ハルシオン錠(トリアゾラム)の効果・強さ【医師が教える睡眠薬の全て】

ハルシオンの効果

ハルシオン錠(一般名:トリアゾラム)は1983年に発売された睡眠薬で、ベンゾジアゼピン系という種類に属します。

ベンゾジアゼピン系は効果も良く、重篤な副作用も少ないため、現在でも不眠治療の主役となっているお薬です。

ここではハルシオンの効果の強さや作用機序、作用時間、他の睡眠薬との比較などを紹介していきます。

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1.ハルシオンはどんな睡眠薬か

まずはハルシオンの特徴をお話します。

ハルシオンの最大の特徴は、そのキレの良さにあります。具体的に言うと、即効性に優れ、効果が強めだということです。

個人差はありますが、服薬してから15~20分も経てば眠気を感じ始め、データ上は1.2時間で血中濃度が最大に達します。効果発現の速さは最速クラスで、また効果も強めであるため入眠障害(寝付けない)タイプの不眠には良く効くお薬です。

欠点としては、急激に効き始めるため、せん妄状態や一過性前向性健忘を起こしやすいことがあります。これは服薬後に自分では覚えてないんだけど歩いたり話したりしている、というような状態で、お薬が急激に効く事で中途半端な覚醒状態を作ってしまうことが原因です。

また、半減期が短く、効果も強めであるため耐性・依存性のリスクがやや高いのも欠点として挙げられます。

【半減期】
お薬の血中濃度が半分に下がるまでにかかる時間のこと。作用時間を知る1つの目安になる値。

ハルシオンは、即効性があり頼れる睡眠薬ですが、副作用にも注意しなければいけない睡眠薬でもあるのです。

即効性があって効果の強い睡眠薬というのは、犯罪などに使われやすく、危険度も高い側面があります。実際、イギリスやオランダ、ノルウェー、フィンランドなどではハルシオンは発売中止となっています。

2.ハルシオンの強さは?

ハルシオンの睡眠薬としての強さはどのくらいなのでしょうか?

個人差もありますが、一般的にハルシオンは「効果がやや強め」の睡眠薬です。 

とは言ってもベンゾジアゼピン系睡眠薬はどれも強さに劇的な差はないとも言われており、他と比べて劇的に強い、というわけではありません。あえて強弱の差をつけるならば、やや強め、という程度です。

ベンゾジアゼピン系や非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬は強さに関しては、どれも大きな差はありません。違うのは「強さがピークになる時間帯」や「効果が続く時間」です。

sleepdrug

上図のように、睡眠薬はどれもピーク時の強さは同程度です。強さはあまり変わらず、強さがピークになる時間帯がそれぞれ違うのです。

そのため、もし効果を強めたり弱めたりしたい場合は、睡眠薬の種類を変えるよりも「量を増やす/減らす」のが効果的だということが分かります。ハルシオンは0.125mg~0.5mgまでの間の量で使うことが多いのですが、量を増やせばそれだけ効果は強くなります。

ただし量を増やせば効果も強くなりますが、副作用も現れやすくなります。そのため、まずは0.125mgや0.25mgなどの少量から開始し、効果が不十分な場合に限り0.5mgを使うようにするのがいいでしょう。

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3.ハルシオンの作用時間

ベンゾジアゼピン系の睡眠薬は作用時間で大きく4種類に分類されています。

  • 超短時間型・・・半減期が2-4時間
  • 短時間型 ・・・半減期が6-10時間
  • 中時間型 ・・・半減期が12-24時間
  • 長時間型 ・・・半減期が24時間以上

半減期というのは、その薬の血中濃度が半分になるまでにかかる時間の事で、そのお薬の作用時間を知る1つの目安となる値です。半減期と作用時間は完全に一致するものではありませんが、1つの指標として用いられています。

ハルシオンは「超短時間型」の睡眠薬に分類され、服薬してから1.2時間ほどで血中濃度が最高値になり、半減期は約2.9時間です。

飲んでから1時間ほどで効果が最大になるため即効性に優れますが、半減期も短いため持続力はありません。入眠障害(寝付けない)タイプの不眠には適していますが、中途覚醒(夜中に何度も起きてしまう)タイプの不眠には適さない睡眠薬です。

即効性に優れ効果も強いため、改善を実感しやすく、患者さんからの受けは良いお薬です。しかし良く効くからとたくさん使われてしまったり、漫然と使用され続けてしまい、耐性や依存性を起こしてしまうケースも少なくありません。適正使用への注意が必要です。

必要な時に必要な範囲で内服することは問題はありませんが、安易な内服や漫然と服薬を続けることは避けるべきでしょう。

4.各睡眠薬の作用時間比較

よく使われる睡眠薬の作用時間を比較してみましょう。

睡眠薬最高濃度到達時間作用時間(半減期)
ハルシオン1.2時間2.9時間
マイスリー0.7-0.9時間1.78-2.30時間
アモバン0.75-1.17時間3.66-3.94時間
ルネスタ0.8-1.5時間4.83-5.16時間
レンドルミン約1.5時間約7時間
リスミー3時間7.9-13.1時間
デパス約3時間約6時間
サイレース/ロヒプノール1.0-1.6時間約7時間
ロラメット/エバミール1-2時間約10時間
ユーロジン約5時間約24時間
ネルボン/ベンザリン1.6±1.2時間27.1±6.1時間
ドラール3.42±1.63時間36.60±7.26時間
ダルメート/ベジノール1-8時間14.5-42.0時間

作用時間が睡眠薬によって様々であることが分かります。

最高濃度到達時間が早いお薬は、「即効性がある」と言えます。ハルシオンをはじめ、ルネスタ、マイスリー、アモバンなどの「超短時間型」は1時間前後で血中濃度が最高値になるため、「すぐに寝付きたい」という方にお勧めです。

しかし、3~4時間で効果が切れてしまいますから長くぐっすり眠りたい方には不適であることが分かります。

反対に7~8時間ぐっすり眠りたい場合は、リスミー、デパスやロラメット/エバミール、ユーロジンなどの睡眠薬が適していることが分かります。

それぞれ特徴が違いますので、主治医と相談して、自分に合った睡眠薬を選びましょう。

5.ハルシオンが向いている人は?

不眠には大きく分けると2つのタイプがあります。

一つ目が「寝付けない事」で、これは「入眠障害」とも呼ばれます。そして二つ目は「寝てもすぐに起きてしまう事」で、これは「中途覚醒」と呼ばれます。

一般的には、

  • 入眠障害には超短時間、短時間型、
  • 中途覚醒には中、長時間型

の睡眠薬が適していると言われています。

ハルシオンは超短時間型ですから、セオリー通りにいけば「寝付きが悪い」という入眠障害に向いていることになります。

実際もその通りで、ハルシオンは入眠障害に一番効く睡眠薬だと言ってもいいでしょう(効きに個人差がありますので、誰にでも一番効くというわけではありませんが)。

寝付けなくて苦しい時に、すぐに寝付きを良くしてくれるのはとても助かりますよね。ハルシオンは入眠障害で苦しむ患者さんの大きな助けになる睡眠薬で、実際に眠れるようになるため患者さんも喜んでくれます。

しかしこれは注意も必要です。キレが良く、効きも良いという事は、「依存しやすい」「睡眠がハルシオン頼りになりやすい」という事でもあります。実際、ハルシオンの依存は、他のベンゾジアゼピン系睡眠薬よりもやや多めであり、しばしば問題となります。

ハルシオンは、入眠障害タイプの不眠の方に向いているお薬ですが、良い意味でも悪い意味でも「強い」お薬であるため、

  • 他の睡眠薬(例えばマイスリーやアモバンなど)で十分な効果が得られない入眠障害の第2選択薬として

良いのではないでしょうか。

また、ハルシオンを現在使っている方は特に耐性・依存形成に注意を払い、漫然と内服を続けないようにしましょう。

6.ハルシオンの作用機序

ハルシオンは「ベンゾジアゼピン系」という種類のおく薬です。

ベンゾジアゼピン系は、GABA受容体という部位に作用することで、

  • 抗不安作用(不安を和らげる
  • 催眠作用(眠くする)
  • 筋弛緩作用(筋肉の緊張をほぐす)
  • 抗けいれん作用(けいれんを抑える)

という4つの効果を持っていることが知られています。

ベンゾジアゼピン系と呼ばれるお薬は、基本的にはこの4つの効果を全て持っています。ただ、それぞれの強さはお薬によって異なり、抗不安作用は強いけど抗けいれん作用は弱いベンゾジアゼピン系もあれば、抗不安作用は弱いけど催眠作用が強いベンゾジアゼピン系もあります。

ベンゾジアゼピン系のうち、催眠効果が特に強いものを「ベンゾジアゼピン系睡眠薬」と呼びます。ハルシオンもそのひとつです。

(注:ページ上部の画像はイメージ画像で、実際のハルシオン錠とは異なります)

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