ナルコレプシーはどのような原因で生じるのか

ナルコレプシーは過眠症に属し、日中に強い眠気が生じ、たびたび眠りに落ちてしまう疾患です。

ただの居眠りではなく、会話中や食事中といった「普通は寝ないような状況」でもカクンと眠ってしまうため生活に大きな支障をきたします。

また睡眠時に金縛りや幻覚が生じたり、笑ったり怒ったりすると全身の力が抜けてしまうなど独特の症状を呈する疾患です。

ナルコレプシーは以前は原因が分からない「不思議な病気」でしたが、近年は研究が進み、その原因が少しずつ分かってきました。

今日はナルコレプシーが生じる原因についてみていきましょう。

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1.ナルコレプシーとは

ナルコレプシーの原因について見ていく前に、まず簡単にナルコレプシーがどのような疾患なのかを紹介していきます。

ナルコレプシーは「眠り病」とも呼ばれ、過眠症の代表疾患の1つです。海外に比べ、日本人では多い事が知られています。

代表的な症状としては、

  • 日中に繰り返される居眠り
  • 情動脱力発作

の2つがあります。

居眠りというと軽く聞こえるかもしれませんが、ナルコレプシーの居眠りは健常な人の居眠りとはわけが違います。普通であればとても居眠りなど出来ないような状況でもカクンと眠ってしまう事があるのです。

仕事中や授業中などに居眠りをしてしまうのはもちろんのこと、大切な会議であったり、食事中や会話中など「そんな状況で寝るなんてありえない」と周囲が驚くような状況でも居眠りをしてしまいます。

そのため、単に作業効率が悪くなるというだけでなく、事故や外傷の危険があります。

またナルコレプシーに特徴的な症状に情動脱力発作があります。これは強い情動(笑ったり怒ったりなど)が生じた時に突然、身体に力が入らなくなってしまう症状です。膝が折れてしまったり、倒れたりするため、これも危険な症状になります。

その他、

  • 睡眠発作(発作のように眠ってしまう)
  • 睡眠麻痺(いわゆる金縛り)
  • 入眠時幻覚(寝入りばなに幻覚を見る)
  • 夜の睡眠中、中途覚醒が多い

といった症状も認めます。

このようにナルコレプシーは、耐えがたい眠気に襲われ、眠気によって生活に大きな支障を来たす疾患なのです。

2.ナルコレプシーが生じる原因

ナルコレプシーはどのような原因で発症するのでしょうか。

ナルコレプシーが発症する機序は、まだすべてが解明されているわけではありません。しかし研究が進むにつれ、少しずつ原因が分かってきています。

ここでは現時点で分かっているナルコレプシーの原因について紹介していきます。

Ⅰ.オレキシンの異常

ナルコレプシーは、オレキシンという物質が少なくなる事で発症すると考えられています。

オレキシンには脳を覚醒させる作用がある事が分かっています。オレキシンの量が少なくなれば脳が覚醒できなくなるため、すぐに眠くなってしまいやすいというわけです。

実際、睡眠薬の中にはオレキシンをブロックする作用を持つものがあります。「ベルソムラ」という睡眠薬はオレキシンのはたらきをブロックする事で脳の覚醒レベルを落とす睡眠薬です。このお薬からもオレキシンが少なくなると私たちは眠ってしまう事が分かります。

何らかの理由でオレキシン産生細胞(オレキシンを合成する細胞)が少なくなってしまったり機能が低下する事が、ナルコレプシー発症の機序だと現段階では考えられています。

ではなぜオレキシン産生細胞が異常をきたしてしまうのでしょうか。

実はこの原因についてはいまだよく分かっていません。

1つ考えられているのは、免疫系(身体を異物から守る生体システム)が誤作動してしまう事です。本来であればばい菌など有害な異物を攻撃する免疫系が誤作動を起こしオレキシン産生細胞を攻撃してしまうようになり、その結果ナルコレプシーが生じるのではないかと考えられていますが、この考えはまだ仮説にとどまります。

Ⅱ.睡眠の異常

オレキシンは脳を覚醒させる物質ですので、それが低下すると覚醒-睡眠のバランスが保てなくなります。

すると単に眠くなるだけでなく、体内時計のリズムが崩れたり、夜間の睡眠の質も悪化するようになります。

ナルコレプシーでは日中の仮眠だけでなく、

  • 入眠時幻覚
  • 夜間の中途覚醒
  • 睡眠麻痺(金縛り)

などの夜間の睡眠時の異常も認めますが、これは日中の覚醒が崩れる事で本来の睡眠のバランスも崩れてしまって生じると考えられます。

本来私たちの睡眠ー覚醒バランスは、日中にしっかりと覚醒し、夜間にしっかりと睡眠に入るというリズムになっています。

これがオレキシンの欠乏によって日中に中途半端な覚醒になってしまうと、夜間も中途半端な睡眠になってしまうわけです。

その結果、夜間の睡眠の質が悪化し、レム睡眠の割合が増えます。レム睡眠は浅い睡眠で、簡単に言うと「脳は起きているけど身体は寝ている」ような状態です。

このような「脳は起きているけど身体は寝ている」状態では幻覚や中縛りが生じやすくなります。また浅い眠りとなれば夜間に目覚めてしまう頻度も多くなるわけです。

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3.ナルコレプシーは遺伝するの?

ナルコレプシーは遺伝するのでしょうか。

ナルコレプシーは確実に遺伝する疾患ではありませんが、遺伝性はあると考えられています。

ナルコレプシーの患者さんから生まれた方が必ずナルコレプシーになるわけではありません。しかしナルコレプシーになりやすいのは事実です。

ナルコレプシーは特定のHLA(白血球抗原)遺伝子で生じやすい事も分かっており、ここからも遺伝との関連性が示唆されています。

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