは、ストレス解消によるリストカットと比べて、傷が深く致命傷になりやすいため、しっかりと鑑別する必要があります。

Ⅳ.対人関係の修復のお手伝い

家族との関係や学校での悩みを理由にリストカットをしてしまう事もあります。しかし本人から直接家族に話したり、学校に相談したりというのがなかなかできないという人もいるでしょう。

この場合、医師や医療関係者が適切に仲介に入ることによって、お話合いがしやすくなります。

両親も診察にきてもらった事で、「子供がこういうところで傷ついているとは気付かなかった。これから気を付けたい」と気付きを得てくれた家族もいます。学校に問題があれば、担任の先生やスクールカウンセラーと連携して、問題を共有して解決していく事も有効です。

自分ひとりだとなかなか出来ない事でも、医療者という第三者を介することでスムーズに進むことは少なくありません。

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