レンドルミンの副作用と対処法【医師が教える睡眠薬の全て】

レンドルミンはベンゾジアゼピン系に属する睡眠薬です。

1988年に発売された古いお薬ですが、そのバランスの良さに定評があり、現在でも処方される事の多い睡眠薬です。

効果もまずまずで副作用も少ないバランスの良さがレンドルミンのウリですが、それでも副作用がないわけではありません。

ここでは、レンドルミンに多い副作用について紹介していきます。

1.レンドルミンの副作用と対処法

お薬には必ず副作用があります。

頻度がものすごく少ないものまで挙げるとキリがありませんので、ここでは臨床でよく見られる副作用を中心に紹介します。

Ⅰ.眠気

睡眠薬なので当たり前ですが「眠気」を起こす頻度が多く、これが副作用になりえます。

夜に睡眠薬を飲んで、眠くなるのはレンドルミンの「効果」ですから問題ないのですが、朝、起きる時間になってもまだ眠い」「日中眠くて仕事に集中できない」となるとこれは問題ですから、副作用と考えなければいけません。

日中まで睡眠薬の効果が残ってしまう事を「持ち越し効果(hang over)」と呼びます。眠気だけでなく、だるさや倦怠感、ふらつき、集中力低下なども生じます。

レンドルミンは作用時間が約7時間前後と言われてますので、6~8時間ほど睡眠をとっていれば、持ち越し効果が出てしまう事は多くはありません。

しかし4時間ほどしか眠らない人だったり、薬の代謝(分解)が遅い体質を持った人だったりすると、レンドルミンが持ち越してしまう事があります。

この場合の対処法は、まずは睡眠時間を増やせないか工夫してみることになります。睡眠時間を多く取れば、持ち越しが生じる可能性は低くなります。特に睡眠時間が短めである方は、まずは睡眠時間が増やせないかどうか検討してみてください。

睡眠時間の確保がどうしても難しい場合、次の対処法は作用時間のより短い睡眠薬に変えることになります。

レンドルミンよりも作用時間が短い睡眠薬というと、半減期を1つの目安にすると、

  • アモバン(一般名:ゾピクロン) 半減期約4時間
  • ルネスタ(一般名:エスゾピクロン) 半減期約5時間
  • デパス(一般名:エチゾラム) 半減期約6時間

などが候補に挙がるでしょう。

「レンドルミンが合っているからなるべく薬の種類は変えたくない」という場合は、内服量を減らしてみるという方法も1つです。

例えばレンドルミン0.25mgを内服しているのであれば、半分の0.125mgにしてみてもいいかもしれません。量を減らせば効果も弱くなってしまいますが、薬効が弱くなる分、効く時間も多少短く感じられます。

Ⅱ.耐性・依存性形成

レンドルミンのみならず、多くの睡眠薬に言える事ですが、長期的に見ると「耐性」「依存性」は睡眠薬の一番の問題になります。

耐性というのは、身体が徐々に薬に慣れてしまう事です。

最初は1錠飲めばぐっすり眠れていたのに、だんだんと身体が慣れてしまい、1錠飲んでも全然眠れなくなってしまう、という状態です。

依存性というのは、身体がお薬に慣れきってしまい、その物質なしではいられなくなる状態です。

耐性も依存性もアルコールで考えると分かりやすいかもしれません。アルコールにも耐性と依存性があるからです。

アルコールを常用していると、次第に最初に飲んでいた程度の量では酔えなくなるため、次第に飲酒量が増えていきます。これは耐性が形成されているという事です。

また飲酒量が多くなると、飲酒せずにはいられなくなり、常にアルコールを求めるようになります。アルコールを飲めない状況になるとイライラしだしたり、震えや発汗が生じます。これは依存性が形成されているという事です。

レンドルミンをはじめとした睡眠薬には耐性と依存性があります。しかし、アルコールと比べて特に強いというわけではありません。節度を持って飲酒をしていればアルコール依存症になることはないのと同じで、レンドルミンも医師の指示通りに一定期間のみの内服に留めていれば依存性が形成させるリスクは高くはありません。

たまに「睡眠薬は依存が怖いから」といって寝酒で眠ろうとしている方がいますが、これはあやまりである事が分かります。アルコールにだって依存性があるからです。そもそもアルコールは眠るための物質ではないためこのような用途は多量飲酒につながりやすく、アルコールで眠るのであれば睡眠薬で眠った方がはるかに安全だと言えます。

睡眠薬で耐性・依存を形成しないためには、まず「必ず医師の指示通りに服用する」ことが鉄則です。アルコールも睡眠薬も、量が多ければ多いほど耐性・依存性が早く形成される事が分かっています。

医師は、耐性・依存性を起こさないような量を考えながら処方しています。それを勝手に倍の量飲んだりしてしまうと、急速に耐性・依存性が形成されてしまいます。

アルコールとの併用も危険です。アルコールと睡眠薬を一緒に使うと、これも耐性・依存性の急速形成の原因になると言われています。

また「漫然と飲み続けない」ことも大切です。睡眠薬はずっと飲み続けるものではなく、不眠の原因が解消されるまでの「一時的な」ものです。

時々、「睡眠薬の量を減らせないか」と検討する必要があり、本当はもう睡眠薬が必要ない状態なのに漫然と長期間内服を続けてはいけません。服薬期間が長期化すればするほど、耐性・依存形成のリスクが上がります。

Ⅲ.もうろう状態、一過性前向性健忘

レンドルミンを内服したあと、自分では記憶がないのに、歩いたり人と話したりする事があります。

これは超短時間型の睡眠薬(ハルシオンなど)で多く、レンドルミンにはほとんど起こしませんが、起こす可能性はゼロではありません。

睡眠薬はまれに中途半端な覚醒状態にしてしまう事があり、この中途半端な覚醒状態が「もうろう状態」「一過性前向性健忘」の正体です。

一般的には急激に効くお薬(超短時間型)に多く、また多くの量の睡眠薬を内服しているケースで起こりやすいようです。

万が一レンドルミンでこれらの症状が起こってしまったら、レンドルミンの量を減らすか、作用時間の長い睡眠薬へ切り替える事が対応策となります。