レンドルミンという睡眠薬があります。
ベンゾジアゼピン系というタイプに分類され、その使い勝手の良さから現在でも使用される頻度の多い睡眠薬です。
このレンドルミン、実は「レンドルミンD錠」というタイプの錠剤もあります。
レンドルミンとレンドルミンD、これって何が違うのでしょうか?それぞれにどんな特徴があるのでしょうか。
今日はレンドルミンDというお薬について紹介します。
1.レンドルミンD錠とは?
レンドルミンDは「口腔内崩壊錠」というタイプのレンドルミンです。難しく書きましたが、要するに「口の中で溶けるタイプの薬」ということです。
口腔内崩壊錠は英語で「Orally Disintegrating Tablet」と言い、これを略して「OD錠」「D錠」と呼ばれます(Orally(=口腔)、Disintegrating(=崩壊する)、Tablet(=錠剤))。
レンドルミンのような普通の錠剤は口の中では溶けないため、水と一緒に飲んで胃へ流し込まなければいけません。
しかしそれだと、
- 水がない状況では飲めない
- 溶けにくいタイプの錠剤だと吸収が悪くなってしまう
などの不都合が生じます。
そのため、唾液などに触れると溶け出すような作りにしたのが「D錠」なのです。
レンドルミン錠を口の中で溶けるように改良されたのがレンドルミンD錠、実は違いはただそれだけです。
2.レンドルミンとレンドルミンDの違い
レンドルミン錠とレンドルミンD錠は何が違うのでしょうか。
違いは「口の中で溶けるか溶けないか」、これだけです。
口の中で溶けるため、「レンドルミン錠より即効性があるのでは?」と思われがちですが、
残念ながらそんなことはありません。
レンドルミンとレンドルミンDの効果発現までの時間や作用時間の長さは全て同じです(添付文書にもそう記載されています)。
どちらもおおよそ15-30分で効果が発現しはじめ、1.0~1.5時間で最高血中濃度に達し、7~8時間で血中濃度が半分まで下がります。
もちろん薬価(=お薬の値段)も同じです。D錠の方が作る手間がかかりそうな気もしますが、どちらも同じ値段になります。
レンドルミンとレンドルミンDは作用としては全く同じですので、レンドルミンDの効果や副作用などを知りたい方は「レンドルミン」の記事をご覧ください。レンドルミンの記事に書かれていることは全てレンドルミンDにも当てはまります。
3.レンドルミンDが向いている人は
レンドルミンもレンドルミンDも効果は全く一緒ですので、医療者側としてはどちらを使っていただいても構いません。
水と一緒に飲む錠剤がいいか、水なしでも飲める口腔内崩壊錠がいいか、使う人の好みで決めて良いと思います。
レンドルミンD錠は水なしで飲みたい方(例えばトイレなどの問題で寝る前にあまりお水を飲みたくない方)、飲み込む力の低下している高齢者などに向いており、このような方に処方される事が多い剤型になります。