全般性不安障害を完治させ克服するための治療法

全般性不安障害を克服・完治させるための治療法

全般性不安障害は、日常の様々なことに対して過剰に不安になってしまう疾患です。普段なら心配にならない程度のことでも不安になってしまうため、気持ちはいつも休まりません。

不安や心配が強いという以外は目立った症状に乏しいため、ただの心配性だと扱われてしまい、発見が遅れてしまいがちなのがこの疾患の難しいところです。

不安・心配が理由でつらい毎日を過ごしているのであれば、それはただの心配性ではなく、全般性不安障害なのかもしれません。

全般性不安障害は病気であり、病院を受診して適切な治療を受ければ少しずつ治していくことが可能です。「これは性格だから・・・」と諦めてしまっている方も多いのですが、不安・心配でつらい思いをしていたり、生活に支障を来たしているのであれば、一度精神科を受診してみて下さい。

今日は全般性不安障害を克服するために病院で行われる治療手順について紹介します。

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1.まずは精神科を受診する

全般性不安障害は、発見が遅れがちな疾患です。一般的に病気は、発見が遅れれば遅れるほど治りにくくなってしまうため、これは全般性不安障害を治りにくくしている原因の一つとなっています。

全般性不安障害の特徴として、「目立った症状に乏しい」ことが挙げられます。日常の様々なことに対して不安になってしまい、本人はとてもつらいのですが、不安というのは周囲の人から見えるものではないため、重症感に乏しい印象を持たれてしまうのです。

同じ不安障害でも、パニック障害ではパニック発作という派手な症状が出ます。パニック発作は急に動悸・めまい・呼吸苦などの症状に襲われるため、本人も苦しいですし、周囲も「これはまずいぞ」と気付きます。しかし全般性不安障害ではそのような周囲にとって分かりやすい症状はほとんどありません。

「最近、色々なことが心配になってしまって・・・」と周囲に症状を相談しても、「疲れているだけじゃない?」「心配性なんだね」で終わってしまうことも多く、「それは病気かもしれないよ」という認識が持たれにくいのです。

全般性不安障害をしっかりと克服するためには、まず全般性不安障害という疾患があるという事を知ること、そして不安や心配でつらい思いをする毎日が続いているのであれば、一度精神科を受診して病気に至っていないかの診察をしてもらう事が治療のための第一歩となります。

そもそも全般性不安障害という病気がある、ということすらまだ広くは知られていません。

「自分はただ心配性なだけ」「これは性格だから我慢するしかない」

全般性不安障害の症状が出ていても、このような考え方から精神科の受診を思いつきもしない方も少なくありません。

もちろん正常範囲内の「心配性」に過ぎないのであれば、病院を受診する必要もありませんし、自分なりの工夫で日常を送って問題ありません。しかし全般性不安障害という病気であった場合は、治療のプロである精神科医の力を借りた方がいたずらに悪化させることなく、確実に改善させることができます。

精神科という場所に自分が行くことを「情けない」と考えてしまう方もまだまだいらっしゃいますが、全般性不安障害は「病気」なんだという認識をしっかりと持って頂きたいと思います。自分の気持ちの問題だと判断し、治療をいたずらに遅らせることは避けるべきです。

2.全般性不安障害を正しく知る

病気を適切に治療するためには、その病気について正しく知らなければいけません。特に精神疾患は誤解されることの多い疾患ですので、とりわけ正しい理解が重要になります。

診察を通して、主治医から病気について学びましょう。また診察だけでは充分に説明を受ける時間が取れない場合は、おすすめの書籍などを紹介してもらってもよいでしょう。当サイトでも、全般性不安障害に対する記事をいくつか書いていますので、参考にして頂ければ幸いです。

全般性不安障害のすべて

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3.まずは生活習慣の見直しから

全般性不安障害は不安障害(不安症)に属する疾患であり、その根本にあるのは「不安」です。そのため治療の目的は、不安・心配を軽減させることになります。

不安を軽減させる方法としては、お薬であったりカウンセリングだったり色々な方法がありますが、まず第一にすべきことは生活習慣の見直しです。

生活習慣が乱れると精神状態は不安定になり不安は高まります。睡眠不足や栄養がかたよっている生活が続くと、いつもよりネガティブになってしまったり怒りっぽくなってしまったり、精神的に不安定になってしまいます。

治療効果を最大にするためにも、まずは生活習慣を改善してできる限り不安や心配を取り除きやすい環境を整えましょう。

主治医と相談して、不安が高まるような生活習慣がないか、一つずつ確認していきましょう。不安を悪化させるような生活習慣がある場合、それを改善するだけで病状が大きく改善することもあります。生活習慣の改善は地味な作業ですが、その効果は決してあなどれません。

不安を悪化させやすい生活習慣の一例を挙げます。

Ⅰ.睡眠不足・不規則な生活

睡眠時間が不十分だとこころは不安定になります。また不規則な生活リズムが続いている方は、規則正しい生活の方と比べてこころが不安定になりやすい傾向にあります。十分な睡眠を取っていないと、それだけで不安や心配を感じやすくなってしまうのです。

睡眠不足があるのであれば、まずは睡眠時間を十分に確保できないか考えてみましょう。ついつい夜更かしをしてしまう、昼夜逆転がちの生活をしている、などの乱れた生活習慣があるのであれば、それも治していく必要があります。

Ⅱ.食生活の偏り

食事の間隔が不規則だったり栄養の偏りが著しい場合、脳に十分な栄養が届かないため、気分が不安定になり不安が高まってしまうことがあります。

1日3食、バランス良く食べているかどうかを見直してください。

仕事が忙しい方などでは、どうしても昼食を食べれないこともあるかもしれませんが、簡単に食べれる軽食を用意しておくなど、出来る範囲で良いので工夫することが大切です。

Ⅲ.運動不足

厚生労働省の報告によれば、定期的な運動習慣を持っている成人は3割ほどしかいないそうです。

忙しいとつい運動から遠ざかってしまいますが、適度に身体を動かすことは前向きなこころを作るために大切です。運動でいい汗をかいた後は、気持ちも前向きになるという経験はみなさんもあるのではないでしょうか。

適度な運動は睡眠の質を上げることにもなるため、不安や心配の改善に大きく貢献してくれます。

Ⅳ.過剰なストレス

ストレスが過剰であれば、一般的に不安や心配を感じやすくなります。

現実的には、仕事上のストレスや家庭のストレスなど簡単には取り除けないこともあるでしょう。しかし、主治医や周囲と相談して、少しでも軽減できないか工夫してみることは大切なことです。

Ⅴ.過剰なアルコール

適度なアルコールは、気分も高揚させて良い影響を与えることもあります。しかし、過剰にアルコールを摂取すると精神状態は不安定になります。晩酌の習慣などがあり、その量が多い場合は、主治医とともに飲酒量の再検討を行う必要があります。

またアルコールは多くの向精神薬(精神科のお薬)との飲み合わせが悪いため、今後お薬による治療を行う予定であれば、そのような意味でもやめておく必要があるでしょう。

4.急性期はお薬を使うことも多い

全般性不安障害の治療は大きく分けると、「薬物療法(お薬)」と「精神療法(カウンセリングなど)」の2つに分けることができます。

どちらも優れた治療法ですが、急性期(治療の初期)は薬物療法から開始されることが一般的です。その理由は、急性期は不安や心配の程度が強いためです。

精神療法というのは、ある程度気持ちに余裕がないと効果が十分に発揮されません。不安や心配の程度が強くて不安定な時にカウンセリングを受けてもカウンセラーの話に集中できないでしょう。落ち着かない精神状態なのに、「こんな風に考えたらうまくいきいますよ」なんてカウンセラーから言われても頭に入らないし、実行することも困難です。

気持ちにまだ余裕を持てる軽症例などでは精神療法から治療を始めるケースもあります。しかし不安・心配の程度が強い場合は、お薬による治療から入るケースが多いのが実際のところです。

全般性不安障害で使うお薬については、「全般性不安障害(GAD)に使われるお薬にはどのようなものがあるか」で詳しく説明していますので、ご覧ください。

主剤としては、SSRIなどの主にセロトニンを増やす作用に優れる抗うつ剤を使います。また、全般性不安障害は他の不安障害と比べると抗うつ剤の効きがやや悪いため、抗不安薬と呼ばれるお薬も併用することもあります。症例によっては不安に効果のある漢方薬を使う場合もあります。

抗うつ剤は主にセロトニンを増やし、これが不安を改善させるはたらきを持ちます。安全性も高く、依存性もないのが利点ですが、効果が発現するまでに数週間かかることが欠点です。対して抗不安薬は、即効性があり、飲んだらすぐに不安を改善してくれる利点がありますが、使い続けると徐々に耐性や依存性が出来てしまうのが欠点です。

そのため、抗うつ剤が十分に効くまでは抗不安薬も併用し、抗うつ剤が十分に効いてきたら抗不安薬は徐々に減らしていく、というのがよく行われている治療手順になります。

5.気持ちに余裕が出てきたら精神療法も併用

不安や心配がある程度改善され、精神療法を受けられそうな精神的余裕が出てきたら、精神療法も併用するとより良い治療になります。

精神療法は、副作用も少なく安全性の高い治療ですが、日本ではまだ保険が効かないため高額になってしまうのが欠点です。また時間がかかる治療法のため、社会人など忙しい方はなかなか受ける時間が取れないという問題もあります。

精神療法は、しっかりと受ければ薬物と同等の効果が期待できます。また再発予防に関しては薬物療法よりも効果を認め、再発しにくくすることができます。

全般性不安障害で主に行われる精神療法を紹介します。

Ⅰ.認知行動療法(CBT)

認知行動療法は、ものごとのとらえ方(認知)を修正していくことにより、不安を軽減させて気持ちを楽にしていく治療法です。

医師や臨床心理士と1対1で行う個人療法と、患者さん4~8名が一緒に行う集団療法がありますが、どちらも効果が期待できます(費用面では集団の方が安価になります)。

認知行動療法では、不安や心配が生じるメカニズムを学び、これらが生じやすい状況を客観的に見ていきます。その中で自分の不安・心配に対するクセ(自動思考)を把握し、不安・心配を過剰に生じさせなくするにはどうしたらいいのか、あるいは不安・心配が起こりそうな時・起こった時にはどのように考えればいいのかを考えていきます。

認知行動療法を行うことで、認知の歪みを修正していくことは全般性不安障害の治療においては非常に有用な治療となります。

Ⅱ.森田療法

森田療法というのは、日本の精神科医である森田正馬氏が1910年代に考案した精神療法で、全般性不安障害に対する治療としても有効です。

全般性不安障害では、不安や心配事が生じた時に様々な身体・感情反応が生じます。森田療法では、様々な身体反応(ふるえ・動悸・赤面など)や不快な感情反応(不安・緊張・恐怖など)は自然な反応であり、異常なものではないと考えます。生理的に起こるものですから、これらの反応は「変えることの出来ないこと」として、治療の対象としません。

問題は、身体反応や不快な感情反応ではなく、「その反応にとらわれてしまうこと」であり、ここが治療の対象となります。

不安時に生じる様々な反応は、生理的な反応であり「起こって当然の反応」です。それに対して「不安にならないようにしなくては」というのは無理な話でしょう。不安を消そうとしても消せない。むしろ、消そうとすればするほど不安を意識することになり、どんどんと不安にとらわれてしまう。これが不安障害の方に認められる悪循環です。

この悪循環の根本は、不安を「あってはならないもの」としている点であり、「不安は自然な反応である」と受け入れることが森田療法の基礎になります。「不安は正常な反応である」と受け入れることで、「不安にならないようにしなくては」と考えないようになり、悪循環が絶たれます。

また森田氏は、不安や心配を感じてしまうのは、「より良く生きたい」という欲望があるからだと考えています。しかし全般性不安障害の方は、そういった欲望よりも「悪いことが起こるのではないか」という不安が優ってしまっているのです。森田氏は、とらわれから逃れることで、「よりよく生きたい」という欲望を取り戻すことも治療において大切だと指摘しています。

まとめると、

・生理反応を抑えようとしてもそれは無理なのだから受け入れよう
・不安を感じるのは「より良く生きたい」気持ちがあるのだから、それを自分を苦しめるために使うのではなく、自分を生かすために使おう

ということです。

森田療法は、神経質、心配性、完璧主義などの神経質的な性格傾向を持つ方に、特に有効であると考えられています。森田療法は、外来では患者さんは日記を書いていただき、それを治療者と確認していきながら進められていきます。

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