パニック障害ではどんな症状が起こるのか

パニック障害の症状

パニック障害は珍しい病気ではなく、その有病率は2%前後と報告されています。誰でも発症する可能性がある疾患であり、実際に有名人などでも「パニック障害の治療をしていた」と告白される方もいらっしゃいます。

しかし、どのような症状がある場合にパニック障害を疑えばいいのでしょうか?

パニック障害は、特徴的な3つの症状があります。

それは、

1.パニック発作
2.広場恐怖
3.予期不安

の3つです。

これら全てが揃わないこともありますが、主にこれらの症状が認められる場合はパニック障害を疑う必要が出てきます。

パニック障害は「パニック発作」という分かりやすい症状が出るため比較的診断はしやすく、患者さんも自分で調べて「どうもパニック障害っぽいぞ」と気付くことが多い疾患です。しかしここでは改めてパニック障害の症状について詳しく説明したいと思います。

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1.自律神経症状を主体とするパニック発作

パニック障害で生じる主な症状は、パニック発作です。

パニック発作は、突然に激しい不安感・不快感が生じて、それとともに様々な自律神経症状が出現します。

ちなみに自律神経というのは、私たちが普段意識しなくても勝手にはたらいてくれる神経のことで、例えば、

・心臓を動かしたり
・呼吸をしたり
・胃腸を動かしたり

などをしてくれている神経です。私たちが普段、意識しなくても心臓がいい具合に動いてくれているのは、自律神経が自動で調整してくれているからなのです。

そして自律神経症状というのは、これらに関連した症状のことを言います。

・動悸・胸の痛み
・呼吸苦・窒息感
・吐き気・下痢

などですね。

パニック発作で生じる自律神経症状は様々ですが、診断基準のひとつであるDSM-5ではパニック発作の症状について次のように記載しています。

(1)動悸、心悸亢進、心拍数の増加
(2)発汗
(3)身震いまたは震え
(4)息切れ感または息苦しさ
(5)窒息感
(6)胸痛または胸部不快感
(7)嘔気または腹部不快感
(8)めまい感、ふらつく感じ、頭が軽くなる感じ、気が遠くなる感じ
(9)寒気または熱感
(10)異常感覚(感覚麻痺またはうずき感)
(11)現実感消失または離人感(自分自身から離脱している)
(12)抑制力を失うまたは「どうかなってしまう」ことに対する恐怖
(13)死ぬことに対する恐怖

(DSM-5 パニック障害の診断基準より抜粋)

診断基準的には、これらの症状のうち4項目以上が該当することを条件としています。

ちなみにパニック発作は、突然生じて数分以内にピークに達し、その後10~30分程度で自然と改善します。後遺症が残ったりすることはありません。パニック発作は発症してしまった時は「このまま死んでしまうのではないか」という非常に強い恐怖を感じますが、パニック発作で死んでしまった人はいません。

「明らかに肺に何かが起こっているような呼吸苦」
「心臓がおかしくなっていると感じるような動悸」

このような症状が出現するのに、実際に内科で検査をしても何も異常を認めないのがパニック発作の特徴です。

このパニック発作が、パニック障害で認められる症状のうち、もっとも中核となるものです。

2.閉鎖空間が苦手になる広場恐怖

パニック障害の症状の特徴の一つに「広場恐怖(Agoraphobia)」というものがあります。

これはちょっと分かりにくい用語なのですが「広場が怖い」という意味ではありません。広場恐怖とは「閉じ込められり、容易に脱出できない場所や状況に恐怖を感じる」という意味です。

なんでこのような閉鎖空間に対する恐怖を「広場恐怖」と呼ぶのかというと、その理由ははるか昔、古代ギリシアにまでさかのぼります。

古代ギリシアでは広場で集会を行なう慣習があったのですが、当時パニック障害らしき病気を発症していた方は、この広場で行われる集会で恐怖を感じやすく、発作が起こりやすくなることが知られていました。

集会と言うのは人も集まっているし、なかなか抜け出せない状況で、「閉じ込められていると感じやすい」「容易に脱出できないと感じやすい」状況です。そのため、「広場=容易に逃げ出せない場所」と捉えられ、このような用語になったという背景があります。

とは言っても、現代においては広場で集会をすることなど滅多にありません。

現代において日常で遭遇しやすい広場恐怖はというと、

・電車やバス、飛行機内
・歯医者や美容室
・映画館
・せまくてくらいレストラン
・人ゴミ

などがあります。

パニック障害は、広場恐怖を認めないものもありますが、大半は広場恐怖を認めるパニック障害です。

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3.発作を繰り返す中で、発作が起きる事自体が怖くなる

パニック障害の症状で、特徴的なものがもう一つあります。それは「予期不安」と呼ばれる症状です。

パニック障害の症状の中核はパニック発作であるとお話しましたが、このパニック発作は突然生じる発作です。後遺症も残らず、命には別状のないものではありますが、そうは言っても「だから問題ないよね」と言えるものではありません。

想像してみてください。

普通に生活していたら突然、息が出来ない感覚に襲われたり、気を狂いそうな感覚がやってくるのです。そしてそれがいつやってくるのか分からない。

パニック発作を何回か経験すると、「またパニック発作が起こってしまったらどうしよう・・・」という恐怖で頭が支配されてしまうようになります。

この「またパニック発作が起こったらどうしよう」という恐怖を予期不安と呼びます。予期不安は精神状態を更に不安定にし、不安を更に増悪させます。予期不安によってパニック障害がより悪化し、パニック発作がより起こりやすくなってしまうのです。

予期不安はやっかいなもので、放置しておくとどんどん不安を悪化させます。

パニック発作⇒予期不安の増悪⇒パニック発作の増悪⇒予期不安の増悪⇒・・・

と悪循環に陥ってしまうのです。

予期不安が重篤になると、

「知り合いのいない外出先で発作が起こったらどうしよう・・・」
「仕事中に発作が起きたらどうしよう・・・」

と考えてしまい、一人で外出が出来なくなっていきます。ひどい場合は、一人では家から一歩も出られなくなり、ひきこもりのような状態になってしまうこともあります。

生活に支障を来すのはもちろんのこと、病院を受診することすらできなくなってしまう可能性のある症状なのです。

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