リストカットに至る心理とリスカをやめるために有用な対処法

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3.リストカットをして痛くないの?

リストカットをした事がない方や、リストカットをする人の気持ちが分からないという方は、リストカットをしている人に「そんな痛いこと、良く出来るね」と感じるかもしれません。

今の時代、小さい手術であっても局所麻酔をかけて行うのが普通です。なのに、自ら痛い思いをしているのですから、「理解できない」と思われても無理はありません。

リストカットをしてしまう方にお話を聞くと、「痛み」については2つのタイプに分かれることに気付きます。

  • 痛みを感じない、あまり自傷の事を覚えていない
  • 痛みを感じる事がストレス解消になる

痛みを感じない方もいます。なぜ痛みを感じないのかというのは分かっていません。

「解離状態に似た状態になっているのではないか」
「自傷時にドーパミンが分泌されて痛みを感じにくくしているのではないか」

などと言われていますが、詳細は不明です。しかしリストカットをしてしまう方の話を聞くと、確かに痛みをあまり感じていないようです。

痛み自体がストレス解消になるという方は、切る事で一種の快感を得られるとか、自分が生きている実感を得られるとおっしゃいます。

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4.リストカットは何が問題なのか

リストカットが「良くない事である」「すべきものではない」という事は、みなさん一般的な倫理として理解できると思います。

しかし、リストカットを繰り返している方の中にはこのように言う人もいます。

「誰にも迷惑をかけていないからいいじゃないですか」
「自分の身体をどうしようと、自分の自由ではないのですか」

と。

他人に迷惑をかけておらず、自分の中で解決しているのだから、別にリストカットしてもいいじゃないかというわけです。

確かに一理ありそうな言い分です。しかしそれでもやはりリストカットはして良いものではありません。

リストカットはなぜしてはいけないのでしょうか。

Ⅰ.将来必ず後悔し、自分の将来を狭める

ストレス解消で行われるリストカットは、自殺目的とは異なるため、傷は浅いことが多いです。しかし慢性的に繰り返されやすいため、傷跡はどんどんと目立つようになってしまいます。リストカットの傷は完全には消えませんし、自傷を繰り返せばその傷は太くなっていきます。

そしてこの傷痕は、あなたの将来を狭める原因となります。

実際、リストカットの傷が目立つからという理由で、夏に外に出れなかったり、皆と遊びに行けなかったりという状況になってしまい、後悔している方を私は大勢みてきました。

傷痕を消すために手術という方法がないわけでもありません。確かに腕のいい形成外科医の手にかかればある程度はキレイになります。しかし手術は手術で身体にメスを入れるわけですから、やはりある程度のキズは残ってしまい、傷を完全に消すことは不可能なのです。

リストカットという行為は、今の苦しさを多少だけ和らげてくれるという代償に、あなたの将来を狭めてしまう行為だと自覚しなければいけません。

手首に傷があるから、

・好きな人に嫌われるのが怖くて気持ちを伝えられない
・みんなと一緒に外出できない
・気に入った服を着ることができない
・就きたかった仕事に就けない

など、将来多くの事をあきらめることになってしまう可能性があるのです。

私たち精神科医はリストカットをした方に接する機会が多くあり、その経験から、この言葉が決して大げさではないと断言できます。

リストカットをしていた方は将来、必ず後悔します。みなさん「先生、何とかしてこの傷を消すことはできませんか?」と切に訴えられます。しかし傷をある程度目立たないようにすることは可能でも、完全に消すことは不可能なのです。リストバンドなどで隠すことはできますが、仕事中はリストバンドをすると不自然になってしまい事も多いため、いつでも使える方法ではありません。

同じような思いをしないためにも、どうか一時の快楽のために、将来をつぶすことのないようにして欲しいと強く願っています。

Ⅱ.実は他人に悪影響を与えている

リストカットをしている事を周囲に隠している方も多いと思いますが、意外と周囲は気づいています。特に家族は気付いていたとしても、「注意して、かえってリストカットがひどくなってしまったらどうしよう」と心配し、あえて気付かないふりをしている事もあります。

時々、患者さんの母親と名乗る方から電話があり「先生、娘がいつもお世話になっています。実は、娘がリストカットをしているみたいなんですが、どう対応したらいいのか分からないんです・・・」と相談される事もあります。

自分の大切な子供がリストカットをしている事を知った時、親は大きなショックを受けます。そして、この事に対してどう対応していいか分からず困惑してしまいます。下手に怒って、リストカットがより悪化してしまったらどうしよう、でも何も言わないのもそれはそれで心配・・・、と。

リストカットをしている本人は、自分の中で解決していて他者には迷惑をかけていないと思っているのかもしれませんが、実際は他者に大きな心配をかけている事は少なくありません。

また、リストカットは友人などに伝染しやすい傾向があります。リストカットを始めたきっかけとして「知人がやっているのを知って自分もしてみようと思った」「ネットでリストカットを見て自分も始めた」という声はよく聞きます。

人気ミュージシャンの歌に取り上げられたり、その「自分を傷つける」という行為から、リストカットは若者の間では一種の「カッコよさ」「流行」と捉えられてしまう側面を持っています。

リストカットは自分だけで完結しているようにみえて、実は知らず知らずのうちにたくさんの人を巻き込んでしまっているのです。

Ⅲ.自傷以外のストレス解消法が身につかない

ストレスが溜まるとリストカットをする、という事を繰り返していると、ストレスに対する適応力がいつまでも付きません。

人生は長く、生きている中でストレスになる事、理不尽な事には必ず遭遇します。そんな中、少しずつストレスに対する適応法や自分に合った発散法を学んで対処できるようになっていくのが正しい成長の仕方でしょう。

しかしリストカットによるストレス解消に頼っていると、「ストレスを受ける」⇒「リストカット」という発散法しか身につかなくなり、ストレス耐性や上手なストレスの逃がし方をいつまでも学べないまま成長してしまいます。

Ⅳ.自分のこころを傷つけている

ストレスを感じた時、リストカットなどの自傷行為を行えば、その時の気持ちは楽になるかもしれません。しかし、多くの方はリストカットをしてしまった後、「またリストカットをしてしまった・・・」と後悔・自責の念に駆られるようです。

そしてそのストレスがまた次のリストカットを引き起こします。

自傷行為を繰り返している方は、そうでない方に比べて自殺率が極めて高くなる事が報告されています。また、青年期の自傷行為は、うつ病や不安障害、物質乱用(アルコールや覚せい剤など)にかかる可能性が高くなることも指摘されています。

その理由は様々な要因が影響していると推測されるため、簡単に述べることは難しいですが、自傷が習慣化してしまうと、自分を傷つけることへの抵抗がどんどんと低くなっていき、自己評価の低下や、自分の命の重さを軽視することにつながっていく可能性があると考えられています。

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