ロドピンの効果と特徴【医師が教える抗精神病薬の全て】

ロドピンの効果

ロドピン錠(一般名:ゾテピン)は1982年に発売された抗精神病薬(統合失調症の治療薬)です。副作用の少ない第2世代の抗精神病薬(非定型抗精神病薬)に属します。

ロドピンは、日本で開発されたお薬で、世界的にみるとあまり使われていません。主に統合失調症や双極性障害(躁うつ病)などの治療において、使われるお薬になります。

ここではロドピンの効果や特徴、どんな作用機序を持っているお薬でどんな人に向いているお薬なのかを紹介していきます。

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1.ロドピンの効果の特徴

まずはロドピンの特徴について挙げてみます。

ロドピンは中枢神経のドーパミン受容体を遮断(ブロック)することで、統合失調症の陽性症状(幻覚・妄想など)を改善させます。また同じくセロトニン受容体をブロックする事で陰性症状(無為・自閉・感情平板化など)を改善させたり、副作用を軽減させるはたらきがあります。

その最大の特徴は鎮静力の強さにあり、そのためロドピンは興奮・不穏・不眠などの強い患者さんに用いられることの多いお薬になります。

ロドピンに限らず、抗精神病薬の多くはドーパミン受容体をブロックする働きを持ちます。その中でロドピンは次のような特徴を持っています。

【良い特徴】

  • 陽性症状(幻覚・妄想など)を改善させる
  • 鎮静力に優れ、特に躁状態の改善に用いられる事が多い
  • 第1世代(定型)と比べると陰性症状にも効果がある

【悪い特徴】

  • 第2世代の中では錐体外路症状が起こりやすい
  • 第2世代(非定型)の中では、陰性症状に対する効果はかなり弱め
  • 第2世代の中では古いお薬に属する

「錐体外路症状」「陰性症状」といった専門用語が出てきましたので、簡単に説明します。

*錐体外路症状(EPS)・・・薬物によってドーパミン受容体が過剰にブロックされることで、パーキンソン病のようなふるえ、筋緊張、小刻み歩行、仮面様顔貌、眼球上転などの神経症状が生じる。

*陽性症状・・・幻覚や妄想などの統合失調症の代表的な症状。本来ないものが存在するように感じる症状を陽性症状と呼ぶ。

*陰性症状・・・感情が平板化したり、無為自閉など気力なく過ごすようになる統合失調症の代表的な症状。本来あるべきもの(感情や意欲など)がなくなってしまう症状を陰性症状と呼ぶ。

*第1世代:第1世代(定型)抗精神病薬の事。1950年頃より使われるようになった統合失調症の治療薬。陽性症状を改善させる作用は強力だが、陰性症状には効果を認めない。副作用が多い。コントミン(一般名:クロルプロマジン)、セレネース(一般名:ハロペリドール)などが属する。

*第2世代:第2世代(非定型)抗精神病薬の事。1990年頃より使われるようになった統合失調症の治療薬。陽性症状を改善させる作用もしっかりあり、陰性症状にも多少効果を認める。第1世代と比べると副作用が少ない。リスパダール(一般名:リスペリドン)、ジプレキサ(一般名:オランザピン)、エビリファイ(一般名:アリピプラゾール)などが属する。

ロドピンはここでは第2世代として扱っていますが、実は第1世代と第2世代の中間に位置づけられるようなお薬です。第2世代の中ではもっとも古いお薬になるため、現在では統合失調症の治療薬としてはそこまで使われていません。

陽性症状の改善効果はそれなりにあるものの、陰性症状の改善効果が非常に弱い事や、第2世代の中では古いお薬に属する事などから、全体的にみるとその他の第2世代の方が使い勝手が良いためです。

ロドピンの最大の利点は、鎮静力の強さにあります。そのため、現在では

  • 双極性障害の躁状態

のような鎮静させてあげた方が良い状態に用いられる事が多いお薬になっています。またそれ以外でも興奮が強い場合や不眠が強い場合にも検討される事があります。

統合失調症は、脳のドーパミンが過剰分泌されることで発症すると考えられており、出過ぎたドーパミンを抑えることが治療になります。

ドーパミンが過剰になると、幻覚妄想状態を引き起こすため、ドーパミンのはたらきをブロックする作用を持つロドピンは、幻覚妄想を改善する作用を持っています。

しかしドーパミンをブロックするということは、ドーパミンを抑えすぎてしまう可能性もあるということになります。必要以上にドーパミンを遮断してしまうと、今度は錐体外路症状(EPS)と呼ばれる神経症状の副作用や高プロラクチン血症といったホルモンバランスの崩れが起こってしまうことがあります。

ロドピンは、古い第1世代と比べるとドーパミンをブロックしすぎるリスクは小さいのですが、第2世代の中ではそのリスクはやや高めになります。そのため、これらの副作用が生じる可能性があります。

2.ロドピンの作用機序

抗精神病薬は、ドーパミンを遮断するのが主なはたらきです。統合失調症は脳のドーパミンが過剰に放出されて起こるという説(ドーパミン仮説)に基づき、ほとんどの抗精神病薬はドーパミンの放出量を抑える作用を持ちます。

ロドピンは、抗精神病薬の中でSDA(Serotonin Dopamine Antagonist:セロトニン-ドーパミン拮抗薬) という種類に属します。SDAはセロトニン2A受容体と、ドーパミン2受容体を遮断する作用を持つお薬のことです。

ドーパミン2受容体の遮断は、幻覚妄想などを改善する作用を持ちます。また一方で過剰な遮断は、錐体外路症状や高プロラクチン血症といった副作用の原因にもなります。

セロトニン2A受容体の遮断は、陰性症状(無為、自閉、感情平板化など)を改善する作用を持ちます。また、錐体外路症状の発現を抑えるはたらきもあることが報告されています

更にロドピンはセロトニン1A受容体も強くブロックすることが知られており、これがロドピンの鎮静力の強さをもたらしていると考えられています(セロトニン1A受容体は覚醒を促進するはたらきがあり、これをブロックすれば鎮静となります)。

一方で、ロドピンはノルアドレナリンなどのカテコールアミンの再取り込みを阻害するはたらきが報告されています。これは抗うつ剤と同じような作用機序になるため、ここからロドピンは抗うつ作用があるのではないかとも言われていますが、実感としてはあまり明らかではありません。むしろロドピンを大量に投与して鎮静力がかかりすぎると抑うつ的になってしまう事もあるほどです。

また、その他にロドピンは、α1受容体遮断作用、ヒスタミン1受容体遮断作用などがあり、これは主に副作用としてはたらいてしまいます。具体的には、

  • α1受容体遮断作用:ふらつき、射精障害
  • ヒスタミン1受容体遮断作用:体重増加、眠気

などの副作用を起こしてしまいます。

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3.ロドピンの適応疾患

添付文書にはロドピンの適応疾患として、

統合失調症

が挙げられています。

実際の臨床現場では統合失調症に用いる事はだんだんと少なくなっていると感じます。その理由は先ほどもお話した通り、ロドピンが古いお薬であるためです。

古い第1世代が現在では使われる頻度が減っているとの同じように、ロドピンも多くは処方されているお薬ではありません。

一方で鎮静力に優れるロドピンは今でも、

  • 双極性障害の躁状態
  • 興奮が強い患者さん
  • 不眠が強い患者さん

にはしばしば検討されるお薬になります。

ロドピンは、添付文書上の適応疾患としては統合失調症しか書かれていませんが、実際の臨床では統合失調症以外でもこのようにその他の疾患に対して用いられる事があります。

統合失調症ではない患者さんが、医師から十分な説明のないままロドピンを処方されてしまい、自分でロドピンの適応疾患を調べると「統合失調症」と書かれているため、「私って統合失調症なの??」と不安になってしまうケースが時々あります。処方されたお薬がどんなお薬なのか、今はネットで簡単に調べられますからね。

このような理由かっらロドピンを処方されたからといって、それだけで「自分は統合失調症なんだ」ということにはなりません。

4.抗精神病薬の中でのロドピンの位置づけ

抗精神病薬には多くの種類があります。その中でロドピンはどのような位置づけになっているのでしょうか。

まず、抗精神病薬は大きく「定型」と「非定型」に分けることができます。定型というのは第一世代とも呼ばれており、昔の抗精神病薬を指します。非定型というのは第二世代とも呼ばれており、最近の抗精神病薬を指します。

定型として代表的なものは、セレネース(一般名:ハロペリドール)やコントミン(一般名:クロルプロマジン)などです。これらは1950年代頃から使われている古いお薬で、強力な効果を持ちますが、副作用も強力だという難点があります。

特に錐体外路症状と呼ばれる神経症状の出現頻度が多く、これは当時問題となっていました。また、悪性症候群や重篤な不整脈など命に関わる副作用が起こってしまうこともありました。

そこで、副作用の改善を目的に開発されたのが非定型です。非定型は定型と同程度の効果を保ちながら、標的部位への精度を高めることで副作用が少なくなっているという利点があります。

非定型として代表的なものが、SDA(セロトニン・ドーパミン拮抗薬)であるリスパダールやMARTA(多元受容体作用抗精神病薬)と呼ばれるジプレキサ(一般名:オランザピン)、DSS(ドーパミン部分作動薬)と呼ばれるエビリファイ(一般名:アリピプラゾール)などになります。

現在では、まずは副作用の少ない非定型から使用することがほとんどであり、定型を使う頻度は少なくなっています。定型が使われるのは、非定型がどうしても効かないなど、やむをえないケースに限られます。

非定型の中の位置づけですが、SDA、MARTA、DSSそれぞれの特徴として、

SDA
【該当薬物】ロドピン、ロナセン、ルーラン
【メリット】幻覚・妄想を抑える力に優れる
【デメリット】錐体外路症状、高プロラクチン血症が多め(定型よりは少ない)

MARTA
【該当薬物】ジプレキサ、セロクエル、クロザピン
【メリット】幻覚妄想を抑える力はやや落ちるが、鎮静効果、催眠効果、抗うつ効果などがある
【デメリット】太りやすい、眠気が出やすい、血糖が上がるため糖尿病の人には使えない

DSS
【該当薬物】エビリファイ
【メリット】上記2つに比べると穏やかな効きだが、副作用も全体的に少ない
【デメリット】アカシジアが多め

といったことが挙げられます。

この中でのロドピンの位置づけというのは、やや微妙な位置づけになります。

作用機序的に考えれば、ドーパミンとセロトニンをブロックする作用を持つロドピンはSDAになります。しかし、ちょうど第1世代と第2世代の中間に発売されたお薬であり、他の第2世代と比べると副作用も少なくなく、陰性症状への効果もかなり弱めであるロドピンは、専門家によっては第2世代に分類しない事もあります。

ロドピンは、第1世代と第2世代の間に位置付けられるようなお薬なのです。

5.ロドピンが向いている人は?

ロドピンの効果の特徴をもう一度みてみましょう

  • 陽性症状(幻覚・妄想など)を改善させる
  • 鎮静力に優れ、特に躁状態の改善に用いられる
  • 第1世代(定型)と比べると陰性症状にも効果がある
  • 第2世代の中では錐体外路症状が起こりやすい
  • 第2世代(非定型)の中では、陰性症状に対する効果はかなり弱め
  • 第2世代の中では古いお薬に属する

ということが挙げられました。

第2世代とは言え、古いお薬に属するロドピンは現在ではあまり用いられる頻度の多いお薬ではありません。

ただし鎮静力の強さには定評があるため、

  • 双極性障害の躁状態の方
  • 興奮や不眠が強い方

には、今でも時に検討されることがあるお薬になります。

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