リスパダールの離脱症状とその対処法

離脱症状とは、お薬を急に減薬・断薬した時、血中濃度が急激に変化することで生じる様々な症状のことです。

精神科のお薬で離脱症状を起こしやすいものというと、抗不安薬や抗うつ剤が有名です。リスパダールは抗精神病薬（統合失調症の治療薬）に属しますが、抗精神病薬はよほど急な減薬をしなければ離脱症状が問題となることはないお薬です。

しかしどんなおくすりでも、無茶な減薬・断薬をすれば離脱症状が起きてしまうことはあります。

今日はリスパダールの離脱症状とその対処法について紹介します。

２．リスパダールの離脱症状の特徴

抗精神病薬は離脱症状を起こすことは少ないお薬です。しかし絶対起きないわけてはなく、急な減薬をすると生じてしまうことはあります。これはリスパダールに限らずどんなお薬でも同じことです。

離脱症状として、リスパダールに特徴的なものはなく、他のお薬と同様の離脱症状が生じます。良くみられるものを挙げると、

• 不眠
• 不穏
• 興奮
• 発汗

などの症状が出ることがあります。また、身体的には

• 吐き気
• 食欲不振
• 下痢

などの胃腸系の症状が出ることがあります。

離脱症状は、様々な症状が報告されており、紹介した症状以外にも起こる症状は多岐に渡ります。

３．リスパダールで離脱症状が起きた時の対処法

リスパダールの離脱症状は、主治医の指示通りの減薬をしているのであれば、ほとんど起こさないと考えてよいでしょう。中には体質的に離脱症状を起こしやすい方もいますが、多くの場合は用法通りに減薬していけば、離脱症状が問題となることはありません。

離脱症状を起こしてしまったほとんどのケースが、「自分で勝手にリスパダールをやめてしまった」「自分の判断で量を調整してしまった」場合です。

そのため、最善の対処法としては「主治医に相談し、適切な減薬をしてもらう」ことに尽きます。

下記に、リスパダールで離脱症状が生じた時の対処法を書きます。これらは必ず主治医の判断のもと行ってください。独断で行うことは危険です。

Ⅰ．すぐに主治医に報告しよう

自己判断で減薬・断薬してしまい、離脱症状が出てしまった時はすぐに主治医に相談してください。

「勝手に減らした事を伝えたら先生に怒られるのではないか」という心配から医師に報告しない方がいますが、それはあやまりです。

もちろんおくすりは医師の指示通りに服薬してもらいたいので、勝手に減薬されるのは困ります。しかし、それを隠されるのはもっと困るのです。

おくすりって出来れば飲みたくないものだと思います。減らせるものなら減らしたいし、できるだけ自然な身体でいたい。私たちだって患者さんのその気持ちは十分分かっています。でも、総合的に考えて服薬を続けるメリットの方が高いから、服薬をしてもらっているのです。

おくすりを勝手にやめてしまったことを怒っても何の解決にもなりません。患者さんは怒られて萎縮してしまうでしょう。お薬に対して余計ネガティブな印象を持ってしまでしょう。場合によっては「先生は私の気持ちを分かってくれない」と感じ、医師と患者の関係が悪くなってしまうかもしれません。

これでは治療は余計にうまくいかなくなってしまいます。

患者さんの勝手な減薬・断薬で離脱症状が生じた時、大事なのは「なぜ減薬・断薬をしてしまったのか」を私たちが知ることです。

例えば、「太るのがイヤだったんです」ということであれば、体重増加の少ないおくすりに変更したり、体重が増えにくい生活習慣を指導することができます。

「眠くて仕事に支障が出るんです」ということであれば、眠気の少ないおくすりに変更したり、より質の良い睡眠を取る指導をすることだってできます。

病気に対する理解が不十分だったことが分かれば、改めて病気についての説明の服薬がなぜ重要なのかの説明をすることができます。

主治医に正直に相談して、更に「なぜ勝手に減薬・断薬してしまったのか」まで伝えることができれば、その後はより良い治療を行える可能性があるのです。

そのため、離脱症状が生じたら必ず主治医に相談してください。

Ⅱ．程度が軽ければ少し様子をみる

離脱症状が起こってしまったけど、そこまでひどい症状ではないこともあります。何とか様子をみれそうであれば、1～2週間くらい様子を見ることも手です。

様子を見てもいいかどうかの判断は、独断では危険ですので必ず主治医と相談した上で行ってください。

離脱症状は、急な減薬・断薬で身体がびっくりした結果起こっています。少し時間が経って身体が減ったおくすりの量に慣れてくれば、離脱症状も自然と改善していきます。

ただし中には長期間離脱症状が続く事もありますので、様子をみるかの判断は主治医への相談を忘れないでください。

Ⅲ．一旦前の量に戻す

離脱症状がつらく、様子を見ることが難しそうであれば、一旦減薬・断薬前の量に戻します。急な断薬・減薬が離脱症状の原因ですから、量を元に戻せば離脱症状は治ります。

ただし、長期間放置していると元の量に戻してもなかなか離脱症状が治らないことがあります。そのため、離脱症状が生じたらなるべく早く主治医に相談することが大切です。

４．離脱症状ではなく症状の再発かも

リスパダールは離脱症状が少ないお薬です。

そのため、減薬や断薬で離脱症状が起こった場合、「これは本当に離脱症状なのか？」と考えてみることは大切です。

特に主治医の指示のもとでしっかりと減薬・断薬を行っている場合は、離脱症状が起こることは稀です。にも関わらず不安が強くなったり不眠になったり精神的に不安的になる場合、それは離脱症状ではなく、リスパダールが減ったことで病気の症状がぶり返しているだけなのかもしれません。

離脱症状なのか、それとも減薬による病気の症状の再発なのか。

この判断は難しく、しばしば専門家でも苦慮します。

そのため、今までの治療経過を良く知っている主治医に判断してもらうことが一番確実です。減薬・断薬で何らかの症状が出現した場合は、必ず主治医に相談してください。