レジリエンスとは|落ち込みにくい精神を作るレジリエンスの意味

レジリエンスとは?レジリエンスの意味

近年、精神疾患の予防や回復の重要な因子としてレジリエンス(Resilience)という概念が注目されています。

レジリエンスは精神疾患を発症させないための防御力・抵抗力、そして発症してしまった精神疾患を治すための回復力といった意味で用いられています。レジリエンスを高める事が出来れば、精神疾患の予防や回復に大きく役立ちます。

レジリエンスは精神疾患のみに限らず、日常生活でも役立ちます。ストレスを受けた時、落ち込み過ぎることが少なくなり、また落ち込んでしまった時も早く立ち直れるようになります。

実は適切なトレーニングを受ければレジリエンスは誰でも高められる事が分かっています。

レジリエンスを高めるためには、まずはレジリエンスについて正しく理解しなくてはいけません。レジリエンスの意味と、レジリエンスが注目されるようになってきた背景について紹介します。

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1.レジリエンスとは。レジリエンスの意味

レジリエンス(Resilience)というのは、元々は物理学の用語で、「弾力」や「跳ね返す力」という意味を持っています。近年、精神科・心理学の領域でも物理学と同様に「(ストレスを受けた時に)跳ね返す(こころの)力」という意味で使われるようになりました。

メンタルヘルスにおけるレジリエンスとは、

・精神的な回復力・しなやかさ
・精神的な防御力や抵抗力

という意味で用いられています。

ストレスが襲い掛かってきた時に、それを跳ね返す能力であったりそこから早く立ち直る能力、かんたんに言ってしまえば「こころの強さ」をレジリエンスと呼びます。

同じような精神的ストレスを受けても、精神疾患にかかる人もいればかからない人もいます。また、同じような精神疾患にかかって、同じような治療を受けても早く治る人もいればなかなか治らない人もいます。

この違いはレジリエンスにあります。

同じ精神的ストレスを受けても、精神的な防御力・抵抗力が高い人(レジリエンスが高い人)の方が精神疾患にかかりにくく、精神疾患にかかってしまっても、精神的な回復力が高い人(レジリエンスが高い人)の方が治りが早いという事です。

レジリエンスは遺伝的な要素(生まれつきの能力)もありますが、それだけではありません。しっかりとトレーニングをすれば誰でもある程度、レジリエンスは高めることが出来ると考えられています。

レジリエンスを高めれば、精神疾患を予防することができますし、また精神疾患にかかってしまっても早く治癒させる事が可能となるのです。

また、レジリエンスを高める必要性は精神疾患の方に限定された事ではありません。すべての人にとってレジリエンスを高めるメリットがあります。レジリエンスを高めれば、ストレスを受けてもそれを上手に処理し、素早く立ち直ることが可能となります。

近年はメンタルヘルスに関心を持つ方が増えてきており、レジリエンスを高める方法を学ぶ方も増えていきます。企業などでもレジリエンスを高めるための研修・セミナーを導入しているところも増えているようです。

2.なぜレジリエンスが注目されているのか

レジリエンスは近年、注目されるようになってきた概念です。

しかし上記のレジリエンスの説明を読んで頂ければ分かるように、レジリエンスは何も特別な事を言っているわけではありません。

・精神的な回復力・しなやかさが高い人の方が精神疾患が早く治る
・精神的な防御力や抵抗力が高い人の方が精神疾患にかかりにくい

これって誰でも知っている事ではないでしょうか。なぜこのような概念が近年注目されるようになったのでしょうか。

その理由は2つあります。

1.今までの治療法だけでは限界がある事が明らかになってきた
2.レジリエンスは生まれつきの能力ではなく、トレーニングで誰でも高められる事が分かってきた

ひとつずつお話していきます。

Ⅰ.精神疾患の治療は薬物だけでは限界がある

今までの精神疾患の治療というものは、病気が発症する原因を究明してその原因に対してアプローチを行うという手法が主流でした。

例えば、統合失調症は「ドーパミンの過剰で起こるのではないか」というドーパミン仮説が提唱され、それに対してドーパミンを遮断するはたらきを持つ抗精神病薬が誕生しました。ドーパミンが多いのが原因だからドーパミンを減らそう、という治療法です。

うつ病でも「モノアミンの不足で生じるのではないか」というモノアミン仮説が提唱され、セロトニンやノルアドレナリン、ドーパミンなどのモノアミンを増やすはたらきを持つ抗うつ剤が生まれました。これもモノアミンが少ないのが原因だからモノアミンを増やそう、という治療法です。

確かにこれらのお薬の開発は画期的なものであり、多くの精神疾患の患者さんを救ってきたのは事実でしょう。しかし一方で、限界があるのもまた事実なのです。

原因に対してアプローチするという方法が有効なのは間違いありません。ある原因で病気が生じているのであれば、その原因を解決すれば治るはず、これは正しい考え方です。しかし、そもそも「ドーパミンが過剰だ」「モノアミンが少ない」という原因は、あくまでも推測である「仮説」に過ぎないことを忘れてはいけません。実際にうつ病の患者さんの脳を直接見て、モノアミンが少ない事をはっきりと確認したわけではないのです。

「仮説」に過ぎない原因に対して、それのみにアプローチするという方法に限界があるのは明らかです。仮説なのにその原因のみを重視してしまうと、効かなければ「もっとドーパミンを遮断しよう!」「もっとセロトニンを増やそう!」という考えしか生まれません。これはお薬を増薬するという事です。その結果、お薬がどんどんと増えていき、俗に言う「薬漬け」という状態になってしまいます。

お薬が増えた分病気が治ればまだいいのですが、お薬を大量に飲んでいるのに、病気はあまり改善していないという患者さんもいます。実際、向精神薬(精神科のお薬)の大量投与は、日本において近年問題となっています。

このような背景を受け、「原因に対してアプローチをする」という治療法には限界があるという事を認識し、その治療アプローチだけを重視すべきではないという考えが近年広まってきました。原因に対してのみアプローチするのではなく、個々人の回復力や抵抗力に着目し、これを伸ばしていくことで治療をしていくという方向の治療が注目されるようになったのです。

この「回復力」「抵抗力」がレジリエンスです。

原因に対するアプローチ、そして個々人の回復力・抵抗力(レジリエンス)を伸ばしていくアプローチ、どちらもバランス良く取り入れていく必要があるのです。

Ⅱ.レジリエンスは誰でも高める事が出来る

以前は、精神疾患の発症に対する抵抗力・回復力というのは先天的なもの(生まれつき決まっているもの)と考えられていました。しかし上手にストレスを乗り越えていったり、人に相談したり、環境調整を行うことで、誰でもある程度高められる事が近年分かってきました。

実際にレジリエンスの高い人と低い人を比較してみると、レジリエンスの高い人・低い人にはそれぞれ共通点がある事が分かります。それは考え方であったり、自己評価であったり、自分の周りの環境であったり、様々な要因があります。

レジリエンスが高い人に共通することを、トレーニングによって自分の中に取り入れれば、レジリエンスは高める事が可能です。

レジリエンスを高めるために、しっかりとトレーニングを受け、考え方や行動を修正していけば、精神疾患の発症を予防したり、発症してしまった際にもスムーズに回復されることができるという事です。

(レジリエンスのトレーニング方法については、別の記事に詳しく書きます)

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