リスパダールの半減期・作用時間 -医師が教える抗精神病薬の全て-

リスパダールは抗精神病薬という種類に属し、主に統合失調症や双極性障害に用いられるお薬です。

抗精神病薬の中で半減期は短い方で、その半減期は4時間ほどと報告されています。

半減期とは、内服したお薬の血中濃度が半分になるまでにかかる時間のことで、お薬の作用時間とある程度相関することが知られています。半減期が分かると、そこからお薬の様々な特徴が分かってくるのです。

ここでは、リスパダールの半減期と他の抗精神病薬との比較、半減期から考えられるリスパダールの使い方について紹介していきます。また、「半減期」の意味についても少し詳しくお話します。

1.リスパダールの半減期はどのくらいか

半減期は、お薬の血中濃度が半分になるまでにかかる時間のことです。血中濃度が半分まで減ると薬の効果がある程度なくなってくるため、半減期はそのお薬の作用時間とある程度一致すると考えられています。

厳密に言えば、半減期と作用時間というのは異なるものですが、おおまかには「半減期」≒「お薬の作用時間」と考えてよいのではないでしょうか。

おくすりが身体から抜けていくスピードは個人差があるため、半減期はあくまでも一つの目安に過ぎませんが、お薬を選択する際の指標になる数値です。

リスパダールの半減期は、抗精神病薬の中では短く、
服薬してから1時間ほどで血中濃度が最高値になり、半減期は約4時間と報告されています。

しかし更に詳しくみると、リスパダールは身体に入ると肝臓で代謝されて、「9-ヒドロキシリスペリドン」という物質になります。9-ヒドロキシリスペリドンはリスパダールとほぼ同程度かやや弱い活性があることが実験において確認されています。

そしてこの9-ヒドロキシリスペリドンは、約3時間ほどで血中濃度が最大になり、半減期は21時間と報告されています。

このリスパダールの半減期と、9-ヒドロキシリスペリドンの半減期を合わせて考えると、実際には半日ほど薬の効果は続くことが予測されます。

2.抗精神病薬の半減期一覧

抗精神病薬はいくつかの種類があり、半減期もそれぞれ異なります。主な抗精神病薬の半減期を比較してみると下図のようになります。

抗精神病薬半減期
コントミン2.5時間(第1相)
12時間(第2相)
セレネース24時間
リスパダール4時間(主代謝物は21時間)
インヴェガ20時間
ロナセン12時間(反復投与で68時間)
ルーラン2時間(投与6時間まで)
6時間(投与6時間以降)
ジプレキサ28.5時間
セロクエル3.5~6時間
エビリファイ61時間

抗精神病薬によって、半減期が様々であることが分かります。

半減期の長いお薬、例えばここではインヴェガやジプレキサ・エビリファイなどは、長く効くため1日1回の服薬になっています。

反対に半減期の短いお薬、ここではリスパダールやルーラン、セロクエルなどは作用時間も短いため1日2回や3回服薬しないといけません。

実際は半減期だけでお薬の作用時間が判断できないお薬もあり、2相性の半減期を持つもの(途中で血中濃度が落ちるスピードが変わる)、代謝物も活性を持っていてそれも効果に影響するものなどがあり、これらはそういった条件も加わって作用時間が決まっていきます。

3.半減期とは?

せっかくなので「半減期」について勉強してみましょう。

半減期というのは「おくすりの血中濃度が半分になるまでに要する時間」のことです。

半減期は、おくすりの作用時間とだいたい一致するため、半減期が分かれば作用時間がだいたい推測できます。例えば、下記のような薬物動態を示すお薬があるとします。

半減期イメージ

だいたいのお薬は内服すると、このグラフのようにまず血中濃度がグンと上がり、それから徐々に落ちていきます。

このお薬は、投与10時間後の血中濃度は「10」ですが、投与20時間後には血中濃度は半分の「5」に下がっています。血中濃度が半分になるのに要する時間は「10時間」ですので、このお薬の半減期は「10時間」です。そして半減期が10時間ということは「だいたい10時間くらい効くおくすり」なんだと分かります。

正確には半減期と作用時間の長さは完全に一致するわけではありません。実際は、おくすりを飲むとまずは血中濃度は上がり最高血中濃度に到達してそれから下がっていきますので、厳密に言えば最高濃度に到達するまでの時間も加味しなければいけないでしょう。

もっと言えば、すべての人が、血中濃度が半分になったら薬効を感じなくなるとは言えません。血中濃度がどれくらい下がれば薬効を感じなくなるかは人それぞれでしょう。半分の人もいれば、それ以上・それ以下の方もいます。

更に個々人の体質や代謝能力まで考え出すとキリがなく、そうなると作用時間を数値化することは不可能です。

でも、「どれくらいの効くかは、人それぞれですから分かりません」では話にならないので、ひとつの目安として、半減期を使用しているのです。

細かいことを考え出せばキリがありませんが、あまり難しく考えずざっくりと「だいたい半減期が作用時間と同じくらいだ」と考えていいのではないかと思います。

半減期はあくまでも目安で、絶対的な値ではないという事は気を付けてください。個人差はおおいにあります。お薬を分解する力が強い人もいれば弱い人もいます人によって差があります。