ルーランの半減期について【医師が教える抗精神病薬のすべて】

ルーランの半減期

ルーランは抗精神病薬という種類に属し、主に統合失調症の治療に用いられているお薬です。

ルーランは半減期が約2~3時間ほどのお薬です。そのため1日1回服薬だと効果が安定せず、1日3回投与と決められています。

半減期とは、内服したお薬の血中濃度が半分になるまでにかかる時間のことで、お薬の作用時間とある程度の関連があることが知られています。半減期でお薬の作用時間が正確に分かるわけではありませんが、半減期からお薬の様々な特徴を知ることができるのです。

ここでは、ルーランの半減期と他の抗精神病薬との比較、半減期から考えられるルーランの特徴などについて紹介していきます。また、「半減期」の意味についても少し詳しくお話します。

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1.ルーランの半減期はどのくらいか

半減期とは、お薬の血中濃度が半分になるまでにかかる時間のことです。血中濃度が半分まで減ると薬の効果がある程度消失してくるため、半減期はそのお薬の作用時間とある程度の関連があると考えられています。

厳密には半減期と作用時間は異なるものですが、ざっくりとした認識としては「半減期」≒「だいたいの作用時間」と考えられます(もちろん例外はたくさんあります)。

お薬が身体から抜けていくスピードには個人差があるため、半減期はあくまでも一つの目安に過ぎませんが、お薬を選択する際の指標になる数値です。

ルーランは、服薬してから1.5時間ほどで血中濃度が最大となり、半減期は約2~3時間と報告されています

この半減期から、1日1回の服薬では1日を通しての効果が持続しないと考えられるため、原則は1日3回に分けて服用することが定められています。

2.抗精神病薬の半減期一覧

抗精神病薬はいくつかの種類があり、半減期もそれぞれで異なります。主な抗精神病薬の半減期を比較してみると下図のようになります。

抗精神病薬半減期
コントミン2.5時間(第1相)
12時間(第2相)
セレネース24時間
リスパダール4時間(主代謝物は21時間)
インヴェガ20時間
ロナセン12時間(反復投与で68時間)
ルーラン2時間(投与6時間まで)
6時間(投与6時間以降)
ジプレキサ28.5時間
セロクエル3.5~6時間
エビリファイ61時間

抗精神病薬によって、半減期が様々であることが分かります。

半減期の長いお薬、例えばここではインヴェガやジプレキサ・エビリファイなどは、長く効くため1日1回の服薬になっています。

反対に半減期の短いお薬、ここではルーラン、セロクエルなどは作用時間も短いため1日2回や3回服薬しないといけません。

実際は半減期だけでお薬の作用時間が判断できないお薬もあり、2相性の半減期を持つもの(途中で血中濃度が落ちるスピードが変わる)、代謝物も活性を持っていてそれも効果に影響するものなどがあり、これらはそういった条件も加わって作用時間は決まっていきます。

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3.半減期から分かるルーランの特徴

ルーランの半減期は約2~3時間です。ここから分かるルーランの特徴について紹介します。

半減期が分かると、

  • 何時間くらい効果が続くお薬なのか
  • どれくらいの服薬間隔で飲むべきお薬なのか
  • 何日くらい飲み続ければ、血中濃度が安定するのか
  • 離脱症状が起きやすい時期

といったお薬の情報がある程度見えてきます。ひとつずつ見ていきましょう。

Ⅰ.何時間くらい効果が続くお薬なのか

ルーランの半減期は約2~3時間と短めですので、薬効としても短時間になることが予測されます。半減期は作用時間に直結する数値ではありませんが、2~3時間で血中濃度が半減するお薬が1日1回の服薬で1日中効果が持続するとは考えにくいため、ある程度血中濃度を安定させるためには1日複数回に分けて服薬する必要がある事が分かります。

半減期が長いお薬は、服薬間隔が長くても良いため、一見メリットが多いように見えます。もちろん、服薬する回数が少なくて済むのはメリットなのですが、反対にデメリットもあります。それは、お薬がなかなか身体から抜けないという事です。半減期の長いお薬を内服して、何らかの副作用が出てしまった時、その副作用は長く続いてしまう可能性があるという事です。

反対にルーランのような半減期の短いお薬は、1日に何回も飲まないといけないのは手間になりますが、

・細かい用量設定がしやすい
・身体から抜けやすく、蓄積しにくい

という点ではメリットになります。

Ⅱ.どれくらいの服薬間隔で飲むべきお薬なのか

ルーランは服薬すると約1.5時間ほどで血中濃度が最大となり、その後は徐々に血中濃度が低下していきます。血中濃度の半減期はおおよそ2~3時間です。

実際は、ルーランの主要活性代謝物である「ID-15036」という物質もルーランの約1/8の薬効があり、ルーランよりも3倍血中濃度が高くなることが報告されているため、これも加味して作用時間は考えないといけませんが、ID-15036もルーランと似たような薬物動態になります。

そこから考えると、血中濃度を安定させるには少なくとも1日3~4回に分けて服薬する必要がありそうです。

実際、添付文書の用法・用量の記載では「1日3回に分けて服薬すること」とされています。

Ⅲ.何日くらい飲み続ければ、血中濃度が安定するのか

一般的にお薬は、血中濃度が一定になるようなペースで反復復投与を続けると、徐々にベースの血中濃度が高まっていきます。

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一般的なお薬の服薬を続けた場合の血中濃度の推移

血中濃度が一定になるようなペースでだいたい5~6回の服薬を続けると血中濃度が高止まりして安定すると言われており、この状態は「定常状態」と呼ばれます。

一方でルーランは半減期があまりに短いため、すぐに身体から抜けてしまいます。そのため、1日3回のペースで服薬していっても、ベースの血中濃度はいつまでも上がっていきません。

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ルーランを1日3回投与を続けた場合の血中濃度の推移

これはルーランのメリットでもありデメリットでもあります。

飲み続けると血中濃度が徐々に上がっていくというのは、飲み続けることで効果が強まっていくということにもつながりますが、ルーランは薬物動態的にはそのような傾向はありません。しかし、ベースの血中濃度が上がらないという事は「お薬が身体に蓄積していない」ということでもあり、これはお薬の安全性につながります。

Ⅳ.離脱症状が起きやすい時期

離脱症状というのは、お薬の血中濃度が急に低下する事に身体が対応できずに生じてしまう症状の事です。

離脱症状は、お薬の血中濃度が最大値の半分以下になると出やすくなると言われています。そのため、半減期が来る前に次のお薬の服薬を行う事が望ましいと考えられています。

しかしルーランの場合、元々半減期を過ぎてから次のお薬を服薬しているわけですので、断薬時にも離脱症状が生じる可能性は低いと考えることができます。

実際、ルーランで離脱症状を経験することはほとんどありません。

しかし絶対に起きないというわけではなくルーランの服薬を止めたり忘れたりして不調を感じたり、今までにない症状を感じる場合は、それは離脱症状の可能性があります。

4.半減期とは?

せっかくなので「半減期」について勉強してみましょう。

半減期というのは「お薬の血中濃度が半分になるまでに要する時間」のことです。

半減期は、お薬の作用時間を知るために1つの目安になる値として用いられています。例えば、下記のような薬物動態を示すお薬があるとします。

半減期イメージ

だいたいのお薬は内服すると、このグラフのようにまず血中濃度がグンと上がり、それから徐々に落ちていきます。

このお薬は、投与10時間後の血中濃度は「10」ですが、投与20時間後には血中濃度は半分の「5」に下がっています。血中濃度が半分になるのに要する時間は「10時間」ですので、このお薬の半減期は「10時間」です。そして半減期が10時間ということは「だいたい10時間くらい効くお薬」なんだと分かります。

正確には半減期と作用時間の長さは完全に一致するわけではありません。実際は、おくすりを飲むとまずは血中濃度は上がり最高血中濃度に到達してそれから下がっていきますので、厳密に言えば最高濃度に到達するまでの時間も加味しなければいけないでしょう。

半減期のスピードが途中で変わるお薬もありますし、そのお薬の成分だけでなく代謝物が薬理活性を持っているものもありますので、そういったお薬はこれらの情報も加味して考えなければいけません。

もっと言えば、すべての人が、血中濃度が半分になったら薬効を感じなくなるとは言えません。血中濃度がどれくらい下がれば薬効を感じなくなるかは人それぞれでしょう。半分の人もいれば、それ以上・それ以下の方もいます。

更に個々人の体質や代謝能力まで考え出すとキリがなく、そうなると作用時間を数値化することは不可能です。

でも、「どれくらいの効くかは、人それぞれですから分かりません」では話にならないので、ひとつの目安として、半減期を使用しているのです。

半減期はあくまでも目安で、絶対的な値ではないという事は気を付けてください。個人差はおおいにあります。お薬を分解する力が強い人もいれば弱い人もいます。となれば当然、お薬の作用時間は人によって違いがあります。

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