「寝言が多い」にはどのような意味があるのか。寝言の原因と改善法

こころが不調になったり精神疾患をわずらったりすると、眠りにも問題が生じることがあります。

代表的なものとしては「不眠」が挙げられます。こころの不調によって眠れなくなったり、夜中に何度も目覚るようになるというのはよく認められる症状です。

それ以外にも睡眠に問題が生じることもあります。意外なものとしては、こころが不調になると「寝言」が出やすくなります。

実際、こころの不調を抱える方から

「最近、寝言がひどくなったと家族から指摘される」
「自分の寝言で夜中に目覚めてしまうようになった」

と相談されることがあります。

寝言自体は大きな害のある症状ではありません。しかし自分の意識のない時に自分の意図とは無関係に言葉が発されるわけですから、あまり気持ちの良いものではありません。

なぜこころが不調な時は寝言が生じやすくなるのでしょうか。そもそも寝言ってどんな原因で生じる症状なのでしょうか。

今日は寝言が何故生じるのかという原因について、そして寝言を治すための方法について紹介します。

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1.寝言とは

寝言とは「睡眠中に発される言葉」を指します。

睡眠中は私たちは意識はありませんので、寝言は本人の意図とは無関係に発されるという特徴があります。発される言葉も様々で、うめき声のようなものもあれば、はっきりとした言葉であることもあります。

寝言は別にそれ自体が異常な現象だというわけではありません。正常な人でも見られる自然な現象です。

寝言は特に子供に多く認められることが分かっており、これは成長するにつれて自然と少なくなっていきます。みなさんも子供の頃、親から寝言を指摘されたことはないでしょうか。実は子供の半数以上に寝言が認められるとも言われており、寝言は子供では珍しくない自然な現象になります。

また大人でも普段から寝言を発する方もいます。これも別に病気でも何でもありません。例え寝言があっても、本人も周囲も別に困っていないのであれば様子をみて問題ありません。

このような正常な寝言というのは、遺伝的な要素も多少あるようです。また女性よりも男性に多いと言われています。

2.寝言が増えた時はどんな原因が考えられるのか

寝言自体は異常な現象ではありません。元々普段から寝言を発する方もいらっしゃり、それが生活に何の問題も引き起こしていないのであれば、その寝言は様子をみて問題ありません。

しかし元々寝言をほとんど言わなかった人の寝言が急に増えたとなると、これは睡眠に何らかの変化が生じた可能性が考えられます。急な寝言の増加は、どのような原因が考えられるのでしょうか。

睡眠にはいくつかのステージがありますが、実は寝言が出現しやすいステージというのは決まっています。

睡眠は大きく分けると「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」に分けられます。

レム睡眠は簡単に言うと、「脳は起きているけども身体は寝ている」状態です。レム睡眠中は脳は活動し、記憶の整理や固定などを行っていると考えられています。脳は起きているため、レム睡眠中は夢を見ることがあります。また自律神経が活動してしまうこともあり、身体の変化(呼吸や脈拍が増減したり)が認められることもあります。

レム睡眠は睡眠の深さとしては浅い睡眠であり、レム睡眠時に起こされると比較的すっかりと目覚められることが知られています。

ノンレム睡眠というのは、脳も身体も寝ている睡眠です。ノンレム睡眠は更に4段階に分けられ、段階1と2が軽睡眠(浅い眠り)、段階3と4が徐波睡眠(あるいは深睡眠)と呼ばれます。ノンレム睡眠は、1⇒2⇒3⇒4⇒3⇒2⇒1と徐々に深くなり、一番深くなるとその後は徐々に浅くなっていきます。

通常の睡眠はノンレム睡眠から始まり、その後はレム睡眠とノンレム睡眠が交互に繰り返されます。そして睡眠の前半は徐波睡眠が多く、明け方になるにつれて軽睡眠やレム睡眠の比率が多くなっていきます。

このうち寝言は、

  • レム睡眠
  • 軽睡眠(ノンレム睡眠の段階1と2)

で認められる現象になります。

より簡単に言ってしまうと、眠りが浅い時に寝言は生じやすいのです。

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3.「寝言が多い」が意味する事

寝言は、自然な現象として生じることもあります。この場合は寝言に害はないため、治療の必要はありません。

しかし、今まで寝言を言わないような人が寝言を言うようになった場合は、睡眠が浅くなっている可能性があります。あるいはレム睡眠を増やしたり、深部睡眠を減らすような病気が関わってる可能性もあります。

「寝言が多い」が意味することを考えてみましょう。

Ⅰ.すべてが異常というわけではない

寝言の全てが異常な症状というわけではありません。先ほどもお話ししたように、正常でも寝言を発することはあります。

特に子供には多く認められますが、これは成長とともに自然と少なくなっていきますので心配はいりません。子供に寝言が多いのは、子供は大人と比べて睡眠中のレム睡眠の割合が多いからだと考えられています。

大人であっても少数ながら寝言を発する方もいらっしゃいます。これは家系的・遺伝的な影響もあると考えられています。また寝言は女性よりも男性に多く認められます。

元々寝言を発することが多い方で、それによって何の問題も生じていないのであれば、その寝言は治療をする必要はありません。

Ⅱ.基本的には眠りが浅いことを意味する

今まで寝言を言わなかった方の寝言の頻度が多くなった場合、これは睡眠に何らかの異常が生じて眠りが浅くなっている可能性があります。

眠りが浅くなる代表的な原因としては、「ストレス」が挙げられます。

こころの不調が生じると寝言の頻度が増えるのは、こころの不調が心身に「ストレス」を生じさせるからです。ストレスがかかると常に心身が緊張状態となるため、睡眠中も交感神経という緊張の神経が活性化してしまいます。交感神経は覚醒度を上げてしまうため深い眠りが得られなくなり、浅い眠りが多くなります。これによって寝言が多くなってしまいます。

うつ病や不安障害などの精神疾患にかかると寝言が多くなるのは、このような精神的ストレスが原因です。

また精神的なストレスのみならず、身体的なストレスでも同様に寝言は増えます。例えば風邪で高熱を出して寝込んでる時などでは、うなされるような寝言がよく認められます。これも「風邪ウイルスによる感染」という身体ストレスによって交感神経が活性化し、眠りが浅くなってしまうため寝言が多くなるのです。

Ⅲ.睡眠に障害が生じる病気の可能性もある

寝言はレム睡眠や軽睡眠で認められます。そのため、「レム睡眠が多くなる疾患」「深部睡眠が少なくなる疾患」などではその疾患の症状の1つとして寝言が生じることもあります。

例えば、

  • ナルコレプシー
  • 睡眠時無呼吸症候群
  • レヴィー小体型認知症
  • レム睡眠行動障害

などの疾患では寝言が出現することがあります。

ナルコレプシーは、別名「眠り病」とも呼ばれ、突然「睡眠発作」が生じて眠ってしまう疾患です。これはオレキシンという覚醒物質が減少することでレム睡眠とノンレム睡眠のバランスが崩れることが原因だと考えられています。

睡眠時無呼吸症候群は、睡眠時に無呼吸が生じる疾患です。無呼吸の間は当然苦しいわけですから眠りの質も浅くなります。

レヴィー小体型認知症は認知症の1つです。一般的なアルツハイマー型認知症や脳血管性認知症と異なり、幻視が生じやすかったり、パーキンソン病のような症状が生じやすいという特徴があります。他の認知症と比べて寝言も生じやすいため、寝言はレヴィ―小体型認知症と他の認知症と見分ける1つの根拠になります。

レム睡眠行動障害は、レム睡眠に異常が生じている疾患です。本来のレム睡眠は、脳が起きていて身体は眠っているため、筋肉は緩んでいて身体を動かしにくくなっています。しかしレム睡眠行動障害では、何らかの異常によってレム睡眠中に筋肉が緩まなくなってしまいます。するとレム睡眠中に動きやすくなってしまい、中には歩き出してしまう方もいます。筋肉がゆるんでいないため、発語もしやすく寝言も多くなります。

これらの疾患によって寝言が生じている場合は、各疾患に応じた治療を行うことが寝言の改善につながります。

4.寝言を治したい時の改善策とは

寝言というのは、それ自体は大きな悪さをする症状ではありません。しかし寝言で困っている人は意外と多いのです。

寝言の問題点は自分の意識がない時に生じる現象だという事です。自分が発するものであるにも関わらず自分の意図が必ずしも発されるわけではないため、

「寝言を聞いた人の気分を害することを言わなかっただろうか」
「恥ずかしい事を言っていなかっただろうか」

と心配になってしまうのです。

寝言が多い方だと、このような事が怖くて、友人と旅行に行けなかったり、夫婦で同じ部屋で眠ることを避けてしまうような方もいます。

では寝言はどのように改善させればいいのでしょうか。

寝言が多くなる原因は眠りが浅いことからきているため、改善策というのは「眠りを深くすること」しかありません。

寝言自体を少なくさせるようなお薬などはありません。よくある間違いとして寝言を治すために睡眠薬を安易に使用してしまうケースがありますが、これは必ずしも正しい方法とは言えません。というのも睡眠薬は眠らせる力はあるものの、レム睡眠を増やしてしまったり、深部睡眠を減らしてしまう作用があるものもあります。特にベンゾジアゼピン系睡眠薬にはこの傾向を持つものがあり、安易に睡眠薬で解決しようとすると寝言が悪化してしまう事もあります。

寝言を改善させたい場合は表面的な寝言という症状だけを治そうとするのではなく、眠りを深くするような治療法を考えていくことが大切です。

まずは自分の寝言がどのような原因で生じているのかを明らかにすることです。その原因によって取るべき改善策は異なってきます。

何らかの精神的ストレスが原因なのであれば、そのストレスから離れたりストレス解消法を持つことが寝言の改善につながるでしょう。うつ病などの精神疾患に伴うものであれば、やはりうつ病を治療することが寝言を減らす一番の方法になります。

寝室の環境が悪いなどの眠りを浅くするような環境原因があるのであれば、環境改善を行うことが寝言の改善につながります。

また、先ほどお話したような寝言を生じる疾患(ナルコレプシー、睡眠時無呼吸症候群、レヴィー小体型認知症、レム睡眠行動障害など)によって寝言が生じているのであれば、これらの疾患に対する治療を行うことが寝言の改善になります。このような疾患によって生じている寝言は治療薬によって劇的に改善することもあります。

このように表面的な寝言に対して治療を行うのではなく、寝言を生じさせている原因に対してアプローチを行うことが大切です。

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