レンドルミンの半減期【医師が教える睡眠薬の全て】

レンドルミンは1988年に発売されたベンゾジアゼピン系に属する睡眠薬です。レンドルミンは眠れない時によく処方される人気のある睡眠薬です。

古いお薬であるにも関わらず人気である理由の一つに、「半減期が適度」なことが挙げられます。

ここでは、レンドルミンの半減期や他睡眠薬との比較、そこから考えられるレンドルミンの効果的な使い方について紹介していきます。

また、「そもそも半減期って何?」ということもお話します。

1.レンドルミンの半減期

睡眠薬はその作用時間で大きく4種類に分類する事が出来ます。

名称 作用時間 薬名
超短時間型 2~4時間 ハルシオン、マイスリー、アモバン、ルネスタなど
短時間型 6~10時間 レンドルミン、リスミー、デパス、エバミール/ロラメットなど
中時間型 12~24時間 サイレース/ロヒプノール、ユーロジン、ネルボン/ベンザリンなど
長時間型 24時間以上 ドラール、ダルメート/ベジノールなど

作用時間でお薬を分類する際に、大きな指標となっているのが「半減期」です。

半減期は、服用したお薬の血中濃度が半分になるまでに要する時間の事で、薬の作用時間を知る1つの目安としてよく用いられます。

薬は効きやすい人もいれば効きにくい人もいるため、半減期はあくまでも目安にすぎませんが、「半減期」=「おおよそのお薬の作用時間」となる場合もあり、作用時間を知る際の重要な指標となります。

レンドルミンは上記の分類では「短時間型」の睡眠薬に分類され、服薬してから約1.5時間で血中濃度が最高値になり、半減期は約7時間と言われています。

健康成人の平均睡眠時間は6~8時間程度と言われていますから、7時間前後の作用時間を持つレンドルミンは、使い勝手のよい睡眠薬であることが分かります。

2.睡眠薬の半減期一覧

睡眠薬は、半減期によって4種類に分類されることをお話しました。

レンドルミンが属する「短時間型」は、半減期が6-10時間程度と人の平均睡眠時間とだいたい同じであるため使われる頻度の多いお薬です。

よく用いられる睡眠薬の半減期を比較してみましょう。

睡眠薬最高濃度到達時間作用時間(半減期)
ハルシオン1.2時間2.9時間
マイスリー0.7-0.9時間1.78-2.30時間
アモバン0.75-1.17時間3.66-3.94時間
ルネスタ0.8-1.5時間4.83-5.16時間
レンドルミン約1.5時間約7時間
リスミー3時間7.9-13.1時間
デパス約3時間約6時間
サイレース/ロヒプノール1.0-1.6時間約7時間
ロラメット/エバミール1-2時間約10時間
ユーロジン約5時間約24時間
ネルボン/ベンザリン1.6±1.2時間27.1±6.1時間
ドラール3.42±1.63時間36.60±7.26時間
ダルメート/ベジノール1-8時間14.5-42.0時間

半減期や最高濃度到達時間が睡眠薬によって様々であることが分かりますね。

最高濃度到達時間が早いお薬は「即効性がある」と言えます。

例えばマイスリー、アモバン、ハルシオンなどの「超短時間型」は1時間前後で血中濃度が最高値になるため、「すぐに寝付きたい」という方に向いています。しかし半減期が3-4時間ですから、長くぐっすり眠りたい方には不適であることが分かります。

反対に7-8時間ぐっすり眠りたい場合は、レンドルミンやリスミー、サイレース/ロヒプノールやデパス、ユーロジンなどが第一選択としては向いていることが分かります。

それぞれ微妙に特徴が違いますので、主治医と相談して、自分に合いそうな睡眠薬を選びましょう。

この表を見るとレンドルミンは非常にバランスが取れており、最初に使う睡眠薬として適している事が分かります。

1時間前後で効きが最高になり、7時間程度で効果が切れる。

あくまで理論値であり、必ずしもきれいにこの通りの効果になるわけではありませんが、理論上は理想的な眠りに近い効き方をしてくれます。

レンドルミンは昔からある睡眠薬にもかかわらず、現代でも処方される頻度が多いのは、このバランスの良さに理由があるのでしょう。

3.半減期から考えるレンドルミンの効果的な使い方

不眠には大きく分けると2つのタイプがあります。

一つ目が「寝付けない事」で、これは「入眠障害」とも呼ばれます。そして二つ目は「すぐに起きてしまう事」で、これは「中途覚醒」と呼ばれます。

一般的には入眠障害には超短時間型、中途覚醒には中ー長時間型の睡眠薬が適していると言われています。

レンドルミンは「短時間型」に属し、1.5時間程度の最高値に達して7時間程度で効果が切れます。
そのためレンドルミンは、入眠障害にも中途覚醒にもバランスよく効果を発揮することです。短時間型に属するため、主には入眠障害に強く効きますが、中途覚醒にもある程度効く事が分かります。

レンドルミンは、「入眠障害」「中途覚醒」の明らかにどちらかしか認めない不眠ではなく、
寝付きが悪いのに困っているのだけど、途中で起きてしまうのもちょっと困っている、こういったケースに向いている睡眠薬ではないでしょうか。

バランスがいい睡眠薬なので、「まずはレンドルミンで様子をみてみる」という使い方を
してもいいでしょう。

例えばレンドルミンを使ったけど、寝付きにまだ不満がある、という事でしたら、最高濃度到達時間がもうちょっと早いお薬の方がいいのだと分かります。この場合、より即効性に優れる睡眠薬が候補に挙がるでしょう。

あるいは、寝付きは十分改善されたけどもう少し長く眠りたい、という事でしたら、作用時間がもうちょっと長いお薬の方がいいのだと分かります。この場合は、半減期のより長い睡眠薬が候補に挙がります。

このように「どの睡眠薬がいいかを調べるための初期評価のお薬」としてもレンドルミンは使いやすいのです。

レンドルミンは血中濃度が最高値になるのは服薬後1.5時間ですが、30分ほどで眠気はある程度出てきます。

そのため、ベッドに入る直前に内服するのがベストでしょう。

レンドルミンを飲んだのに、なかなかベッドに入らずに起きているとふらついたり転んでしまう可能性がありますので、注意してください。

また、半減期が7時間程度ありますから、深夜に目覚めた際に飲む事はお勧めできません。例えば夜中3時に中途覚醒してしまった時、そこで内服してしまうと、朝10時ごろまでお薬の効果が残ってしまいます。

これでは仕事などの日中の作業に支障をきたしてしまいます。

4.半減期とは?

せっかくなので「半減期」について詳しく勉強してみましょう。半減期というのは「お薬の血中濃度が半分になるまでに要する時間」のことです。

半減期は、お薬の作用時間と相関するため、半減期が分かれば作用時間をある程度推測する事ができます。

お薬の本を読むと、全ての薬に半減期が記載されています。私たち医師が薬を処方する際も、「半減期がどれくらいのお薬なのか」は必ず考えて処方します。

例えば、下記のような薬物動態を示すお薬があるとします。

半減期イメージ

だいたいのお薬は内服すると、このグラフのようにまず血中濃度がグンと上がり、それから徐々に落ちていきます。

このお薬は、投与10時間後の血中濃度は「10」ですが、
投与20時間後には血中濃度は半分の「5」に下がっています。

血中濃度が半分になるのに要する時間は「10時間」ですので、
このお薬の半減期は「10時間」です。

そして半減期が10時間ということは「だいたい10時間くらい効くお薬」なんだと分かります。

ただし半減期はあくまでも目安で、個人差はありますので気を付けてください。

お薬を分解する力が強い人もいれば弱い人もいます。人によって誤差は多少なりともあります。

特に肝臓が悪い方は、お薬を分解する力が弱まっているため、一般的に半減期よりも長い時間お薬が身体に残ってしまいます。