反跳性不眠とは。「睡眠薬がないと眠れない!」という方に知っておいてほしい事

反跳性不眠

不眠で悩んでいる方はとても多く、睡眠薬のお世話になっている方も数多くいます。

睡眠薬を使ってやっと眠れるようになると、今度は睡眠薬を止めるのが怖くなってしまいます。更に睡眠薬を飲み忘れたとき、まったく眠れないことを経験すると、「自分には睡眠薬はまだ必要なんだ」と強く感じてしまいます。

そうこうしているうちに睡眠薬依存になってしまう方は少なくありません。

生きている限り、眠る力が無くなることは絶対にありません。うつ病などの病気の影響で一時的に眠る力が弱まることはあっても、次第に回復していきます。そのため、睡眠薬もずっと必要だということはほとんどありません。

しかし睡眠薬を服薬している多くの方は、「自分にはまだまだ睡眠薬が必要だ」と考えてしまっています。

これは何故でしょうか。

「反跳性不眠」という現象があります。これは睡眠薬を急に中断した時に反動で起こる強い不眠症状です。この反跳性不眠が、「自分は睡眠薬がまだ必要なんだ」という誤解を生むのです。

睡眠薬をなかなか中断できない方には、ぜひこの反跳性不眠という現象を知っておいて下さい。

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1.睡眠薬依存症になってしまう流れ

ほとんどの睡眠薬は、適切な時期に減薬をしなければいけません。特に依存性を指摘されているベンゾジアゼピン系睡眠薬はなるべく短期間の使用にとどめるべきで漫然と服薬を続けることは避けるべきです。

そのためには私たち医師も漫然と処方し続けないよう注意を払う必要がありますが、患者さん側も睡眠薬の減薬を怖がらない事が大切です。

最近の調査では日本人の5人に1人が不眠を自覚しており、約20人に1人が睡眠薬を服用していると報告されています。不眠で悩んでいる方は非常に多いのが現状です。

眠れなくて困っている時、睡眠薬でぐっすり眠れることを経験すると、大きな安心が得られます。「あぁ、これでもう不眠で悩まなくていいんだ・・・」と。しかし安心感が得られると同時に、「自分は睡眠薬がないと眠れないんだ」と誤解が生まれてしまうことがあります。

人間の眠る力というものは、生きている限り絶対に無くなることはありません。病気やストレスによって一時的に眠る力が弱まってしまうことはあります。しかしそれは一時的なもので永久に続くものではないのです。ということは睡眠薬も永久に使用しなきゃいけない、なんてことはほとんどありません。

睡眠薬を使った上で十分な睡眠が得られる状態が続けば、本来の眠る力が戻ってきたことが予測されるため、減薬を考えるべきです。

しかし医師から睡眠薬の減薬を提案されても、眠れない恐怖を知っている患者さんから「また眠れなくなるのは不安だからこのままがいい」と希望されるケースは少なくありません。

不安だからと先延ばしを続けていると、いつの間にが睡眠薬依存症になってしまいます。

2.「睡眠薬がないと眠れない!」のは反跳性不眠による錯覚かも?

「自分にはまだ睡眠薬が必要だ」
「睡眠薬がないと全く眠れないからもう少し続けたい」

睡眠薬の減薬を提案すると、このような返答が返ってきます。

その根拠を聞くと、「こないだ睡眠薬を飲み忘れた時があったんだけど、一睡もできなかったんです」と患者さんは言います。睡眠薬を飲み忘れると眠れない、つまりまだ睡眠薬が必要なんだという解釈です。

これは確かに気持ちとしては理解できます。しかしこれは睡眠薬がないと眠れないということではなく、急な中断による「反跳性不眠」が起こっただけなのかもしれません。

反跳性不眠とは、今まで服薬していた睡眠薬を急に止めると、反動で身体がびっくりして、より強い不眠が生じてしまう現象です。これは不眠が治っていないから生じたのではなく、睡眠薬の急な中断で生じる睡眠薬の副作用なのです。

もしあなたが、睡眠薬を減薬するのが不安であり、その根拠が「睡眠薬を飲み忘れると一睡もできない」というものだとしたら、それは不眠が治っていないわけではなく、反跳性不眠が起きているだけだという可能性もある、ということを知っておいて欲しいのです。

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3.反跳性不眠を起こさないためには

反跳性不眠は、急な睡眠薬の中断が原因になります。そのため、反跳性不眠を起こさないためには、ゆっくりと睡眠薬を減薬していくことです。反跳性不眠は作用時間の短い睡眠薬で特に多いため、短時間型睡眠薬を使っている方は特に慎重に減薬します。

減薬するスピードはゆっくりであればあるほど良いと言えます。

・2週間に1回の頻度で、1/4錠ずつ減らしていく
・2週間に1回の頻度で、10%ずつ減らしていく

などの方法が勧められています。

ゆっくりと減薬した上で不眠が再発してしまったのであれば、反跳性不眠ではない可能性が高いため、その時は不眠治療を継続することも選択肢に入れてよいでしょう。元の量に戻すかしばらくこの量でがんばってみるか主治医と相談してみて下さい。

しかし反跳性不眠による不眠の再出現は、不眠症の再発ではありません。反跳性不眠が出ただけなのに「やっぱり私は睡眠薬がないとダメなんだ!」と勘違いしてしまう患者さんは非常に多い印象を受けます。睡眠薬を服用している方は、

・生きている限り、人間の眠る力が0になることはない
・反跳性不眠というものがある

ということをぜひぜひ知っておいてください。

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