パニック障害と電車。パニック発作が電車で生じやすい理由と対処法

パニック障害と電車

パニック障害は、パニック発作と呼ばれる自律神経発作(めまい、動悸、呼吸苦など)が繰り返される疾患です。

パニック発作が生じやすい状況として「電車」があります。パニック障害になってから怖くて電車に乗れない、という方は少なくありません。

なぜ電車でパニック発作が誘発されてしまうのでしょうか。今日はパニック障害と電車の関係についてお話しし、また対処法などを紹介させていただきます。

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1.電車でパニック発作が起こる理由

パニック障害は不安症(不安障害)に属する疾患であり、その根本の原因は「不安」にあります。そのため、不安を感じやすい状況ではパニック障害も悪化しやすく、パニック発作も起こりやすくなると考えられています。

私たちが本能的に不安を感じやすい場所として「閉鎖空間」が挙げられます。これは「閉じ込められた場所」であり、「容易に逃げることができない場所・状況」とも言い換えることができます。

健常な人でも閉鎖空間には多少の不安感を覚えるものです。パニック障害にかかってしまうと閉鎖空間に対して、より過敏に恐怖を感じるようになってしまい、大きな恐怖を感じるようになってしまいます。

専門用語ではこれを「広場恐怖(agoraphobia)」と呼びます。

広場恐怖というと、「広い場所に恐怖を感じる」という意味に誤解されがちですが、そうではありません。古代ギリシアでは広場で集会が行われていましたが、集会と言うのはなかなか抜け出せない状況であるため、「広場=容易に逃げ出せない場所」と捉えられ、このような用語になったのです。

そして、電車は典型的な閉鎖空間です。

次の駅に停車するまで、絶対に逃げ出すことはできません。広場恐怖に該当する状況であり、不安を感じやすいのです。

他にも、日常で良く経験する広場恐怖には、

・飛行機
・映画館
・暗くてせまい飲食店
・美容室
・歯医者
・ダイビング

などがあり、これらの場所ではパニック発作が起こりやすくなってしまうことがあります。

2.電車でパニック発作を起こさないための考え方

パニック発作が生じるのは、パニック障害を発症していることが原因です。そのため、電車に限らずパニック発作を改善させるには、パニック障害の治療をしっかりと行うことが何よりも重要です。

病院を受診し、主治医に指示された治療をしっかりと行いましょう。また、処方されたおくすりは用法通りにしっかりと飲みましょう。

しかしパニック障害の治療は時間がかかるのが通常です。就労をしている方などでは治療中も通勤などで電車を利用しなくてはいけない人もいるでしょう。パニック障害が完治するまで、電車が使えないのでは困ります。

現実的にはパニック障害の症状が残っている状態でも、電車を利用せざるをえない状況があるでしょう。この時、電車でなるべくパニック発作が起きないようにするにはどのように考えたら良いでしょうか。

パニック障害の方に決して忘れずに持って欲しいのが、「パニック発作はしばらくすれば必ず落ち着く」「パニック障害で死んでしまう事は絶対にない」という事です。

パニック発作は、急に動悸・めまい・呼吸苦などの症状が出現するため、「このまま死んでしまうのでは」という強い恐怖を感じます。そしてこの恐怖が更にパニック発作を増悪させてしまいます。

しかしパニック発作が原因で死んでしまった人はいません。パニック発作は10分程度で必ず落ち着き、後遺症も残らないものです。

これをしっかりと理解しておくことは重要です。

パニック発作が起こりそうになっても「大丈夫。これで死ぬことはない」「すぐに発作は落ち着く」と意識しておくだけでも不安は軽減され、発作が起きにくくなります。

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2.電車でパニック発作を起こさないための対処法

パニック障害で療養中の方でも、やむを得ず電車に乗らないといけない事もあります。この時はどのような対処法があるでしょうか。

よく用いられる対処法を紹介します。

ただし、これらは主治医としっかりと相談した上で、主治医の指示のもとで行ってください。独断で行うと病状を悪化させてしまう事があります。

Ⅰ.快速や特急は避け、各駅停車を使う

電車内で不安が増悪しやすいのは、電車が閉鎖空間であり容易に逃げることができない状況だからです。

快速や急行・特急では停車駅の間隔が長くなるため、閉鎖空間に居る時間が長くなり、不安が強くなってしまいます。反対に各駅停車だと各駅に停まりますから停車駅の間隔も短く、不安は軽くて済みます。

発作を起こさないためには、急行や特急よりも各駅停車の方が良いのです。

通勤時は、早く会社に着くために快速・急行や特急を使いたくなりますが、発作をなるべく起こさないことを優先するのであれば、各駅停車を利用しましょう。

Ⅱ.グリーン車を利用する

朝のラッシュ時などのように電車内が混んでいると、より「逃げられない状況」が強くなるため、パニック発作が起きやすくなります。

この場合はグリーン車を利用することで混雑を避けることができます。またグリーン車は座れるため安心感を得やすく、発作は起きにくくなります。

お金がかかってしまうのが難点ですが、発作を起こさないという意味では有効な方法です。

また、グリーン車の隣の車両に乗り、危ない時はいつでもグリーン車に逃げ込めるようにしておく、という方法も有効でしょう。これも「何かあればグリーン車にすぐ逃げられる」という気持ちが安心感につながります。

Ⅲ.混雑時間を避ける

電車内が混雑しておりギュウギュウ状態だと、さらに「逃げられない状況」になるため、パニック発作は起きやすくなります。朝の通勤ラッシュや帰宅時のラッシュの時間は、出来ることなら避けた方が良いでしょう。

会社や学校に遅刻して行くわけにはいきませんので、ちょっと早めに家を出る、という方法を取っている方が多いようです。帰宅時もちょっと寄り道して混雑時間が過ぎてから電車に乗る、などの方法を取っている方もいます。

Ⅳ.頓服を処方してもらう

主治医から頓服をもらっておくことも有効な手段です。頓服は、症状が起きそうな時あるいは起きた時にすぐに飲める即効性のあるおくすりです。

ベンゾジアゼピン系抗不安薬が用いられることが多く、

・ロラゼパム(商品名:ワイパックス)
・アルプラゾラム(商品名:ソラナックス、コンスタン)
・ブロマゼパム(商品名:レキソタン、セニラン)
・クロチアゼパム(商品名:リーゼ)
・エチゾラム(商品名:デパス)

などがよく用いられます。

実際に発作が起きそうな時にサッと飲めることも利点ですが、これらのおくすりを持っておくだけでも「何か起こっても頓服を持っているから大丈夫」というお守りのような安心感を得ることができます。

なお、サッと飲めるように水やお茶なども携帯しておくことを忘れないようにしましょう。

Ⅴ.誰かに一緒に乗ってもらう

友人や同僚、家族など、誰かが一緒に居てくれると安心感が得られ発作が起きにくくなります。

慣れてきたら、付き添いの方には少し離れた場所に移動してもらったり、隣の車両に移動してもらったりして、少しずつ自分一人でも大丈夫なように自信をつけていくことができるとなお良いです。

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