フェノチアジン系抗精神病薬とはどのようなお薬なのか

フェノチアジン系抗精神病薬は「抗精神病薬」に属するお薬の一種です。抗精神病薬とは主に統合失調症の治療に用いられるお薬の事です。

フェノチアジン系は抗精神病薬の中でもっとも古い歴史を持つお薬で、1950年ごろから使われています。

現在ではより副作用の少ない抗精神病薬が開発されているため、古いお薬であるフェノチアジン系はあまり使われなくなってきています。しかし中には新しいお薬がうまく効かないような患者さんもいらっしゃり、そのような方に対してフェノチアジン系は現在でも用いられる事があります。

フェノチアジン系は古いお薬で副作用も多く、安易に使えるお薬ではありません。しかし長い歴史と実績を持っており、苦しんでいる患者さんの助けになる可能性を秘めた、頼れるお薬の1つです。

フェノチアジン系はどのような特徴を持つ抗精神病薬なのでしょうか。また使用に際してはどのような事に注意すればいいのでしょうか。

ここではフェノチアジン系抗精神病薬というお薬の特徴について紹介していきます。

1.抗精神病薬の歴史と分類

フェノチアジン系抗精神病薬について説明する前に、そもそも「抗精神病薬」というのはどのようなお薬で、どのような種類のお薬があるのかをお話しします。

抗精神病薬とは「主に統合失調症の治療に使われるお薬」の総称です。

統合失調症の治療に使われるお薬にはたくさんの種類がありますが、共通しているのはどれも「脳のドーパミンのはたらきをブロックする」という作用を持っているという点です。これはフェノチアジン系に限らず全ての抗精神病薬に共通する特徴です。

統合失調症が発症してしまう原因の一つに、脳のドーパミンが過剰に分泌されてしまっている事が挙げられます(ドーパミン仮説)。

ここから統合失調症を治療するためにはドーパミンのはたらきをブロックすれば良いという考えが生まれました。この考えに基づき、すべての抗精神病薬は基本的にはドーパミンのはたらきをブロックする作用を持ちます。

そして抗精神病薬のドーパミンをブロックする作用は、統合失調症の症状のうち主に陽性症状の改善をもたらします。

【陽性症状】
本来はないものがあるように感じる症状の総称で、「本来聞こえるはずのない声が聞こえる」といった幻聴や、「本来あるはずのない事をあると思う」といった妄想などがある。

抗精神病薬を大きく分類すると、1950年ごろから使われている古い第一世代抗精神病薬と、1990年ごろから使われている比較的新しい第2世代抗精神病薬があります。

第1世代は古い抗精神病薬で、現在ではあまり使われることはありません。「フェノチアジン系」と呼ばれるドーパミン以外にも様々な受容体をブロックする作用に優れるお薬と、「ブチロフェノン系」と呼ばれるドーパミンのみを選択的にブロックする作用に優れるお薬があります。

第2世代は比較的新しい抗精神病薬で、現在の統合失調症治療の主流となっている治療薬です。全体的に第1世代よりも精度が高くなっており、副作用が少なく統合失調症を治療することが出来ます。

またドーパミンのみならずセロトニンのはたらきをブロックする事で、統合失調症の症状の1つである陰性症状も多少改善させてくれます。

【陰性症状】
本来はある能力がなくなってしまう症状の総称で、活動性が低下してこもりがちになってしまう「無為自閉」や、感情表出が乏しくなる「感情鈍麻」、意欲消失などががある。

第2世代には、SDA(セロトニン・ドーパミン拮抗薬)と呼ばれるドーパミンのみを選択的にブロックする作用に優れるお薬、MARTA(多元受容体作用抗精神病薬)と呼ばれる様々な受容体をブロックする作用に優れるお薬、DSS(ドーパミンシステムスタビライザー)あるいはDPA(ドーパミン部分作動薬)と呼ばれるドーパミンの量を適量に調節する作用に優れるお薬などがあります。

2.フェノチアジン系にはどのようなお薬があるのか

抗精神病薬の歴史と種類について簡単に見てきました。

次にその中でのフェノチアジン系抗精神病薬に焦点を当てていきましょう。

抗精神病薬の中でフェノチアジン系は、

  • 古い第一世代抗精神病薬である
  • 第一世代であり、副作用は多め。時に重篤な副作用も生じうる
  • ドーパミン以外にも様々な受容体に結合する

という特徴があります。

昔のお薬であるため、基本的には現在では用いられる事は少なく、第二世代が使えない場合などやむを得ない場合に限って使用されます。

第一世代が現在で使われていないのは、副作用の多さが原因です。第一世代は第二世代と比べると副作用は多めです。また「悪性症候群」「重篤な不整脈」など時に命に関わるような副作用が生じる事もあります。

同じ第一世代である「ブチロフェノン系」との違いは、ブチロフェノン系がドーパミンに集中的に作用するのに対して、フェノチアジン系はドーパミンのみならず様々な受容体に幅広く作用します。

具体的にどのような受容体に作用するのかと言うと、

  • 覚醒に関係しているヒスタミン受容体をブロックして眠りを改善する
  • 血圧や意欲に関係しているノルアドレナリン受容体をブロックして興奮を抑える
  • セロトニン受容体をブロックして陰性症状を改善させる
  • ムスカリン受容体をブロックして口喝や便秘などが生じる

などの作用があります。

これらは良い作用となる可能性もありますが、副作用となってしまう可能性もあります。

以上を踏まえて、フェノチアジン系抗精神病薬を1つずつ見ていきましょう。

Ⅰ.コントミン

コントミン(一般名:クロルプロマジン)は1959年に発売された最古のフェノチアジン系抗精神病薬です。

またコントミンは最古の抗精神病薬でもあります。コントミンが開発されるまで、統合失調症の症状を改善させるお薬は存在しませんでした。

このコントミンの発見により、統合失調症の方の症状を初めてお薬で抑える事が可能となったのです。

コントミンはフェノチアジン系の中でも、多くの受容体を幅広く・強力にブロックするため、様々な効果が得られるという特徴があります。

具体的には、

  • ドーパミン受容体:陽性症状(幻覚・妄想)の改善
  • ヒスタミン受容体:眠気を導く
  • ノルアドレナリン受容体:興奮を抑える・血圧を下げる
  • セロトニン受容体:陰性症状を改善
  • ムスカリン受容体:口渇、便秘など

などの効果が得られます。

これらは患者さんにとって良い効果となる事もあれば副作用となってしまう事もあります。

例えばヒスタミン受容体をブロックする作用は、不眠の改善になりうる一方で、日中の眠気やふらつきの原因になる事もあります。

幅広い効果を持ち、特に鎮静力に優れるコントミンは、

  • 興奮や緊張・不安が強い方
  • 不眠を認める方

などに向いているお薬となります。

Ⅱ.ヒルナミン・レボトミン

ヒルナミン・レボトミン(一般名:レボメプロマジン)は1963年に発売されたフェノチアジン系抗精神病薬です。

ヒルナミン・レボトミンは鎮静に関係するノルアドレナリンへの作用が強く、また覚醒に関係しているヒスタミン受容体へも作用するため、「眠りを導く力に優れる」という特徴を持ちます。

そのため不眠症状を認める方に用いられる事が多いお薬です。しかしこれは眠気やふらつきの副作用も生じやすいという事であり、転倒などには注意が必要です。

Ⅲ.ピーゼットシー・トリラホン

ピーゼットシー・トリラホン(一般名:ペルフェナジンマレイン酸塩)は1958年に発売されたフェノチアジン系抗精神病薬です。

ピーゼットシーもフェノチアジン系ですので様々な受容体に作用しますが、フェノチアジン系の中ではドーパミンのはたらきをブロックする作用が強めであり、その他の受容体への作用は弱めです。

イメージとしては「ブチロフェノン系寄り」のフェノチアジン系といったところです。

ドーパミンをブロックする作用が強めであるため、フェノチアジン系の中では幻覚・妄想などの陽性症状を抑える作用に優れます。

またドーパミンをブロックしすぎる事で生じる副作用(錐体外路症状や高プロラクチン血症)はフェノチアジン系の中ではやや多めです。

【錐体外路症状(EPS)】
ドーパミンのブロックによって生じる神経症状。手足のふるえやムズムズ、不随意運動(身体が勝手に動いてしまう)などが生じる。

【高プロラクチン血症】
脳のドーパミンをブロックすることでプロラクチンというホルモンが増えてしまう事。プロラクチンは本来は産後の女性が乳汁を出すだめに分泌されるホルモンであり、これが通常の方に生じると乳房の張りや乳汁分泌などが生じ、長期的には性機能障害や骨粗しょう症、乳がんなどのリスクとなる。

それ以外の作用(鎮静作用など)は、そこまで強くありませんが、逆に言えば眠気やふらつきなどの副作用も少ないという事です。

Ⅳ.フルメジン

フルメジン(一般名:フルフェナジンマレイン酸塩)は1960年に発売されたフェノチアジン系抗精神病薬です。

フルメジンもピーゼトシーと似たような特徴を持ち、フェノチアジン系の中ではドーパミンをブロックする作用が強めになり、それ以外の作用は弱めになります。

幻覚・妄想といった陽性症状を改善させる作用に比較的優れますが、鎮静作用などは強くはありません。

またフルメジンは「フルデカシン」という持効性注射剤があるのもメリットの1つになります。

フルデカシンは4週間に1回の頻度で注射するお薬です。統合失調症の方は病識(自分が病気だという意識)が無い事があり、お薬を自分の判断で中断してしまう事があります。服薬中断により幻覚や妄想の悪化を繰り返すケースは少なくありません。

このような時、持効性注射剤が役に立ちます。フルデカシン持効性注射剤は月に1回、病院に来院した時に注射させていただければ確実に投与する事ができますので、お薬を自己判断で中止したり飲み忘れたりするリスクがなくなります。

Ⅴ.ノバミン

ノバミン(一般名:プロクロルペラジンマレイン酸塩)は1957年に発売されたフェノチアジン系抗精神病薬です。

ドーパミンを抑える作用がやや強めですが、それ以外の受容体をブロックする作用もまずまずあり、

  • ノルアドレナリンをブロックする事による穏やかな鎮静
  • セロトニンをブロックする事による陰性症状の改善
  • ヒスタミンをブロックする事による睡眠改善、食欲改善

などが得られます。バランスのとれたフェノチアジン系になります。

またノバミンは、延髄にある嘔吐中枢のドーパミンのはたらきをブロックする作用を持つため、制吐作用(吐き気を抑える作用)に優れるという特徴があります。

現在では統合失調症の治療薬として用いられる事は少なくなりましたが、抗がん剤や麻薬などの服用で生じる吐き気の副作用を抑える目的で投与される事があります。

Ⅵ.ニューレプチル

ニューレプチル(一般名:プロペリシアジン)は1964年に発売されたフェノチアジン系抗精神病薬です。

ニューレプチルはフェノチアジン系の典型的な特徴通り、様々な受容体に作用します。そのために様々な効果が得られる一方で副作用も幅広く生じます。それぞれの副作用は強くはないものの、全体的には副作用も多めです。

具体的にあh、

  • ドーパミンをブロックする事による幻覚・妄想の改善
  • セロトニンをブロックする事による陰性症状の改善
  • ノルアドレナリンをブロックする事による鎮静
  • ヒスタミンをブロックする事による睡眠改善・食欲改善
  • アセチルコリンをブロッする事による口喝・便秘

などが得られます。

3.フェノチアジン系はどのような機序で効果を発揮するのか

フェノチアジン系抗精神病薬はどのような作用機序を持っているのでしょうか。

フェノチアジン系の主な作用機序は、脳神経においてドーパミン受容体をブロックする事で、ドーパミンのはたらきを抑える事です。

抗精神病薬はドーパミンのはたらきをブロックするのが主なはたらきです。統合失調症は脳のドーパミンが過剰に放出されて起こるという説(ドーパミン仮説)に基づき、ほとんどの抗精神病薬はドーパミンを抑える作用を持ちます。

抗精神病薬の中でもフェノチアジン系は、ドーパミンのはたらきをブロックする作用の他、様々な神経伝達物質のはたらきをブロックします。

具体的には、

  • ドーパミンをブロックする事による幻覚・妄想の改善
  • セロトニンをブロックする事による陰性症状の改善、性機能の低下
  • ヒスタミンをブロックする事による催眠、食欲亢進
  • ノルアドレナリンをブロックする事による穏やかな鎮静
  • アセチルコリンをブロックする事による口喝、便秘など

といった様々な作用が出現します。

これらは良い作用となることもありますが、副作用となってしまう事もあります。

フェノチアジン系は全体的に、様々な受容体に作用して特に鎮静力に優れるという特徴があります。そのため、統合失調症の治療薬として用いられる他、興奮症状の鎮静や不眠の改善などに用いられることもあります。

しかし多くの受容体に作用するという事は、多くの余計な作用が出やすいという事でもあり、眠気やふらつきや性機能障害や抗コリン症状(口渇・便秘・尿閉など)、体重増加、血圧低下などの副作用が時に問題となります。

4.フェノチアジン系が効果を認める疾患は

フェノチアジン系は抗精神病薬に分類されるため、主に統合失調症に対して使用されるお薬です。しかしそれ以外の疾患に用いられる事もあります。

フェノチアジン系が効果を認める疾患について紹介します。

Ⅰ.統合失調症

統合失調症は、脳神経からドーパミンが過剰に分泌されてしまう事で幻覚や妄想といった陽性症状、無為・自閉・感情平板化といった陰性症状が生じる疾患です。

少なくともドーパミンが過剰になっている事が一因だと考えられているため、ドーパミンのはたらきをブロックする抗精神病薬が効果を示します。

統合失調症の治療薬としては、現在では第二世代抗精神病薬を用いる事がほとんどですが、何らかの理由により第二世代が使用できない時、フェノチアジン系抗精神病薬が検討される事もあります。

鎮静力に優れるフェノチアジン系は、興奮や緊張の強い方、不眠の強い方などに適しています。

Ⅱ.双極性障害

双極性障害(いわゆる躁うつ病)にフェノチアジン系抗精神病薬が用いられることもあります。

フェノチアジン系は鎮静力に優れるものが多いため、主に躁状態に使用される事があり、易怒性や興奮、不眠を改善させるために用いられます。

ただし現在では安全性の高い第二世代の抗精神病薬がまず用いられる事が一般的です。

Ⅲ.不安障害(不安症)

パニック障害、社会不安障害、全般性不安障害や恐怖症など、「不安」や「恐怖」が原因となっている疾患にもフェノチアジン系は効果を示すします。

これらの疾患は総称して「不安障害(不安症)」と呼ばれます。

不安障害に対して不安を改善させるお薬は「抗うつ剤」になります。

フェノチアジン系は不安障害に対しては主剤となるわけではなく、補助的に用いるような位置付けとなります。

鎮静力に優れるフェノチアジン系は、不安や焦りが高まっておりソワソワと落ち着かない状態に対して、鎮静をかけて落ち着かせるために用いられる事があります。

ただし現在では安全性の高い第二世代の抗精神病薬がまず用いられる事が一般的です。

Ⅳ.不眠症

不眠症に対する薬物療法は睡眠薬が用いられるのが一般的ですが、睡眠薬だけでは十分な効果が得られない時、フェノチアジン系のような抗精神病薬が用いられる事があります。

フェノチアジン系は、睡眠薬とは異なる機序で鎮静をかけたり眠りを導くため、睡眠薬があまり効かないような方にも効果が期待できます。

ただし本来は不眠に使うお薬ではありませんので、安易に使用すべきではなく、使用する有益性があると判断される場合に限られます。

不眠症においても現在では安全性の高い第二世代の抗精神病薬がまず用いられる事が一般的です。

Ⅴ.吐き気

フェノチアジン系は、延髄にある嘔吐中枢に作用して、吐き気を抑えるはたらきがあります。

そのため、時に「吐き気止め」として用いられる事があります。

特に強い吐き気をきたす可能性があるお薬、例えば麻薬や抗がん剤などを使用する場合、通常の吐き気止めだけでは十分に吐き気が抑えられない事があります。

このような場合、フェノチアジン系が吐き気止めとして併用される事があります。

5.フェノチアジン系以外の抗精神病薬について

フェノチアジン系の他にも抗うつ剤にはいくつかの種類があります。

その中で、フェノチアジン系の特徴を簡単に言うと、

「古いお薬であり、副作用が多い」
「様々な受容体に作用する事で多くの効果を得られる」

という点が挙げられます。

1950年代から使われるようになったお薬であり、効果はしっかりしているものの、副作用が多く、新しい抗精神病薬と比べると安全性に劣ります。

また統合失調症の陽性症状には効果があるものの、陰性症状への効果が乏しいというデメリットもあります。

古いお薬の中では、ドーパミン以外にも様々な受容体に作用します。主に興奮を抑えるような受容体への作用が多いため、鎮静や催眠作用に優れます。

ちなみにフェノチアジン系以外の抗精神病薬にはどのようなものがあるのでしょうか。

それ以外の抗精神病薬の特徴について簡単に紹介します。

Ⅰ.ブチロフェノン系

ブチロフェノン系も古い第一世代の抗精神病薬です。

フェノチアジン系と同じく、1950年頃から使われるようになりました。

古いお薬であるため、フェノチアジン系と同じく副作用が多く、時に重篤な副作用が生じうる可能性があります。

具体的には、

  • 悪性症候群
  • 麻痺性イレウス
  • 重篤な不整脈

などが挙げられます。

フェノチアジン系との違いは、フェノチアジン系はドーパミン以外にも様々な受容体に作用するのに対し、ブチロフェノン系は比較的ドーパミン受容体に集中的に作用するという点です。

そのため、幻覚妄想といった陽性症状を抑える作用に優れます。

一方でドーパミンをブロックしすぎてしまう事で生じる副作用(錐体外路症状や高プロラクチン血症)なども起こしやすいお薬になります。

ドーパミン以外の受容体にはあまり作用しないため、フェノチアジン系が得意とする、興奮を抑える作用や眠りを導く作用は弱めです。

  • セレネース(一般名:ハロペリドール)
  • インプロメン(一般名:ブロムペリドール)
  • プロピタン(一般名:ピパンペロン)
  • トロペロン(一般名:チミペロン)

などがあります。

Ⅱ.SDA(セロトニン・ドーパミン拮抗薬)

SDA(セロトニン・ドーパミン拮抗薬)は、第2世代抗精神病薬に属するお薬で、1990年頃から使われるようになりました。

その名の通り、主に、

  • ドーパミンをブロックする作用(陽性症状の改善)
  • セロトニンをブロックする作用(陰性症状の改善、錐体外路症状の軽減)

といった作用を持ちます。

SDAは第2世代ですので、第1世代と比べると副作用が少なく、また重篤な副作用が生じるリスクが少なくなっています。

また統合失調症の陽性症状のみならず、陰性症状にも多少効果を発揮します。

第2世代の中では、セロトニン受容体とドーパミン受容体に集中的に作用するため、ブチロフェノン系の改良型のようなイメージを持っていただけると良いかと思います。

  • リスパダール(一般名:リスペリドン)
  • ロナセン(一般名:ブロナンセリン)
  • ルーラン(一般名:ペロスピロン)

などがあります。

Ⅲ.MARTA(多元受容体作用抗精神病薬)

MARTA(多元受容体作用抗精神病薬)も第2世代抗精神病薬に属するお薬で、1990年頃から使われるようになりました。

その名の通り、様々な受容体に作用し、

  • ドーパミンをブロックする作用(陽性症状の改善)
  • セロトニンをブロックする作用(陰性症状の改善、錐体外路症状の軽減)
  • ヒスタミンをブロックする事による催眠、食欲亢進
  • ノルアドレナリンをブロックする事による穏やかな鎮静

といった効果が期待できます。

MARTAも第2世代ですので、第1世代と比べると副作用が少なく、また重篤な副作用が生じるリスクが少なくなっています。

また統合失調症の陽性症状のみならず、陰性症状にも多少効果を発揮します。

第2世代の中でも、様々な受容体に幅広く作用するため、フェノチアジン系の改良型のようなイメージを持っていただけると良いかと思います。

  • ジプレキサ(一般名:オランザピン)
  • セロクエル(一般名:クエチアピン)
  • シクレスト(一般名:アセナピン)
  • クロザリル(一般名:クロザピン)

などがあります。

Ⅳ.DSS(ドーパミンシステムスタビライザー)

DSS(ドーパミンシステムスタビライザー)はDPA(ドーパミン部分作動薬)とも呼ばれ、第2世代抗精神病薬に属するお薬です。2006年頃から使われるようになりました。

DSSは「ドーパミンの量を適切に調整する」という作用を持ちます。

強制的にドーパミンをブロックするわけではないため、ドーパミンをブロックしすぎる事による副作用なども少なく、安全性に優れるお薬です。

DSSも第2世代ですので、第1世代と比べると副作用が少なく、また重篤な副作用が生じるリスクは少なくなっています。

統合失調症の陽性症状のみならず、陰性症状にも多少効果を発揮します。

  • エビリファイ(一般名:アリピプラゾール)

があります。