ストレスで頭痛が生じる理由とその治し方

ストレスと頭痛

私たちは毎日ストレスを受けて生きています。

「ストレス」というと悪者のようなイメージを受けますが、適度なストレスであれば心身に大きな害を来たす事はありません。適度なストレスを受けると身体が緊張状態になるため、集中力や作業能率を上げることが出来ます。いざという時に力を発揮するためにも、適度なストレスというのは必要なものでもあります。

一方で過剰なストレスを受け続けてしまうと、ストレスは心身を徐々に害を与え始めてしまいます。ストレスは身体、そしてこころとあらゆる部位に様々な症状を引き起こします。

ストレスで生じることが多い症状の1つとして「頭痛」が挙げられます。「ストレスで頭が痛くなる」という経験をした事がある方は多いと思います。

今日はストレスで頭痛がなぜ生じるのか、そしてストレスで生じた頭痛はどのように治していけばいいのかについて紹介します。

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1.ストレスで頭痛が生じるのは何故か

ストレスで生じる頭痛の治し方を知るためには、まずはストレスでなぜ頭痛が生じるのか、その機序から理解していく必要があります。

ストレスで心身に症状が生じるのは、主に

  • ストレスホルモン(副腎皮質ホルモン)の乱れ
  • 自律神経系の乱れ

の2つが原因だと考えられています。

ストレスホルモンは、副腎皮質から分泌される「コルチゾール」などのホルモンのことで、これは体内で合成・分泌されているステロイドになります。

ステロイドの作用に、体液量を増やすことで血圧を上げるという作用があります。ストレスを受けたとき、私たちの身体はストレスと闘おうとしますので、血圧を上げて身体を戦闘態勢にするのです。このような脳の血圧上昇に伴う血管の収縮・拡張や脳の血液量の増大は、頭痛の原因の1つになります。

また自律神経系の乱れも、頭痛の原因となります。自律神経は全身に分布しており、頭部にも当然分布しています。

リラックスしているような状態では、自律神経系のうち副交感神経というリラックス系の神経が活性化しています。この状態だと頭部の神経もリラックスしており、頭部の筋肉も適度に緩んでいます。しかし反対にストレスがかかったときは交感神経という緊張系の神経が活性化します。緊張時は筋肉が収縮するため、頭部の筋肉も収縮し、頭を締め付けるため、これも頭痛の原因になります。

このような機序により、ストレスを受けると頭痛が生じてしまうのです。

2.ストレスによる頭痛で考えられる疾患

ストレスで頭痛が生じたとき、どのような疾患が考えられるでしょうか。

ストレスで頭痛を生じることのある代表的な疾患を紹介します。

Ⅰ.偏頭痛(片頭痛)

偏頭痛はストレスで生じることがあります。

また疲れや睡眠不足などがあると更に生じやすくなる事が知られています。

偏頭痛の原因は「脳血管の拡張」だと推測されていますが、近年はそれだけでなく様々な原因が重なった結果として偏頭痛が生じるのではないかと考えられています。

Ⅱ.筋緊張性頭痛

ストレスによって頭部の筋肉が過剰に収縮してしまうと、筋緊張性頭痛が生じます。

筋緊張性頭痛は、頭部の周りを覆っている筋肉の緊張によって生じるため、「頭が締め付けられるような」痛みを感じることが多く、また頭部だけでなく首や肩も痛むことがあります。

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3.ストレスによる頭痛と、その他原因による頭痛の見分け方

このように、過剰なストレスを受けると頭痛が生じることがあります。

しかし一方で頭痛というのは、他の原因で生じることもあります。

発熱によって頭痛が生じることもあるし、頭部の腫瘍で頭痛が生じることもあります。あるいはタバコやアルコールなどが原因で頭痛が生じることもあるでしょう。これらの頭痛とストレスによる頭痛というのはどのように見分ければ良いでしょうか。

この見分け方はなかなか難しいことも多いのが実情です。ストレスというのは数値化できるものではないため、「今自分がどのくらいストレスがかかっているのか」ということは客観的な指標として出すことはできません。そのため、ストレスと頭痛の関係性がどのくらいかというのは正確に判断することが難しいのです。

またストレスとその他要因が合わさっていることも多く、この場合はどっちが原因なのか更に分からなくなります。

例えば強いストレスを受けていて、そのストレス発散としてアルコール飲酒、タバコの本数を増やすなどをしていて、それで頭痛が生じた場合などでは、これはもはやどちらが原因なのか分かりません。

このようにストレスとその他の原因を見分けるということは難しいのですが、それでもできる範囲で「こっちの可能性の方が高そうだ」と原因に近づくことは大切です。なぜならば、どちらが原因なのかによって治療・対策が異なってくるからです。

ストレスが原因なのであれば、ストレスに対して対処を行わないといけません。一方で例えばアルコールの飲みすぎが原因なのであれば対処法はアルコールを減らすことです。このように対処法が全く異なるのです。

両者を見分けるための一番の方法は、やはり「ストレスと頭痛の関連」を正確に見てみることです。これを判断するためには、「自分が受けているストレスの強度」と「頭痛の強さ」をそれぞれ10段階で評価し、毎日記録するという方法が一番確実です。

ストレスが原因であれば、やはりストレスが強いときにストレスホルモンが多く分泌され、自律神経系がより強く乱れるわけですから、症状が強くなります。ストレス以外が原因であれば、ストレスの強さに関係なく症状は現れるはずです。

4.ストレスで頭痛が生じたときの対処法・治療法

ストレスで頭痛が生じているとき、その対処法・治療法としてはどのようなものがあるでしょうか。

Ⅰ.ストレスから離れる

頭痛の原因がストレスにある以上、一番の対策はストレスから離れることになります。

実際は、「それが出来れば苦労しないよ」という話であり、そう簡単に離れられるものではありません。

しかし少しでも距離を取る、離れる時間を増やすことを意識することが大切なことです。

Ⅱ.ストレス発散の手段を持つ

頭痛の原因はストレスですから、一番の解決策は「ストレスから離れること」に尽きます。

しかしこれは現実的な方法ではないため、現実的に大切になるのは、「受けたストレスを発散できる場を持つこと」になります。

ストレスを無限に溜め込める人はいません。どんなにメンタルが強そうに見える方であってもストレスを受け続ければ必ず症状は現れてしまいます。

ストレスを発散する方法はたくさんありますが、「自分が心から楽しいと思える行動」か「副交感神経を活性化させる行動」のどちらかを満たす行動をとるようにしましょう。

「自分が心から楽しいと思える行動」というのは、その人によって異なるため、一概に言えるものではありません。

「カラオケで思いっきり歌う」
「友達に心ゆくまで愚痴を話す」
「スポーツで汗を流す」

などが人気の行動ですが、人によって異なります。

「副交感神経を活性化させる行動」というのは、「リラックス状態」を作れるような行動です。例えば、

「銭湯で温泉にゆっくりつかる」
「静かな場所でゆっくりと好きな本を読む」
「いつもより少し多めに眠る」

などがあります。

Ⅲ.オンとオフを意識した生活を

ストレスを受け続けていると、常に緊張の神経である交感神経が活性化しています。この状態が続くと「緊張」⇔「リラックス」の切り替えがうまくいかなくなります。

通常私たちは、仕事などの緊張時は交感神経のスイッチがオンになっていますが、仕事が終わると副交感神経のスイッチがオンになりリラックス状態が作られます。これが仕事が終わっても交感神経がオンになっているままだと、24時間ストレスを受け続けていることになります。これでは頭痛が生じてしまっても仕方ありません。

このように交感神経がずっと活性化してしまうような状態を防ぐには、意識して生活にメリハリをつけることです。

仕事を自宅に持ち帰るという方は、仕事が終わったあとも交感神経がオンになってしまいやすいでしょう。休日も仕事の事が頭から離れない方も交感神経が常にオンになっている可能性が高いといえます。

「仕事中はしっかりと集中する」
「仕事が終わったら仕事の事は考えない」

などのメリハリをつけた生活は、非常に大切になります。

Ⅳ.生活習慣を改める

ストレスを受けているときというのは、生活習慣も悪くなりがちです。

ストレスから

・過食、やけ食いする
・食生活が不規則になる
・睡眠不足となる
・タバコの本数が増える
・アルコール飲酒量が増える

ということはみなさんも経験があるのではないでしょうか。

これらの行動はどれも更に頭痛を悪化させてしまう行動になります。

ストレスを受けているときこそ、このような行動を控えることが大切です。ストレスがひどいときこそ、意識して、

・三食規則正しく食べる
・夜はしっかり眠る
・タバコ・アルコールは控えめに

を意識すると、頭痛がどんどん悪化することを防ぐことが出来ます。

Ⅴ.補助的にお薬を使うことも有効

痛み止めなどを使って頭痛を抑えるという方法もあります。これは根本の解決にはなっていませんが、頭痛があまりにつらいと更にストレスも溜まっていくという悪循環になってしまうこともあるため、この悪循環を断ち切るためには有効です。

一般的な頭痛薬としては、

  • アセトアミノフェン(カロナールなど)
  • NSAIDs(ロキソニン、ボルタレンなど)

があります。

主治医に相談して必要があれば処方を受けることが出来ます。ただしⅠ.やⅡ.の方法でストレス自体を何とかしないと、お薬だけでは根本の解決にはならないため注意が必要です。NSAIDsなどの痛み止めを長期的に服用すると、副作用で胃が荒れてしまうことがあります。そのため使用は短期に留め、やむを得ず長期の使用になってしまう場合は胃薬などを併用するようにしましょう。

また、偏頭痛であれば、

  • トリプタン製剤(イミグラン、ゾーミック、レルパックス、マクサルト、アマージなど)
  • エルゴタミン製剤(クリアミン、ジヒデルゴットなど)

を使うこともあります。

筋緊張性頭痛であれば、

  • 筋弛緩薬(デパスなど)
  • 筋緊張改善薬(ミオナールなど)

を使うこともあります。

6.補助的に抗うつ剤、抗不安薬を使うことも

場合によっては、抗うつ剤や抗不安薬が頭痛に効果があることもあります。

抗うつ剤はセロトニン・ノルアドレナリンを増やすことで「痛み」を改善させる作用があります。特にノルアドレナリンを増やす作用に優れるSNRIが心因性の頭痛に対しては用いられます。

  • SNRI・・・サインバルタ、トレドミン、イフェクサーなど

また抗不安薬は抗不安作用により心身をリラックスさせてくれるため、これにより副交感神経が活性化しやすい状態を作ることが出来ます。

実際、抗不安薬の一部は「心身症」に対して適応を持っています。

【心身症】
ストレスが原因となって生じる身体疾患。例えばストレスによって生じる胃潰瘍やストレスによって生じる高血圧など。

どうしてもリラックス状態が作れない状態になっている方は、このようにお薬でリラックス状態を作ってあげることも時には有効です。

ただし、この方法も根本の解決にはなっていません。同様にⅠ.やⅡ.の方法でストレス自体を何とかしないと、お薬だけでは根本の解決にはならないため注意が必要です。

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