レドルパーの全て 【医師が教える睡眠薬の全て】

レドルパーは大原薬品工業と旭化成ファーマが発売していた睡眠薬です。レンドルミン(一般名ブロチゾラム)のジェネリック(後発品)であり、その効果・効能はレンドルミンと全く一緒です。

レドルパーは平成25年2月より、名前が変更され、ブロチゾラム錠0.25mg「オーハラ」になりました。今後はレドルパーという名称は聞かなくなっていくでしょう。

最近は、毎日のように多くのジェネリック薬が発売されあまりの薬名の多さに現場が混乱しています。そのため、ジェネリック薬は「一般名+社名」という名称に統一する流れになっているのです。

ここではブロチゾラム錠0.25mg「オ-ハラ」(旧名:レドルパー)の効果効能、副作用についてみてみましょう。なお、レンドルミンと全く同じ成分ですのでレンドルミンの記事も参考にしてください。

▽ レンドルミンの全記事はこちらです

1.レドルパーの効果・作用時間は?

睡眠薬治療に最も使われているお薬は、現在
「ベンゾジアゼピン系」「非ベンゾジアゼピン系」の2種類です。

レドルパーは「ベンゾジアゼピン系」に属します。

ベンゾジアゼピン系はɤアミノ酪酸(通称GABA)の作用を強めることで、鎮静・傾眠作用を発揮します。
GABAには催眠作用、抗不安作用、抗痙攣作用、筋弛緩作用の4つの作用があり、
この「催眠作用」が睡眠薬として働きます。

睡眠薬は作用時間の違いによって4種類に分類されています。

  • 超短時間型・・・半減期が2-4時間
  • 短時間型 ・・・半減期が6-10時間
  • 中時間型 ・・・半減期が12-24時間
  • 長時間型 ・・・半減期が24時間以上

半減期というのは、その薬の血中濃度が半分になるまでに要する時間の事で、
薬の作用時間の目安としてよく用いられます。あくまでも目安ですが、
「半減期」=「おおよそのお薬の作用時間」と考えて下さい。

レドルパーは「短時間型」の睡眠薬に分類されます。
内服後、約1.5時間で血中濃度がピークになり、約7時間で半減期を迎えます。

一般的な成人の睡眠時間は約6~8時間と言われていますから、7時間前後の作用時間がある
レドルパーは、使い勝手のよい睡眠薬であることが分かります。

強さは「普通」くらいです。
「ベンゾジアゼピン系」「非ベンゾジアゼピン系」睡眠薬は効果に個人差はあるものの、
一般的には強さに大きな差はありません。

どれも量を多くすれば強くなるし、量を減らせば弱くなります。

2.レドルパーの副作用

頻度が非常に稀なものまで挙げるとキリがありませんので、
臨床で比較的よく見られる副作用を中心にお話します。
(当然、レンドルミンの副作用と全く一緒です)

Ⅰ.眠気

眠らせるお薬ですから「眠気」が生じますので、これが副作用にもなります。

夜に睡眠薬を飲んで、眠るのは「効果」ですから問題ありませんが、
「起床時間になってもまだ眠い」「日中もボーッとする」
となるとこれは問題で、副作用になります。

日中まで睡眠薬の効果が残ってしまう事を「持ち越し効果(hang over)」と呼びます。
眠気だけでなく、だるさや倦怠感、ふらつき、集中力低下なども生じます。

レドルパーの半減期(薬が効く時間の目安)は7時間ですので、
6-8時間ほどの睡眠をとっていれば、持ち越し効果はあまり起こりません。

しかし、4-5時間しか眠らない人だったり、
薬の代謝(分解)が遅い体質を持った人だったりすると、持ち越してしまう事があります。

この場合の対処法は、半減期のより短い睡眠薬に変えることです。

半減期が4時間程度のアモバン、5時間程度のルネスタ、6時間程度のデパス
などが候補に挙がるでしょう。

もし、レドルパーが合っているからあまり種類を変えたくない、という場合は、
量を減らしてみるという方法もあります。

例えばレドルパー0.25mgを内服しているのであれば、半分の0.125mgにするのです。
効果も弱くなってしまいますが、量を減らすと一般的に半減期は多少短くなります。

Ⅱ.耐性・依存性形成

多くの睡眠薬に言える事ですが、「耐性」「依存性」が長期的には
形成しうるということは注意しなければいけません。

耐性というのは、身体が徐々に薬に慣れてしまい、薬が効きづらくなる事です。
耐性が形成されると、最初は1錠飲めばぐっすり眠れていたのに、
だんだんと効きにくくなり、2錠,3錠と量が増えてしまうことになります。

依存性というのは、次第にその物質なしではいられなくなる状態をいいます。
依存性が形成されると、お薬をやめられなくなってしまいます。

耐性と依存性を持つ物質の代表としてアルコールがあります。
アルコールでイメージすると分かりやすいでしょう。

アルコールを常用していると、次第に最初に飲んでいた程度の量では酔えなくなるため、
次第に飲酒量が増えていきます。これは耐性が形成されているという事です。

また、飲酒量が多くなると、飲酒せずにはいられなくなり、常にアルコールを求めるようになります、
これは依存性が形成されているという事です。

レドルパーを含めたほとんどの睡眠薬には耐性と依存性があります。
しかしアルコールと比べるとはるかに軽度であり、医師の指示通りに内服していれば問題になる事は多くはありません。

たまに「睡眠薬は依存が怖いから」といって寝酒をして眠ろうとしている方がいますが、
これは全くおかしな話だという事が分かります。
だって、睡眠薬よりアルコールの方が数倍依存性は高いのですから。

睡眠薬で耐性・依存を形成しないためには、まず「必ず医師の指示通りに服用する」ことが鉄則です。
アルコールも睡眠薬も、量が多ければ多いほど耐性・依存性が早く形成される事が分かっています。

医師は、耐性・依存性を起こさないような量を考えながら処方しています。
それを勝手に倍の量飲んだりしてしまうと、急速に耐性・依存性が形成されてしまいます。

アルコールとの併用も危険です。
アルコールと睡眠薬を一緒に使うと、これも耐性・依存性の急速形成の原因になると言われています。

また、「漫然と飲み続けない」ことも大切です。
睡眠薬はずっと飲み続けるものではなく、不眠の原因が解消されるまでの「一時的な」ものです。

時々、「睡眠薬の量を減らせないか」と検討する必要があり、必要があるかないか分からないのに
漫然と長期間内服を続けてはいけません。

服薬期間が長期化すればするほど、耐性・依存形成のリスクが上がります。

Ⅲ.もうろう状態、一過性前向性健忘

レドルパーの内服後、自分の記憶はないのに、歩いてたり人と話してたりする事があります。
これは超短時間型の睡眠薬(ハルシオンなど)で多く見られます。
レドルパーで生じる頻度はほとんどありませんが、可能性は0ではありません。

睡眠薬はまれに中途半端な覚醒状態にしてしまう事があり、この中途半端な覚醒状態が
「もうろう状態」「一過性前向性健忘」の正体です。

一般的には急激に効くお薬(超短時間型)に多く、
また多くの量の睡眠薬を内服しているケースで起こりやすいようです。

万が一、これらの症状が起こってしまったら、量を減らすか、
作用時間の長い睡眠薬へ切り替える事が対応策となります。

3.他剤との比較

レドルパーと他剤の半減期(≒作用時間)の比較を紹介します。
レドルパーはレンドルミンのジェネリックですので、「レンドルミン=レドルパー」と考えてご覧下さい。

睡眠薬最高濃度到達時間作用時間(半減期)
ハルシオン1.2時間2.9時間
マイスリー0.7-0.9時間1.78-2.30時間
アモバン0.75-1.17時間3.66-3.94時間
ルネスタ0.8-1.5時間4.83-5.16時間
レンドルミン約1.5時間約7時間
リスミー3時間7.9-13.1時間
デパス約3時間約6時間
サイレース/ロヒプノール1.0-1.6時間約7時間
ロラメット/エバミール1-2時間約10時間
ユーロジン約5時間約24時間
ネルボン/ベンザリン1.6±1.2時間27.1±6.1時間
ドラール3.42±1.63時間36.60±7.26時間
ダルメート/ベジノール1-8時間14.5-42.0時間

4.レドルパーの薬価

ブロチゾラム錠0.25mg「オーハラ」(=レドルパー)   8.5円

レンドルミン0.25mg錠(先発品)                       27.5円

レドルパーの薬価は0.25mgで8.5円です。

ジェネリックですので、正規品のレンドルミンと比べると大分安いことが分かりますね。

(注:ページ上部の画像はイメージ画像であり、実際のブロチゾラム錠0.25mg「オ-ハラ」(旧名:レドルパー)とは異なることをご了承下さい)