グッドミンは田辺三菱製薬・吉富薬品が発売している睡眠薬です。
レンドルミン(一般名ブロチゾラム)のジェネリックで、成分はレンドルミンと全く同じです。効果や副作用なども全てレンドルミンと同等です。
最近は、国がジェネリックを推奨していることもあり、ジェネリック薬が処方される頻度が増えていますね。
ここではグッドミンについて詳しく紹介したいと思います。なお、詳しく知りたい方は先発品であるレンドルミンの記事も参考にしてください。
1.グッドミンの効果・作用時間
現在、睡眠薬治療の中心となっているのは、「ベンゾジアゼピン系」「非ベンゾジアゼピン系」の2種類です。
ほどよい効果があり、副作用も少なく安全性が高い。このバランスの良さがウリで、よく処方されています。
このうち、グッドミンはベンゾジアゼピン系に属する睡眠薬です。ベンゾジアゼピン系は、GABA(ɤアミノ酪酸)の作用を強めることで眠気を引き起こします。
GABAには催眠作用、抗不安作用、抗痙攣作用、筋弛緩作用の4つの作用があり、このうち「催眠作用」が睡眠薬として働くのです。
睡眠薬は作用時間の違いによって4種類に分類されています。
- 超短時間型・・・半減期が2-4時間
- 短時間型 ・・・半減期が6-10時間
- 中時間型 ・・・半減期が12-24時間
- 長時間型 ・・・半減期が24時間以上
半減期というのは、作用時間の目安として用いられます。半減期はおおよその薬の作用時間と相関する事も多く、睡眠薬の作用時間を知る1つの指標となります。
グッドミンは「短時間型」に分類されます。レンドルミンと同じく、内服後、約1.5時間で血中濃度がピークになり、約7時間で半減期を迎えます。
一般的な成人の睡眠時間は約6~8時間と言われていますから、7時間前後の作用時間であるレンドルミンやグッドミンは、使い勝手のよい睡眠薬なのです。そのため、睡眠薬の第一選択薬としてよく処方されます。
薬効の「強さ」はというと、普通くらいです。
睡眠薬を処方すると、「これって強い薬ですか?」と強さを気にする患者さんは少なくありません。しかし、「ベンゾジアゼピン系」「非ベンゾジアゼピン系」睡眠薬は、個人差はあるものの、強さには大きな差はありません。
どれも量を多くすれば強くなるし、量を減らせば弱くなります。
2.グッドミンの副作用
どんなお薬でも、副作用はたくさんの報告があります。
それを全て紹介すると、よく分からなくなってしまうだけですので、ここでは臨床でよく見られる副作用や特に注意したい副作用を中心にお話します。
副作用をすべて知りたい、という方はグッドミンの添付文書などを見ると良いかと思います。
ネットで検索すればすぐ見つかります。
当然ですが、レンドルミンと成分が全く同じおくすりですので、副作用もレンドルミンと全く一緒です。
Ⅰ.眠気
睡眠薬なので当然「眠気」が生じます。これは時として副作用にもなりえます。
睡眠薬を飲んで眠くなるのは「効果」なので問題ありません。しかし、「朝起きてもまだ眠い」「日中も眠くて仕方ない」となると問題です。
日中まで睡眠薬の眠気が残ってしまう事を「持ち越し効果(hang over)」と言います。眠気だけでなく、だるさや倦怠感、ふらつき、集中力低下などもあります。
グッドミンは半減期が約7時間ですので、7時間前後の睡眠をとっていれば、理論的には持ち越し効果はあまり起こらないはずです。
しかし、睡眠時間が4-5時間ほどの人であったり、薬を分解する力が弱い体質の人だったりすると、持ち越してしまう事があります。
この場合の対処法は、まずは睡眠時間を増やすことになります。グッドミンの薬効が切れるまで眠っていれば、持ち越し効果に苦しむことはなくなります。
睡眠時間をより多く取ることが難しそうであれば、半減期のより短い睡眠薬に変えることが次の対策になります。
半減期が4時間程度のアモバン、5時間程度のルネスタ、6時間程度のデパスなどが候補に挙がるでしょう。
あまり睡眠薬の種類を変えたくない、という場合は、グッドミンの量を減らしてみるという方法もあります。
例えば0.25mgを内服しているのであれば、半分の0.125mgにするのです。効果も弱くなってしまいますが、量を減らすと一般的に半減期は多少短くなります。
Ⅱ.耐性・依存性形成
多くの睡眠薬に言える事ですが、長期的に内服を続けていると「耐性」「依存性」が形成されます。
耐性というのは、身体がおくすりに慣れてきて、効きづらくなってくる事です。耐性が形成されると、今までは1錠飲めばぐっすり眠れていたのに、2錠、3錠と飲まないと十分な眠りを得られなくなります。
依存性というのは、次第にその物質なしではいられなくなる状態をいいます。依存性が形成されると、おくすりをやめられなくなってしまいます。
耐性と依存性を持つ物質として有名なものにアルコールがあります。なのでどちらもアルコールで考えてみると分かりやすいでしょう。
アルコールを常用していると、最初に満足できていた量では次第に酔えなくなってきてよりたくさん飲まないと酔えなくなります。これは耐性が形成されているという事です。
また、大量の飲酒を続けていると次第に昼夜問わず飲酒せずにはいられなくなります。この「お酒なしではいられない」状態は、依存性が形成されているという事になります。
ほとんどの睡眠薬には耐性と依存性があります。ただし、普通の量(医師が指示している範囲内の量)であれば、アルコールと比べると耐性・依存性形成は軽いため、そこまで心配する必要はありません。
たまに「睡眠薬は依存が怖いから」といって寝酒をして眠ろうとしている方がいますが、これは全くおかしな話だという事が分かります。だって睡眠薬よりアルコールの方が依存性は強いのですから。
睡眠薬で耐性・依存性を形成しないためには、必ず「医師の指示通りに服用する」ことが大切です。
アルコールも睡眠薬も、量が多ければ多いほど耐性・依存性が早く形成される事が分かっています。
医師は、耐性・依存性を起こさないように量を考えながら処方しています。それを勝手に倍の量飲んだりしてしまうと、急速に耐性・依存性が形成されてしまいますし、本人の勝手な判断だと、医師もそれに気づくのが遅れてしまいます。
また、アルコールとの併用も危険です。アルコールと睡眠薬はお互いの血中濃度を不安定にしてしまう可能性があり、併用すると、耐性・依存性の急速形成の原因になると言われています。
「漫然と飲み続けない」ことも大切です。睡眠薬はずっと飲み続けるものではなく、不眠の原因が解消されるまでの「一時的な」ものです。時には「量を減らせないか」を検討すべきであり、漫然と長期間内服を続けてはいけません。
服薬期間が長期化すればするほど、耐性・依存形成のリスクが上がります。
このようなことをしっかりと守って、内服を続ければ睡眠薬で耐性や依存性が形成されることはほとんどありません。
Ⅲ.もうろう状態、一過性前向性健忘
睡眠薬の服薬後、自分では覚えてないけど、歩いてたり人と話してたりする事があります。これは超短時間型の睡眠薬(ハルシオンなど)で多く見られます。グッドミンで生じる頻度は稀ですが、ゼロではありません。
睡眠薬はまれに中途半端な覚醒状態にしてしまう事があり、この中途半端な覚醒状態が「もうろう状態」「一過性前向性健忘」を起こします。
一般的には急激に効くお薬(超短時間型)に多く、また多くの量の睡眠薬を内服しているケースで起こりやすいようです。
万が一、これらの症状が起こってしまったら、量を減らすか、作用時間の長い睡眠薬へ切り替える事が対応策となります。
3.他剤との比較
グッドミンと他剤の半減期(≒作用時間)の比較を紹介します。レンドルミンのジェネリックですので、「レンドルミン=グッドミン」と考えてご覧下さい。
睡眠薬 | 最高濃度到達時間 | 作用時間(半減期) |
---|---|---|
ハルシオン | 1.2時間 | 2.9時間 |
マイスリー | 0.7-0.9時間 | 1.78-2.30時間 |
アモバン | 0.75-1.17時間 | 3.66-3.94時間 |
ルネスタ | 0.8-1.5時間 | 4.83-5.16時間 |
レンドルミン | 約1.5時間 | 約7時間 |
リスミー | 3時間 | 7.9-13.1時間 |
デパス | 約3時間 | 約6時間 |
サイレース/ロヒプノール | 1.0-1.6時間 | 約7時間 |
ロラメット/エバミール | 1-2時間 | 約10時間 |
ユーロジン | 約5時間 | 約24時間 |
ネルボン/ベンザリン | 1.6±1.2時間 | 27.1±6.1時間 |
ドラール | 3.42±1.63時間 | 36.60±7.26時間 |
ダルメート/ベジノール | 1-8時間 | 14.5-42.0時間 |
5.グッドミンの薬価
グッドミン錠0.25mg 11.1円
レンドルミン0.25mg錠(先発品) 27.5円
グッドミンの薬価は0.25mgで11.1円です。正規品のレンドルミンと比べると大分安いですね。
ジェネリックの薬価は、製薬会社によってバラツキがありますが、効果はどれも変わりません。
グッドミンは他のジェネリックと比べると薬価は高めになっていますね。
しかし、グッドミンはレンドルミンのジェネリックとして歴史や実績のあるお薬です。多少高くても安心なおくすりがいい、という方にはおすすめしやすいものです。
ジェネリックといえども、あまりよく分からないものはイヤだ、という方には良いかもしれません。