リスミーは1989年に発売された睡眠薬で、ベンゾジアゼピン系という種類に属します。
ベンゾジアゼピン系睡眠薬は、効果も良く、重篤な副作用も少ないため、不眠症治療によく用いられているおくすりです。
ここではリスミーの効果の強さや作用時間の長さ、他の睡眠薬との比較などを紹介していきます。
1.リスミーの作用時間
睡眠薬は作用時間で大きく4種類に分類されています。
- 超短時間型・・・半減期が2-4時間
- 短時間型 ・・・半減期が6-10時間
- 中時間型 ・・・半減期が12-24時間
- 長時間型 ・・・半減期が24時間以上
半減期というのは、その薬の血中濃度が半分になるまでにかかる時間の事で、
「おおよその薬の作用時間」の目安として使われています。
リスミーは「短時間型」の睡眠薬に分類されています。
服薬してから3時間ほどで血中濃度が最高値になり、半減期は約8-13時間です。
分類上は短時間型なのですが、血中濃度が最大になるまで3時間もかかり、
また半減期が8-13時間と長めであるため、中時間型に分類されてもおかしくはないおくすりです。
2.睡眠薬の作用時間比較
よく使われる睡眠薬の作用時間を比較してみましょう。
睡眠薬 | 最高濃度到達時間 | 作用時間(半減期) |
---|---|---|
ハルシオン | 1.2時間 | 2.9時間 |
マイスリー | 0.7-0.9時間 | 1.78-2.30時間 |
アモバン | 0.75-1.17時間 | 3.66-3.94時間 |
ルネスタ | 0.8-1.5時間 | 4.83-5.16時間 |
レンドルミン | 約1.5時間 | 約7時間 |
リスミー | 3時間 | 7.9-13.1時間 |
デパス | 約3時間 | 約6時間 |
サイレース/ロヒプノール | 1.0-1.6時間 | 約7時間 |
ロラメット/エバミール | 1-2時間 | 約10時間 |
ユーロジン | 約5時間 | 約24時間 |
ネルボン/ベンザリン | 1.6±1.2時間 | 27.1±6.1時間 |
ドラール | 3.42±1.63時間 | 36.60±7.26時間 |
ダルメート/ベジノール | 1-8時間 | 14.5-42.0時間 |
作用時間が睡眠薬によって様々であることが分かります。
最高濃度到達時間が早いお薬は、「即効性がある」と言えます。
ルネスタ、マイスリー、アモバンなどの「超短時間型」は1時間前後で血中濃度が最高値になるため、
「すぐに寝付きたい」という方にお勧めですが、3-4時間で効果が切れてしまいますから
長くぐっすり眠りたい方には不適であることが分かります。
反対に7-8時間ぐっすり眠りたい場合は、レンドルミン、サイレース/ロヒプノールや
デパス、ロラメット/エバミールなどの睡眠薬が適していることが分かります。
リスミーは、飲んでから効果が最大となるまで3時間ほどかかるため、
即効性はあまり期待できません。
しかし10時間前後の作用時間があるため、長く眠りたい方には有効な睡眠薬と言えるでしょう。
それぞれ特徴が違いますので、主治医と相談して、自分に合いそうな睡眠薬を選びましょう。
3.リスミーの強さは?
リスミーの睡眠薬としての「強さ」はどのくらいなのでしょうか?
これは個人差もありますが、「普通~やや弱め」くらいでしょう。
睡眠薬は現在、ベンゾジアゼピン系と非ベンゾジアゼピン系が主に使われていますが、
これらの睡眠薬はどれも強さに大きな差はないと言われています。
(もちろん、多少の強さの差はあります)
どれも強さは同じくらいで、「強さがピークになる時間帯」や「効果が続く時間」が違うのです。
おおざっぱに言ってしまえば上図のように、睡眠薬はどれもピーク時の強さは同じ程度です。
強さは変わらず、強さがピークになる時間帯が違うのです。
そのため効果を強めたい場合は、睡眠薬の種類を変えるよりも「量を増やす」方が効果的です。
リスミーは1mgから2mgの間の量で使いますが、量を増やせばそれだけ効果は強くなります。
ただし量を増やせば効果も強くなりますが、副作用も現れやすくなります。
リスミーは睡眠薬の中では穏やかに効くため、副作用も少ないおくすりですが、
それでも、まずは1mgから開始し、効果が不十分な場合のみ2mgまで使うのがいいでしょう。
4.リスミーが向いている人は?
不眠には大きく分けると2つのタイプがあります。
一つ目が「寝付けない事」で、これは「入眠障害」とも呼ばれます。
そして二つ目は「寝てもすぐに起きてしまう事」で、これは「中途覚醒」と呼ばれます。
一般的には、
- 入眠障害には超短時間型、短時間型
- 中途覚醒には中時間型、長時間型
の睡眠薬が適していると言われています。
リスミーは短時間型ですから、セオリー通りにいけば
「なかなか寝付けない」という入眠障害に向いていることになります。
しかしリスミーは短時間型と言えども、血中濃度が最大になるのに3時間もかかるため、
入眠障害に対する効果はあまり期待できません。
リスミーは「短時間型だけど入眠障害に効果は低い」、これは注意すべき点です。
(そのため、リスミーを中時間型に分類している本もあります)
しかし、半減期は8-13時間と長いため、中途覚醒には向いているおくすりでしょう。
リスミーは短時間型睡眠薬という分類にはなるんだけど、
入眠障害よりも中途覚醒に向いている睡眠薬なのです。
また、リスミーは睡眠薬の中で、効果が穏やかな部類に入ります。
これは、よく言えば「安全で副作用が少ない」と言えますが、
悪く言えば「効果が弱い」ということです。
基本的にはおくすりは、弱いものから初めて効果不十分なら少しずつ強めていきます。
そのため、中途覚醒の治療で最初に使ってみる睡眠薬として、悪くはない選択肢です。
効果が穏やかな分、副作用も起こりにくく、鎮静によるふらつきや転倒を起こしにくいので、
高齢者の方にも使いやすいおくすりだと言えます。
5.リスミーの作用機序
睡眠薬リスミーは、どのような作用機序で眠りを導くのでしょうか?
リスミーはベンゾジアゼピン系という種類の睡眠薬ですが、
ベンゾジアゼピン系睡眠薬はどれも、GABA-A受容体の作用を強めるのが主なはたらきです。
(GABA:ɤアミノ酪酸)
GABA-A受容体は
- 催眠作用(眠らせる)
- 抗不安作用(不安を和らげる)
- 筋弛緩作用(筋肉をゆるめる)
- 抗けいれん作用(けいれんを抑える)
この4つのはたらきがあります。
ベンゾジアゼピン系を使うと、これらのはたらきが強まるのです。
その中でも、特に催眠作用を強めることに優れるおくすりがベンゾジアゼピン系睡眠薬であり、
リスミーもその一つです。
(注:ページ上部の画像はイメージ画像であり、実際のリスミー錠とは異なることをご了承下さい)